エッジAIとは?メリット・外観検査などの活用事例13選・エッジコンピューティング活用を徹底解説【2026年最新】
最終更新日:2026年01月28日

エッジAIは、現場端末で推論を完結させることで、低遅延・機微データの持ち出し最小化・通信/クラウド依存の低減を実現しやすい
- 導入判断は「クラウド不要」ではなく、遅延・通信・センシティブ情報・運用コストの優先順位で決める
- 設計は「推論だけ端末、学習は中央」が主流で、要件に応じて「端末内の限定更新」「連合学習などの分散」も選べる
- 端末台数が増えるほど更新・監視・保守が難しくなるため、運用設計が成果を左右する。
外観検査や危険検知など、現場では「遅延が小さいこと」「通信が不安定でも動くこと」「映像や音声を外部へ出しにくいこと」が同時に求められます。こうした条件で有力になるのが、端末側でAI推論を実行するエッジAIです。
エッジAIとは、カメラや車、機械デバイスなどの現場近くの端末に直接AIを搭載することで推論処理を行うことができるエッジコンピューティング技術です。
この記事では、実際にこれらの特徴を持つエッジAIの定義、クラウド/オンプレとの違い、設計パターン、生成AI・LLMとの関係、メリットと注意点、エッジAIを導入し、活用している事例・応用例やユースケースを紹介します。
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目次
- 1 エッジAIとは?
- 2 エッジAIがもたらすメリット
- 3 製造業でのエッジAI導入事例
- 4 他の業界でのエッジAI導入事例
- 4.1 画像解析技術を活用した人物行動分析サービス
- 4.2 振り込め詐欺を未然に防ぐソリューションの実証実験を北洋銀行で実施
- 4.3 Yahoo!知恵袋アプリの不適切投稿を削減
- 4.4 自律走行・遠隔制御向けの「映像認識AI」「アプリケーション」開発
- 4.5 施設内の正確な状況把握と、介護業務の効率化を実現
- 4.6 農機の完全無人化を目指すクボタの新たな一歩
- 4.7 ソニーグループら、エッジAIとLPWA技術による放牧牛管理と金融機関のABL管理の省力化の実験を開始
- 4.8 東芝、エッジデバイス上で高速に動作する音声キーワード検出機能付き話者認識AIを開発
- 4.9 ミサワホームの未来コンセプト住宅にドローンによる個別配送システムを実装完了
- 4.10 ブロックチェーンとエッジAIによるユーザー生成コンテンツ活用(日本旅行/ジャスミー)
- 5 エッジAIについてよくある質問まとめ
- 6 まとめ
エッジAIとは?
エッジAIとは、エッジ(端)、つまり各ネットワークの端末デバイスに搭載されたAI(人工知能)のことです。端末デバイスはカメラや車、機械デバイス、スマートグラスなどの現場近くの端末のことを指し、直接AIを搭載することで推論処理を行うことができるようになります。
クラウドAI、オンプレミスAIとの違いを以下テーブルにまとめます。
| 観点 | エッジAI | クラウドAI | オンプレAI |
|---|---|---|---|
| 遅延 | 低遅延・安定(回線影響が小さい) | 回線・混雑で変動 | 低遅延だが構成次第 |
| 機微データ | 端末内処理で持ち出し最小化 | 送信が前提になりやすい | 組織内に閉じやすい |
| 運用(更新/監視) | 端末台数が増えるほど難易度↑ | 集中管理しやすい | 施設側運用が必要 |
| コストの支配要因 | 端末・保守・配布 | 推論/転送/保管 | ハード・保守・人件費 |
| 向く例 |
|
| 厳格なクローズド要件がある業務 |
エッジAIの構成は3パターンで考えると判断が速い
エッジAIは「どこまでを端末側で完結させるか」で設計が変わります。次の3パターンに分けると導入判断がしやすくなります。
| パターン | 端末側 | 中央側 | 向く条件 |
|---|---|---|---|
| 推論は端末、学習は中央(主流) | 推論・前処理 | 学習・評価・配布 |
|
