NTTデータ、マーケティング業務の負担を最大6割削減するAIエージェント「LITRON Marketing」を提供開始
最終更新日:2025年05月20日

NTTデータは、マーケティング業務の生産性を大幅に向上させる新たなAIエージェントサービス「LITRON Marketing(リトロンマーケティング)」を2025年6月から提供開始すると発表した。
このサービスはマーケティングの戦略・施策の企画から実行・評価までを一気通貫でAIエージェントが自律的に支援・代行し、業務負荷を最大6割削減することを目指す。
特にペルソナ設計やカスタマージャーニーの作成、クリエイティブ制作における作業負担の大幅な削減が期待できる。
- マーケティング戦略策定から評価までを一気通貫でAIエージェントが自律的に支援・代行するサービスの提供により担当者の仮説構築力や企画力の向上にも貢献
- SNSデータや業界ニュース分析、ペルソナ設計、クリエイティブ作成などの機能で業務負荷を最大6割削減し、より多くの施策立案と迅速な実行を支援
- 2027年度末までにLITRON Marketingおよび関連サービス全体で累計100億円の売上目標を設定し、OpenAIと連携した最先端技術の活用を推進
「LITRON Marketing」は、NTTデータが提唱する生成AI活用のコンセプト「SmartAgent」に基づく新サービスだ。
担当者と対話型インターフェースでコミュニケーションをとるパーソナルエージェントが、担当者からの指示に基づき、各業務に適した専門性を持つ特化エージェントにタスクを割り振る仕組みを採用している。
そして、NTTデータが提供するマーケティング業務向けサービスや各種SaaSと連携し、マーケティング戦略策定・戦術(施策)企画・施策実行・施策評価といった一連の業務プロセスを自律的に支援・代行する。
第一弾ではSNSや業界ニュース等から市場環境・業界トレンドを分析・報告する「マーケティング戦略策定支援機能」、ペルソナ分析などによりターゲット選定および施策を提案する「戦術企画支援機能」、施策内容に従ったクリエイティブ(メールマガジンのテキストやデジタル広告の画像等)作成を実行する「施策実行支援機能」の3つを提供する。
特にペルソナ分析においては、顧客情報をもとに生成AIがターゲットとなるペルソナを複数設定し、ペルソナ同士が自律的にコミュニケーションすることで施策の有効性を検証するという独自の手法を採用している。
これにより、顧客に寄り添った最適なマーケティング施策を効率的に設計・実行することが可能になる。また、クリエイティブ作成においては、社内規定等に従うようガードレールも設定されており、コンプライアンスにも配慮した運用が可能だ。
NTTデータは、こうした業務プロセスの一気通貫な支援により、ターゲット像と施策全体の一貫性を保ちながら、マーケティング業務全体の負荷を最大6割削減できると見込んでいる。
第二弾は2025年9月末までに提供予定で、「施策評価支援機能」が追加される。この機能では施策実行結果をまとめたレポート作成に加え、効果検証から次回施策に向けた改善策の提案までサポートする。
具体的には、施策状況を自律的にモニタリングし、開封率やクリック率など各種KPIに分解の上、評価を実施。得られた示唆をまとめたレポートを作成し、過去施策データベースに蓄積する。
さらに、生成AIがそれらのデータを基に学習を重ね、次回の施策企画の際には特定の業界、商品・サービスに最適化された施策内容を提案する仕組みも整える。
また、「施策実行支援機能」では、想定顧客の特性に応じて、メルマガをどのタイミングで何を送ることで製品・サービスの購入に至るかまで描くMA(マーケティングオートメーション)シナリオ作成も追加予定だ。
LITRON Marketingの効果最大化・精度向上に向けて、NTTデータは企画・実行・改善の伴走型コンサルティング・BPS(ビジネスプロセスサービス)を一気通貫で提供するとともに、アプリケーションからデータ基盤などインフラまでフルスタックで提供する。
データ基盤においては、同社が提供する「デジタルサクセス CXイノベーションサービスfor B2C」を活用し、顧客体験価値・LTV(顧客生涯価値)の最大化を図る。
このサービスは、これまでNTTデータが金融業界の企業向けに「AIバーチャル顧客」同士の会話から会員への効果的なマーケティング施策を導出する取り組みや、インフラ業界の企業向けにマーケティング業務全体の整理・ビジョン策定から生成AI適用対象の検討・アプリケーション開発まで実施する取り組みなどから得た知見を活用している。
NTTデータは本サービスについて、2027年度末までにLITRON Marketingおよび関連サービス全体で累計100億円の売上を目標としている。
AI Market の見解
LITRON Marketingは単なる業務効率化ツールではなく、マーケティングのPDCAサイクル全体をAIが支援するプラットフォームとして注目される。
特にペルソナ同士の自律的コミュニケーションによる施策検証や、過去データからの学習による最適化提案は、従来の生成AIツールとは一線を画する高度な機能と言える。NTTデータがOpenAIとの戦略的提携を活かし、最先端の生成AIモデルを実務に適用している点も評価できる。
マーケティング業界では現在、テクノロジーの進化や顧客接点の多様化に伴い、個別最適化されたコミュニケーションが求められる一方で、トレンドや好みの移り変わりに素早く対応する必要があるという課題に直面している。
LITRON Marketingはこうした複雑かつ流動的な環境変化に対応し、マーケティング担当者の業務負荷を軽減しながら、より質の高い戦略立案と実行を可能にする点で市場に大きなインパクトを与えると想定される。
また、AIエージェントがマーケティング業務を自律的に支援することで、労働力人口の減少という社会課題解決にも寄与する可能性がある。
参照元:株式会社NTTデータ
LITRON Marketingに関するよくある質問まとめ
- LITRON Marketingはどのような企業向けのサービスですか?
LITRON Marketingは、マーケティング業務の効率化を目指すあらゆる企業を対象としています。特に、テクノロジーの進化や顧客接点の多様化に伴い、個別最適化されたコミュニケーションが求められる環境で、マーケティング担当者の業務負荷に課題を抱える企業に適しています。NTTデータは導入から施策改善までワンストップで支援するため、マーケティング部門の規模を問わず活用できるサービスです。また、ペルソナ設計やカスタマージャーニーの作成、クリエイティブ制作の作業負担が特に大きい企業にとって、最大6割の業務負荷削減という効果は大きなメリットとなるでしょう。
- LITRON Marketingは既存のマーケティングツールと連携できますか?
LITRON Marketingは、NTTデータが提供するマーケティング業務向けサービスや各種SaaSと連携する設計になっています。記事によれば、「LITRON Multi Agent Simulation」や「トレンドエクスプローラー」といったNTTデータの既存サービスとの連携が予定されており、順次拡大していく計画です。また、データ基盤においては「デジタルサクセス CXイノベーションサービスfor B2C」を活用するとされているため、顧客データの統合的な活用も視野に入れた設計と考えられます。マーケティングオートメーション機能の追加も予定されており、既存のマーケティングシステムとのエコシステム構築を目指していると読み取れます。

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