Google SGE(現AI Overview)とは?Geminiとの住み分けは?特徴・AI検索の将来性を徹底解説!
最終更新日:2024年11月17日
Google SGEとは、ユーザーがGoogle検索に入力したクエリに生成AIを活用して情報の概要を作成し、検索結果に表示する機能を指します。ChatGPT以降、生成AIを利用したサービスが数多く登場してきました。対話型や画像生成などが注目されていますが、検索の領域でも生成AIは利用されてきています。
その中で、Google SGEは日本でも試験運用がすでに始まっており、検索AIへの関心も高まっています。
今回は
AI Marketでは
目次
Google SGE(現AI Overview)とは?
Google SGE(現AI Overview)とは、ユーザーが入力した検索クエリに対して、生成AIを活用して情報の概要を作成し、検索結果に表示するGoogleの検索機能を意味します。
AIによって調査、要約された検索結果がページトップに見やすいように表示され、情報リソースやリンクなども提示されます。従来の検索結果と違い、内部にある生成AIが独自のアルゴリズム、そしてGoogle独自の高精度のセマンティック検索を利用した検索結果が表示されます。
SGEはSearch Generative Experienceの略称です。2023年5月にGoogleが主催のカンファレンスで発表され、同年8月に日本でも試験運用が始まりました。
GoogleがSGEを発表した背景
GoogleがSGEを開発した背景は生成AI機能により検索をよりシンプルに、そしてスマートにするためです。GoogleはSGEを発表する以前から検索エンジンなどにAI技術を活用していました。しかし、MicrosoftがBingベースのCopilotを発表したことにより生成AIによる検索への注目が集まり、それに対抗する形でGoogleはSGEを発表しました。perplexity AIもBing検索ベースで、しかもGoogleのライバルと言えるOpenAIのGPTを活用した検索AIを公開しています。
企業ユースが想定された生成型AI検索であるAzure Cognitive Search(現Azure AI Search)についてはこちらの記事で詳しく説明していますので併せてご覧ください。
Google Geminiとは違う?
Google SGEとGoogle Gemini(旧 Bard)はプロダクトとして別物です。Google SGEは検索AIで検索の機能拡張を提供し、Google Geminiは対話型AIでチャット形式で問題を解決する体験を提供します。
Google SGEはユーザーが検索する過程で、生成AIがWeb上に存在する情報を独自に検索して要約し、その上でユーザーは課題の深掘りなどをします。Geminiは入力された質問に対して生成AI自ら回答をして課題解決をします。
ただし、現時点では両製品の利用しているLLM(大規模言語モデル)も違っています。
- Google SGE:BERTの後継で上位互換と言えるMUM(Multitask Unified Model)やPaLM 2など複数のLLM
- Gemini:ネイティブマルチモーダルLLMであるGemini
SGEにも対話型ライクなウインドウが装備されていますし、Geminiも検索機能が充実されていっていますので、将来的にどのような住み分けがされているか興味が尽きません。
AI Marketでは
Google SGEの特徴は?
Google SGEの特徴は以下が挙げられます。
- 自然言語の理解
- 生成AIの活用
- 検索していく上で会話形式で質問をさらに掘り下げる
世界トップの検索エンジンシェアを誇るGoogleだからこその強みを生かしており、正式なリリースに向けてさらに進化することが予想されます。
自然言語に対する理解
Google SGEはユーザーが自然言語で検索することができ、自然な質問文で入力することができます。通常の検索のように単語の組み合わせを入力する必要がなく、文章で質問するように入力して検索することが可能です。
例えば、残暑見舞いを送る時期に関して、今までは「残暑見舞い いつ 送る」のように単語で検索していましたが、Google SGEでは「残暑見舞いはいつ頃送るのがいい?」のように入力して検索することができます。
従来のように適切に組み合わせる検索が苦手な方でも、文章のように入力することでより検索しやすくなる場合もあります。これは、より直感的な検索体験へのシフトを示しており、オンラインでの情報検索と消費の方法を変革する可能性があります。
生成AIを活用している
Google SGEは生成AIにより自然言語理解を向上させ、入力された文章の中で何が重要な情報か整理することができます。通常の検索エンジンであれば、膨大な検索結果から自力で情報をピックアップして解釈する必要があります。
生成AIの進歩によって、より迅速な応答時間、新しい広告フォーマットの導入が予想されています。より多くの情報ニーズに対応し、複数の視点からの回答が可能になるでしょう。
Google SGEでは生成AIによって検索後の作業を省略し、検索結果に欲しい内容を出してくれます。現在もGoogleは利用している生成AIのトレーニングを続けており、より高品質な検索体験を実現するように順次アップレートしていくことが公表されています。
会話しながら質問を掘り下げる
Google SGEは検索した後も、会話形式で検索内容についてさらに質問することができます。Google SGEには検索結果のページに「追加で聞く」というボタンがあり、これを押すと会話モードに切り替え可能です。会話モードでは、調べていた内容や検索結果で出てきた内容に関して質問し、さらにその内容に対して質問するなど検索事項についての探索ができます。
会話モードでなくても検索結果で表示された概要の情報に関するウェブサイトのリンクも表示されるため、再度検索する必要がなくスムーズに調べることができます。
SGEを使い始める方法
Google SGEを利用するにはGoogleアプリもしくはブラウザのSearch Labsのアイコンをタップして利用できるように設定します。タップ後に説明や利用規約の表示が出てくる場合、「同意する」をクリックします。これで利用する準備は整いました。実際にSGEで検索すると検索ページトップに入力したクエリに関する情報の要約が表示されます。
表示された情報に関してさらに追加で質問したい場合は、「追加で聞く」というボタンを押すことで、チャット形式のように質問を続けることができます。Google SGEは日本語に対応しており、表示結果も全て日本語で表示されます。
AI検索はこれからどうなる?
