画像認識による個数カウントとは?AIとルールベースの違いや仕組み・活用事例を紹介
最終更新日:2026年08月18日
記事監修者:森下 佳宏|BizTech株式会社 代表取締役

- 画像認識による個数カウントには、条件を人が定義するルールベース方式と、データから特徴を学習するAI方式の2種類
- 計数精度は、画像取得・前処理・物体検出・集計という4つの工程の連携によって決まります
- 対象物の重なりや梱包状態、撮影条件によって実現しやすさが変わるため、自社の現場条件を整理したうえで方式やベンダーを検討する必要
- 学習用データの整備が必要なケースでは、対象物の種類や必要枚数、データ所有権など事前に詰めておくべき論点が多い
製造業や建設業、小売業など、在庫や資材などを抱える業界の企業では、目視での数量確認作業は大きな負担となっています。画像認識AIによる個数カウントは、この課題に対する実践的なソリューションとして注目を集めています。
本記事では、2つの方式の違いからAIが個数を数える仕組み、製造業・物流業・小売業・建設業における具体的な活用事例までを整理して解説します。
自社の現場にどの方式が適しているか、導入検討の判断材料として役立つ内容です。
画像認識・画像処理に強いAI開発会社をご自分で選びたい場合はこちらで特集していますので併せてご覧ください。
目次
画像認識AIによる個数カウントとは?

画像認識による個数カウントは、デジタル画像や動画から対象物を自動的に検出し、その数を正確に把握する技術です。この技術は、製造業における部品管理から小売業の在庫管理まで、幅広い産業で活用されています。
画像認識AIは数量把握の面で中心的な役割を果たしています。特にディープラーニング(深層学習)を用いたアプローチでは、画像から対象物の特徴を自動的に学習し、様々な条件下でも安定した検出が可能です。
AIは画像の前処理から物体検出、個数の算出までを一貫して処理し、人間の目による計測と同等以上の精度を実現しています。
人流分析で用いられる人数カウントの仕組みについてはこちらの記事で解説しています。
目視作業と比べたメリットとは?
従来の手動カウントと比較して、AI画像認識による自動計測には大きな優位性があります。
人が目視で数える場合、長時間の作業による疲労や注意力の低下により、エラーが発生しやすい問題がありました。一方、AIによる自動計測なら、24時間365日安定した精度を保てます。
さらに、従来のセンサー方式の計測システムと比較しても、画像認識による方式は柔軟性が高く、複数種類の対象物を同時にカウントできる利点があります。
加えて、図面の読み取りおよび図面検索も可能なため、設計図や仕様書との連携による業務効率化が実現できます。また、設置や維持管理のコストも比較的低く抑えることができ、導入のハードルが低い特徴があります。
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画像認識で個数をカウントする2つの方法
画像認識を用いた個数カウントの手法は、大きくルールベース画像処理とAI(機械学習・ディープラーニング)の2つに分けられます。
どちらも「画像から対象物を検出して数える」という目的は同じですが、検出のルールを人が定義するのか、データから学習させるのかという点で根本的に異なります。
対象物の形状が一定で撮影環境を管理できる現場ではルールベースで十分な精度が出る一方、形状や重なり方にばらつきがある現場ではAIが有効です。
自社の対象物と撮影条件がどちらに適しているかを見極めることが、導入検討の最初の分岐点になります。
ルールベース画像処理による方式
ルールベース画像処理は、色、輝度、面積、形状などの条件をあらかじめ人が定義し、その条件に合致した領域を数える方法です。二値化処理で対象物と背景を分離し、輪郭抽出やラベリングによって個々の領域を切り出してカウントします。
学習用データやアノテーションが不要なため、開発期間が短く初期コストを抑えられる点が大きな利点です。処理内容が明確なので、誤検出が起きた際に原因を特定しやすいという運用面のメリットもあります。
一方で、照明の変化や対象物の重なり、背景の映り込みといった想定外の条件には弱く、現場ごとにパラメータ調整が必要になるケースが少なくありません。
AI(機械学習・ディープラーニング)による方式
AIによる個数カウントは、大量の教師データから対象物の特徴を学習させ、条件が変動する環境でも安定して検出する方法です。ディープラーニングを用いた物体検出やインスタンスセグメンテーションにより、重なり合った物体や形状が不揃いな対象物も個別に識別できます。
照明条件や撮影角度が多少変わっても認識精度を保ちやすく、複数種類の対象物を同時に分類しながら数え分けられる柔軟性も備えています。
