Chain-of-Thoughtプロンプティングとは?特徴・メリット・生成AIの企業活用で欠かせない理由とは?
最終更新日:2024年09月23日
生成AIを活用する上で、プロンプティング技術の重要性が増しています。その中でも注目を集めているのが「Chain-of-Thoughtプロンプティング」です。この手法は、AIに人間のような論理的思考プロセスを踏ませることで、
生成AIとは何か、どんな種類があるか、こちらの記事で詳しく説明していますので併せてご覧ください。
企業や個人がビジネス現場でAIをうまく使いこなすために、Chain-of-Thoughtプロンプティングを理解することは重要です。
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目次
Chain-of-Thoughtプロンプティングとは?
Chain-of-Thoughtプロンプティングとは、AIに対して与える指示や質問を一連の思考のステップに沿って行う手法です。このプロンプティング方法は、AIが回答を導き出す過程で、人間のような論理的な思考プロセスを再現することを目指しています。
通常のプロンプティングでは単一の質問に対して直接的な回答を求めるのに対し、Chain-of-Thoughtプロンプティングでは複雑な問題を分解し、一つ一つのステップを順を追って進めることに重点を置きます。
Chain-of-Thoughtプロンプティングは複雑な問題を小さなステップに分解し、各ステップごとに論理的に進めることが特徴です。これにより、AIが問題をより深く理解し、正確な回答を導き出すことが可能になります。
また、各ステップが論理的に連鎖し、一貫性のある回答が得られます。これにより、回答の整合性が高まり、利用者にとって信頼性の高い情報提供が実現します。
Chain-of-Thoughtプロンプティングは、さまざまな状況や問題に適応する柔軟性を持っています。ビジネスの意思決定、学術研究、技術開発など、さまざまな分野での応用が可能です。
Chain-of-Thoughtプロンプティングのほかにも、順序だてて課題を解決していく深津式プロンプトシステムやゴールシークプロンプト(シュンスケ式)といったプロンプトシステムがあります。
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Chain-of-Thoughtプロンプティングと一般的なプロンプトの違い
Chain-of-Thoughtプロンプティングは以下の点で他のプロンプティング手法と異なります。
論理的な思考プロセスの有無
Chain-of-Thoughtプロンプティングでは、AIモデルに複雑な問題を論理的に分解し、ステップごとに思考プロセスを経ることを求めます。一般的なプロンプトは、単一の質問や指示に対して直接的な回答を求める形をとります。そのため、AIは与えられた指示に基づいて即座に応答を行います。
Chain-of-Thoughtプロンプティングは、単に答えを出すだけでなく、その答えに至った過程を明示的に示すことが可能となります。ビジネスの意思決定において、AIによる提案の根拠を明確に説明できることは大きなメリットです。
ステップバイステップのプロンプト入力
モデルに直接質問や命令を与え、一度で回答を求める一般的なプロンプトと比べ、ステップバイステップ形式でモデルに指示を与えるのもChain-of-Thoughtプロンプティングの特徴です。
これにより、AIモデルは各ステップで与えられた情報を十分に処理し、より精度の高い応答を生成することができます。複雑な業務フローの自動化などに有効に活用できるでしょう。
推論の透明性
一般的なプロンプトと比べ、Chain-of-Thoughtプロンプティングは、AIモデルが思考過程を明確に説明するため、応答に至るまでの思考プロセスの透明性が向上します。この特長は、AIを活用する上で説明責任が求められる場面、例えば金融や医療分野での意思決定支援などに特に有用です。推論過程の透明性を確保することで、AIへの信頼性を高めることができます。
従来のプロンプトとChain-of-Thoughtプロンプティングの違いを示す実例
従来のプロンプトとChain-of-Thoughtプロンプティングの違いを示すために、以下の課題について検討してみましょう。
課題:2023年1月1日が日曜日だった場合、同年の12月31日は何曜日か?
従来のプロンプトでは以下のように指示します。
“2023年1月1日が日曜日だった場合、2023年12月31日は何曜日ですか?”
