【Cohere】Command R+とは?特徴やできること、性能、料金プラン、Command Rとの違いを徹底解説!
最終更新日:2025年04月17日

Command R+は、Cohere社が2024年4月4日に発表したLLMであり、会話型インタラクションや長いコンテキストタスクに最適化されたエンタープライズ向けモデルです。
Command R+は、Microsoft Azureで提供されるRAG最適化モデルとして設計されており、高効率と高精度を両立しています。企業がAIの概念実証から本番環境への移行をスムーズに実現できるようサポートします。
本記事では、Command R+の特徴、できること・性能、料金プラン、Command Rとの違いについて、詳しく解説します。AI活用による業務効率化を目指す企業担当者・技術者必見の内容です。
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目次
Command R+とは?
Command R+は、Cohere社が開発したエンタープライズ向けの高性能なLLMです。
128kトークンのコンテキスト長を備え、長文処理や複雑な業務フローに対応する高い性能を持っています。
高度なRAG(検索拡張生成)機能により、出典付きで信頼性の高い回答を生成できるほか、多言語対応やマルチステップツール利用にも優れています。
Microsoft Azureなどの主要クラウドプラットフォームで提供されており、リアルタイムな情報取得から業務プロセスの自動化まで、企業の本格的なAI活用を支援します。
Command R+でできること
Command R+では、以下のようなことが可能です。
信頼性の高い出典付き情報生成(RAG)
Command R+はRAGに最適化されており、単なる回答生成だけでなく、確かなソースに基づく回答を自動生成します。
企業はこの機能により、生成された情報の出典を容易に追跡でき、説明責任や監査対応が求められる場面でも安心してAIを利用できます。
複雑な業務プロセスのマルチステップ自動化
Command R+は、単一タスクの自動化に留まらず、複数のAPI、外部ツール、社内システムを組み合わせた複雑な業務プロセスを自動化できます。
例えば、顧客からの問い合わせに対してCRMから顧客情報を取得し、次に在庫管理システムを参照して商品情報を照会し、最終的にレポートを作成する、といった一連の処理を一度のプロンプトで完結させることが可能です。
エラーや外部ツールの不具合に直面した場合でも、自己修復を試みる設計が施されており、業務停止のリスクを最小化します。通常なら人手による介入が必要な業務も、AI主体で高度に自律運用できるようになります。
リアルタイムなレスポンスによる業務効率化
Command R+は、推論スピードを重視した設計により、リアルタイムに近い応答が求められる場面でも高いパフォーマンスを発揮します。
具体的には、スループットが従来比50%向上、レイテンシ(応答遅延時間)が25%削減されており、チャットボット、カスタマーサポート、営業支援ツールといった、迅速な対応が要求される領域に最適です。
例えば、Webサイト上での即時カスタマーサポート、営業チーム向けの商談サポートエージェント、あるいは緊急対応指示システムなど、スピードと精度の両立が求められる業務で優れた成果を発揮します。
Command R+の特徴
最大128kトークンのコンテキスト長
Command R+は、最大128kトークンのコンテキスト長を持ち、過去のやり取りや複雑な指示を一貫して保持できます。
これは、法律、契約書レビュー、大規模な研究論文の解析、長時間にわたるコンサルティング業務など、情報量の多いタスクにおいて決定的なアドバンテージとなります。
通常のチャットボットが数千単語程度しか記憶できないのに対し、Command R+は数十万単語を一貫して把握しながら、高い応答精度を保つため、文脈をまたぐ指示や長期プロジェクトにも対応できます。
多言語対応によるグローバル業務支援
Command R+は、英語、日本語、ドイツ語、フランス語、中国語、韓国語、ポルトガル語、スペイン語、アラビア語、イタリア語の主要10言語に最適化されており、多言語を前提としたグローバル企業のニーズに対応しています。
ユーザーがどの言語で入力しても、自然な回答をその言語で返すことが可能であり、翻訳不要でスムーズな業務推進が可能です。
Command R+の性能
Command Aは、以下のような卓越した性能を示していることを報告しています。
総合性能:RAG・多言語・ツール利用の3軸で最高水準
このグラフは、Command R+、Mistral-Large、GPT-4 Turboの3つの大規模言語モデルを、性能と価格の観点から比較したものです。
翻訳品質でCommand R+はBLEUスコア35.9を記録し、GPT-4 Turbo(36.6)に迫る精度を示しました。
RAGの精度は71.5%で、GPT-4 Turboの76.7%に次ぐ高水準となっており、Mistral-Large(60.7%)を大きく上回ります。ツール利用の成功率においては、Command R+が74.5%と最も高く、GPT-4 Turbo(73.7%)よりもわずかに優れた結果を示しました。
価格面では、Command R+の入力トークン料金が3ドル、出力トークンが15ドルと、他の2モデルよりも大幅に安く設定されています。
GPT-4 Turboはそれぞれ10ドルと30ドル、Mistral-Largeは8ドルと24ドルで、Command R+は最もコスト効率に優れたモデルとなっています。
人間評価で高評価、複雑推論でも安定した正答率
このグラフは、要約の人間評価とマルチステップ推論におけるCommand R+の性能を示しています。
左のグラフでは、引用付き要約においてCommand R+がClaude 3 Sonnetに74%、GPT-4 Turboに53%の割合で好まれており、自然さや引用の正確性で高評価を得ています。
右のグラフでは、マルチステップ推論でCommand R+はBamboogleで76.2%、HotpotQAで67.2%、StrategyQAで71.2%の正答率を記録し、他モデルより一貫して高い精度を示しています。
ツール連携と関数呼び出しに強い