ただし、精度を確保するには学習用画像の収集とアノテーション作業が前提となり、初期の準備工数とコストは相応にかかります。現場で撮影できる画像の品質や枚数を事前に確認しておくことが重要です。
ルールベースとAIのどちらを選ぶべきか
選定の判断軸は、対象物のばらつきと撮影環境をどこまで標準化できるかにあります。対象物の形状やサイズが揃っていて、照明や撮影位置を固定できる工程であれば、ルールベースで十分な精度と投資対効果を得られます。
反対に、以下のような条件ではAIによるアプローチが現実的です。
- 対象物が密集して重なる
- 梱包状態によって見え方が変わる
- 屋外で照明条件が安定しない
実務では両者を組み合わせ、前処理をルールベースで行い検出をAIが担うハイブリッド構成を採用するケースも増えています。以下の比較表を、社内での方式検討の材料としてご活用ください。
| 比較項目 | ルールベース画像処理 | AI(ディープラーニング) |
|---|---|---|
| 検出の考え方 | 人が条件を定義する | データから特徴を学習する |
| 学習用データ | 不要 | 必要(アノテーション含む) |
| 初期コスト・期間 | 比較的低い・短い | 比較的高い・長い |
| 環境変化への耐性 | 低い(照明・背景に影響されやすい) | 高い(変動条件でも精度を保ちやすい) |
| 重なり・密集への対応 | 苦手 | 得意(セグメンテーション技術を活用) |
| 複数種類の同時識別 | 限定的 | 可能(種類別カウントに対応) |
| 不具合時の原因特定 | 容易(処理内容が明示的) | 難しい(判断根拠が見えにくい) |
| 適した用途 | 形状が一定で環境を固定できる工程 | 形状や見え方にばらつきがある現場 |
画像認識AIによる個数カウントの仕組み

画像認識AIによる個数カウントは、単一の技術で完結するものではなく、画像の取得から前処理、物体検出、集計までの4つの工程を連携させることで成立しています。それぞれの工程が独立した処理を担っており、どこか一つでも品質が低ければ最終的な精度は確保できません。
ここからは各工程で何が行われ、どの段階が精度のボトルネックになりやすいのかを、順を追って解説します。
1.カメラやスマートフォンで画像を取得する
最初の工程は、対象物の撮影による画像データの取得です。固定設置した産業用カメラのほか、作業者が持つスマートフォンやタブレットのカメラでも運用できるため大がかりな設備投資をせずに始められるケースもあります。
用途に応じて静止画と動画を使い分け、定点での棚卸しには静止画、流れる物体の計数には動画が適しています。
特に導入検討時に見落とされやすいのが、画像取得工程です。撮影角度、対象物との距離、照明条件は認識精度を大きく左右します。
高性能なAIモデルを採用しても、撮影角度や照明条件が不安定であれば期待した精度は得られず、逆に撮影手順を整えるだけで精度が大きく改善するケースもあります。
誰が撮影しても同じ品質の画像が得られるよう、撮影手順を標準化しておくことが精度確保の前提となります。
2.画像を補正して対象物の特徴を抽出する
画像認識の第一段階として、入力された画像に対して様々な前処理が行われます。まず、ノイズの除去や明るさの補正、コントラストの調整などの基本的な画像処理が実施されます。
その後、エッジ検出やセグメンテーションなどの技術を用いて、画像内の対象物の輪郭を抽出します。これらの前処理によって、後続の物体検出やカウント処理の精度が大きく向上します。
3.対象物を検出して一つずつ識別する
物体が密集している場合や重なり合っている状況でも正確なカウントを実現するため、インスタンスセグメンテーション技術が活用されています。この技術では、画像内の各物体を個別に識別し、それぞれの輪郭を正確に抽出します。
動画内で物体の動きを追跡し、二重計上を防ぎます。Mask R-CNNなどの最新のアルゴリズムを用いることで、複雑な状況下でも高精度な個体識別とカウントが可能です。
また、Vision Transformerの採用により、物体間の相対的な位置関係や文脈を考慮した高度な認識が可能になり、密集した対象物を一つずつ数え分ける精度が向上しています。
4.検出結果から個数を算出する
最終工程では、検出・識別された物体を集計して個数を算出します。単純な総数の出力だけでなく、対象物を種類ごとに分類した場合は、種類別・サイズ別の数量を同時に算出できる点が画像認識の強みです。
動画を用いる場合は、同一の物体が複数フレームにまたがって検出されるため、追跡技術によって同じ個体を紐づけ、重複カウントを除外する処理が加わります。
算出結果は在庫管理システムや生産管理システムへ連携でき、確認作業の削減にとどまらず、データに基づく在庫最適化まで踏み込めます。
