アノテーション料金相場を画像・音声・動画別に解説!高くなる要因・費用節減のコツとは?
最終更新日:2025年04月10日

- アノテーション費用は、データの種類(画像、テキスト、音声、動画)、量、求められる精度や詳細度、納期、専門性など多様な要因によって大きく変動
- 画像分類やバウンディングボックスは比較的低価格、ピクセル単位の精度が求められるセマンティックセグメンテーションや、フレーム単位での作業が必要な動画アノテーションは高額になる傾向
- コストを最適化するには依頼範囲の明確化、大量発注によるボリュームディスカウントの交渉、内製と外注の戦略的な切り分け、そして複数の代行会社からの見積もり比較が重要
AI開発に不可欠なアノテーション作業ですが、その費用は「何に」「どれくらい」かかるのかが見えにくく、予算策定に悩む担当者も少なくありません。
本記事では、アノテーションの料金相場を画像・テキスト・音声・動画別に紹介するとともに、料金相場の内訳や料金を左右するポイント、コスト削減のコツを解説します。
本記事を読むことで、アノテーション費用の構造を理解し、自社のプロジェクトに最適なコスト管理と外注戦略を立てるための知識を得ることができます。
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目次
アノテーションの料金を左右するポイント
アノテーションとは、画像やテキスト、音声などのデータに対して、意味や特徴を付加して教師データを作成する作業のことです。アノテーションの料金は、作業内容や納期などさまざまな要素によって変わります。
以下では、アノテーションの料金に影響を与える要素について紹介します。
アノテーションの種類
具体的に、アノテーションは主に以下4種類に分けられます。
一般的に画像→テキスト→音声→動画の順でコストが高くなる傾向があります。ただし、精度や複雑さが求められるほど費用が上昇する傾向があります。
アノテーション種類 | 詳細分類 | 代表的な作業内容 | 価格の傾向 |
---|---|---|---|
画像アノテーション | 画像分類 | 画像全体に対してタグ付けを行う | 比較的低価格 |
オブジェクト検出(物体検出) / バウンディングボックス | 画像内の対象物(例:人物、自動車、動物など)を囲むボックスを描画し、位置情報を付与 | 比較的低価格 | |
セマンティックセグメンテーション | 画像の各ピクセルに対してクラスを割り当て | ピクセル単位の精度が求められるので高くなる | |
ランドマーク(キーポイント)アノテーション | 顔や人体の各部位に対して座標情報を付与 | 細かい座標情報が必要なため、精度によって料金が上昇 | |
テキストアノテーション | 感情分析(感情ラベリング) | ユーザーのレビューやSNSの投稿から感情(ポジティブ、ネガティブ、中立など)を抽出し、分類 | 中程度のコスト |
エンティティ抽出 | 文章内の固有名詞や重要なキーワード(例:人名、場所、組織)を抽出し、タグ付け | 中程度のコスト | |
文脈 / 関係性のアノテーション | 複数のテキスト間の関係性や、文脈上の意味合いを付加 | 複雑な意味付けが必要になるため、他のテキストアノテーションよりも高額になる | |
音声アノテーション | ノイズアノテーション | 雑音などのノイズにラベル付け | 音声データの長さや品質に応じて料金が変動 |
話者特定 | 話者の年齢や性別、感情などの情報を付与 | 音声データの長さや品質に応じて料金が変動 文字起こしした後にタグ付けする作業は手間がかかるため高め | |
動画アノテーション | オブジェクト追跡 | 動画中の対象物の動きを追跡し、各フレームごとにラベル付け | 画像アノテーションよりもコストが高くなる 複雑なシーンほど高額 |
シーン分割 / イベント検出 | 動画のシーン転換点や特定イベントの開始・終了を検出し、タイムスタンプ情報を追加 | 画像アノテーションよりもコストが高くなる 特にオブジェクト追跡はさらに高額 |
アノテーションの量
アノテーションの量は、多くなればなるほどトータルの料金が高くなる傾向にあります。以下3つが料金を決める要素として挙げられます。
- データ量
- ラベル付けの対象
- 作業の種類と複合性
