ローンの審査業務をAIが代行。三菱総合研究所「審査AIサービス」、めぶきフィナンシャルグループに正式導入へ
最終更新日:2022年11月14日
株式会社三菱総合研究所は、2022年11月14日、同社の「審査AIサービス」導入について株式会社めぶきフィナンシャルグループと正式に合意したと発表した。
「審査AIサービス」は、融資審査の諾否判定を学習したAIシステムにより、金融機関における審査業務のDXを支援するサービスだ。今回の合意を経て同サービスは、めぶきフィナンシャルグループにおける住宅ローンおよび無担保ローンの審査業務にて導入される。
<本ニュースの10秒要約>
- これまで人間が担っていた融資の可否判断を、諾否判定のデータを学習したAIが代行
- 各案件に対してAIが承認確率を算出、50%~80%の案件は自動・リアルタイムで回答可能
- めぶきフィナンシャルグループでの実証で既に評価を獲得、さらなる高度化も目指す
金融業界においてもDX推進は必要、AIの実証を2021年より開始
三菱総合研究所は、三菱系列のシンクタンクグループとしてシンクタンク事業やコンサルティング事業を手がけると共に、ICTソリューション事業も展開している。デジタル業務改革を通じたビジネスの再構築を支援すべくDX事業にも取り組み、データ駆動経営サービスなども開発・提供。データ分析・AIの民主化基盤である「SADP」も提供している。
同社は、経営環境の激変や競合状況の熾烈化が進む金融業界においても、DX推進は必要であると判断。中でも、リテールローン商品の融資審査業務には、DXによる「回答スピード」「効率性」「客観性」の向上が必須であると考え、同じ課題意識を持つめぶきフィナンシャルグループと共に「審査AIサービス」の実証を2021年より開始するに至った。
ローン審査をAIが代行、各金融機関のクレジットポリシーも再現
三菱総合研究所の「審査AIサービス」では、これまで人間(審査官)が担っていた審査の諾否判定(融資可否の判断)を、AIが代わって行う。同サービスには、諾否判定のデータを学習したAIモデルが搭載されており、申し込みを受け付けた各案件に対して承認確率を算出。金融機関はこの値に応じて業務フローを制御することができ、全体の50%~80%程度の案件は人間の審査なしで自動・リアルタイムの承認回答が可能となる。
「審査AIサービス」のAIモデルはまた、諾否判定に必要な全ての情報を用いて各金融機関のクレジットポリシーを再現する点も、大きな特徴だ。このため同サービスは、「信用スコアリング+システム上のルールチェック」といった従来型のシステムより大幅な自動化率の向上を実現した。
「審査AIサービス」のAIシステムは、金融機関の審査業務システムに連携する形で稼働する。連携はAPIによって行われるため、審査業務システム側はインターフェースなどの小規模な改修のみで導入が可能だ。金融機関ごとに独立したAIシステムを構築するため、モニタリングやメンテナンスが行いやすいという利点も持つ。
さらなる高度化へ向けて、AIモデルの性能やユーザビリティを向上
「審査AIサービス」の実証は、めぶきフィナンシャルグループに属する株式会社常陽銀行と株式会社足利銀行の住宅ローンおよび無担保ローン業務において、めぶき信用保証株式会社が取り扱う案件を対象として実施された。この実証において同サービスは、判別性能の高いAIモデル構築を実現し、人間による審査の代替が可能であるという評価を獲得。この評価を基にして今回、導入の正式合意に至っている。
この導入は、2022年11月より開始されるシステム開発・受入テストを経て、2023年12月より実務への適用が始まる予定だ。三菱総合研究所は今後、AIモデルの性能やユーザビリティを向上させ、「審査AIサービス」のさらなる高度化を図るとしている。
参照元:PRTIMES
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