最終更新日:2023-12-08
大林組とKDDIスマートドローン、自律ドローンを活用した現場監理業務削減システムの実証実験に成功
株式会社大林組は、2023年12月7日、ドローンを活用した現場監理業務削減システムの実証実験をKDDIスマートドローン株式会社と共に実施したと発表した。
今回実証を行ったシステムは、目視外での自律飛行が可能な自動充電ポート付きドローンによって、建設現場/既存インフラの自動巡視を実現するものだ。ドローンの通信には、スペースX社が開発した衛星ブロードバンドインターネット「Starlink」を活用。実証では、現場監理業務の80%削減が確認され、官民研究開発投資拡大プログラムでA評価を獲得している。
<本ニュースの10秒要約>
- 目視外での自律飛行が可能なドローンによって、建設現場/既存インフラの自動巡視を実現
- 通信にはスペースX社「Starlink」を活用、撮影写真からの3次元点群モデル生成なども検証
- 建設現場監理者の管理業務を80%削減、官民研究開発投資拡大プログラムでもA評価を獲得
規制緩和を受け、監理業務を自律的に行うドローンシステムを開発
昨今、日本国内では就労人口の減少が顕著となり、社会問題として認識されるようになった。この状況を受けて日本政府は2022年6月、4,000項目におよぶ「アナログ規制」の見直しを発表。この見直し項目の中には、インフラ点検における目視規制の廃止や、定点カメラによる建築申請/現場巡視の代替なども含まれている。
政府が発表したこの規制緩和に対応すべく大林組は、現場監理/施設管理における複数の業務を自律的に行うドローンシステムの開発を、KDDIスマートドローンと共に2022年11月より開始。KDDIスマートドローンは、監視/配送/点検/測量といった領域においてドローンを活用したソリューションを提供している企業であり、「Starlink」をバックホール回線として活用するauエリア構築ソリューション「Satellite Mobile Link」も展開している。
ダム建設における現場監理の効率化が可能かどうかを検証
大林組とKDDIスマートドローンによる現場監理業務削減システムの実証実験は、三重県伊賀市の川上ダムにて2023年2月に実施された。KDDIスマートドローンの「Satellite Mobile Link」によって通信環境を構築した上で、同ダムに自動充電ポート付きドローンを設置して自律飛行させ、ダム建設における現場監理の効率化が可能かどうかを検証している。
実験内では、ドローンによる定期的な監視/測量フライトに加えて、地震発生時を想定したダム/貯水池の状況把握、また撮影画像のAI画像判定による建設現場の進捗状況判定などが行われた。さらに、撮影写真を基にした3次元点群モデルの生成も実施。現実世界のセンサー情報をサイバー空間で処理/分析/解析/知識化する大林組のCPS(Cyber Physical System)における管理についても、検証が行われた。
削減率は80%に到達、全国の大規模建設現場への導入を目指す
この実証実験の結果、ドローンを活用した現場監理業務削減システムは建設現場/既存インフラの巡視/点検/計測/異常検知を自動で行うことが可能であり、建設現場監理者の日常的な管理業務を大幅に削減できることが確認された。削減率は80%におよび、国土交通省からは技術の導入効果や社会実装の実現性について最高評価となるA評価を獲得している。
この現場監理業務削減システムについて大林組は、全国の大規模建設現場への導入を目指し、さらなる検証を進める予定だ。同システムによる複数のドローンの同時管理なども、今後検証を実施するとしている。
参照元:PRTIMES
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