【Cohere】Command Aとは?特徴やできること、性能、料金プランや使い方、Command R+との違いを徹底解説!
最終更新日:2025年04月15日

2025年3月13日、Cohere社は企業向けに特化した次世代LLM「Command A」を発表しました。
わずか2枚のGPUで運用可能な軽量・高効率設計と、長大な文書の解析、多言語対応されたLLMです。
本記事では、Command Aの特徴、できること・性能、料金プラン、Command R+との違い、使い方について、公式技術報告書に基づき詳しく解説します。AI活用による業務効率化を目指す企業担当者・技術者必見の内容です。
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目次
Command Aとは?
Command Aは、Cohere社が開発したエンタープライズ向けの高性能生成AIモデルです。
GPT-4oやDeepSeek-V3と同等以上の性能を持ち、わずか2枚のGPUで動作可能な高い効率性とスピードを誇ります。
最大256Kトークンのコンテキスト長と最大156トークン/秒の推論速度を備えており、長大な文書解析やリアルタイムな業務処理にも対応可能です。
ビジネスクリティカルなエージェント活動や多言語タスクに強みを持ち、外部ツールとの連携や高精度な情報参照(RAG)機能を標準搭載しています。
Command Aでできること
Command Aでは、以下のようなことが可能です。
外部ツール連携
外部ツール(検索エンジン、API、データベースなど)とリアルタイム連携し、業務フローに応じて動的にツールを使い分けながらタスクを遂行できます。特にエラー発生時には即座にリカバリーし、業務を止めずに進行できる高い柔軟性が備わっています。
RAG(検索拡張生成)
外部ドキュメントを高速検索し、参照しながら回答を生成(RAG)します。
これにより、ナレッジベースやFAQシステムの高度な自動化が可能になり、情報の正確性と網羅性を大幅に向上させます。
エージェントタスク
ユーザーの指示を理解し、マルチステップに分解してタスクを実行します。
REACT型エージェント設計に対応しており、複雑な意思決定や業務手順にも自律的に対応できるため、大規模業務プロセスの自動化が可能です。
Command Aの特徴
最大256Kトークンのコンテキスト長
数十万ワード規模の長大な文書を一括で解析できる最大256Kトークンのコンテキスト長を持ちます。
これにより、契約書、技術マニュアル、財務レポートといった大容量データを一度に読み込み、文脈を保持しながら正確に処理することが可能です。
ビジネス文書の要約や法務レビュー業務の大幅な効率化に貢献します。
23言語対応
英語、日本語、フランス語などを含む23言語に自然な応答で対応します。
多国籍企業での情報共有、多地域に展開する顧客サポート、ローカライズ業務の効率化に最適です。言語間をまたぐ質問応答(クロスリンガルQA)にも対応し、グローバルビジネスにおける言語の壁を低減します。
Command Aの性能
Command Aは、以下のような卓越した性能を示していることを報告しています。
MMLU(一般常識・学力テストベンチマーク)では85.5%、MATH(数学ベンチマーク)では80%、IFEval(推論・指示理解評価)では90.9%と、いずれも業界トップクラスの数値を達成しています。
推論速度においても、Command Aは最大156トークン/秒に達し、GPT-4oの1.75倍、DeepSeek-V3比で約2.4倍もの高速化を実現しています。
これにより、リアルタイム性が求められるビジネスプロセスにおいてもスムーズな運用が可能です。
Command Aは特に、エージェント業務や外部データを参照するRAG(Retrieval-Augmented Generation)タスクにおいて、高い精度と信頼性を示しており、ビジネスクリティカルな場面でも安心して活用できる設計となっています。
エンタープライズRAGユースケースにおけるGPT-4oとの応答品質について、人間評価に基づく勝率比較では、Technical FAQs(技術系よくある質問)では、Command Aが57.8%、GPT-4oが28.9%と、約29ポイント差でCommand Aが大きくリードし、全体平均でもCommand Aの勝率が51.7%、GPT-4oの勝率が33.0%、引き分けは15.3%と、Command Aが優勢となっています。
Command Aの料金プラン
Command Aの料金プランは以下のとおりです。
項目 | 価格 |
---|---|
入力トークン | $2.50 / 100万トークン |
出力トークン | $10.00 / 100万トークン |
Command Aの料金体系は、入力と出力のトークン量に基づく従量課金制となっており、入力100万トークンあたり2.50ドル、出力100万トークンあたり10.00ドルで設定されています。