| 限定更新あり | 推論+軽量な補正 | フル学習・全体最適 |
|
| 連合学習など | 推論+データ保持 | 統合・評価(分散) |
|
「クラウド不要」を目標にするより、遅延・通信・機微情報・運用コストのどれを最優先するかで上記から選ぶほうが、失敗しにくくなります。
生成AI、LLMでも欠かせない
エッジAIは生成AIの実務実装と結びついて広がっています。以下の技術進歩により、これまでクラウド前提だった推論が「端末側で常時動かす」設計が主流になり始めています。
- 端末内での要約・音声・画像理解など現場で完結するAIが増える
- NPUを搭載したAI PCや小型エッジ計算機の普及
その結果、「遅延」「通信」「機微情報」「運用コスト」の最適点を取りにいく設計(=エッジ×クラウドの分業)が、業種を問わず重要になっています。
急速にAIの主流に躍り出た生成AI、そしてLLM(大規模言語モデル)も、より軽くより特化したSLMへの流れにより、CPUベースのPCでも使えるローカルLLM、そして、エッジデバイスに搭載できるエッジLLMとしての活用が可能になってきました。
組み込みシステムとエッジAIの融合
組み込みシステムは、特定の機能を実現するために機械や装置に組み込まれるコンピュータシステムです。近年、エッジAIと組み込みシステムの融合が進んでおり、これにより新たな可能性が広がっています。
ラズベリーパイを用いたエッジAI活用事例をこちらの記事で詳しく説明していますので併せてご覧ください。
この融合により、組み込みシステムはより高度な処理能力と自律性を獲得し、リアルタイムでのデータ分析や意思決定が可能になっています。例えば、産業用ロボットや自動運転車、スマートホームデバイスなどで、AIを活用した高度な制御や予測が実現されています。
実装が進むほど、技術論点はAIモデルそのものから以下ポイントに移ります。
- 制御系との整合:推論遅延の揺らぎをどう吸収するか。異常時に“安全側に倒す”フェイルセーフ設計が必要。
- 更新の安全性:モデル更新は機能追加と同時にリスクも持ち込みます。署名付き配布、段階展開、ロールバックを前提にします。
- 監視と責任分界:現場で起きる性能劣化(照明変動、カメラ汚れ、部材変更)を検知し、誰がいつ対処するかを決めておくと運用が安定します。
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エッジAIがもたらすメリット
エッジAIは「現場でAI推論を完結できる」ことから、以下に強みがあります。
- 高いセキュリティ
- 高速性
- 低いコスト
- 法令規制にかかりにくい
一方で、端末が増えるほど運用(更新・監視・保守)が効いてくるため、導入判断はメリットと注意点をセットで見ます。
セキュリティ
映像や音声など、持ち出しにくいデータを端末内で処理し、必要な結果だけを送る設計が取りやすくなります。
ただし「送らない=安全」ではありません。端末侵害や物理持ち出し、モデル改ざんのリスクがあるため、署名付き更新・鍵管理・ゼロトラスト前提の設計が現実的です。
高速性
クラウド往復がないため、低遅延での判定や制御に向きます。外観検査のライン停止制御、危険検知、遠隔操作の補助などで効きます。
生成AI系でも、小型エッジでTransformer系を扱う取り組みが進み、現場での要約・説明・画像理解などの用途が広がっています。
低コスト
通信量を減らせるため、回線費用やクラウド推論費を抑えやすいのは事実です。一方で、端末台数が増えると端末管理(配布・監視・保守)が支配的になるケースがあります。
したがって、コストは「通信費」ではなくTCO(端末・保守・更新・監視)で比較するのが安全です。
エッジAIでも無関係ではない法令・ガバナンス
エッジAIは「データを外に出しにくい」ため規制対応に強い面がありますが、AIの利用目的やリスク区分によっては、説明責任・監視・記録が求められます。
EUのAI規制は段階的に適用され、一般目的AI(GPAI)義務が2025年ごろから、ハイリスクAIは2026年以降に本格化する整理が示されています。
