NECがAIで再生プラスチック製造を効率化、経験の浅い作業員でも作業時間を半減
最終更新日:2024年10月24日
NECと丸喜産業は2024年10月24日、マテリアルズ・インフォマティクスの技術を応用した再生プラスチック製造の効率化に関する実証実験の結果を発表した。
2024年9月に実施された実験では、廃プラスチックの配合と調色において、経験の浅い作業員の作業時間を約50%短縮できることを確認した。両社は今後、この成果をもとにソリューション開発を検討しており、2025年を目標にプラスチックリサイクル業界への展開を通じて、サーキュラーエコノミーの実現に貢献する方針だ。
目次
<本ニュースの10秒要約>
- NECのマテリアルズ・インフォマティクス技術により、再生プラスチック製造の作業時間を最大50%短縮
- 熟練作業員の知識をAIシステムに活用し、経験の浅い作業員でも高精度な配合・調色が可能に
- 2025年を目標に、プラスチックリサイクル業界向けソリューションの提供開始を予定
開発背景と技術的特徴
プラスチックのリサイクル工程において、配合工程は特に熟練作業員の知識と経験が必要とされる重要な工程だ。日々受け入れる少量多品種の廃プラスチックから、顧客の求める強度、加熱流動性、色などの性能や量に応じて最適な配合を決定する必要がある。
NECと丸喜産業は、丸喜産業が創業以来培ってきた配合データと、NECのバイオプラスチック開発の知見およびマテリアルズ・インフォマティクスの技術を組み合わせ、廃プラスチックの配合案と調色案を提示するシステムを開発した。このシステムは、希望の性能や色を入力することで、日々変動する廃プラスチックの在庫に合わせて最適な案を提示することが可能だ。
実証実験の結果と効果
実証実験では、システムが提示した配合案と調色案が実用に十分な精度を持つことが確認された。具体的な効果として、廃プラスチックの配合検討・決定と、調色用の顔料の検討・試作・決定にかかる時間が、知識や経験が豊富な熟練作業員では約33%、経験の浅い作業員では約50%短縮されることが実証された。
この結果は、プラスチックリサイクル現場における熟練作業員の知識継承や人手不足解消、在庫管理などの課題解決に大きく貢献するものだ。
今後の展開と期待される効果
両社は2025年を目標に、プラスチックリサイクルに携わる企業に対してコンサルティングを起点としたソリューションを提供する計画だ。このソリューションを通じて、廃プラスチックの効率的かつ循環的な利用を推進する。
また、再生プラスチックの製造に関する情報の一部を開示可能にすることで、AIによる再生プラスチック素材の高付加価値化を生み出し、活用範囲の拡大を目指す。両社は業界の垣根を越えた共創活動を推進することで、サーキュラーエコノミーを加速し、社会課題の解決に取り組む方針を示している。
AI Market の見解
NECと丸喜産業による本プロジェクトは、マテリアルズ・インフォマティクスの実用化における重要な成功事例だ。技術的には、熟練作業員の暗黙知をAIシステムに効果的に実装し、素材開発の知見とマテリアルズ・インフォマティクスを組み合わせることで、高度な判断を必要とする製造プロセスの効率化を実現している点が注目に値する。
特に、日々変動する廃プラスチックの在庫に対応できる柔軟性は、実用性の高さを示している。ビジネス面では、人手不足や技能継承といった製造業の共通課題に対する具体的なソリューションを提示しており、他の製造分野への応用可能性も高い。
さらに、環境負荷低減とビジネス効率化を両立させる点で、サステナビリティ経営のモデルケースとなり得る。
参照元:NEC
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