大量のデータに対してアノテーションを依頼する場合、作業工数が増大するため、人件費の高騰に伴い料金が高くなる傾向があります。例えば、複数の対象物の領域抽出や数万点以上のキーポイントなどを依頼する場合は1枚当たりのアノテーションの作業量が多くなるため、料金が上乗せされます。
ただし、大規模プロジェクトではプロジェクト管理費(固定費)の相対的割合が下がるので、スケールメリットにより単価的には下がる傾向があります。
プロジェクト管理費には仕様書作成、進捗管理、品質管理などのコストが含まれます。特に品質保証工程(QAチェック)を厳密に行う場合は、この部分の費用も増加します。
アノテーションに求める精度や詳細度
アノテーションの量が少ない場合でも、高精度なアノテーションを求める場合、料金が上昇します。例えば、セマンティックセグメンテーションやランドマークアノテーションでは、ピクセル単位や座標単位での正確な作業が必要なため、工数が増加します。
また、複数カテゴリの細分化や複雑なルール設定が求められる場合、作業者へのトレーニングや仕様書作成にコストがかかります。
さらに、ダブルチェックやブラインドチェックを追加する場合も料金が割増になります。特にダブルパス・ブラインド方式(2人のアノテーターがお互いの作業に干渉せずに独自に各画像のアノテーションを行う)では、二人のアノテーターが独立して作業を行うため工数が倍増します。
担当する人材
専門家の知識がないと難しい高精度なアノテーションを依頼する場合は、専門のアノテータが必要となるほか作業工数が増加するため、追加費用がかかります。
医師のデータ監修を依頼する場合やドメイン知識豊富なライターにテキストアノテーションを依頼する場合もあります。その場合、一般的なクラウドワーカーよりも高額な料金が発生します。
また、テキストと音声、画像と動画など複数のデータ形式のアノテーションを希望する場合は、各データごとの専門家を用意する必要があるため、料金に反映されます。
データの難易度
点群データや曲がり・折れのある物体のセグメンテーションなど、難易度の高いアノテーションでは、一度の作業で完璧にできることは多くありません。修正作業や追加工程を依頼する場合、もしくはダブルチェック対応が含まれている場合は料金が高くなる傾向にあります。
また、動画データの場合はフレームごとのラベル付けが必要であり、静止画像よりも工数が多くなるためコストが高くなる傾向があります。
納期
アノテーションデータの希望納期によっても料金が変わります。
例えば、短納期で依頼する際は、通常の作業フローを大幅に短縮するために追加のリソース投入や夜間作業が必要です。そのため、一般的に急ぎのプロジェクトでは、通常料金に加えて追加料金が発生します。
短納期を希望する際は、即日対応などスピード対応が可能な代行会社を選ぶとよいでしょう。
ツールと自動化
アノテーションツールの選定やカスタマイズもコストに影響します。専用ツールを自作する場合は初期費用がかかりますが、大規模プロジェクトでは効率化によるコスト削減効果があります。
既存ツールの自動アノテーション機能を使用する場合、ツールの精度によっては手動修正工程が必要になります。その分の追加費用と自動化で節約できる費用を天秤にかけて検討する必要があります。
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アノテーション代行サービスの料金相場
アノテーションの料金相場は、アノテーションの対象や内容ごとに料金設定が異なります。以下では、画像・テキスト・音声・動画アノテーション別に、料金相場を紹介します。
画像アノテーション
画像アノテーションは医療や製造業などさまざまな業界でニーズが高く、画像分類やセグメンテーション、キーポイントなど多様なサービスが提供されています。
画像アノテーションの料金相場は、以下のとおりです。
カテゴリ | 料金相場 |
---|---|
分類 | 約5円~10円/画像1枚 |
オブジェクト検出(物体検出) / バウンディングボックス | 約7円~10円/対象物1個 |
セマンティックセグメンテーション | 約100円〜300円/画像1枚 複雑な形状の画像では1000円を超えることも |
ランドマーク(キーポイント) | 約7円~10円/点 |
タスクや要求精度ごとに必要な工数が大きく変わり、料金相場も変動するため、用途に合わせた見積もり比較が必要です。
テキストアノテーション
テキストアノテーションでは、文章もしくは単語単位でアノテーションを行います。以下が、料金相場です。
カテゴリ | 料金相場(150文字程度) |