法務・セキュリティ・現場運用を早期に巻き込み、PoC時点で「監査に耐える運用」まで含めて設計することが求められます。
製造業でのエッジAI導入事例
製造業で、外観検査を中心としたエッジAIを実際に導入している事例・応用例をご紹介します。
関連記事:「AIによる外観検査とは?従来手法との違い・メリット・画像解析導入手順・注意点を徹底解説!」
【アイシン】自動車部品の外観検査精度の向上

画像引用:公式サイト
自動車産業におけるエッジAIの活用は、部品の品質管理プロセスを大きく改善しています。従来の目視検査では見逃されがちだった微細な傷や凹みも、高解像度カメラとエッジデバイス上の画像認識AIモデルの組み合わせにより、高精度で検出できるようになりました。
この技術の導入により、製造プロセス全体の効率が向上し、品質管理の精度が高まっています。
自動車部品メーカーのアイシンは、この技術を積極的に導入しています。同社は、外観や不良品を検査する目視工程に自動判定システムを取り入れ、効果的な成果を上げています。
カメラ側でAIアプリケーションを動作させるエッジデバイス形式を採用しています。これにより、リアルタイムでの判定が可能になりました。このシステムにより、アイシンは「スマートファクトリー構想」の目標である「止まらないライン」の実現に向けて前進しました。
AI Marketコンサルタントの視点
この事例は、外観検査で遅延を増やさず判定するために、カメラ側(エッジ)で推論を実行し、判定を工程の判断に直接つなげた例です。
横展開する際は、品種追加時の再学習・配布手順と、誤判定が起きた場合の原因切り分け(撮像条件/モデル/装置)を先に決めておくと運用が安定します。
【DTSインサイト】エッジAIによる電子部品の外観検査システム
半導体や電子基板の製造において、エッジAIは微細な部品の検査プロセスを大きく改善しています。ナノメートル単位の精度が要求されるこの分野では、人間の目による検査には限界がありました。
エッジAIを搭載した検査システムの導入により、これらの課題に対処できるようになってきています。
株式会社DTSインサイトが検査機器メーカーに納入した外観検査の実証実験用システムは、この分野での進歩を示す好例です。
カメラ側でAIアプリケーションを動作させ、リアルタイムでの判定を実現しています。注目すべき点は、Azure Custom Vision、及びAzure IoT Edgeをを利用して、システム導入費を抑えつつ手間なくAIモデルを構築した点です。そして、AIモデルの更新とデプロイを効率化しています。
DTSインサイトでは、新たな外観検査用エッジAIシステムを別途構築することで、現行システムへの影響を最小限に抑制しました。この事例では、既存の画像処理システムでは認識できなかった不良品を、エッジAIだけで効果的に検出することに成功しています。
AI Marketコンサルタントの視点
この事例は、カメラ側で推論を行いながら、モデル構築・更新をAzure Custom VisionやAzure IoT Edgeで管理し、導入負担と更新負担を抑えた例です。
本番化では、更新の承認手順(誰がいつ配布するか)と、既存システムへ影響を出さないための段階展開・ロールバック手順を運用として定義すると安全です。
【ASTINA】エッジAIによる食品包装検査

食品産業において、包装の品質管理は製品の安全性と信頼性を確保する上で極めて重要です。エッジAIの導入により進展が見られています。
株式会社ASTINAのシステムは1分間に300個以上の製品を検査可能で、人間の目視検査の数十倍の効率を実現しています。パッケージの破損、印刷ミス、異物混入など、様々な種類の不良を同時に検出できます。
エッジデバイス上でAIが即時に判断を下すため、生産ラインをほぼ遅延なく制御できます。また、人間の目視検査では避けられない疲労や注意力の変動による見落としを防ぎ、常に高い精度で検査を行えます。
新製品や包装の変更が生じても、AIモデルの再学習により迅速に対応できます。
AI Marketコンサルタントの視点
