NTT AI-CIXとRetail AIが新会社「Retail-CIX」設立、連鎖型AIエージェントで流通サプライチェーン最適化事業を開始
最終更新日:2025年07月09日

NTT AI-CIXとRetail AIが2025年7月8日に合弁会社「Retail-CIX」を設立し、POSデータを活用した需要予測と連鎖型AIエージェントによるサプライチェーン最適化サービスの提供を開始した。
トライアルHDとの実証実験では店舗作業コスト20%削減、在庫圧縮20%などの成果を上げており、製・配・販の全体最適化を実現する。
- NTT AI-CIXとRetail AIが資本金1億円の合弁会社「Retail-CIX」を設立し、流通サプライチェーン最適化事業を本格展開
- 連鎖型AIエージェントとデジタルツイン技術により、製・配・販の全プロセスを可視化し全体最適化を実現するサービス
- トライアルHDとの実証実験で店舗作業コスト20%削減、在庫圧縮20%、物流効率化10%の成果を確認済み
流通業界では構造的な課題により在庫過剰や返品・廃棄コストの増加が恒常的に発生し、さらに製・配・販の各段階で人手不足が深刻化している。
配送コストや店舗人件費の上昇が経営効率を圧迫する中、NTT AI-CIXとRetail AIは共同で新会社「株式会社Retail-CIX」を設立し、流通サプライチェーンにおける新たな事業を開始する。
同社は資本金1億円でNTT AI-CIXとRetail AIが50%ずつ出資し、2025年7月8日に設立された。代表取締役社長には社家一平氏が就任し、本社は東京都港区に置かれる。
新会社の中核技術は、DTC-SCM(デジタルツインコンピューティングによるサプライチェーンマネジメント)と呼ばれる「連鎖型AIエージェント」による最適化エンジンだ。
この技術は、需要・発注・在庫・棚割・物流・店舗作業といった一連のプロセスを、AIとデジタルツイン技術を用いて可視化し、全体最適化する仕組みである。
POSデータを活用した高度な需要予測と、業務プロセス間の連鎖型AIエージェントを組み合わせることで、従来見えづらかった流通サプライチェーン全体の最適化を実現する。
この取り組みは、NTT株式会社とトライアルホールディングス株式会社との連携協定により進められているSCM改革の成果を基盤としている。
トライアルHDとの協力による実証実験では、大きな効率化効果が確認されている。店舗作業コスト削減20%、店舗在庫の圧縮20%、発注の波動緩和による物流の平準化と効率化10%、発注精度向上による欠品削減・廃棄削減5%といった実績が得られた。
この最適化効果は小売業に留まらず、卸売業・メーカーとの連携により川上への波及効果も期待される。
具体的には、生産・出荷計画の合理化、製造現場の作業平準化と残業削減、返品率・廃棄率の大幅削減などの効果が見込まれる。
新会社は小売業向けの自動発注、棚割最適化、業務負荷軽減サービスをはじめ、卸売業向けの小売業と連携した需要予測による在庫最適化コントロール、メーカー向けの小売業と連携した生産・出荷計画最適化サービスを提供する。
今後は複数の製・配・販企業との連携を予定しており、既存の業界慣習による構造的な課題を連鎖型AIエージェントを用いて解決するサービス創出と導入拡大を目指す。
これにより、日本の流通構造全体を「需給の見える化」「在庫の圧縮」「作業の標準化」「配送の最適化」によって再構築し、持続可能な商流モデルの実現を図る。
AI Marketの見解
本ニュースは、AIエージェント技術の実用化において重要な進展を示している。特に注目すべきは、単一のAIソリューションではなく、複数のAIエージェントが連鎖的に協働する「連鎖型AIエージェント」の実装だ。
この技術は、流通サプライチェーンの複雑な業務プロセスを包括的に最適化する点で技術的優位性を持つ。デジタルツイン技術との組み合わせにより、リアルタイムでの全体最適化が可能となり、従来の部分最適化の限界を超えた効果が期待される。
ビジネス面では、トライアルHDとの実証実験で具体的な数値効果が確認されており、ROIの明確化が市場展開の強みとなると想定される。
流通業界の構造的課題である在庫過剰、人手不足、配送コスト上昇に対する包括的ソリューションとして、今後の市場拡大が見込まれる。
参照元:株式会社NTT AI-CIX
連鎖型AIエージェントとは何ですか?
- 連鎖型AIエージェントとは何ですか?
連鎖型AIエージェントは、課題解決に向けて様々なAIが自律的にタスクを遂行し、業務・業界横断で互いに連携する技術です。単一のAIではなく、複数のAIエージェントが連鎖的に協働することで、流通サプライチェーン全体の最適化を実現します。
- この技術によってどのような効果が期待できますか?
トライアルHDとの実証実験では、店舗作業コスト20%削減、在庫圧縮20%、物流効率化10%、欠品・廃棄削減5%の効果が確認されています。さらに製造現場の作業平準化や返品率削減など、川上への波及効果も期待されます。

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