Command AはAPI利用が基本となるため、必要に応じてトークン使用量をリアルタイムでモニタリングでき、予算管理や利用制御を行う機能も提供されています。
大規模運用を検討する場合は、Cohere社との直接契約により、ボリュームディスカウントやエンタープライズ向け特別プランが適用されるケースもあります。
Command AとCommand R+との違い
Command AとCommand R+の違いをわかりやすく表形式で整理する前に、違いをまとめます。
Command Aは、ビジネス用途に最適化された最新モデルです。コンテキスト長は256Kトークンに倍増、推論速度は最大156トークン/秒に向上、多言語対応も23言語に拡張されました。
さらに、マルチステップツール連携、RAGの高精度化、エージェント構築の最適化により、より複雑な業務にも対応できる設計となっています。
項目 | Command R+ | Command A |
---|---|---|
開始時期 | 2024年4月 | 2025年3月 |
コンテキスト長 | 128Kトークン | 256Kトークン |
推論速度 | 約90トークン/秒 | 最大156トークン/秒 |
多言語対応数 | 約10言語 | 23言語 |
ツール使用 | 単一ツール中心 | マルチステップ連携可能 |
RAG精度 | 標準 | 高精度最適化済み(要約誤差10%減) |
エージェント性能 | 基本対応 | REACT型最適化済み |
Human Preference | GPT-3.5並み | GPT-4o並み |
主な用途 | 汎用チャット、軽作業支援 | エージェント、ドキュメント解析、複雑業務 |
Command Aを使う3つの方法
Command Aを利用するには3つの方法があります。
まず最も簡単に始められる方法としては、Cohere自身がホストしているプラットフォームで、サインアップしてAPIキーを取得する方法です。
Amazon BedrockやSageMaker、Azure AI Foundry、Oracle OCIといったクラウドサービスを通じてモデルにアクセスする方法もあり、各クラウドプロバイダーによるマネージドサービスとして利用できます。
また、Cohereスタックを自社のクラウドやオンプレミス環境に導入する「プライベート展開」も用意(Container Imagesのダウンロード)されています。
下記では、Cohere プラットフォームを利用した方法を紹介します。
Cohere プラットフォームから試す方法
まずCohere プラットフォームにアクセスし、アカウント登録を行います。
登録後、「Try Command A」をクリックし、チャット画面へ遷移します。
チャット画面(Cohere Playground)でCommand Aを試すことができます。
詳細は下記の公式ドキュメントをご参考ください。
Command Aに関するよくある質問まとめ
- Command Aは従来のCommand R+と比べてどのような点が強化されていますか?
Command Aでは、コンテキスト長が128Kから256Kトークンに倍増し、推論速度も約90トークン/秒から最大156トークン/秒に向上しています。多言語対応も約10言語から23言語に拡張されました。
さらに、マルチステップツール連携機能の強化、RAGの高精度化(要約誤差10%減)、REACT型エージェント最適化により、より複雑なビジネスプロセスに対応できるようになっています。Human Preferenceも向上し、GPT-4oと同等の評価を獲得しています。
- Command Aの料金体系はどのようになっていますか?
Command Aは入力と出力のトークン量に基づく従量課金制を採用しています。入力トークンは100万トークンあたり2.50ドル、出力トークンは100万トークンあたり10.00ドルです。
出力側が高めに設定されているため、プロンプト設計を工夫して必要最小限の出力を引き出すことがコスト削減のポイントとなります。
API利用が基本で、トークン使用量をリアルタイムでモニタリングでき、予算管理や利用制御機能も提供されています。大規模運用の場合は、Cohere社との直接契約でボリュームディスカウントが適用される可能性もあります。
まとめ
Command Aは、最小限のGPUリソースで最大限のパフォーマンスを発揮するエンタープライズ向け生成AIです。
23言語対応、高速推論、マルチステップツール連携、RAG精度向上など、実務に直結する機能を備えています。情報漏洩や事実誤認リスクに留意しながら運用することで、企業の業務効率化と競争力向上に大きく貢献できるでしょう。
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