この事例は、高速ラインでの検査を止めないために、端末内で即時判定し、検査結果をそのままライン制御へ反映できる構成を採用した例です。
包装仕様の変更に備え、学習データの追加ルール(良品/不良品の収集基準)と再学習・再配布の頻度を決めておくと精度低下を早期に抑えられます。
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他の業界でのエッジAI導入事例
エッジAIを実際に導入している事例・応用例をご紹介します。
画像解析技術を活用した人物行動分析サービス

電機メーカーの日本電気株式会社(NEC)は、エッジコンピューティングソリューションを多数手がけ、その内の一つに「画像解析技術を活用した人物行動分析サービス」があります。
これまでの店舗マーケティング担当者の課題として、来店者の購買に至るまでの行動、または何も買わずに帰った非購買者行動の分析ができないことがありました。小売店舗での来店者の購買行動の取得には、POSデータによる購入実績や目視での情報収集しかなかったためです。
そこで、カメラの映像から、人物検出、追跡による動線抽出可能な画像解析技術を活用し、これまで取得できていなかった行動を可視化することで、データを集め分析できるようにしました。
店舗に設定したカメラ映像をエッジコンピュータに取り込み、搭載された解析エンジンにより人物検出を行い、人物の動きを予測して追跡します。このとき個人を特定するデータは破棄して残らないようにします。
人物の座標データはクラウド上に集約し、あらゆるデータとして分析結果を提示し、マーケティング担当者は場所を選ばずウェブ経由で店舗の来店者の行動把握が可能となります。
AI Marketコンサルタントの視点
の事例は、店舗内の映像をエッジで解析し、個人を特定する情報を残さずに座標などの結果だけをクラウドへ集約することで、行動分析を可能にした例です。
運用では、破棄する情報・保存する情報の範囲と、分析結果の利用目的(マーケ施策の範囲)を文書化しておくと、社内説明と継続利用が進めやすくなります。
振り込め詐欺を未然に防ぐソリューションの実証実験を北洋銀行で実施

電機メーカーの株式会社JVCケンウッドは、オープン系システム開発を手掛ける株式会社ビズライト・テクノロジーと共同開発したエッジAIカメラを活用して、地方銀行の株式会社北洋銀行の実店舗で、振り込め詐欺やその他詐欺を未然に防ぐソリューションを導入しました。
金融機関の店舗内で電話をかけながらATM操作をしている、順番を待っているなどの行動をしている来店客をエッジAIカメラで検出して行内の職員へ通知します。状況に応じて職員が声がけをすることで、振り込め詐欺や特殊詐欺などを未然に防ぐというものです。
プライバシー保護の仕組みを整備し、特に取り扱いには注意を払わなくてはなりません。このエッジAIカメラは、映像を録画せずカメラ内でAIによるディープラーニング処理を行い、サーバーへ映像を送信せずにカメラで独自分析可能なので、プライバシー情報の漏えいの危険性が極めて少ないことが特徴です。
AI Marketコンサルタントの視点
この事例は、店舗内の行動をカメラ内で判定し、録画や映像送信を行わずに通知へつなげることで、プライバシー配慮と業務対応を両立した例です。
実運用では、誤検知時の対応(声がけ基準)と、端末の設定・更新を誰が管理するかを決めておくと現場の混乱を減らせます。
AIを搭載した防犯・監視カメラの活用例についてはこちらの記事で特集していますので併せてご覧ください。
Yahoo!知恵袋アプリの不適切投稿を削減

eコマースを手掛けるヤフー株式会社のサービス「Yahoo!知恵袋」では、日々様々な内容の質問とそれに対しての回答が投稿されています。このやりとりの中には、他ユーザーが不快に感じるような内容のものもあり、そのような投稿が目に付きにくくなるよう対策を進めていました。
そこで、投稿内容が適切であるかを機械学習を用いた判定をモバイルデバイス上で行うことで、投稿前にリアルタイムでユーザーへ通知する取り組みを行いました。
入力内容が不適切な可能性がある場合には、警告文を表示して投稿をとりやめるなどの行動をとってもらうことで、不適切な内容の投稿を減らすことを可能としました。
