アノテーション代行サービス「TASUKI」を2021年2月に提供開始したSBイノベンチャー株式会社(2022年4月からはソフトバンク株式会社として提供)。同社では、簡単に依頼ができ、アジャイル型で柔軟に対応が可能な アノテーションサービスを提供しています。
今回は、そのSBイノベンチャー株式会社が提供する「TASUKI」の事業責任者である佐藤哲太さんにお話をお伺いしました。
アジャイル型アノテーションサービスを提供 ■今回、TASUKIの提供を開始された背景を教えて頂けますか?
—佐藤さん
「私は前職で製造業の生産管理や改善活動等を行う部門にいました。その中で、職人や技能に依存する風土が根付いていることを肌で感じ、その文化を変えていきたいと思ったときに、AIがゲームチェンジャーになるのではないかと感じ、AIに力を入れているソフトバンクへ転職しました。
そのため、志としては「AIで製造業などいろいろな産業の生産性向上、技能依存をなくす」 という思いがあります。
その後実際にソフトバンクでAIプロジェクトに携わっている中で、実態としてはAIエンジニアが煩雑なデータ処理業務に追われており、プロジェクトが思うように進んでいかない、という現実を目の当たりにしました。そこで、まずはこのデータ処理の問題を解決しないと、自分自身が本当に実現したい社会に辿り着かない、と感じまして、このTASUKIサービスを立ち上げました。」
■では、TASUKIの概要を教えて頂けますか?
—佐藤さん
「TASUKIは、ソフトバンクのAIエンジニアが、「こんなアノテーションサービスがあったらいいな」と考える意見を集約したアノテーションサービス になっています。
従来のアノテーションサービスは、事前にアノテーション要件や納期を決めてアノテーション作業に取り組むウォーターフォール型がメインになっていると思います。但し、依頼する企業も、収集データをすべて見られているわけではないので、すべてのデータパターンを想定した要件を最初から構築することは困難です。
そのため、TASUKIのアノテーションサービスはアジャイル型のアノテーション代行サービス として提供しています。さくっと簡単に頼めて、作業しながらアノテーションマニュアルを洗練させていくことができるサービスです。
具体的には、お客様にTASUKIのアノテーション管理ツールを提供し、そこで簡単にアノテーション要件を設定して頂くことで、弊社が提供するアノテーションリソースを活用して、アノテーションを実施することができるようになります。」
TASUKIサービスイメージ —佐藤さん
「他社のアノテーションツールサービスを利用する場合は、アノテーション作業者を社内で確保する必要があり、ツール提供のないアノテーション代行サービスの場合はリソースは提供されるものの、データがお客様に残らないといった形になります。
TASUKIサービスは、その中間に位置するイメージで、ツールとアノテーションリソースを合わせて提供することで、お客様にデータやノウハウを残しつつ、アノテーション作業もすぐに実施することができるようになります。
アノテーションリソースは、ソフトバンクのグループのパートナーオフショア会社や個人のクラウドワーカーなどを、お客様のご要望に合わせて組み合わせて提供しています。 また、ツール上ではバウンディングボックス、セグメンテーション、キーポイントアノテーションが可能です。」
■強みを教えて頂けますか?
—佐藤さん
「1つ目は、SaaS型の画面から、簡単に発注することができる ようになっています。 過去の受注実績に基づいて、必要なアノテーション要件項目をお客様にレコメンドしながらアノテーションマニュアルを簡単に作成できるようになっています。これによって、お客様はポチポチと選択するだけでアノテーションマニュアルが作成できます。
もう1つは、作業中に作業マニュアルを洗練させていくことができる点です。 データに紐づけて作業者と依頼者が簡単にコミュニケーションができるオリジナルチャットツール が付いています。
また、リアルタイム検品機能も提供 しており、お客様がいつでも成果物を確認することができるようになっており、いつでもコメントを付けて作業修正を依頼することができるようになっています。この際、作業者の自信度を数値化して、自信度の低いものを上に出すことでリアルタイム検品が行いやすい機能も提供しています。 これによって、依頼時に持っていなかった潜在要件や作業者側の誤解などをなくして、品質を向上させることが可能です。
また、お客様とのやり取り実績や依頼実績などのデータを元に、AIで発展させていくことができるようにもなっています。これによって、使えば使うほど便利になっていきます。 例えば、レコメンド機能を実装中なのですが、お客様が簡単発注をする際に、お客様の業種・業界などを元に、TASUKIの過去のデータから推奨要件を自動提示するなどして、お客様の作業要件がより洗練されたものになる、というイメージです。」
リアルタイム検品イメージ ■どのような企業様に向いているサービスでしょうか?
—佐藤さん
「TASUKIサービスとして一番お客様からの評価が高いポイントとしては、例えば猫と犬と言った簡単なラベル付ではなく、加工肉のラベル付けなど、ラベル付けの判断が難しく、事前の要件で定義しきれなかったり、作業者の判断にゆらぎが生じる可能性のあるデータに対して、作業者が自己判断でラベル付けを行うのではなく、リアルタイムでお客様に確認を取りながら、適切にラベル付けを進めることができるという点です。
そのため、こういったラベル付けの難易度が高いデータを扱う会社様には非常に高評価 を頂いています。」
■これまでの実績を教えて頂けますか?
—佐藤さん
「まずソフトバンクのAIエンジニアの「あったらいいな」を集めていることもあり、ソフトバンク内部のAI開発との連携が多いです。もちろんグループ外のお客様への実績もあります。
具体的な案件概要としては、いただいたお客様データにラベル付けをする一般的なアノテーション作業もありますし、1,000人弱の手書き文字データの収集からアノテーションまで一気通貫で提供した実績もあります。
アノテーション作業に拘らず、お客様のご要望に応じ、私たちのパートナ会社の作業者でできることは提案させていただいています。」
■どのような価格で提供されていますか?
—佐藤さん
「現在は1データ60円〜、で提供しています。初期費用や管理費用は一切かかりません。
また、100枚などの少量のアノテーション作業でも現在は対応していますので、ぜひご相談頂きたいです。」
■今後の展開を教えて頂けますか?
—佐藤さん
「まだ言えないことが多いのですが、今後は、作業者と依頼者をよりシームレスに繋ぐための機能や、アノテータがより成果を発揮できるための作業機能、評価機能等をAI・データを活用して発展 させていきます。」
–ありがとうございました。
今回は、アノテーション代行サービスTASUKIを提供するSBイノベンチャー株式会社へのインタビュー記事でした。
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