---|---|
文章全体のアノテーション | 約10円 |
単語のタグ付け | 約30円 |
テキストアノテーションの料金相場は、作業量によって大きく変わります。
音声アノテーション
音声データの文字起こしやノイズ除去は、音質や話者数がコストに直結します。以下が、音声アノテーションの料金相場です。
カテゴリ | 料金相場(1分当たり) |
---|---|
文字起こし | 約250円~ |
整文(話し言葉を書き言葉に変換) | 約350円~ |
ケバ取り(「ええっと、」など意味のない言葉を除去) | 約120円~ |
セグメンテーション | 約350円~ |
専門用語や多言語対応が必要な場合は、追加料金として請求され、相場よりも高くなります。
動画アノテーション
動画はフレーム単位でラベル付けが必要なため、作業量が他のカテゴリに比べ高くなる傾向にあります。以下が、動画アノテーションの料金相場です。
カテゴリ | 料金相場 |
---|---|
バウンディングボックス | 約10円~ 長時間動画ファイル、動きが激しい動画は大きく上がる |
分類 | 約20円~/1ファイル 長時間動画ファイル、複雑な構成の動画は大きく上がる |
フレームレートやトラッキング対象数によりコストが大きく変動します。
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アノテーション料金の内訳
アノテーション料金の主な内訳は、以下のとおりです。
内訳のカテゴリ | 詳細 |
---|---|
基本作業費 | 画像やテキスト、音声、動画など対象データの種類ごとに設定される1件もしくは1枚あたりの基本費用 作業内容(バウンディングボックス / セグメンテーション / トランスクリプションなど)によって単価が変動 |
ツール使用費 | アノテーション専用ツールやプラットフォームの利用に伴うライセンス料金 |
品質管理・再チェック工程費用 | 品質マネジメント費:誤ラベリングや抜け漏れを防止するための作業後のレビュー・ダブルチェックにかかる費用 再チェックに伴う熟練のスタッフの人件費 |
アフターサービス費 | マニュアル作成やデータ破損時の復旧作業などのアフターサポート費用 ラベルの見落としや変更依頼に対応するための費用 |
アノテーション料金の内訳は、各代行会社によって大きく変動します。例えば、クラウドワーカーの活用に伴いツール使用費が含まれない場合や、アフターサービス費がない場合などがあります。
コストを抑えるためには、各費用項目がどのように構成されているかを代行会社ごとに細かく比較検討し、自社の予算や品質要件、納期条件に最適化されたプランを選ぶことがポイントです。
アノテーションの費用を抑えるコツ
アノテーションの費用はいくつかポイントを押さえることで、相場よりも抑えられます。以下では、アノテーションの費用を抑えるコツについて紹介します。
必要な項目のみ依頼する
アノテーション作業は、ラベル付けする項目が増えるほど費用がかさみます。そのため、AIモデルの学習に必要なデータ項目を事前に精査し、不要なアノテーションを省くことでコスト削減が可能です。
例えば、セマンティックセグメンテーションでは、重要なカテゴリのみ選定することで、作業範囲を縮小できます。さらに、難しいケースだけを人間に回すActive Learningや半教師あり学習などの技術を導入することで、アノテーション対象データ量を最小化しつつモデル性能を維持できます。
と言っても、必要最低限に絞りすぎるとAIモデルの性能に影響が出る可能性があるため、慎重な判断が必要です。
生成AIの活用
生成AIは、ラベル付けやタグ付けといったデータアノテーション作業を効率化するために使用されます。
生成AIを使ってデータセット全体に初期ラベルを付与し、その後、人間が修正や確認を行う「人間とAIの協働モデル」を採用することで作業時間を大幅に短縮できます。
例えば、画像データにおける「猫」や「犬」といった単純なラベル付けでは、生成AIが大量のデータを短時間で処理可能です。これにより、人間のアノテーターはより複雑なタスクに集中できます。
まとめて発注する
大量のデータを一括で発注することで、ボリュームディスカウントを受けられる可能性があります。アノテーション代行会社は規模の大きい案件で割引を提供することが一般的です。