スマートフォンなどのモバイルデバイス上で推論の実行が可能なので、サーバーへの入力データの送信と推論結果の受信のネットワークを介したやり取りが必要なくなり、リアルタイムに近いパフォーマンスで推論結果を得られます。
また、通信の必要がないので通信コスト削減や、セキュリティリスクの軽減にもつながり、通信環境のない状況であっても推論の実行が可能です。
AI Marketコンサルタントの視点
この事例は、投稿前の判定を端末内で実行し、ネットワーク往復を省くことで、ユーザー操作に近いタイミングで警告を表示できるようにした例です。
導入時は、判定基準の変更(モデル更新)をどの頻度で配布するかと、誤判定を改善するためのフィードバック収集方法を設計しておくと改善が継続します。
自律走行・遠隔制御向けの「映像認識AI」「アプリケーション」開発

携帯通信事業のNTTドコモ九州支社は、久留米工業大学と共同で自動運転車いすを遠隔から操縦する実証実験を開始しました。
この「リモート手助け」は、高速通信規格の「5G」の環境下で、高精細な映像伝送によって遠隔地のスタッフが遠隔操縦で手助けすることによって、介助者なしでも自由に移動可能とする技術です。
通常は自動走行ですが、走行不能となった場合にカメラ映像をセンターへ送り、遠隔地から安全な場所へ移動させることを可能としました。
この自動運転車いす「パートナーモビリティ」は、複数種のカメラとエッジAI対応5Gデバイスを搭載しています。このデバイスのAI処理機能で自動運転の補助が可能で、通路の障害物の認識や通行人までの距離測定をする異常・障害物検知機能や、遠隔地への映像の送信の際に映り込んだ人の顔にぼかしを加えるプライバシー保護機能を備えています。
これら機能はアクセルが開発した「ailia SDK」を用いてAI実装しています。ailia SDKは、プラットフォームに対して個別最適化を行い、エッジAI対応5Gデバイスにおいて高速演算処理を行うことで、高精度で高速な推論推論を実現しており、ステレオカメラからの映像や深度情報の取り込みなどとAI処理の同時実行を可能にしています。
AI Marketコンサルタントの視点
この事例は、走行補助の推論を端末側で実行しつつ、必要時のみ高精細映像を遠隔へ送る設計により、運用上の遅延と通信量を管理しやすくした例です。
実装では、通信断時の挙動(安全側に止める/手動へ切替)と、プライバシー処理(ぼかし等)の適用範囲を先に決めておくと要件が固まりやすくなります。
AIカメラの仕組み、メリット・デメリット、他の活用事例についてこちらの記事で特集しています。
施設内の正確な状況把握と、介護業務の効率化を実現

写真関連、複写機事業を手掛けるコニカミノルタ株式会社のIPネットワークカメラシステム「MOBOTIX」を、医療法人社団愛友会介護老人保健施設三郷ケアセンターが施設内の見守りの活用に導入しました。
MOBOTIXはエッジAIカメラであり、デバイス側においての異常や物体検知をはじめとした様々なAI実装技術を独自で開発し、スタンドアロンでの監視カメラの各種検知機能を備えています。これまでもこの介護施設内ではモニタリングカメラが設置されていましたが、介護事業には役立ってはいない状況でした。
なぜなら、利用者に向けて設置されておらず解像度もよくなかったため、利用者の動向を正確に確認できず、結果として活用できる状態ではなかったためです。
MOBOTIXのモニタリングは、動体検知機能を活用して、施設内に19カ所設置され、地下1階から4階までの共有スペースを死角なくモニタリング可能です。
動作があったときにだけ、映像を記録するようにして、動きがなければ録画されないので無駄な記録は省くことができ、アクシデントが何かあっても即時対応可能で、不要な確認時間の削減ができたということです。
利用者の動向を正確に把握、状況確認と迅速な対応ができ、介護業務の効率化によって、職員の業務負担やストレス軽減にも貢献しています。
AI Marketコンサルタントの視点