Google SGEを含むAI検索は、調べたい情報をAI自身が検索操作をして、従来の検索エンジンよりも高速かつ高精度に検索することができる検索手法です。
従来の検索方法から生成AIにより検索の手法やあり方が変わりつつありますが、AI検索は今後さらに重要になっていきます。Web検索はインターネットが登場して以降、ユーザーにとってほぼ必要不可欠な機能として存在し、この欲求は今後も変わらないでしょう。しかし、その方法や過程は変化していき、そして今後もさらに発展していくことが予想されます。
ここでは、AI検索の将来性としてWeb検索からAI検索にシフトしていくこと、検索方法がよりマルチに拡張されることについて解説していきます。
Web検索からAI検索にシフトしていく
Google SGEを筆頭に今後はWeb検索からAI検索にシフトすることが予想されます。GoogleだけでなくMicrosoftの検索エンジンBingもOpenAIのGPT導入を発表しているように、検索結果に生成AIが整理してまとめた概要などのコンテンツを表示するようになる可能性は高いです。
Google SGEで検索していく上でGoogleのページのみで完結することになり、従来のようなキーワード重視のWebサイトのあり方なども変化していくだろうとまとめています。
AI検索で対話型で検索を進めるようになると、今までのコピーライティングが中心の広告も変化せざるを得なくなるかもしれません。今後さらにAI検索にシフトしていくことを意識することで、どのようなサイトであるべきか考えることができます。
検索方法はよりマルチに
AI検索だけでなく、今後は検索方法がさらにマルチになっていきます。Googleは2023年1月に生成AIを利用したマルチ検索を開始しました。マルチ検索では従来のテキストクエリだけでなく、画像とテキストの組み合わせで検索ができる機能です。
Googleはすでに生成AIのGeminiでテキスト、画像、音声、動画を混在させてマルチモーダルに入力したデータから、新しいデータを生成するモデルを発表しています。幅広いデータタイプの入力をユーザーから受け付けることがすでに可能であり、今後はSGEにおいてもマルチモーダルに動画などの入力にも対応することが予想されます。
Googleはさらに、Circle to Searchという機能も発表しています。スマホで表示されている画像や動画の中で検索したい部分を指で円を描くようになぞることで、その部分を検索するという機能です。一例として、ゴーグルをつけた犬の動画でゴーグルをなぞるとゴーグルの検索結果が出てくるデモが公開されています。
このように、テキストやAI検索以外にもマルチな検索方法が提供されるようになるため、それぞれの強みを生かして効率よく使い分けた検索ができるようになることが予想されます。
ネットでの購買体験の変化
Googleは、ショッピング体験を生成AIを通じて改善し、ネットショッピングを検討しているユーザーに重要な検討事項とそのニーズに合った製品のリストを提供することを目指していると言われています。これは、Google検索上での豊富な購買データに裏打ちされたイノベーションの一部で、ユーザーの検索と意思決定のプロセスをより豊かで便利な体験にすることを狙っています。
Google SGEについてよくある質問まとめ
- Google SGEとは?
Google SGEとは、ユーザーが入力した検索クエリに対して、生成AIを活用して情報の概要を作成し、検索結果に表示するGoogleの検索機能を意味します。
AIによって調査、要約された検索結果がページトップに見やすいように表示され、情報リソースやリンクなども提示されます。
- AI検索はこれからどうなる?
Google SGEとAI検索は、従来のキーワード検索を超え、ユーザーが対話形式で情報を高速かつ正確に見つけられるように進化しています。この技術により、Web検索の手法や利用の仕方が変わり、AI検索へのシフトが加速されることが期待されます。さらに、検索方法の多様化も進んでおり、テキストだけでなく、画像や動画など、マルチモーダルな入力に基づく検索が可能になっています。この変化は、ユーザーがより効率的に情報を探索できるようにするだけでなく、Webサイトのあり方や広告戦略にも影響を与えることが予想されます。
まとめ
今回はGoogle SGEの概要や特徴、AI検索の将来性まで解説してきました。Google SGEとは、Google Chromeに入力したクエリを、生成AIが情報を整理して概要を作成し、検索結果に表示する機能です。自然言語の理解力が高く、ユーザーは従来のように単語の組み合わせを考慮せずに自然な文章で検索することができます。また、検索結果からさらに検索したい内容を対話型で生成AIに聞いて内容を深掘りしていくことも可能です。
Google SGEはまだ試験運用中のため、リリース時にはさらに高精度で高品質なサービスとなることが予想されます。
AI Marketでは
AI Marketの編集部です。AI Market編集部は、AI Marketへ寄せられた累計1,000件を超えるAI導入相談実績を活かし、AI(人工知能)、生成AIに関する技術や、製品・サービス、業界事例などの紹介記事を提供しています。AI開発、生成AI導入における会社選定にお困りの方は、ぜひご相談ください。ご相談はこちら
𝕏:@AIMarket_jp
Youtube:@aimarket_channel
TikTok:@aimarket_jp
運営会社:BizTech株式会社
掲載記事に関するご意見・ご相談はこちら:ai-market-contents@biz-t.jp