AI Marketに寄せられた物流・製造現場のAI活用相談事例
AI Marketには、物流・製造現場における画像を用いた数量確認やデータ整備を目的としたAI活用相談を多くの企業からいただいております。
お客様から寄せられたご相談は以下のようなもので、AI Marketでは、コンサルタントがお客様の課題感をヒアリングし、適した技術・ソリューションを保有する企業をご紹介致しました。
- パレット上のカートン総個数を画像認識AIで自動計測
- 築部材の数量をスマホ撮影画像からカウントしたい
※実際のお客様からのご相談内容のため、企業特定に繋がる情報は伏せています。
① パレット上のカートン総個数を画像認識AIで自動計測
ご相談企業様属性
- エリア:関東
- 従業員数:1,001人〜
要件・技術整理内容
お客様は、海上コンテナへのバン詰め作業やトラック積み込み作業を行っており、積載前の確認業務にAIを活用できないか検討されていました。
現状では、パレット上に積まれたサイズ違いのカートンの総個数を人が目視で数えています。1パレット上に大小さまざまなサイズのカートンが密集しているため、単純な正面画像だけでは個数確認が難しいケースがあるとのことでした。
ご相談内容としては、パレットの周囲を撮影し、画像認識によってカートンの総個数を把握できる設備またはシステムを探したいというものでした。
導入検討では、どの積載状態であればAIによるカウントが可能か、撮影方法をどう標準化するか、作業者による補助作業をどこまで許容するかを整理する必要がありました。
② 建築部材の数量をスマホ撮影画像からカウントしたい
ご相談企業様属性
- エリア:中部
- 従業員数:101〜500人
要件・技術整理内容
お客様は、製品の在庫管理において、画像認識AIを使った数量カウントを検討されていました。対象は建築部材で、梱包状態によって数えにくいケースがあるとのことでした。
想定されていた運用は、作業者がスマホで撮影し、画像から対象部材の数量を自動集計するものです。完全自動化だけでなく、数え間違いを確認するための補助ツールとして活用したいという意図もありました。
この事例では、部材同士の重なりがどの程度あるか、長さ違いを画像から判別できるか、撮影角度をどこまで統一できるかが重要な検討ポイントとなりました。
AI Marketでは、上記のように、物流・製造・社会インフラ領域をはじめ、様々な企業からのAI活用相談を受け付けています。
画像を用いた数量把握の実現しやすさは、対象物の形状、重なり方、撮影環境、照明条件、現場で許容できる作業手順によって大きく変わります。また、学習用データの整備やアノテーションが必要になる場合は、対象物の種類、必要枚数、分類粒度、データ所有権なども事前に整理しておく必要があります。
生成AIツールを用いて、AI企業の選定をAIに相談するケースも増えています。しかし、実際のAI導入では、現場で撮影できる画像の品質、許容できる誤差の範囲、既存業務との連携、導入後の運用負荷など、人が介在しないと判断が難しい要素も多く存在すると考えています。
だからこそAI Marketでは、実際の人間である専門のAIコンサルタントが直接お客様と対話し、ヒアリングから企業選定までを支援し、実現性の高いAI導入をサポートしています。
貴社でも画像認識AIや数量カウントAI、学習用データ作成をご検討中の際は、ぜひご相談ください。
業界別に見る数量把握の活用事例
画像から数量を把握する技術が、それぞれの業界でどのように使われているのかを見ていきましょう。
製造業の生産ラインでの部品カウント(三ツ矢/東京エレクトロンデバイス)

製造業では、部品の正確なカウントが品質管理の要となっています。メッキ加工老舗の株式会社三ツ矢では、東京エレクトロン デバイス株式会社が開発した数量カウント補助システム「めばかり君」を導入しました。
めばかり君では、カメラが撮影し、画像処理技術により自動で数量を集計します。
従来90分かかっていた計数作業時間を35分まで短縮することに成功しました。このシステムは、画像処理技術により計数作業を半自動化し、作業記録の保存も可能にしています。
物流業の倉庫内の在庫数確認(SMITH&VISION)

物流業界では、AIを活用した画像認識技術により、倉庫内の在庫管理が大きく効率化されています。SMITH&VISION株式会社の「ラベ郎」システムでは、スマートフォンやタブレットのカメラで商品を読み取るだけで、製品名、ロット番号、消費期限などの情報を自動的にデータ化し、システムに登録できます。
高精度AI-OCR(光学文字認識)技術で、文字認識精度99%以上を達成しています。段ボール、缶、紙袋、ドラム缶、瓶、ポリタンクなど凹凸のある表面や曲面にも対応可能です。