この事例は、エッジ側の検知で「必要なときだけ記録・通知する」運用に切り替え、確認作業を減らしながら対応速度を上げた例です。
運用開始後は、誤検知が起きやすい場所・時間帯を特定し、検知条件(しきい値)と設置位置の調整を定期的に行うと安定します。
農機の完全無人化を目指すクボタの新たな一歩

産業機械製造を手掛ける株式会社クボタは、アメリカ半導体メーカーのNVIDIA社と提携しAIでの自動運転技術を磨き、スマート農業の実現に向けて農機の自動化や無人化に取り組んでおり、完全無人化達成を目指しています。
クボタでは、無人運転可能なトラクターを開発し、ビッグデータを駆使したデジタル農業の実現を目指しています。
NVIDIA社では、「エンドツーエンドAIプラットフォーム」を手掛け、これは解析や推論をワンストップで行うAIを活用した機械学習モデルが組み込まれたプラットフォームです。
クボタはこのプラットフォームを活用して、農機に搭載した高性能GPUでのAI推論を可能としたエッジAIシステムの研究開発をスピーディーに行っています。
農機の自動運転技術はメーカーなどの間でレベルが1から3に区分されており、一番難易度の高いレベル3の「完全無人化」達成できるよう取り組んでいます。トラクターには高精細カメラを付けて、高速通信規格「5G」も駆使することで、10年後には、さらにレベルの高い無人自動運転を実現をしていくということです。
AI Marketコンサルタントの視点
この事例は、農機に高性能計算資源を搭載し、現場で推論を実行できる設計により、自動化の段階を上げるための開発を加速させた例です。
実証を進める際は、レベルごとの安全要件(停止条件・監視方法)と、モデル更新を行う手順(検証→配布)を段階的に整えると検討が進みます。
ソニーグループら、エッジAIとLPWA技術による放牧牛管理と金融機関のABL管理の省力化の実験を開始

東京工業大学、ソニーグループ株式会社などの共同プロジェクトチームは、牛の島として知られる沖縄県竹富町の牧場にて、共同のプロジェクトチームによって開発したエッジAI技術とLPWA(低消費電力で長距離の通信)技術から成る放牧牛AIモニタリングシステム「PETER」の動産・債権担保融資(ABL:Asset Based Lending)への適用に関しての実証実験を開始しました。
畜産物を担保とするABLは、畜産経営の貢献に期待されていますが、放牧を取り入れた畜産の場合は、融資に必要な個体数の確認・個体ごとの状況把握に時間やコストが大幅にかかる課題がありました。
そこで、このチームでは、管理作業を低コストで実現できるような仕組みを構築しました。放牧牛に取り付ける首輪型デバイスとクラウドアプリケーションで構成されたPETERです。
首輪型デバイスはエッジAIで、放牧牛の飲水・摂食、立位、伏臥位など複雑な姿勢情報をAI処理によって推定可能です。
個体を遠隔からモニタリングできるPETERを活用することで、より適切なABLの実行に繋がり、持続可能な畜産経営への貢献が期待されています。
AI Marketコンサルタントの視点
この事例は、首輪型デバイスで姿勢推定を端末内で実行し、遠隔から個体状態を把握できるようにすることで、確認作業の時間とコストを減らす例です。
継続運用では、センサー故障や通信断を前提に、欠測時の扱い(アラート条件)と保守交換の手順を決めておくと業務に組み込みやすくなります。
関連記事:「畜産業でのAI活用方法は?生産性向上への活用事例・導入事例徹底解説!」
東芝、エッジデバイス上で高速に動作する音声キーワード検出機能付き話者認識AIを開発

電機メーカーの株式会社東芝は、処理能力に制約のあるエッジデバイス上においても、高速での動作が可能な音声キーワード検出機能がついた話者認識AIの開発をしました。この技術では、家電がネットワークへの接続の必要がなく、3回の発話での話者登録に加えて、音声での操作や、話者に合わせた機器の動きを変更することまでもできるようになります。
家庭でユーザーが話しかけることで自動的にキーワード検出し、家電などのエッジデバイスの操作を行う機器が増加しています。音声での機器の操作は、キーワードを検出するだけでなく、話者を認識して話者に合わせて機器の動きを変える機能も登場し、今後も需要が拡大するとみられています。
