マイクロソフト、オープンなエージェント型Webの構築を推進する新たな取り組みを発表
最終更新日:2025年05月21日

マイクロソフトは2025年5月19日に開催されたMicrosoft Build 2025カンファレンスにおいて、AIエージェントの時代の到来と共に、オープンなエージェント型Webの構築を推進する新たな取り組みを発表した。
同社は開発者向けに新たなAIモデルやコーディングエージェントを提供し、エンタープライズ向けの高度なエージェントを展開、Azure AI Foundry、GitHub、Windowsなどのプラットフォームを進化させることで、AIエージェントが個人、組織、チーム、ビジネス全体の文脈を横断して機能する世界の実現を目指している。
- GitHub CopilotからWindows AI FoundryまでAI駆動型の開発プラットフォーム拡充により、ソフトウェア開発のライフサイクルを再構築
- Microsoft 365 Copilot TuningやAzure AI Foundry Agent Serviceなど、エンタープライズ向け高性能・安全なAIエージェント構築機能の強化
- Model Context ProtocolとNLWebというオープンプロジェクトの推進により、AIエージェントを中心としたオープンエージェンティックウェブの実現を加速
AIの推論能力とメモリ機構における進歩により、AIモデルはこれまで以上に高性能で効率的になり、問題解決への新たなアプローチが可能になっている。現在、GitHubのCopilotは1,500万人の開発者によって利用され、エージェントモードやコードレビュー機能により開発プロセスの大幅な効率化を実現している。
Microsoft 365 Copilotは数十万の顧客がリサーチやブレインストーミングに活用し、Fortune 500企業の90%を含む23万以上の組織がCopilot Studioを用いてAIエージェントや業務自動化の構築を行っている。
こうした状況の中、富士通やNTTデータといった企業はAzure AI Foundryを活用して、営業活動支援や顧客インサイト抽出のためのAIアプリケーションやエージェントを構築・管理している。
今回のMicrosoft Buildでは、AIでソフトウェア開発ライフサイクルを再構築するための数々の新機能が発表された。GitHub Copilotは非同期コーディングエージェントとして進化し、VS Code版のGitHub Copilot Chatはオープンソースとなる。
Windows AI Foundryは、トレーニングと推論を含むAI開発者ライフサイクルをサポートする統一プラットフォームとして導入され、開発者はFoundry Localを通じてオープンソースLLMの管理・実行や独自モデルの変換、微調整、展開が可能になる。
Azure AI Foundry ModelsではxAIのGrok 3およびGrok 3 miniモデルがマイクロソフトのエコシステムに追加され、1,900以上のパートナーホストおよびマイクロソフト提供のAIモデルから選択できるようになった。また、モデル評価のためのModel LeaderboardとModel Routerという新ツールも導入された。
AIエージェントの性能と安全性を高めるための取り組みも進められている。Azure AI Foundry Agent Serviceの一般提供により、開発者は複数の専門エージェントを連携させて複雑なタスクを処理できるようになる。
この機能ではSemantic KernelとAutoGenを統合した開発者向けSDKが提供され、Agent-to-Agent (A2A)およびModel Context Protocol (MCP)にも対応している。
Microsoft 365 Copilot Tuningでは、顧客は自社のデータやワークフローを活用して独自のAIエージェントを構築でき、Copilot Studioの新しいマルチエージェントオーケストレーションにより、複数エージェントの連携で広範なタスクにも対応可能となる。
Microsoft Entra Agent IDのプレビュー版により、開発されたエージェントには一意のIDが自動的に割り当てられ、企業は最初から安全に管理できるようになる。
オープンエージェンティックウェブを推進するための取り組みとして、マイクロソフトはModel Context Protocol (MCP)への広範なサポートを進めており、GitHub、Copilot Studio、Dynamics 365、Azure AI Foundry、Semantic Kernel、Windows 11などのプラットフォーム全体で対応を提供している。
MCPエコシステムへの新たな貢献として、認可仕様のアップデートとMCPサーバーレジストリサービスの設計が発表された。
また、エージェンティックウェブにおけるHTMLと同様の役割を果たす新技術NLWebも発表され、Webサイトは自社データと好みのAIモデルを活用し、ユーザーに会話型インターフェースを提供できるようになる。科学発見を加速するための拡張可能なプラットフォーム、Microsoft Discoveryも発表され、研究者がエージェント型AIを活用して発見プロセス全体を変革できるよう設計されている。
AI Market の見解
マイクロソフトのこの発表は、AIエージェントを中心とした新たなインターネットの姿を描き出しており、テクノロジー業界の方向性に大きな影響を与えると想定される。
特に注目すべきは、同社がAIエージェントの構築・管理・連携のためのプラットフォームとツールを包括的に提供する一方で、Model Context ProtocolやNLWebといったオープンな標準やプロトコルを積極的に推進している点である。
これにより、開発者やエンタープライズが独自のAIエージェントを構築・展開しやすくなると同時に、異なるプラットフォーム間でのエージェントの相互運用性も高まると想定される。
現在のWeb上のコンテンツは主に人間の消費を前提としているが、マイクロソフトの提案するエージェンティックWebでは、AIエージェントがユーザーに代わって情報を収集・分析し、タスクを実行する世界に変わると想定される。これはインターネットの利用形態そのものを根本から変える可能性を持つ技術的変化と考えられる。
参照元:Microsoft
AIエージェントに関するよくある質問まとめ
- AIエージェントとは何ですか?
AIエージェントとは、ユーザーに代わって特定のタスクを自律的に実行できるAIシステムのことを指します。
高度な推論能力とメモリ機構を備え、単なる応答生成を超えて、情報収集、分析、意思決定、タスク実行などを一貫して行うことができます。GitHub CopilotやMicrosoft 365 Copilotのようなツールが代表例で、コーディングから文書作成、データ分析まで幅広い業務を支援します。
- Model Context Protocol (MCP)とは何ですか?
Model Context Protocol (MCP)は、AIエージェントが相互に通信したり、Webサービスやデータにアクセスしたりするための標準プロトコルです。
マイクロソフトはGitHub、Copilot Studio、Dynamics 365、Azure AI Foundry、Semantic Kernel、Windows 11など自社のプラットフォーム全体でMCPをサポートし、AIエージェント間の相互運用性を高めています。認可仕様のアップデートにより、ユーザーは既存の信頼されたサインイン方法を使って、AIエージェントに個人のデータやサービスへのアクセスを許可できるようになります。

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