上記プロンプトに対するAIの応答は以下になりました。(Claude Opusでの例)
“2023年12月31日は日曜日です。”
一方、Chain-of-Thoughtプロンプティングを用いた場合は以下のようになります。
“2023年1月1日が日曜日だった場合、2023年12月31日が何曜日になるか、以下の手順で考えてください。
1. 2023年が平年か閏年かを判断する。
2. 2023年1月1日から12月31日までの日数を計算する。
3. その日数を7で割った余りを求める。
4. 余りと曜日の対応関係から、12月31日の曜日を導く。”
上記のようにChain-of-Thoughtプロンプトで入力すると、生成AIは以下のように応答しました。(Claude Opusでの例)
”1. 2023年は平年です。なぜなら、西暦年が4で割り切れる年は閏年ですが、例外として西暦年が100で割り切れて400で割り切れない年は平年だからです。2023年は4でも100でも400でも割り切れないので平年です。
2. 平年の日数は365日なので、2023年1月1日から12月31日までは365日間です。
3. 365を7で割ると、商が52、余りが1になります。
4. 2023年1月1日が日曜日で、それから364日(52週)が経過したということは、2023年12月30日も日曜日になります。そこからさらに余りの1日を進めると、2023年12月31日は月曜日になります。
よって、2023年1月1日が日曜日だった場合、2023年12月31日は月曜日になります。”
上記の例からわかるように、従来のプロンプトではAIに直接的な回答を求めるのに対し、Chain-of-Thoughtプロンプティングではステップバイステップで問題を分解し、各ステップで論理的な思考を促しています。これにより、AIモデルは単に答えを出すだけでなく、その思考の過程を明示的に示すことができるのです。
この特長は、ビジネスにおいてAIによる提案や意思決定の説得力を高める上で非常に有益だと言えるでしょう。
なぜ企業でChain-of-Thoughtプロンプティングが必要?
注目を集めるChain-of-Thoughtプロンプティングですが、その必要性はまだまだ理解が進んでいません。ここでは3つの必要性について解説します。
複雑なビジネス課題に適応する
現代におけるビジネス課題はさらに複雑化しています。従来のプロンプティング手法では、これらの複雑な問題に十分に対応することが難しい場合があります。その中で、Chain-of-Thoughtプロンプティングを活用することで、複雑な問題にも段階的に対応することが可能になります。
回答の一貫性の向上
一般的なプロンプトでは、各質問が独立しているためAIの回答が一貫性に欠ける場合があります。これは、前後の質問と回答の連携が不足することが原因です。Chain-of-Thoughtプロンプティングでは、各ステップが論理的に連鎖し、前のステップの結果が次のステップに反映されるため、回答の一貫性と信頼性が向上します。
これにより、AIの回答の一貫性と信頼性が大きく向上するのです。ビジネスにおける意思決定において、AIによる提案の信頼性は非常に重要な要素であり、Chain-of-Thoughtプロンプティングの活用は大きな意味を持ちます。
誤答の減少
従来のプロンプトでは、AIが表面的な情報に基づいて回答を生成することが多く、誤答のリスクが高くなります。特に、専門的な知識を要する分野での活用においては、誤答が重大な影響を及ぼす可能性があります。Chain-of-Thoughtプロンプティングでは、問題を段階的に分解し、各ステップで詳細な分析を行うため、誤答のリスクが減少します。
関連記事:「AIのハルシネーションとは?原因は?リスクを抑える方法を徹底解説!」
Chain-of-Thoughtプロンプティングがおすすめな企業での活用シーン
Chain-of-Thoughtプロンプティングは、あらゆるビジネスシーンで活躍します。以下は具体的な例です。
複雑なビジネス戦略の立案
ビジネス戦略の立案には、さまざまな要素を考慮し、複雑な問題を解決する必要があります。Chain-of-Thoughtプロンプティングを使用することで、戦略の各要素を段階的に分析し、論理的に一貫した戦略を構築することができます。
学術研究のデータ分析
Chain-of-Thoughtプロンプティングを使えば、膨大な研究データの分析を各ステップごとに論理的に進めることができます。結果、より正確で一貫性のある結論を導き出すことが可能です。また、分析プロセスの透明性があがります。
クリエイティブなコンテンツ制作
クリエイティブなコンテンツ制作では、アイデアの発想から構成の作成、最終的な制作まで、複数のステップが必要です。Chain-of-Thoughtプロンプティングを使用することで、アイデアを段階的に展開し、論理的に一貫したコンテンツを作成することができます。
研修やトレーニングの計画
研修やトレーニングの計画において、学習目標の設定からカリキュラムの構築、評価方法の策定まで、多くの要素を考慮する必要があります。Chain-of-Thoughtプロンプティングを活用することで、各ステップを論理的に進め、効果的な研修プログラムを構築することが可能です。
Chain-of-Thoughtプロンプティングについてよくある質問まとめ
- Chain-of-Thoughtプロンプティングの必要性とは?
- 複雑なビジネス課題に適応する
- 回答の一貫性の向上
- 誤答の減少
- Chain-of-Thoughtプロンプティングがオススメな場面は?
- 複雑なビジネス戦略の立案
- 学術研究のデータ分析
- クリエイティブなコンテンツ制作
- 研修やトレーニングの計画
まとめ
Chain-of-Thoughtプロンプティングは、複雑な問題を段階的に解決するための強力な手法です。この手法を用いることで、AIの回答の精度と一貫性を向上させ、ユーザーの負担を軽減し、効率的な問題解決が可能となります。
Chain-of-Thoughtプロンプティングを理解し、適切に活用することで、AIの能力を最大限に引き出し、複雑な問題も効率的に解決することができます。
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