AIによる画像認識とは?画像解析との違い・精度・仕組み・種類・活用方法・注意点・最新動向を徹底解説!
最終更新日:2024年12月19日
AIを活用した画像認識技術は、製造業で画像判定による品質管理の自動化、小売業での在庫最適化、セキュリティ強化など、その応用範囲が拡大しています。
しかし、「導入コストが高そう」「自社に本当に必要なのか」「どれくらいの精度が出るの?」といった懸念をお持ちの経営者も多いのではないでしょうか。実は、AI画像認識の導入は想像以上に身近なものになっています。
この記事では、
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目次
画像認識AIとは?
「画像認識」は、形や色などの特徴を用いて、コンピュータが2次元(2D)または3次元(3D)画像に写るものが何であるかを認識する技術です。人間が「犬」「猫」「車」などの物体の特徴を学び認識する能力を模倣し、機械による認識能力の獲得を目指します。
従来は機械による画像認識の精度向上は困難とされ、画像上の似た特徴を持つ生物、例えば猫と犬を正確に識別することは難しい課題でした。しかし、AI(特にディープラーニング技術)と組み合わせることで、その認識精度は大幅に向上しました。
現在では、画像認識技術は様々な場面で活用されています。スマートフォンの顔認証システム、自動車の自動運転システム、製造ラインでの外観検査など、幅広い産業でその効果を発揮しています。
尚、動画解析においても、基本的には画像認識の技術がベースとなっています。
また、広い概念としては、画像認識技術はコンピュータビジョン技術の一種とも言えます。
画像解析との違いは?
画像解析とは、コンピュータを使って画像データから有用な情報を抽出し、分析・判断する技術です。画像から内面的・文脈的な詳細情報を読み取り、分析することに重点を置きます。
一方、画像認識は画像から特徴を抽出し、対象物を識別・分類する技術です。画像に写っているものが何であるか、どのような特徴があるかといった表面的な情報の識別に焦点を当てます。
画像認識と画像解析は対になって用いられることも少なくありません。また、近年は双方の分野でAIを活用するようになり、画像の認識から解析、分析を一連のスキームで行うことが多くなっています。そのため、画像認識と画像解析の間の垣根はほぼなくなっています。
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画像認識に使われるAIモデル
ディープラーニング(深層学習)の活用が、画像認識分野でのAI活用を一気に推し進めたと言っても過言ではありません。特に以下技術が現在の画像認識AIで重要なモデルです。
- CNN系(畳み込みニューラルネットワーク)
- YOLO
- GAN
- EfficientNet
- Vision Transformer(ViT)
- マルチモーダルモデル
CNN系(畳み込みニューラルネットワーク):ディープラーニングの画像認識特化モデル
ディープラーニングのなかでも、特にCNN(畳み込みニューラルネットワーク)は、画像のピクセルデータをそのまま利用し、人間が手動で特徴を選択することなく、自動的に画像の特徴を学習します。
代表的なCNNアーキテクチャには以下があります。
ResNet
ResNetは2015年に提案された深層CNNアーキテクチャで、スキップ接続を導入することで非常に深いネットワークの学習を可能にしました。
2020年に提案されたResNeStでは、分割注意メカニズムを導入したアーキテクチャで、より高い精度を達成しています。さらに2021年にGoogleが発表した改良版ResNet-RSでは、より効率的なトレーニングと推論を実現しています。
ResNet関連記事:「ResNetの特徴や仕組み、応用されたニューラルネットワーク手法、活用メリット・デメリットと活用分野について徹底解説」
VGG
VGGは2014年に提案されたシンプルで均一なアーキテクチャです。VGG-19 with Batch Normalizationではバッチ正規化を導入し、学習の安定性と速度を向上させました。
さらに、VGG-16 with Squeeze-and-Excitationでは、チャネル間の相互依存関係をモデル化し、性能を向上させています。
Faster R-CNN
Faster R-CNNは2015年に提案された高精度な物体検出モデルです。Faster R-CNNの中核はCNNによる特徴抽出です。バックボーンネットワークとして、ResNetやVGGなどの事前学習済みCNNを使用します。
R-CNN、Fast R-CNN、Faster R-CNNと進化する中で、CNNの特性を活かしながら効率化と精度向上を実現しています。
YOLO
YOLO (You Only Look Once)は物体検出に特化したモデルで、リアルタイム処理に適しています。2023年1月にUltralyticsが発表したv8は、物体検出、インスタンスセグメンテーション、画像分類などのタスクにも対応しました。
