AIとITの違いとは?今さら聞けない関係性を徹底解説!IoT・ICT・DXは企業をどう変える?
最終更新日:2024年09月23日
「これからはAI・ITの時代だ」という話を聞くことも多くなったのではないでしょうか?「AI」や「IT」といった用語が日常的に使われるようになりましたが、それぞれの意味や違いを正確に理解していない方も多いようです。
今後、社内で推進するときに、両者がビジネスに及ぼす影響の違いをきちんと知っておかなければ、真に自社に必要な施策を打つことができません。
そこでこの記事では、
AI Marketでは、
目次
AIとITの違いとは?
ITは英語の「Information Technology」の略語で、日本語では「情報技術」と訳します。コンピュータ技術の総称のことです。一方、AIとは英語の「Artificial Intelligence」の略語で、日本語では「人工知能」の意味です。両者ともビジネスの効率化や生産性向上、人手不足の解消に寄与するメリットがあります
「IT化」とは、これまでのアナログな作業をデジタル化すること、デジタルな枠組みを整備することを指します。一方AIは、人間に代わって様々な判断ができるコンピュータープログラムです。当然、コンピュータープログラムはPCや通信技術が整備されていなければ使用できません。ですから、AIは既にIT化(デジタル化)されていなければ導入さえできないのです。
つまり、ITとAIの特徴の違いとは、ITはデジタルの「枠組み(仕組み)」であるのに対して、AIはITの仕組みに組み込まれる「プログラム技術」であることです。
IT化とは?
IT化は、ハードウェア・ソフトウェア・通信技術を活用して、従来のアナログ的な企業の業務をデジタルに変えていくことです。例えば、ペーパーレス、キャッシュレス、オンライン会議などは多くの企業が進めているIT化の実例です。
ITはコンピューターやインターネット関連技術の総称であり、パーソナルコンピューター(PC)を中心とする情報技術が革新したことで広く知られるようになりました。
IT化は、ハードウェア・ソフトウェア・通信技術の3つの要素で進めていきます。効率化や生産性向上を目的としてIT化を進める企業が多く、2020年に行われた経済産業省の調査「中小企業のデジタル化に向けて」によると、生産性の高い企業はIT化への投資に積極的に取り組んでいることがわかっています。
AI化とは?
AI化は人間の仕事をAIに学習させ、業務をAIで遂行したり人間のヘルプを行わせることを指します。AIは大量のデータを解析して自ら考えて判断をすることができます。ビッグデータの登場により飛躍的に進化し、AIが囲碁で人間に勝ったことで話題になりました。現在ではスマートスピーカーなどのデバイスやAI搭載型の家電などが私たちの生活に浸透しています。
近年、問い合わせ先やサポート窓口をAIチャットが行うことや、ロボットにAIを搭載させることでロボットが自分で判断をして生産やサービスの提供を行うなど企業のAI化が進んできています。事業にAIを組み込むことで以下が可能になります。
- 生産性向上や人手不足の解消
- AIを使った新たな商品やサービスの開発・提供
- データ解析による経営戦略の策定
IT化が社内の既存の仕組みを変えてコストを削減し、競争力を高めることに主眼が置かれているのに対し、AI化は新たな商品やサービスの提供、経営戦略の策定など収益を得るための効果が主な狙いである点も大きな違いです。
ICTはITと同義で使われることが多い
ICTとは「Information and Communication Technology」の略語であり、日本語では「情報通信技術」と訳されます。ITに「Communication」の言葉が付け加えられたICTは、情報技術を用いて人や物事をつなげる技術のことをいいます。
例えば、今まで手書きしていた文書をPCで入力することがIT化で、その文書をメールなどで取引先や同僚に共有することがICT化といったイメージです。しかし、IT化でも情報通信を使用することが多く、実務上においてはITとICTを同義として扱うこともよくあります。
IoTとは?
