画像認識AIによる個数カウントとは?仕組みや活用事例を徹底解説!
最終更新日:2024年11月13日
製造業や建設業、小売業など、在庫や資材などを抱える業界の企業では、目視での数量確認作業は大きな負担となっています。画像認識AIによる個数カウントは、この課題に対する実践的なソリューションとして注目を集めています。
本記事では、画像認識カウントの基本的な仕組みから、製造現場での部品管理や物流倉庫での在庫確認など具体的な活用事例を解説します。作業時間の大幅な削減や人的ミスの低減など、現場が抱える課題への対応方法が明確になります。
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目次
画像認識AIによる個数カウントとは?
画像認識による個数カウントは、デジタル画像や動画から対象物を自動的に検出し、その数を正確にカウントする技術です。この技術は、製造業における部品管理から小売業の在庫管理まで、幅広い産業で活用されています。
画像認識AIは個数カウントにおいて中心的な役割を果たしています。特にディープラーニング(深層学習)を用いたアプローチでは、画像から対象物の特徴を自動的に学習し、様々な条件下でも安定した検出が可能です。
AIは画像の前処理から物体検出、個数のカウントまでを一貫して処理し、人間の目による計測と同等以上の精度を実現しています。
人流分析で用いられる人数カウントの仕組みについてはこちらの記事で解説しています。
従来の手法との比較:精度と効率性
従来の手動カウントと比較して、AI画像認識によるカウントには大きな優位性があります。
人による目視カウントでは、長時間の作業による疲労や注意力の低下により、エラーが発生しやすい問題がありました。一方、AI画像認識による自動カウントでは、24時間365日安定した精度で計測を継続できます。
さらに、従来のセンサーベースのカウントシステムと比較しても、画像認識による方式は柔軟性が高く、複数種類の対象物を同時にカウントできる利点があります。また、設置や維持管理のコストも比較的低く抑えることができ、導入のハードルが低い特徴があります。
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画像認識AIによる個数カウントの仕組み
画像認識による個数カウントは、複数の高度な技術を組み合わせることで実現されています。その核となる技術要素について、それぞれの役割と重要性を解説します。
画像前処理
画像認識の第一段階として、入力された画像に対して様々な前処理が行われます。まず、ノイズの除去や明るさの補正、コントラストの調整などの基本的な画像処理が実施されます。
その後、エッジ検出やセグメンテーションなどの技術を用いて、画像内の対象物の輪郭を抽出します。これらの前処理によって、後続の物体検出処理の精度が大きく向上します。
畳み込みニューラルネットワーク(CNN)による物体検出
CNNは画像認識において中心的な役割を果たすディープラーニング(深層学習)モデルです。CNNは畳み込み層とプーリング層を交互に重ねた構造を持ち、画像の特徴を段階的に抽象化していきます。
低層では輪郭や色などの基本的な特徴を、高層では物体の形状や複雑なパターンを学習します。画像内の特徴を階層的に学習することで、対象物の形状や特徴を効率的に抽出することができます。また、照明条件や角度が変化しても安定した物体検出が可能となります。
CNNの特徴抽出能力を活かした物体検出アルゴリズムは、大きく分けてR-CNN系列のような二段階検出器とYOLO、SSDのような一段階検出器に分類されます。
これらのアルゴリズムは、検出された物体の位置を示すバウンディングボックスを生成します。バウンディングボックスは通常、物体を囲む矩形として表現され、その座標と大きさが予測されます。
インスタンスセグメンテーションによる個体識別
物体が密集している場合や重なり合っている状況でも正確なカウントを実現するため、インスタンスセグメンテーション技術が活用されています。この技術では、画像内の各物体を個別に識別し、それぞれの輪郭を正確に抽出します。
動画内で物体の動きを追跡し、重複カウントを防ぎます。Mask R-CNNなどの最新のアルゴリズムを用いることで、複雑な状況下でも高精度な個体識別とカウントが可能です。
また、Vision Transformerの採用により、物体間の相対的な位置関係や文脈を考慮した高度な認識が可能になり、密集した対象物の個別カウント精度が向上しています。重なり合った物体や密集したシーンでも個別のオブジェクトを識別し、正確にカウントします。
転移学習で物体分類を高精度化
画像認識モデルの学習には通常、大量の学習データが必要となりますが、転移学習を活用することでこの課題を解決できます。 ImageNetなどの大規模なデータセットで学習済みのモデルをベースとし、特定の対象物のカウントタスクに適応させる転移学習で、少ない学習データでも高精度なモデルを構築できます。
特定のタスクに適応させることで、少ないデータでも高精度な分類が可能になります。