2023年以降、CLIPやGeminiのようなマルチモーダル化したLLM(大規模言語モデル)を活用してこれまでよりもより簡単に画像認識を行う、ということもできるようになってきています。
また、2024年2月にはYOLOv9が登場しています。
YOLO関連記事:「YOLOの概念、物体検出速度が早い理由、従来手法との違い、YOLOの特徴、メリット・デメリットについて詳述」
GAN
GANは2014年に提案された生成モデルです。生成器と識別器の2つのネットワークを競争させることで学習を行います。
高品質な画像生成が可能ですが、学習の不安定性が課題として残っています。
GAN関連記事:「敵対的生成ネットワーク(GAN)とは?Diffusionとの違いは?画像生成の仕組みや特徴を徹底解説!」
EfficientNet
EfficientNetは2019年にGoogleの研究者によって提案された、画像分類のためのCNNアーキテクチャです。複合スケーリング手法を用いてネットワークの幅、深さ、解像度を同時に最適化します。
少ないパラメータ数で高い精度を達成しており、モバイルデバイスへの導入に適しています。
Vision Transformer(ViT)
最近では、CNNに加えて、Vision Transformer(ViT)が注目されています。ViTは、自然言語処理で広く用いられているTransformerモデルを基に、画像認識タスクに応用したものです。
ViTでは、画像を小さなパッチに分割し、それぞれのパッチをTransformerの入力として扱います。この方法により、画像内の異なる部分間の関係をより深く理解することができ、特に大規模な画像データセットを用いたタスクにおいて高い性能を発揮します。
マルチモーダルモデル
マルチモーダルモデルは、画像、テキスト、音声など複数の形式のデータを統合的に扱うAIモデルです。複数のデータ形式を同時に処理し、相互の関係性を学習します。
以下のようなモデルが発表されています。
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AI画像認識の業界別活用方法一覧
AIを用いた画像認識の活用方法を業種ごとに説明します。
業界 | 活用方法 | 活用方法の説明 |
---|---|---|
製造業 | 不良品の検知(外観検査) | 製造ラインにおいて、製品の外観を分析し、傷や変形などの不良を自動的に検出 |
設備劣化の判定(予知保全) | 工場内の機械設備や生産ラインの状態を監視し、劣化や異常を早期に検出 | |
自動車・交通 | 自動運転支援 | 車載カメラからの映像をリアルタイムで分析し、道路状況、他の車両、歩行者などを認識 ※オプティカルフロー技術やセンサーフュージョン技術も活用 |
横断歩道の検出 | 地図データとを組み合わせて横断歩道を正確に検出し、歩行者の安全確保に貢献 | |
小売・流通 | 在庫管理 | 店舗の棚やバックヤードの画像を分析し、商品の在庫状況をリアルタイムで把握 |
顧客の視線解析(アイトラッキング) | 顧客が商品棚のどこを見ているか、どのように見ているか等を分析 | |
IT・ソフトウェア | バーチャルヒューマン | 生成AI(ジェネレーティブAI)を組み合わせて、リアルな外見と動きを持つバーチャルヒューマンを作成 |
セキュリティ | 生体認証 | 顔認識や虹彩認識などの生体情報を分析し、個人を特定 |
防犯カメラ | 危険エリアや進入禁止エリアなどへの侵入検知や不審行動検知 | |
建設・インフラ・公共事業 | インフラ点検 | ドローンで撮影した橋梁や建築物の画像を分析し、ひび割れや腐食を検出 |
安全管理 |
| |
非破壊検査 | 水道管やガス管の内部を撮影した画像を分析し、腐食や亀裂などの異常を検出 | |
環境保護 | 生態系モニタリング |
|
スポーツ | パフォーマンス分析 | 選手の動作を高精度カメラで撮影し、姿勢、スピード、角度などを詳細に分析。フォームの改善点や怪我のリスクを特定し、トレーニング計画の最適化に活用。 |
戦術分析 | 試合映像から選手の動きのパターン、ポジショニング、チーム全体の戦術的傾向を自動で分析。対戦相手の特徴や弱点を把握し、効果的な戦術立案に活用。 | |
審判の判定支援 | 高速カメラと組み合わせて、人間の目では判断が難しい接近したプレーや瞬間的な事象を正確に判定 | |
文化財保護・芸術 | 文化財管理 | 美術品の真贋判定や文化財の劣化状態モニタリング |
教育 | 学習支援 | 学習者の表情・姿勢分析による集中度の測定や手書き文字の認識による採点支援 |
農業 | 作物管理 | ドローンや衛星画像を用いた作物の生育状況モニタリング、病害虫の早期発見 |
医療 | 画像診断支援 | X線やMRI画像の分析による腫瘍や異常の検出、皮膚がんの早期発見 |
Eコマース | 購買行動分析 | 顧客行動分析やパーソナライズされた商品レコメンデーション、ビジュアル検索機能の提供 |
エンターテインメント・メディア | コンテンツの自動タグ付けと分類 | 動画や画像コンテンツ内の人物、物体、シーン、感情表現などを自動で認識し、適切なタグを付与 |
