日立ハイテクソリューションズと日立造船、AI制御システムによるごみ焼却発電施設の長期運転に成功
最終更新日:2024年06月02日
株式会社日立ハイテクソリューションズと日立造船株式会社は、2023年1月26日、AI制御システムによるごみ焼却発電施設の長期運転に成功したと発表した。
このAIシステムは、ボイラ過熱蒸気の過去の状態変動パターンを学習することで、過熱蒸気の最適温度帯予測と先行的制御動作を可能にしたものだ。施設の発電効率を向上させることで、省エネルギー化やカーボンニュートラルに貢献し得るシステムとなっている。
<本ニュースの10秒要約>
- ボイラ過熱蒸気の過去の状態変動パターンを学習したAI制御システムで、ごみ焼却発電施設を約3か月運転
- 日立製作所が開発した強化学習技術を活用、過去のプロセス運転データのみで制御の学習モデルを構築可能
- 実証の成功を受け、AI制御システムを「RL-Prophet」として製品化。一般産業などに向けた展開も構想
日立ハイテクソリューションズと日立造船
日立ハイテクソリューションズは、日立グループが長年培ってきた制御・運用技術と、グローバルの先端技術を取り入れた情報技術とを融合した製品/サービスを展開している企業だ。計測・制御機器や通信設備のソフトウェア開発を手がけると共に、工場自動化システムの開発なども行うことで、社会インフラや産業分野における課題解決を支援している。
日立造船は、舶用エンジンに加えてごみ焼却発電施設/海水淡水化プラント/上下水・汚泥再生処理プラントなどの設計・製作も手がける企業だ。環境に配慮した事業展開に積極的であり、脱炭素化を図った舶用ディーゼルエンジン
の製造を進める共に、リサイクル施設のプラント納入などで環境技術のネットワークも構築している。
ごみ焼却発電施設をAI制御することで、GXへの貢献が可能に
両社は、ごみ焼却発電施設をAIによって制御することでGX(グリーントランスフォーメーション)への貢献が可能になると考え、そのためのシステム開発を開始。株式会社日立製作所が開発した強化学習技術を活用し、過去のプロセス運転データのみを用いてプラント制御の学習モデルを構築することが可能なシステムを実現するに至った。
同システムでは、AIによって現時点における最適な制御則をリアルタイムで導き出すことが可能だ。後追い型の制御技術・PIDが採用されていることが多い一般的なプラント制御システムとは異なり、実プラントでの試行錯誤的な繰り返し運転を行う必要もない。日立の強化学習技術は、変動の大きいプラント制御に強みを持っており、この点もリアルタイムのプラント制御に力を発揮した。
運転中にこれまで経験したことがない新たな挙動が発生した場合は、このAI制御システムでは「未学習」と判定する。その上で、運転に有効な挙動であれば新たなAIモデルとして登録することで、より優れた制御システムへの「成長」することもできる。
AI制御システムを「RL-Prophet」として製品化、導入拡大を図る
両社が開発したAI制御システムは、 はだのクリーンセンターから協力を得る形で実証実験が行われた。この実証では、日立ハイテクソリューションズがシステムの開発と実装を、日立造船がプラント制御への適用を、それぞれ担当。実証の結果、同システムは最終的に約3か月(休炉を除く連続期間90日)の長期運転を達成した。
実証の成功を受けて日立ハイテクソリューションズは、このAI制御システムを「RL-Prophet」として製品化。今後は、
ごみ焼却施設の様々なプロセスにおける導入拡大を図る。また、一般産業などに向けた「RL-Prophet」の展開も構想しており、同システムの活用を通してGXへの貢献や、熟練者減少や労働力不足といった社会課題の解決支援にも取り組むとしている。
参照元:PRTIMES
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