ソラコムが三菱電機と空調機器制御の実証実験。電力消費量47.92%削減、快適性26.36%向上を実現
最終更新日:2024年07月11日
2024年7月3日、株式会社ソラコムと株式会社松尾研究所が推進する「IoT x GenAI Lab」プロジェクトは、三菱電機株式会社と共同で実施した空調機器制御の実証実験結果を発表した。
この実験は2024年1月15日から3月8日にかけて行われ、生成AI(ジェネレーティブAI)を活用して空調機器の最適温度を予測・制御することで、電力消費量の大幅削減と快適性の向上を実現した。この革新的な取り組みは、IoTと生成AIの融合が実際のビジネス環境で大きな効果をもたらすことを示す重要な成果となった。
<本ニュースの10秒要約>
- ソラコム、松尾研究所、三菱電機の共同実証実験で、生成AIを活用した空調制御により電力消費量47.92%削減と快適性26.36%向上を達成
- センサーデータ、環境情報、勤務者フィードバックを生成AIに入力し、2時間ごとに最適な空調温度を予測・制御するシステムを構築
- 従来のAI手法と比べ、追加学習不要で迅速な導入を実現。今後、データセンターや工場への展開で大規模な省エネ効果を目指す
実証実験の概要と革新性
この実証実験は、IoTと生成AIの融合による空調制御の可能性を探るものだ。三菱電機のDXイノベーションセンターで行われたこの実験では、室内外の環境データ、勤務者の快適性フィードバック、空調利用位置検知システムの情報などを、GPT-4などの生成AIエンジンに入力。AIは2時間ごとに最適な空調温度を予測し、実際に制御を行った。
従来のAI手法では必要だった強化学習や機械学習、ファインチューニングなどの時間とコストのかかるプロセスを省略し、事前学習済みの汎用的な生成AIを活用したことが大きな特徴だ。この革新的なアプローチにより、迅速な導入と効果的な制御を実現した。
実験結果と達成された成果
実証実験の結果、電力消費量と快適性の両面で顕著な改善が見られた。電力消費量については、ベースラインと比較して期間平均47.92%の削減を達成。これは、生成AIが環境データと勤務者フィードバックを基に最適な温度設定を行った結果だ。
同時に、オフィス勤務者の快適性も平均26.36%向上した。この結果は、生成AIが単なる省エネだけでなく、人間の快適性も考慮した高度な制御を行えることを示している。特筆すべきは、これらの成果が追加学習やファインチューニングなしで達成されたことだ。これにより、IoTと生成AIの組み合わせが、迅速かつ効果的にビジネス環境を最適化できることが実証された。
技術的詳細とデータ活用の仕組み
実験では、多様なデータソースを活用して空調制御を最適化した。室内温度・湿度、外部の天気情報、空調機器の設定温度に加え、空調利用位置検知システムによる室内のヒートマップや勤務者の位置情報も利用。さらに、勤務者からの快適性に関する定期的なフィードバックも重要なデータとして活用された。
これらのデータはOpen AIのGPT-4/4Vに入力され、最適な温度設定が予測された。また、Dataikuを用いてデータの可視化・解析を行い、過去のデータに対する検証も実施。この複合的なアプローチにより、リアルタイムの環境変化に対応しつつ、長期的なパターンも考慮した高度な制御が可能となった。
今後の展望
今後は、電力使用量がより大きいデータセンターや工場での活用を目指し、さらなる検証を進める予定だ。これにより、産業界全体での大規模な省エネルギー化が期待される。また、ユーザーの好みに合わせた空間へ誘導するなど、より人に寄り添ったシステムの構築も視野に入れている。
2024年7月17日に開催予定のSORACOM Discovery2024では、三菱電機株式会社が登壇し、本実験の詳細と今後の展望について講演を行う予定だ。
参照元:PR TIMES
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