IoTは「Internet of Things」の略語で、さまざまなモノがインターネットに接続されることを意味します。PCやスマートフォンなどの通信機器だけでなく、通信をすることが目的で無いモノもインターネットに接続できるようになりました。
IoTの技術を活用することで、モノ同士が相互に情報のやり取りを行ったり、インターネットを介してクラウドサーバとデータの連携ができるようになります。これにより、常に監視しないといけない場合でも遠隔でモニタリングすることや、複数の装置を制御して一連の流れを自動化できるようになります。
AIはIoTとの親和性が高い
AIとIoTはお互いなくてはならないと言える技術であり、両者の親和性が非常に高いのが特徴です。IoTの活用には、センサーから得られるあらゆる情報を読み取り、高度に処理をする機能が必要だからです。この高度な処理を行うのにAIが適しています。
反対に、AIの活用には様々なデータが必要になりますが、IoTで連携したセンサーやカメラから取得する情報が有用になります。また、インターネット上の膨大なデータと機械のデータを照合・比較することで、AI自身が考え判断することもできるようになります。
このようにAIとIoTは、組み合わせることでより大きな効果を生み出すことができる関係にあります。今後は、すでにインターネットに接続されている機械やモノにAIが組み込まれていき、生産性向上や新たな価値の創造につながっていくでしょう。
AIとIoTを連動させる方法とメリット、事例についてこちらの記事で解説しています。
IT化・DX化とAIの関係は?
DXは、情報技術(IT)を活用して新たな製品、サービス、ビジネスモデルを作って顧客に新たな価値を提供することです。総務省の『令和3年 情報通信白書』ではDXは次のように表記されています。
企業が外部エコシステム(顧客、市場)の劇的な変化に対応しつつ、内部エコシステム(組織、文化、従業員)の変革を牽引しながら、第3のプラットフォーム(クラウド、モビリティ、ビッグデータ/アナリティクス、ソーシャル技術)を利用して、新しい製品やサービス、新しいビジネスモデルを通して、ネットとリアルの両面での顧客エクスペリエンスの変革を図ることで価値を創出し、競争上の優位性を確立すること
DXは、スウェーデンのウメオ大学のエリック・ストルターマン教授が提唱した概念で「ITの浸透が、人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させる」ものです。もともとは私たちの普段の生活を対象とした概念でしたが、最近はビジネスのDXがあらゆる業種で求められています。
ITとDXの違い
DXをデジタル技術を活用した内部業務の効率化と捉えがちですが、それは実際にはIT化にあたります。IT化はデジタルの「枠組み(仕組み)」を整備し、生産性向上を目指すものです。これに対し、DXはクラウド技術やビッグデータなどを活用することによりビジネスモデルや社内の体制を変革することで、新たな価値を創出し競争上の優位性の確立を目指すものです。
本当のDXとは、ITやAIを活用して新たなビジネスモデルや新たな製品・サービスを生み出して、顧客に新たな価値を提供することです。ITが業務のデジタル化全般を指すのに対し、DXは企業の価値を高めるための、より攻める取り組みです。
DXの推進に効果的なAI
DXは、効率化・生産性向上既存を目的としたIT化だけでは達成できません。DXの推進にAIは重要な存在で、非常に効果的な技術です。
例えば、AIとIoTを組み合わせることで完全な無人店舗という新たなビジネスモデルをつくることができます。問い合わせの事例と解答をデータベース化すれば質問後すぐに解答することができ、待ち時間をなくすという新たな価値を提供することができます。
AIを用いたDX化は、業界ごとでそれぞれ特徴があり活用例も様々ありますので、まずは自社の業種でどのような例があるのか調べてみてはいかがでしょうか?
DXを進める方法、AIが果たす役割についてこちらの記事で解説していますので併せてご覧ください。
AI Marketでは、
あなたの会社で必要なのはIT化?AI化?
ITとAIについての特徴や違いについて説明してきました。では実際にIT化とAI化のどちらを進めていくべきなのでしょうか?
