エクサウィザーズ、PMDA調査業務を現場レベルで効率化する医薬品安全性の評価AIを、京大と共同開発
最終更新日:2024年02月16日
株式会社エクサウィザーズは、2023年5月8日、PMDA(独立行政法人医薬品医療機器総合機構)の調査業務を現場調査員レベルで効率化できる評価AIを、京都大学と共同で開発したと発表した。
この評価AIは、医薬品の安全性について評価を行うものであり、PMDAによる過去の評価結果を学習データとして開発された。人による評価が必要な事例数を従来の50~60%程度まで削減し、医薬品の報告評価の効率化を促進する効果が期待されている。
目次
<本ニュースの10秒要約>
- 医薬品の安全性をAIが評価。PMDAの「薬局ヒヤリ・ハット事例」に関する調査を支援
- PMDAによる過去の評価結果を学習、人による評価が必要な事例数を50~60%程度まで削減
- 人による評価を併用しながら導入。薬剤の属性情報を参照して評価するAIなども開発へ
現場調査員でも利用が期待できるAIシステムとして開発
エクサウィザーズは、2016年の設立時から一貫して社会課題の解決につながるAIの利活用に取り組む企業だ。AIプラットフォーム事業とAIプロダクト事業の両輪で事業セグメントを展開し、独自のアルゴリズム・データの蓄積も推進。医療分野をはじめとするライフサイエンス・ヘルスケア領域にフォーカスしたAIソリューションの提供も手がけている。
同社と京都大学は2020年、医薬品の安全性に関するテキスト報告データを評価できるAIを開発。このAIは、薬剤取り違えといった「薬局ヒヤリ・ハット事例」に対するPMDAの評価結果を学習データとするものだ。2021年~2022年にかけて追加検証・評価モデルの更新が続けられ、今回エンジニアではない現場調査員でも利用が期待できるシステムとして開発されるに至った。
AIの活用による報告評価の効率化が期待されていた
いわゆる「薬局ヒヤリ・ハット事例」は、公益財団法人日本医療機能評価機構が公表している「薬局ヒヤリ・ハット事例収集・分析事業」の事例のことであり、年間あたり10万~18万件程度が報告されている。
医薬品の承認審査などを業務とするPMDAは、この「薬局ヒヤリ・ハット事例」についても調査を担う。調査対象数はこれまで年間6000~7000件程度であり、製造販売業者などによる安全管理対策の要否を検討し、必要な対策を講じていた。
PMDAの「薬局ヒヤリ・ハット事例」における調査対象は、近年増加しつつある。この状況に対応すべく、AIの活用による報告評価の効率化が期待されており、エクサウィザーズと京都大学による評価AIもこうした期待に応えるべく開発された。
エクサウィザーズのAIプラットフォーム「exaBase」を活用
エクサウィザーズと京都大学が開発した安全対策要否の評価AIは、対策が必要となる事例の識別について、2020年度時点では96%の精度で成功。2021年度および2022年度に実施された検証では、人による評価が必要と判断される事例について全抽出が確認されている。
この評価AIを両者は今回、エンジニアではないPMDAの現場調査員でも活用可能なシステムとして改良。改良に際しては、エクサウィザーズのAIプラットフォーム「exaBase」が基板として活用された。PMDAの調査対象事例を約50~60%削減できるAIの機能を、より使いやすい形で提供できるシステムとなっている。
医療・医薬品に関する課題の解決に、AIで貢献
今回開発した評価AIについて両者は、人による評価を併用しながら試行的に実務に導入し、その有用性を確認した後に本格導入の適否を検討する予定だ。
エクサウィザーズは今後も、薬剤の属性情報を参照して評価するAIや、薬剤情報を含むテキストデータを評価するAIなど、医療・医薬品に関する課題解決に貢献できるAIソリューションの提供に取り組むとしている。
参照元:PRTIMES
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