Azure AI Search(旧Azure Cognitive Search)とは?高性能なAI検索機能やユースケースを解説!
最終更新日:2024年09月23日
膨大なデータから必要な情報を引き出せない、社内に蓄積された文書へのアクセスがしにくくて困っている、そんな悩みはありませんか?
革新的なAI(人工知能) 検索サービスである、Azure AI Search(旧称:Azure Cognitive Search)は、それらの課題を解決し、ビジネスプロセスの効率化と意思決定の速度を劇的に改善します。昨今は特に、LLM・RAG活用の領域で注目が集まっています。
本記事では、企業に革新をもたらす
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目次
Azure AI Search (旧:Azure Cognitive Search) とは?
Azure AI Searchは、Microsoft Azureが提供する高度な検索サービスです。膨大な量の非構造化データから価値ある情報を抽出し、全文検索やベクトル検索において、ユーザーにとって関連性の高い検索結果を提供します。
デジタルトランスフォーメーション(DX)が加速する中、企業のデータ資産を最大限に活用するための強力なクラウドベースのサービスです。構造化されていないテキストデータやファイルから、関連性の高い情報を抽出し、ユーザーが必要とするデータを迅速に見つけ出します。
特に、LLMを用いたチャットボットの構築や、ECサイト等の検索機能向上に多く用いられています。
従来はAzure Cognitive Search というサービス名称でしたが、2023年11月に変更されました。サービスの内容や価格の変更はありません。
サービスを支えるAI技術
Azure AI Searchはクラウド上で動作するため、企業は物理的なインフラストラクチャを用意することなく、強力な検索機能を利用することができます。このサービスは、以下技術が元になっています。
上記により、検索結果の精度と関連性が大幅に向上します。
Azure AI Searchの料金体系
Azure AI Searchの料金体系は、柔軟かつスケーラブルに設計されています。主に以下の2つの料金モデルが提供されています。
- 従量課金制: 検索サービスを利用した分だけ課金される料金体系です。インデックス作成、ストレージ、クエリの実行に応じて、時間単位で料金が発生します。小規模なプロジェクトや開発段階に適しています。
- 予約容量制:一定期間(1年または3年)の利用を前提とした料金体系です。安定的かつ予測可能な利用が見込まれる本番環境に適しています。
料金は、選択するサービスレベル(Free、Basic、Standard、Storage Optimized)によって異なります。高度な機能を必要とするほど、サービスレベルと料金は高くなります。
Azureシステムの見積もり算出方法をこちらの記事で詳しく説明していますので併せてご覧ください。
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関連記事:「AWSとAzureを徹底比較!強みや弱み、適したケースなどを徹底解説」
Azure AI Search (旧:Azure Cognitive Search) の主要な機能
Azure AI Searchは、質の高いデータの探索性とアクセシビリティを提供します。以下では、その主要な機能について解説し、ビジネスにおけるその利用価値を掘り下げます。
インデックス作成と管理
Azure AI Searchの核となるのは、強力なインデックス作成機能です。インデックスとは、検索対象となるデータの特徴を抽出し、検索時に素早くアクセスできるように整理したデータ構造のことを指します。
ユーザーは、以下のようなさまざまなデータソースから情報を収集し、検索可能なインデックスを生成することができます。
- Microsoft 365(SharePoint Online、OneDrive、Teamsなど)
- Azure SQL Database
- Cosmos DB
- Blob Storage
- SaaSアプリケーション(Salesforce、ServiceNow、Marketo、Dynamics 365など)
- オンプレミスのSQL Server、Oracle Database、ファイルシステム
インデックス作成の過程では、テキストのトークン化、ステミング、ストップワードの除去といった自然言語処理が自動的に行われ、検索精度が大幅に向上します。
構造化データと非構造化データの両方に対応しており、テキストデータはもちろん、画像や動画といったファイルもインデックス化できます。画像からのOCR(光学文字認識)やキーフレーズ抽出、ドキュメントの言語検出で、非構造化データに潜む有益な情報を掘り起こすことも可能です。
AIによる高度かつ柔軟な検索機能
Azure AI Searchは、自然言語処理 (NLP) と機械学習を駆使して、検索クエリの意図を理解し、より関連性の高い結果を提供します。従来のキーワードベースの検索とは異なり、Azure AI Searchはセマンティック検索機能を活用して検索クエリの意図を深く理解し、文脈に応じた最適な結果を提供可能です。
例えば、同義語の認識やクエリの意図解析により、ユーザーが使用する言葉のバリエーションにも柔軟に対応します。ECサイトであれば、ユーザーの購買履歴や閲覧履歴を分析し、好みに合った商品をおすすめするといった使い方が考えられます。
また、画像認識機能を利用することで、画像コンテンツに基づいた検索も可能になります。例えば、画像認識機能を使えば、画像に写っている物体やシーンを特定し、それに基づいて検索を実行することができます。旅行会社のウェブサイトで “ビーチ” と検索すれば、白砂のビーチが写った画像を含むページが上位に表示されるようになるでしょう。
他にも、テキストデータや画像といった非構造化データを数値表現に置き換え、近似近傍アルゴリズムで関連性を評価するベクトル検索も可能です。
AI検索の将来性についてはこちらの記事で詳しく説明していますので併せてご覧ください。
データマイニングと分析