このグラフは、Command R+を含む4つのモデルのツール実行能力と関数呼び出し精度を比較したものです。
左のToolTalk(Hard)評価では、Command R+が71.1%の成功率を記録し、GPT-4 Turbo(69.8%)を上回り、Claude 3 Sonnet(56.3%)やMistral-Large(56.9%)に対して大きく差をつけました。
右のBerkeley Function Callingでは、Command R+が78.0%でトップ、次いでGPT-4 Turboが77.6%、Claude 3 Sonnetが76.8%、Mistral-Largeが69.3%という結果でした。
多言語翻訳で一貫した高評価を記録
多言語対応では、FLoRESおよびWMT23といった翻訳ベンチマークで、Command R+は一貫して高スコアを出しています。
日本語ではWMT23で26.5のBLEUスコアを記録し、GPT-4(24.1)やClaude(22.9)を上回りました。スペイン語では33.1、中国語では28.6など、10の主要言語すべてにおいて高精度な翻訳を実現しており、グローバル企業にとって非常に魅力的な特性です。
非ラテン文字で圧倒的なトークン効率を実現
Cohereが開発した独自トークナイザーは、特に日本語、韓国語、アラビア語といった非ラテン文字圏で高い圧縮性能を発揮します。
このグラフは、各言語におけるトークンコストの効率を示しており、Cohereのトークナイザーが最も少ないトークンで済むことが分かります。
フランス語やスペイン語などの欧州言語では、OpenAIは1.27〜1.32倍、Mistralは1.12〜1.14倍のトークンを必要とするのに対し、Cohereはすべて1.00倍で最も効率的です。
日本語や韓国語では差が顕著で、Cohereは1.00倍に対し、OpenAIはそれぞれ1.77倍と1.92倍、Mistralも1.67倍を記録しています。特にアラビア語では、OpenAIが2.33倍、Mistralが1.85倍と高く、Cohereの1.00倍と比べて2倍以上のトークン差が出ています。
Introducing Command R+: A Scalable LLM Built for Business
Command R+の料金プラン
Command R+の料金プランは以下のとおりです。
項目 | 価格 |
---|---|
入力トークン | $2.50 / 100万トークン |
出力トークン | $10.00 / 100万トークン |
Command R+の料金体系は、入力と出力のトークン量に基づく従量課金制となっており、入力100万トークンあたり2.50ドル、出力100万トークンあたり10.00ドルで設定されています。
Command AはAPI利用が基本となるため、必要に応じてトークン使用量をリアルタイムでモニタリングでき、予算管理や利用制御を行う機能も提供されています。
大規模運用を検討する場合は、Cohere社との直接契約により、ボリュームディスカウントやエンタープライズ向け特別プランが適用されるケースもあります。
Command R+とCommand Rの違い
Command R+とCommand Rの違いをわかりやすく表形式で整理したものです。
Command R+とCommand Rは、多言語対応、128Kトークンの文脈長、ツール利用、RAGなど主要な機能が共通しており、大きな違いはありません。
R+はやや精度や安全性が高く、マルチステップのツール利用や低遅延に優れていますが、Command Rでも多くの業務に十分対応できます。用途やコストに応じた選択が可能です。
項目 | Command R+ | Command R |
---|---|---|
主な用途 | RAG、ツール活用、要約、コード生成など高度な業務用途 | RAG、ツール活用、チャット、長文処理など幅広い用途 |
RAG性能 | 高精度かつ引用対応、複雑な指示も処理可能 | 実用レベルで高精度、検索との統合が強み |
ツール利用 | マルチステップ対応、エラー時の自己修正あり | 外部ツールやAPIの呼び出しに対応 |
多言語対応 | 10言語に最適化、13言語に対応、圧縮率も優秀 | 同様に10言語最適化+13言語対応 |
文脈長(コンテキスト) | 128Kトークン | 128Kトークン |
出力トークン上限 | 4,000トークン | 4,000トークン |
推論速度・効率 | 高速(Command Rより約20%低遅延) | 高効率(R+と比べてハードウェア要求が少ない) |
安全性・バイアス対策 | Command Rよりもバイアスが少なく、安全性が高い | BOLDデータセットで評価済み、安全だがR+に劣る |
Command R+に関するよくある質問まとめ
- Command R+とCommand Rの主な違いは何ですか?
Command R+はCommand Rをベースに強化された上位モデルで、特にRAGの精度向上(より正確な引用)、マルチステップのツール利用(エラー時の自己修正機能を含む)、応答の自然さが向上している。
また、推論速度がCommand Rより約20%速く、バイアスの少なさや安全性も向上している。価格面では高いが、より複雑でビジネス性の高いユースケースに対応可能だ。
- Command R+のトークン効率はどのように優れていますか?
Cohere独自のトークナイザーを採用し、特に非ラテン文字圏で高い圧縮性能を発揮する。
日本語では、OpenAIが1.77倍、Mistralが1.67倍のトークンを必要とするのに対し、Cohereは1.00倍と最も効率的。
同様に韓国語(OpenAI 1.92倍、Mistral 1.67倍)やアラビア語(OpenAI 2.33倍、Mistral 1.85倍)でも大きな差があり、多言語コンテンツを扱う企業にとって大幅なコスト削減につながる。
まとめ
本記事では、Command R+が会話型インタラクションや長いコンテキストタスクに最適化された企業向け大規模言語モデルとして、128kトークンの大規模な文脈長、多言語対応、安全性向上を含む先進的な機能を備え、複雑なRAGワークフローやマルチステップツール利用において優れた性能を発揮する点を概説した。
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