JR東日本、架線設備の工事/メンテナンス業務でDX推進中。AIによる画像スクリーニングも導入予定
最終更新日:2023年07月25日
JR東日本(東日本旅客鉄道株式会社)は、2023年7月21日、架線設備の工事およびメンテナンス業務において同社が行うDX推進の取り組みを報告するプレスリリースを発表した。
JR東日本は近年、安全・安定輸送のレベルアップと共に将来の労働人口減少を見据えるべく、業務のDXを推進してきた。今回の発表では、架線設備の工事における強度計算アプリの導入やメンテナンス業務でのモニタリングシステムの活用、また今後実施予定のAIによる画像スクリーニング導入など、DX推進に向けた同社の取り組みが紹介されている。
目次
<本ニュースの10秒要約>
- 将来の労働人口減少やICTを中心とする技術革新などを見据え、業務のDXを推進してきたJR東日本
- 架線設備の工事に、構造物の外観図の作成や強度計算を自動で完了するアプリ「JREDOCS」を導入
- 画像を活用する「架線設備モニタリング」も導入、2023年度下期からはAIスクリーニングも実施へ
業務のDX推進に取り組んで来たJR東日本
鉄道事業を取り巻く環境は現在、人口減少や自然災害の激甚化、またICTを中心とする技術革新などによって、激しく変化している。鉄道事業を手がけるJR東日本は、こうした変化が今後は急激に加速すると予測。2018年11月には、新たな技術の積極的な活用による安全設備の整備などを掲げる「グループ安全計画2023」を策定し、業務のDX推進に取り組んで来た。
「Railway-Eye」と「JREDOCS」を工事で活用
今回発表された取り組みの実施領域となる架線設備は、トロリ線/ちょう架線/ハンガなどから構成され、車両パンタグラフを介し電車へ電力を供給する設備を指す。これらの構造物は、架線そのものの荷重に加えて、架線を水平に保つ張力に耐え得る強度が必要となる。そのため架線設備の設計ではこれまで、測量の結果から図面作成や強度計算などを個々に行う必要が生じており、多くの時間を要していた。
この業務についてJR東日本は現在、「Railway-Eye」および強度計算アプリ「JREDOCS」を導入することで、DXを実現した。「Railway-Eye」は、JR東日本と株式会社富士テクニカルリサーチによる共同開発品であり、3Dレーザースキャナーによって取得した点群データから鉄道設備の3Dモデリング/寸法計測/レイアウト検討を可能にするというものだ。「JREDOCS」は、JR東日本と電気技術開発株式会社による共同開発品であり、タブレット上で構造物を配置して測量結果を入力すると、構造物の外観図の作成や強度計算を自動で完了するアプリとなっている。
画像などのデータを活用する「架線設備モニタリング」
架線設備のメンテナンスについてもJR東日本は、2021年10月から「架線設備モニタリング」の導入を開始した。
この「架線設備モニタリング」は、East-i搭載のカメラおよびセンサーで取得した画像などのデータを活用し、架線設備の設備状態を確認するというものだ。導入は、同社の地方線区を中心とする在来線38線区にて進められ、導入エリアの走行距離は約5,500km(走行区間の約74%)に達している。
「架線設備モニタリング」の導入によりJR東日本では、電力係員が高所で行う夜間目視検査についても所要時間削減に成功した。またこの削減により、最大で年4回という多頻度な検査の実施も可能になった。JR東日本は今後、首都圏線区(約2,000km)への「架線設備モニタリング」導入も予定している。
AIの活用も開始し、さらなる生産性向上を図る
なおJR東日本は今後、AIを用いる形で「架線設備モニタリング」そのものの更新も進める予定だ。
現状の「架線設備モニタリング」ではカメラで取得した画像データをオペレーターがスクリーニングを行っているが、2023年度下期からは日本電気株式会社のRAPID機械学習を活用したAIの活用を開始。架線設備を画像から抽出する検知モデルと、設備ごとに応じて良否判定を行う判定モデルでAIスクリーニングを実施し、さらなる生産性向上を図るとしている。
参照元:PRTIMES
画像認識の仕組みや活用分野を詳しく知りたい方はこちら、また、画像認識に強い開発会社をお探しの方はこちらの記事をご参考ください。
AI Market ニュース配信チームでは、AI Market がピックアップするAIや生成AIに関する業務提携、新技術発表など、編集部厳選のニュースコンテンツを配信しています。AIに関する最新の情報を収集したい方は、ぜひ𝕏(旧:Twitter)やYoutubeなど、他SNSアカウントもフォローしてください!
𝕏:@AIMarket_jp
Youtube:@aimarket_channel
TikTok:@aimarket_jp
過去のニュース一覧:ニュース一覧
ニュース記事について:ニュース記事制作方針
運営会社:BizTech株式会社
ニュース掲載に関するご意見・ご相談はこちら:ai-market-press@biz-t.jp