入荷から出荷まで一貫した高精度な商品管理と数量把握を実現し、業務効率の飛躍的な向上とヒューマンエラーの低減を達成しています。
小売業での店頭商品の自動棚卸し
小売業における在庫管理や棚卸し作業も、画像認識技術により効率化が進んでいます。カメラで商品棚を撮影するだけで、商品の種類や数量を自動的に認識し、在庫状況をリアルタイムで把握することが可能になっています。
商品のパッケージ、ラベル、形状などから個別商品を特定できます。商品棚の状況を24時間365日モニタリングでき、在庫切れや陳列の乱れを即時検知し、スタッフに通知可能です。
そして、詳細な在庫変動データを基に、より精緻な需要予測を実現できます。
商品の急激な減少を検知できるので、万引き等の不正を早期発見することもできます。米ウォルマートでは、「Missed Scan Detection」と呼ぶシステムでカート内の商品をAIカメラで追跡し、レジで会計された結果を照合しています。万引きや店員によるスキャン忘れを防いで、退店前に警告できるシステムです。
建設業での資材管理の効率化
建設現場における資材管理でも画像認識AIが活用されています。
資材置き場のストック量をAIカメラで自動カウントするシステムを利用すると、資材の搬入計画の最適化や作業スペースの効率的な活用が可能になり、現場全体の物流管理が改善されます。
建設業では、コンクリート、鉄鋼材、木材、石膏ボードといった建築基材やパレットの数量把握に活用できます。
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まとめ
画像認識による個数カウントは、対象物の特性や撮影環境が安定していればルールベース処理でも十分な効果を発揮し、重なりや形状のばらつきが大きい現場ではAIによる方式が力を発揮します。
どちらも万能ではなく、自社の現場条件に合わせた見極めが導入の成否を分けます。
実際の導入検討では、撮影方法の標準化や学習用データの整備範囲、既存システムとの連携方法など、現場ごとに検討すべき論点が数多く存在します。
こうした判断は、自社の状況だけを見ていては最適解にたどり着きにくいのが実情です。
画像認識AIやカウントシステムの導入を検討される際は、実績のある専門家に相談しながら進めることで、遠回りを避けられます。
AI Marketでは、1,000件を超える相談実績をもとに、貴社の現場条件に合った開発会社をご紹介しています。まずは現状の課題を整理する段階からでも、お気軽にご相談ください。
画像認識AIによる個数カウントについてよくある質問まとめ
- 画像認識AIによる個数カウント導入にかかるコストと期間はどれくらいですか?
導入コストは従来のセンサーベースのシステムと比較して低く抑えられます。また、転移学習技術の活用により、少ない学習データでも高精度なモデルを構築できるため、開発期間を短縮できます。
導入規模や要件により異なりますが、既存のスマートフォンやタブレットを活用できるソリューションから、専用カメラと解析システムを含む本格的な導入まで、段階的な投資が可能です。まずは小規模な実証実験から始めることをお勧めします。
- 画像認識AIによる個数カウントは既存の業務システムとの連携可能ですか?
多くのAIカウントシステムは、標準的なAPIを通じて既存の在庫管理システムと連携可能です。ただし、具体的な連携方法は各システムの仕様により異なるため、導入前に確認することが重要です。
- 自社の対象物が密集していたり形状がバラバラだったりする場合、そもそも精度の出る画像認識AIを導入できるか判断がつきません。
対象物の重なり方や撮影環境によって実現しやすさは大きく変わるため、開発着手前の見極めが重要です。AI Marketでは、専門のコンサルタントがまず現場の対象物や撮影条件をヒアリングし、ルールベースとAIのどちらが適しているか、実現性のレベル感を整理したうえで、適したソリューションを持つ企業をご紹介しています。いきなり発注に進む前の相談段階から無料で利用でき、着手後に「想定した精度が出なかった」という事態を避けやすくなります。

AI Market 運営、BizTech株式会社 代表取締役|2021年にサービス提供を開始したAI Marketのコンサルタントとしても、お客様に寄り添いながら、現場のお客様の課題ヒアリングや企業のご紹介を5年以上実施しています。これまでにLLM・RAGを始め、画像認識、データ分析等、1,000件を超える様々なAI導入相談に対応し、参加累計8,000人を超えるAIイベントを主催。AIシステム開発PM歴8年以上。AI Marketの記事では、AIに関する情報をわかりやすくお伝えしています。(JDLA GENERAL 資格保有)
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