Azure AI Searchのもう一つの強力な機能は、データマイニングと分析能力です。ユーザーは膨大なデータセットからパターンやトレンドを発見し、ビジネスインサイトを得ることが可能になります。
例えば、製造業の企業が長年蓄積してきた設備のログデータをAzure AI Searchで分析してみましょう。機械学習アルゴリズムを用いることで、特定の条件下で故障が発生しやすいパターンを見つけ出し、予防保全の施策を講じることができるかもしれません。
同様に、小売業者が販売データとWebサイトの検索データを組み合わせて分析すれば、商品の需要予測や在庫最適化に役立つインサイトが得られるでしょう。
検索データの分析を通じて、ユーザー行動の理解を深め、製品やサービスの改善につなげることもできます。
カスタマイズと拡張性
Azure AI Searchは高度にカスタマイズ可能であり、APIを通じて検索プロセスを細かく調整することができます。ユーザーは自身のニーズに合わせて検索アルゴリズムを調整したり、特定のデータセットに最適化したりすることが可能です。
関連記事:「AI導入用APIをプラットフォーム別に紹介!各ツールの特徴を徹底解説!」
さらに、Azureの他のサービスと組み合わせることで、より包括的なデータ処理と分析ソリューションを構築できます。例えば、Power BIなどのBIツールとシームレスに連携できるため、発見したインサイトを直感的なダッシュボードやレポートで共有することも可能です。
関連記事:「Azureのサブスクリプションとは?種類ごとの特徴・リソース管理方法・活用法をわかりやすく解説!」
Azure AI Searchのユースケース
Azure AI Searchは、その先進的な検索機能とAIによるデータ処理能力を活かし、多岐にわたる業界とアプリケーションで活用されています。以下は、特に影響が大きいと考えられる3つの活用シーンをご紹介します。
Eコマースサイトで使用する製品検索の最適化
Eコマースでは、顧客が求める製品を迅速かつ簡単に見つけることが重要です。Azure AI Searchを利用することで、Eコマースサイトは顧客の検索クエリを精度高く解析し、最も関連性の高い製品を提案できます。
自然言語処理を用いた検索クエリの解釈は、顧客が使用する日常言語や同義語にも対応し、顧客満足度の向上に直結します。
企業内のデータや文書の管理
多くの企業では、日々膨大な量の文書やデータが生成されますが、これらの情報を効率的に管理し、必要な時にすぐにアクセスできる体制を整えることは一つの課題です。Azure AI Searchを導入することで、企業は自社のドキュメントやデータベースを横断的に検索し、関連情報を素早く見つけることができます。
これは、業務の効率化はもちろん、意思決定のスピードアップにも寄与します。
カスタマーサポートとFAQシステムの強化
Azure AI Searchを活用したFAQシステムや知識ベースは、顧客の質問に対して、関連性の高い情報を自動的に提供することができます。AIによる自然言語理解の進化は、顧客の問い合わせをより深く理解し、満足のいく回答を作りだします。
顧客の問い合わせメールや商品レビューを解析し、潜在的なニーズや課題を発見できるでしょう。機械学習アルゴリズムによって個々のユーザーの関心を学習し、よりニーズに合ったコンテンツを提示できます。
意思決定サポート
ナレッジ・マイニング(Knowledge Mining)と呼ばれるAzure AI Searchのプロセスにより、従来は見過ごされていたデータの価値を引き出し、意思決定の質を高めることができるのです。
例えば、製薬会社では、研究開発部門が保有する論文や特許、臨床試験データを横断的に検索・分析することで、新薬開発のスピードアップが期待できます。小売業界では、顧客の問い合わせメールや商品レビューを解析し、潜在的なニーズや課題を発見できるでしょう。
データ分析作業の内製化
データサイエンティストでなくとも、Azure AI Searchの分析機能を使いこなせるのが大きな利点です。クラウドベースのフルマネージドサービスのため、インフラ管理の手間もかかりません。ユーザーは分析のロジックとアウトプットに集中できるため、素早くビジネスの改善施策に移ることができます。
Azure AI Searchは、高度な検索機能とシンプルなRESTful APIを兼ね備えているため、既存のアプリケーションやポータルサイトに容易に統合することができます。専門知識を持つ開発者でなくとも、ドラッグ&ドロップ方式のインターフェースを使って検索エクスペリエンスを構築できる点も大きな利点と言えるでしょう。
高度な顧客分析
ユーザーの検索行動そのものを分析することで、顧客のニーズや嗜好をより深く理解することもできます。どのようなキーワードが多く検索されているのか、どのコンテンツがよく閲覧されているのかといった情報は、マーケティング戦略の策定や商品開発に役立つでしょう。
Webサイトの検索パフォーマンスを継続的に監視・改善することで、カスタマーエンゲージメントとコンバージョン率の向上も期待できます。
Azure AI Searchについてよくある質問まとめ
- Azure AI Searchの主要な機能は?
- インデックス作成
- AI駆動の検索機能
- データマイニングと分析
- 検索システムのカスタマイズ
- Azure AI Searchの主なユースケースは?
- Eコマースサイトで使用する製品検索の最適化
- 企業内のデータや文書の管理
- カスタマーサポートの質向上
- 意思決定サポート
- データ分析作業の内製化
- 高度なユーザー分析
まとめ
Azure AI Search(旧称:Azure Cognitive Search)は、Microsoft Azureが提供する高性能な検索サービスです。このサービスの導入により、企業はデータアクセスの効率化を図ることができ、これが結果としてビジネスプロセスの最適化、顧客満足度の向上、さらには新たなビジネス機会の創出につながります。
また今後も、Azure AI Search(旧称:Azure Cognitive Search)はその機能を拡張し続け、様々なビジネスシーンにおけるデータ検索や分析ニーズに応えていくことでしょう。
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