また、Few-Shot Learning技術の導入により、新商品や季節商品などの学習データが少ない対象でも、わずか数枚の画像から高精度な検出が可能になっています。
これにより、導入コストの削減と開発期間の短縮が実現できます。
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画像認識AIによる個数カウントの活用事例
画像認識による個数カウント技術のそれぞれの業界における具体的な活用事例を見ていきましょう。
製造業の生産ラインでの部品カウント(三ツ矢/東京エレクトロンデバイス)
製造業では、部品の正確なカウントが品質管理の要となっています。メッキ加工老舗の株式会社三ツ矢では、東京エレクトロン デバイス株式会社が開発した数量カウント補助システム「めばかり君」を導入しました。
めばかり君では、カメラが撮影し、画像処理技術により自動で数量をカウントします。
従来90分かかっていた計数作業時間を35分まで短縮することに成功しました。このシステムは、画像処理技術により計数作業を半自動化し、作業記録の保存も可能にしています。
物流業の倉庫内の在庫数確認(SMITH&VISION)
物流業界では、AIを活用した画像認識技術により、倉庫内の在庫管理が大きく効率化されています。SMITH&VISION株式会社の「ラベ郎」システムでは、スマートフォンやタブレットのカメラで商品を読み取るだけで、製品名、ロット番号、消費期限などの情報を自動的にデータ化し、システムに登録できます。
高精度AI-OCR(光学文字認識)技術で、文字認識精度99%以上を達成しています。段ボール、缶、紙袋、ドラム缶、瓶、ポリタンクなど凹凸のある表面や曲面にも対応可能です。
入荷から出荷まで一貫した高精度な商品管理を実現し、業務効率の飛躍的な向上とヒューマンエラーの低減を達成しています。
小売業での店頭商品の自動棚卸し
小売業における在庫管理や棚卸し作業も、画像認識技術により効率化が進んでいます。カメラで商品棚を撮影するだけで、商品の種類や数量を自動的に認識し、在庫状況をリアルタイムで把握することが可能になっています。
商品のパッケージ、ラベル、形状などから個別商品を特定できます。商品棚の状況を24時間365日モニタリングでき、在庫切れや陳列の乱れを即時検知し、スタッフに通知可能です。
そして、詳細な在庫変動データを基に、より精緻な需要予測を実現できます。
商品の急激な減少を検知できるので、万引き等の不正を早期発見することもできます。米ウォルマートでは、「Missed Scan Detection」と呼ぶシステムでカート内の商品をAIカメラで追跡し、レジで会計された結果を照合しています。万引きや店員によるスキャン忘れを防いで、退店前に警告できるシステムです。
建設業での資材管理の効率化
建設現場における資材管理でも画像認識AIが活用されています。
資材置き場のストック量をAIカメラで自動カウントするシステムを利用すると、資材の搬入計画の最適化や作業スペースの効率的な活用が可能になり、現場全体の物流管理が改善されます。
建設業では、コンクリート、鉄鋼材、木材、石膏ボードなどの建築基材やパレットなどのカウントで活用可能です。
まとめ
画像認識による個数カウントは、AIと画像処理技術を組み合わせることで、製造業、物流業、小売業など幅広い産業で効率化を実現しています。導入企業では作業時間の具体的な成果が報告されており、人手不足対策と業務効率化の強力なソリューションとなっています。
ただし、各企業の製品特性や作業環境に応じた最適なシステム選定には、専門的な知見が必要です。導入を検討される場合は、本記事で紹介した事例を参考にしつつ、画像認識AI専門のベンダーやシステムインテグレーターに相談することをお勧めします。
彼らの経験とノウハウを活用することで、より確実な導入と運用が可能になります。
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画像認識AIによる個数カウントについてよくある質問まとめ
- 画像認識AIによる個数カウント導入にかかるコストと期間はどれくらいですか?
導入コストは従来のセンサーベースのシステムと比較して低く抑えられます。また、転移学習技術の活用により、少ない学習データでも高精度なモデルを構築できるため、開発期間を短縮できます。
導入規模や要件により異なりますが、既存のスマートフォンやタブレットを活用できるソリューションから、専用カメラと解析システムを含む本格的な導入まで、段階的な投資が可能です。まずは小規模な実証実験から始めることをお勧めします。
- 画像認識AIによる個数カウントは既存の業務システムとの連携可能ですか?
多くのAIカウントシステムは、標準的なAPIを通じて既存の在庫管理システムと連携可能です。ただし、具体的な連携方法は各システムの仕様により異なるため、導入前に確認することが重要です。
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