このようなキーワード検出と話者認識機能の両立は膨大な計算が必要であり、身近な機器で手軽に使用するためには、処理能力に制約のあるデバイス上でも高速に動作するAIが必要となります。
そこで、ネットワーク接続の必要なくエッジデバイス上でキーワード検出と話者認識を両立して同時に行うAI技術を開発しました。
AI Marketコンサルタントの視点
この事例は、ネットワークに接続しない端末でも音声認識処理を成立させ、登録から利用までを端末内で完結できるようにした例です。
実装では、誤認識が起きた場合の再登録手順と、端末内で保持する情報の範囲(個人情報の扱い)を明確にしておくと導入判断がしやすくなります。
ミサワホームの未来コンセプト住宅にドローンによる個別配送システムを実装完了

ドローンやAIなどの先端技術活用を手掛ける株式会社A.L.I. Technologiesは、ハウスメーカー、不動産事業を手掛けるミサワホーム株式会社が建設した持続可能な未来につながるコンセプト住宅に、移動式ドローンポートと対応したドローン配送システムの実装を完了しました。
ドローンポートは移動式で、居住者は専用アプリケーションを使って屋根下の待機場所から荷物の到着場所に自動で移動するよう設定します。AI搭載型のドローンはドローン運行管理システムC.O.S.M.O.Sによる飛行管理のもとで、ポートへの離発着や荷降ろし、配送拠点への帰還を行います。エッジAIと管理システムを組み合わせることで、アプリケーションの連携から自律飛行、ワイヤレス給電までを可能としています。
ドローンによる荷物配送に対応した設備は、高齢者や体の不自由な方の外出回数低減、介護中や育児中などで外出が困難な人に向けて日用品や医薬品の注文配送ニーズに応える生活様式を見据えた機能も備えています。
AI Marketコンサルタントの視点
この事例は、ドローン側の自律制御と管理システムを連携させ、離発着・荷降ろし・帰還までを一連の運用として成立させた例です。
運用面では、異常時の停止条件(風・障害物・通信断)と、ログの保存範囲(原因調査に必要な情報)を決めておくと安全面の説明が進みます。
ブロックチェーンとエッジAIによるユーザー生成コンテンツ活用(日本旅行/ジャスミー)
株式会社日本旅行とジャスミー株式会社は、ブロックチェーン技術とエッジAI技術を用いて、日本旅行が運営する旅行メディアサイト「Tripα(トリパ)」におけるユーザー生成コンテンツ活用に向け、2022年4月より共同で実証実験を開始したことを公表しました。
このAIエンジンは、これまで多くのインターネットサイトで活用されている協調フィルタリング等のレコメンド手法とは異なり、収集した情報から得られる個人の嗜好性を、全く異なるジャンルやサイト等のレコメンドに活用出来る仕組みです。
PDLに蓄積された、個々人それぞれの個性を表すデータと、このAIエンジンをエッジ環境(パソコンやスマートフォン等の機器内)で利用することで、これまでにない安全なデータ利用と、それによるユーザー本位のアウトプットの実現を目指しています。
本実証実験を実施する日本旅行運営の旅行メディアサイト「Tripα」では、旅行に関心があるユーザーや自らの旅行体験を発信するユーザーの情報により、「Tripα」を訪れたユーザーに対して、慣れ親しんだ旅先の新たな魅力の発見や、まだ見ぬ新たな旅との出会いを実現する、訴求力のあるメディア提供が実現できるとのことです。
AI Marketコンサルタントの視点
この事例は、個人の嗜好データを端末内で扱う前提にし、データ利用の透明性とユーザー本位の出力を両立しようとする例です。
実装では、端末内で扱うデータの範囲と、同意・撤回の運用(ユーザーが制御できる範囲)を仕様として定義すると、サービス設計が具体化します。
関連記事:「日本旅行とジャスミー、ブロックチェーンとエッジAIによるユーザー生成コンテンツ活用に向けた実証実験を開始」
エッジAIについてよくある質問まとめ
- エッジAIとは?
