カゴメとNEC、少量多頻度灌漑に対応したAI営農アドバイスと自動灌漑制御サービスを提供開始へ
最終更新日:2022年10月25日
カゴメ株式会社は、2022年10月20日、少量多頻度灌漑に対応したAI営農アドバイスおよび自動灌漑制御サービスの提案を、NEC(日本電気株式会社)と設立した合弁会社を通じて本年11月より開始すると発表した。
このサービスは、AIを活用して営農現場の水不足問題に対応し、環境に優しく収益性の高い営農を促進するというものだ。提供を担う合弁会社はDXAS(DXAS Agricultural Technology LDA)であり、AIを活用して加工用トマトの営農を支援すべく同年9月に設立されている。
<本ニュースの10秒要約>
- 最適な水分量の判断が難しい少量多頻度灌漑をAIで支援し、営農現場の水不足問題に対応
- 熟練者のノウハウなどを習得したAIが、農家にアドバイスを提供する「CropScope」を活用
- 約15%少ない灌漑量で約20%の収穫量増加を実現、加工用トマト市場に向けて展開
農業の水不足に対応する、少量多頻度灌漑
近年、温暖化による気候変動などの影響を受ける形で、農業生産者は苦境に立たされている。中でも深刻なのが、水不足の問題だ。世界各地で発生している干ばつは、農作物の栽培に与える打撃が特に大きい。持続可能な農業を今後も実現して行くためには、水不足への対策が喫緊の課題となっていた。
こうした状況に対応する栽培手法として注目を集めているのが、少量多頻度灌漑だ。この少量多頻度灌漑は、作物が必要とする量の水や肥料を多数回に分けて少しずつ与え、作物にとって最適な土壌水分量を保つ手法を指す。この手法であれば、消費する水の量を削減しながら収穫量を増やすことも可能となる。
しかし少量多頻度灌漑は、土壌において刻々と変化する最適な水分量の判断が難しいという課題がある。また、広大かつ複数の圃場を保有する生産者にとっては管理が複雑で作業負荷も大きい。こうした事情から、少量多頻度灌漑は普及が進んでいなかった。
AIがアドバイスする「CropScope」を活用し、少量多頻度灌漑を普及
少量多頻度灌漑の普及における課題を解消すべく、カゴメとNECはAIを活用した実証事業を開始した。実証では、水・肥料のAI営農アドバイス機能などを備えたNECの農業ICTプラットフォーム「CropScope」が活用されている。
「CropScope」は、熟練者のノウハウや営農支援ノウハウなどを習得したAIが、農家や営農指導者にアドバイスを提供するサービスだ。センサーや衛星写真から得たデータを解析して圃場の可視化を進め、栽培リスクの低減や収穫調整、生産性向上などを支援する。
両社は2022年4月より、「CropScope」を用いた少量多頻度灌漑の実証試験をポルトガルにて実施。結果、約15%少ない灌漑量で約20%の収穫量増加を実現した。
欧州・米国・オーストラリアの加工用トマト市場に向けて提供
実証試験で得られた成果を踏まえてカゴメとNECは、少量多頻度灌漑に対応したAIサービスの提供開始を決定した。提供は「CropScope」に機能を追加する形で行われ、灌漑設備と連携して水や肥料をリモート・自動で制御する自動灌漑制御機能も備える。
DXASを通じた同サービスの提供は、主に欧州・米国・オーストラリアの加工用トマト市場に向けて行われる予定だ。2022年11月より提案を進め、2023年4月から本格展開を図るとしている。
参照元:PRTIMES
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