著作権侵害コンテンツの検出 | 画像・動画の特徴を分析し、著作権で保護されたコンテンツの無断使用や改変を自動的に検出 | |
視聴者の感情分析 | 視聴者の表情や反応をリアルタイムで分析し、感情の変化を追跡 | |
バーチャルキャラクターの生成 | 生成AIを組み合わせて、リアルタイムでの表情変化や自然な動きを持つバーチャルキャラクターを作成 |
こちらでAI画像認識の活用事例をさらに詳しく説明しています。
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画像認識・画像解析の種類
AI画像認識の種類には、以下のようなものがあります。
- 画像分類
- 物体検出
- セグメンテーション(領域検出)
- 異常検知
- 姿勢推定・動作認識
- 画像キャプション生成・視覚的質問応答
- 顔認証
- 文字認識(OCR)
- 画像検索
- 画像変化検出
それぞれの特徴について、詳しく解説します。
画像分類・シーン理解
画像分類は画像内の個々の物体を単独で認識するだけでなく、その全体的な「環境」や「状況」を理解することを目指します。シーン認識は、画像中の複数の物体やその関連性から、特定の環境が存在することを推定します。
例えば、ある画像に「多くの計器」、「左右に座る制服姿の男女」、「空の背景」などが写っているとします。それぞれの物体を単独で認識するだけではなく、これらの物体の存在と相互関係性を考慮すると、これらが一般的に「飛行機の操縦室」で見られる要素であると結論付けることができます。これが画像認識の基本的な原理です。
このような技術は、例えば、視覚支援技術やロボット工学、自動運転車などにおいて重要な役割を果たします。視覚支援技術では、視覚障害者が現在どのような場所にいるのかを理解するために用いられます。
ロボット工学では、ロボットが周囲の環境を把握し、適切な行動を選択するために利用されます。自動運転車では、車が現在どのような道路状況にあるのかを理解し、適切な運転行動を取るために用いられます。
他にも、食品工場において食品の品質を判断してグレードを分類したり、農作物の収穫において農作物の熟度を分類したりすることなどもできます。
画像分類関連記事:「AIの画像分類に関して概要から活用シーン、画像分類する際の流れを分かりやすく解説」
物体検出
物体検出は、物体認識と共に、画像内の特定の物体の位置を特定する技術です。個々の物体が画像内のどこに存在するかを矩形領域(バウンディングボックス)を用いて検出します。
近年、この技術は画像検査AIによる個数カウントの分野でも大きな進展を見せています。
例えば、セキュリティカメラの映像から人物を特定し、その位置と動きを追跡することで、異常行動の検出や人数のカウント(人流解析)などに用いられます。YOLOのような高速かつ高精度なアルゴリズムが採用され、リアルタイムでの物体検出と個数カウントが可能になっています。
また、店舗のAIカメラを活用して、商品がいくつ売れ残っているか、レジを通った商品がなにか、のように、画像の中の個々の物体を識別することができます。
さらに、製造業では生産ラインでの部品のカウントや品質管理にも応用されており、高精度なカウントが可能になっています。
最新の画像検査AIによる個数カウント技術は、単なる検出だけでなく、追跡(トラッキング)機能も備えています。これにより、動的な環境下でも正確な個数カウントが可能となり、物流や小売業での在庫管理、さらには野生動物の個体数調査など、幅広い分野で活用されています。
こちらでAIの物体検出の概要、CNNなど機械学習による画像認識について詳しく説明しています。
セグメンテーション(領域検出)
セグメンテーションは、画像中の各ピクセルがどの物体または背景に属するかを分類する技術です。これは、個々の物体の境界をより詳細に理解することが可能で、例えば医療画像解析で、病変部位の正確な形状や大きさを把握するために使われます。
また、自動運転車では、道路上の物体と背景を分離し、運転環境をより正確に理解するために用いられます。
セグメンテーションには、「セマンティックセグメンテーション」と呼ばれる同種の物体を同じグループとして識別するもの(例えば1画像に複数の自動車が写っていても同じグループ)と、「インスタンスセグメンテーション」と呼ばれる同種の物体でも個々の物体を違うものとして扱う(例えば1画像に複数の自動車が写っていたらそれぞれ別の物体として捉える)ものなどもあります。
こちらでセグメンテーションの代表的手法であるセマンティックセグメンテーションの仕組みを詳しく説明しています。
尚、近年では、Segment Anything Model(SAM)のように、事前学習なしにセグメンテーションを実現するモデルが登場し、非常に注目されています。
異常検知
画像認識の中でも特に活用が進んでいるのが異常検知・外観検査です。この技術は、データのパターンを学習し、そのパターンからの逸脱を見つけ出します。さらに、色検査も重要な応用分野として注目されています。