数万件単位で画像データを発注すると、単価が下がる場合があります。発注先を分散させると品質にばらつきが生じる可能性があるため、なるべく同じベンダーに依頼することがおすすめです。
委託部分と内製部分を明確に切り分ける
全内製化は外注費用が全くかからないため、短期的には低コストで抑えられます。しかし、プロジェクトの長期化に伴いトレーニングコストや技術更新対応などが必要となるため、長期的にみるとコストパフォーマンスが低下する傾向にあります。
したがって、外注コストとのバランスを考慮すると、アノテーションの代行会社に外注する際は委託部分をきっちり切り分けてコントロールするのがおすすめです。
例えば、データ収集や簡易アノテーション部分など、作業が簡易的で膨大な時間を要しない部分は内製し、3D点群データなど膨大な量のアノテーションは外注する方法が挙げられます。
必要な部分だけを信頼できるパートナー企業に依頼することで、コスト削減と品質管理の両立が可能になります。
アノテーション作業を外注すべきか、内製化すべきか、またはツール活用を活用すべきかは、こちらをご覧ください。
複数の代行会社を比較
アノテーションの外注先を決定する際は、単一の業者に絞るのではなく、2社〜3社以上の代行会社から見積もりを取得しましょう。業者によって提供するサービスごとの料金が大きく異なるためです。
料金だけでなく実績やサービス内容も含めた総合的な比較が不可欠です。
海外への外注(オフショアリング)
人件費の低い国に外注することでコスト削減が可能です。特に英語などの汎用言語でのアノテーション作業では効果的です。オフショアの代行会社は、オンショアに比べ、低価格でサービスを提供できますが、以下のリスクが伴います。
- 言語の違いによるアノテーションミスやコミュニケーションコストの増大
- タイムゾーンの違いによる納期延長
リスクを十分に把握した上で、最適な業者を選定することが大切です。
クラウドソーシングを活用
業務内容やデータの性質によっては、クラウドソーシングを活用することで、柔軟な人員配置と低コストなアノテーションが可能になる場合もあります。
クラウドソーシングは、短期的にみるとコストを抑えてアノテーションを依頼できる点がメリットです。
一方で、クラウドソーシングの利用には以下のようなリスクが伴います。
- 複数作業者間で一貫性の欠如、品質のばらつきが発生
- 個人ワーカーが多く、セキュリティや機密保持に関する意識が甘く、データ漏洩リスクが向上
- 個人ワーカーの場合は、作業者の離脱率が高く、納期が不安定
- 大量依頼時は進捗管理工数が増加
これらのリスクを低減できるクラウドワーカーの見極めが必要です。また、簡易なバウンディングボックス作業などはクラウドワーカーに依頼し、高度な作業は専門家に任せることでコストを分散できます。
アノテーションの料金についてよくある質問まとめ
- アノテーションの種類によって、どのように料金が変わりますか?
一般的に、画像→テキスト→音声→動画の順でコストが高くなる傾向があります。
画像内でも、画像全体を分類する作業より、ピクセル単位で領域を指定するセマンティックセグメンテーションの方が高額になります。
テキストでは文脈の解釈、音声では話者特定、動画ではフレームごとのオブジェクト追跡などが、作業の複雑さからコストを押し上げる要因となります。
- アノテーションの費用を抑えるには、どのような方法がありますか?
まず、AIモデルの学習に本当に必要な項目だけに絞って依頼することが重要です。また、大量のデータをまとめて発注することでボリュームディスカウントが適用される場合があります。
作業内容に応じて、簡易なものは内製し、専門的な部分のみ外注するといった切り分けも有効です。さらに、複数の代行会社から見積もりを取り、料金やサービス内容を比較検討することをお勧めします。
まとめ
アノテーションの種類や精度、量、納期といった要素が価格にどう影響するかを理解することは、AIプロジェクトの予算計画や外注先選定において非常に重要です。
特に、医療データや専門分野のテキスト、複雑な動画など、高度な専門知識や緻密な作業が求められる場合は、単純な価格比較だけでなく、品質担保の観点も欠かせません。
より専門的な知見や、特定の要件に合わせた最適なアノテーション計画が必要な場合は、経験豊富な専門家や信頼できる代行会社に相談し、具体的な見積もりや提案を比較検討することをお勧めします。
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