富士通、東洋大学、ココロバランス研究所が共同でカスハラ対策の新AIツールを開発
最終更新日:2024年12月12日
2024年12月11日、富士通株式会社は東洋大学、ココロバランス研究所と共同で、カスタマーハラスメント(カスハラ)への対応力向上を目指す教育プログラムの実証実験を12月3日より開始したと発表した。
このプログラムは富士通の生成AI技術と行動変容支援技術、東洋大学の犯罪心理学の知見を組み合わせたAIツールに、新たにインタラクティブフィードバック機能を追加。2025年度の実用化を目指し、富士通コミュニケーションサービスのコールセンター従業員を対象に検証を行う。
<本ニュースの10秒要約>
- 生成AIと犯罪心理学、精神保健学を組み合わせた独自のカスハラ対応教育プログラムの実証実験開始
- AIアバターによるインタラクティブなフィードバック機能の実装による、個別最適化された実践的な学習支援
- 心理尺度による教育効果の定量的評価と、2025年度のサービス実用化を目指した実証実験の実施
カスハラ対策の社会的背景と課題
近年、カスハラは深刻な社会問題となっており、サービス業従事者の46.8%が直近2年以内に被害を経験し、その半数近くが心身への持続的な悪影響を報告している。
2023年9月には厚生労働省がカスハラによる精神障害を労災認定基準に追加し、2024年10月には東京都で全国初のカスハラ防止条例が可決された。こうした状況下で、組織による従業員保護の取り組みが急務となっている。
AIツールの特徴と実証実験の内容
富士通が開発したAIツールは、生成AI技術によりカスハラの疑似体験を提供し、体験者の心拍や呼吸などのバイタルデータと発話データをリアルタイムに分析する。
新たに追加されたインタラクティブフィードバック機能では、AIアバターが体験者との対話を通じて個別の改善点を提案する。実証実験では、コールセンターの現役オペレーターを対象に、顧客対応力やストレスマネジメント力の変化を測定し、プログラムの効果を検証する。
三者の連携による科学的アプローチ
実証実験では、富士通がAIツールの開発と実験データの収集分析を担当し、東洋大学が犯罪心理学に基づく体験シナリオとフィードバックの設計を行う。
ココロバランス研究所は、カスハラ対応に特化した新しい心理尺度を開発し、教育効果の定量的評価を実施する。この三者連携により、科学的根拠に基づいた効果的な教育プログラムの開発を目指す。
AI Market の見解
富士通らの取り組みは、生成AIと人文科学の知見を組み合わせた新しい教育アプローチとして注目に値する。特にリアルタイムのバイタルデータ分析とAIアバターによるインタラクティブなフィードバックの組み合わせは、従来の研修プログラムにない実践的な学習体験を提供する。
カスハラ対策への社会的関心が高まる中、このような科学的アプローチによる教育プログラムは、労働環境の改善に大きく貢献する可能性を持つ。今後は実証実験の結果を踏まえた効果検証と、他業種への展開可能性が注目される。
参照元:FUJITSU
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