GEヘルスケア・ジャパンと愛媛大学、乳がんの良悪性鑑別を人工知能と画像データで改善へ
最終更新日:2022年12月21日
GEヘルスケア・ジャパン株式会社は、2022年12月6日、同社が国立大学法人愛媛大学と実施してきた乳がん高精度診断に向けた共同研究について、初期検討結果を発表した。
GEヘルスケア・ジャパンは、GEヘルスケアの中核拠点を担うヘルスケア企業であり、乳がんの早期発見・診断精度向上に向けた共同研究を2021年より愛媛大学と行っている。今回の発表では、これまでの検査では鑑別が困難であった乳腺病変の良悪性鑑別について、人工知能で改善できる可能性が示唆されたことが明らかにされた。
<本ニュースの10秒要約>
- これまでの画像検査では困難であった乳腺病変の良悪性鑑別を、人工知能技術を用いて改善
- 病院で得られた乳腺病変の画像データを人工知能で解析、良悪性を鑑別できる可能性があると判明
- 患者に強い身体的負担と心理的ストレスを与える従来の診断法の課題を解消、検査コストの抑制も
病変の良悪性を高精度で鑑別できる検査法が望まれていた
2019年における日本女性の乳がんの罹患数は97,142であり、全がん種の中で最も多い。死亡数も年々増加しているため、早期の対策が求められている。しかし、乳がんの早期発見および良悪性の鑑別については、長らく課題が存在した。
検診で乳がんの疑いがある病変が発見された場合、精密検査として超音波検査やMRIなどの画像検査が行われる。この画像検査において、「良性と悪性との区別が難しい」「悪性でも良性と紛らわしい」といった課題が生じることも、現状では少なくない。
悪性がある程度疑わしい結果は、病変の組織を採取して病理組織学的診断が行われるが、この組織採取の作業も患者には強い身体的負担と心理的ストレスを与える。こうした苦痛/ストレスから患者を守るためにも、病理組織学的診断の前段階で病変の良悪性を高精度で鑑別できる検査法の開発が望まれていた。
画像データから乳腺病変の良悪性を鑑別できる可能性
乳がんの早期発見および良悪性鑑別に関する課題を解決すべく、GEヘルスケア・ジャパンと愛媛大学は非侵襲的な検査方法の開発を目指して共同研究を開始した。
この研究では、愛媛大学医学部附属病院で得られた乳腺病変の画像データを活用し、人工知能技術を用いた解析を実施。結果、画像データから乳腺病変の良悪性を鑑別できる可能性があることが判明した。
この結果から両者は、精密検査の際に撮影するMRIに人工知能技術を活用すると、高い精度で病変の良悪性を鑑別できる可能性があると期待。将来的には、生検による患者の身体的負担や心理的ストレスを低減し、また検査コストの抑制にも繋がる得ると考えている。
高精度診断の社会実装に向け、共同研究に取り組む
今回発表した研究成果について愛媛大学は、人間の目では認識/解釈が困難な情報を認識/処理できる人工知能に強い期待を持ち、生検回避などの実現に向けて引き続き研究を重ねるとしている。GEヘルスケア・ジャパンも、乳がんの診断課題克服に繋がり得る今回の結果を喜び、高精度診断の社会実装に向けた共同研究に取り組むとしている。
なお両者による今回の研究発表は、第42回医療情報学連合大会(第23回日本医療情報学会学術大会)において行われた。
参照元:PRTIMES
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