ここではIT化を進めるべき企業とAI化を進めるべき企業の特徴を整理していきます。
IT化を進めるべき企業
IT化を進めるべき企業は以下の特徴に当てはまる企業です。
- アナログ環境で業務をすることが多い企業
- 十分な予算の確保が現状難しい企業
アナログ環境で業務をすることが多い企業
以下の慣習がまだ残っているアナログな業務体制の企業は、IT化をまず進める必要があります。
- 紙媒体で業務を行う
- 情報の共有が人伝てや手書き
AIの活用には、ある程度のデジタル環境が必要になります。アナログ環境からいきなりAI化を進めてもうまく活用できないことが多いので、まずはIT化でアナログからデジタルに移行していきましょう。
十分な予算の確保が現状難しい企業
十分な予算の確保が現状難しい場合は、既存業務のIT化でコスト削減から進めていきましょう。AIを一から開発する場合コンサルティングから実装までにかかる費用が大きくなることがあるからです。既にある程度IT化が進んでいて予算の確保が難しい場合には、月額制のAIサービスの活用を検討してみると良いでしょう。
AI化を進めるべき企業
AIを進めるべき企業は以下の特徴に当てはまる企業です。
- 経営戦略、ビジネスモデルに限界がある
- レガシーシステムを使用している
経営戦略、ビジネスモデルに限界がある
自社の経営戦略や既存のビジネスモデルに限界を感じている場合、AIの活用が有効です。このような企業は、AIを活用することで新たな経営戦略やビジネスモデルを構築することができます。
過去の社内の膨大なデータや市場調査から、予測をして経営戦略を構築することはAIの得意分野です。既存のロボットやIT化している環境にAIを組み込むことで新たなサービスや自社独自の付加価値を生み出し、新たなビジネスモデルを構築することも可能です。
レガシーシステムを使用している
レガシーシステムとは、導入から長い期間が経過した旧型のシステムを指します。レガシーシステムを使い続けることで、2025年以降発生する経済損失が毎年最大12兆円になる「2025年の崖」という話があります。
レガシーシステムをリフォームするためには以下の工程が必要です。
1. 棚卸・スリム化
2. ソース変換
3. 比較テスト
4. 設計書再生
5.機能改善
上記工程をAIで補助して効率的に移行するという方法があります。IT化をしていてもシステムが古くなっていれば、AIを活用してシステムの刷新を進めていきましょう。
AIとITについてよくある質問まとめ
- AIとITの主な違いは何ですか?
AIとITの主な違いは以下の通りです。
IT(情報技術):
- デジタルの枠組み(仕組み)を整備
- アナログな業務のデジタル化が目的
- 主に効率化や生産性向上を目指す
AI(人工知能):
- ITの仕組みに組み込まれるプログラム技術
- 人間の判断を代替・支援する
- 新たな商品・サービス開発や経営戦略策定に活用
- DX(デジタルトランスフォーメーション)とIT化の違いは何ですか?
DXとIT化の違いは以下の通りです。
IT化:
- 既存の業務プロセスのデジタル化
- 主に内部業務の効率化が目的
DX:
- デジタル技術を活用した事業変革
- 新たな価値創出や競争優位性の確立が目的
- ビジネスモデルや組織文化の変革を含む
- クラウド、ビッグデータ、AIなどの先端技術を活用
- 企業がIT化とAI化のどちらを優先すべきか判断する基準は何ですか?
IT化とAI化の優先順位の判断基準は以下の通りです。
IT化を優先すべき企業:
- アナログ環境で業務を行っている
- 紙媒体や口頭での情報共有が主
- 十分な予算確保が困難
AI化を優先すべき企業:
- ある程度IT化が進んでいる
- 既存の経営戦略やビジネスモデルに限界を感じている
- レガシーシステムの刷新が必要
- 新たな価値創出や競争力強化を目指している
まとめ
ITとAIはどちらも生産性向上や人手不足の解消といったメリットがありますが、その性質が大きく異なります。ITはAI導入とDXを実現するためのいわば土台です。そのうえで、急激な社会の変化に対応するためにDXは重要になっています。実現できない新たな商品やサービスの開発、経営戦略の策定するためにAIを活用してDXを進める企業が増えています。DXに取り組む企業は、現在行っている事業へのAI導入を始めてみると良いでしょう。
ただし、まだアナログな処理が多い企業は、先にIT化を進めてデジタル環境を整えることが重要です。今後、IT化やAI化、DXを進めていく会社が増えていくのでしょう。
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