エッジAIとは、エッジ(端)、つまり各ネットワークの端末デバイスに搭載されたAI(人工知能)のことです。端末デバイスはカメラや車、機械デバイスなどの現場近くの端末のことを指し、直接AIを搭載することで推論処理を行うことができるようになります。
- エッジAIのメリットは?
エッジAIの特徴としては、セキュリティ・高速性・コスト削減が挙げられます。
セキュリティ面では、プライバシー保護や取得したデータの漏えいのリスクを極力減らせます。
高速性は、リアルタイム処理が可能で、高解像度の画像や映像もデータ処理が可能です。
コスト面では、ネットワークを使用しないので通信費用を削減できます。
- 生成AI・LLMでもエッジAIは関係ある?
あります。端末内で要約・音声・画像理解などを完結させる需要が増え、NPU搭載AI PCや小型計算機の普及も進んでいます。その結果、エッジ×クラウドの分業で、遅延・通信・機微情報・運用コストの最適点を取りにいく設計が重要になります。
- 自社はエッジAI向きか、クラウドAI向きかを最短で判断するには?
次の4点を優先順位付きで整理すると判断が速くなります。
- 遅延:判定が工程制御に直結し、遅延が許容できないか
- 機微情報:映像・音声などを外部に出しにくいか
- 通信:回線品質が不安定でも継続稼働が必要か
- 運用コスト:端末台数、更新頻度、現場保守の体制があるか
AI Marketでは、この整理を前提に、要件定義の論点(責任分界、更新・監視、ログ)を揃え、エッジAIに強い開発会社の比較・選定まで支援できます。
- エッジAIの費用は何がポイント?見積で見るべき項目は?
通信費だけでなく、端末と運用が重要です。見積では次を分解して確認します。
- 端末:カメラ、計算機(GPU/NPU)、筐体、設置
- ソフト:推論実装、前処理、管理機能(配布、監視)
- データ:アノテーション、再学習、評価設計
- 運用:監視、保守、更新、障害対応、ログ管理
AI Marketでは、TCO観点での見積の見方を整理し、複数社の提案を同じ物差しで比較できる形に整えたうえで、要件に合う開発会社を紹介できます。
まとめ
この記事では製造業やサービス業、金融業界などでのエッジAIの活用事例やユースケースを紹介しました。
この記事の事例を見て分かるように、多種多様な企業でエッジAIは活用されています。アイデア次第で、様々な応用が可能で、できることが更に増えていくことが予想されます。
セキュリティ面のリスク低減、高速稼働、コスト削減といった、エッジAIを活用するメリットは非常に魅力的です。
導入の成否は、モデル精度だけでなく、撮像条件の変動や仕様変更を前提にした運用(再学習・配布・ロールバック・責任分界)をどこまで設計できるかで決まります。
要件(遅延、機微情報、ネットワーク前提、停止できない工程、監査要件)が複合する場合は、技術選定と運用設計を同時に進めることが現実的です。AI Marketでは、目的と制約を整理したうえで、エッジAIの導入に必要な体制や見積の観点を整え、適切な開発会社の選定まで一貫して相談できます。

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