例えば、製造ラインでの品質管理では、異常検知は製品の欠陥を検出するために使用されます。具体的には、従来目視検査で製造した製品の異常を判定していたのに対し、AIを活用することで、製品が正常品と比較して傷が付いていないか、などを画像を用いて判定・判別します。
特に色検査においては、微妙な色の違いや均一性を高精度で評価することが可能になっています。
また、2次元の画像からの外観検査だけでなく、Lidarなどの3Dカメラを用いて3次元の画像を取得し、より高精度な外観検査を行うことも増えてきています。これらの技術は、製品の形状や表面テクスチャだけでなく、複雑な色彩パターンや光沢の検査にも応用されています。
他にも、医療分野では、CTスキャンやMRIなどの医療画像から異常な細胞や組織を検出するなどでも用いられています。さらに、皮膚科領域では、AIを用いた色素性病変の診断支援システムが開発され、皮膚がんの早期発見に貢献しています。
こちらで異常検知とは何か、機械学習がどのように活用されているか詳しく説明しています。
姿勢推定・動作認識
主に人物の画像から骨格・関節の位置(キーポイント)を特定し、画像に写っている人物がどのようなポーズを取っているのかを識別します。
この技術を用いて、例えばプロスポーツ選手の動きが解析して最適な動きを分析したり、工場で働くスタッフが効率的な動きを行っているかを確認をしたり、車を運転しているドライバーが異常な行動を取っていないかなどを検知したりすることができます。
姿勢推定については、こちらで詳しく解説していますので、ご参考ください。
画像キャプション生成・視覚的質問応答
画像キャプション生成とは、画像を説明する文章を自動的に生成する技術です。画像に写る物体を認識し、その状態や行動を説明する文章を生成します。
例えば、視覚障害者を支援するアプリでは、写真を撮るだけでその中に何が含まれているかを音声で説明してくれます。SNSなどでは、自動生成されたキャプションを利用して、画像を検索したり、内容を理解したりすることが可能になります。
自然言語処理と連携して、逆に文章から画像や動画を生成するAI技術の実用化も進んでいます。画像に関する質問に答えるVisual Question Answering(VQA)、テキストから画像を生成するText-to-Image Generationなどの応用が可能になります。これらの技術は、画像とテキストの相互理解を深め、より人間に近いコミュニケーションを実現します。
これらを行う技術として、VLMと呼ばれる新しい技術も登場してきています。
また、こちらではAIによる画像生成技術の基礎知識・活用方法を詳しく説明しています。
顔認証
顔認証は人間の顔を識別する技術で、一人一人の顔の特徴を把握し、それを用いて個々の人を特定します。セキュリティシステムでは、顔認証を利用して許可された人のみがエントリーできるようにします。
また、スマートフォンでは、顔認証を用いてユーザーの認証を行います。
関連記事:「顔認証システムとは?どんな仕組み?導入手順・注意点・ディープフェイク対策を徹底解説!」
文字認識(OCR)
文字認識とは、印刷された文字や手書きの文字を識別する技術です。文字認識技術の代表的な技術としてOCR(Optical Character Recognition)があり、スキャンされた文書や写真に含まれる文字をデジタルテキストに変換します。
このOCR技術にAIが加わり、AI-OCRとして従来のOCRよりも文字認識精度が格段に上がっています。
AI-OCRは、データの自動入力、郵便物の仕分け、チェック(マーク)の読み取り、図面読み取りなど、幅広い場面で使用されています。画像認識と自然言語処理を組み合わせることで、画像に関する質問に答えるVisual Question Answering(VQA)、テキストから画像を生成するText-to-Image Generationなどの応用が可能になります。
これらの技術は、画像とテキストの相互理解を深め、より人間に近いコミュニケーションを実現します。
また、生成AIの登場により、AI-OCRの活用用途が大きく広がっています。AI-OCRは一般的に文字を認識するだけでその文字の意味を捉えることはありません。
ただし生成AIと連携することで、例えば、領収書や請求書などの文字認識はAI-OCRが行い、その項目分類(2024/11/15と書いてあれば日付と認識する等)を生成AIが行う、といった連携を行うことで、これまでよりも精度高く文字情報のテキスト化を行えるようになりました。
関連記事:「AI-OCRを徹底理解!AI-OCR活用のメリット」
画像検索
画像検索(Image Retrieval)は、大規模な画像データベースから特定の画像や類似画像を効率的に検索・取得する技術です。この技術は、テキストベースの検索を超えて、画像の視覚的特徴を直接利用することで、より直感的で正確な検索を可能にします。
画像検索では、画像から色、テクスチャ、形状などの特徴を抽出します。そして、抽出した特徴を畳み込みニューラルネットワーク(CNN)などを使用して高次元のベクトルに変換します。
ベクトル変換により、画像間の類似度を計算可能にします。そして、類似度に基づいて検索結果をランキングし、最も関連性の高い画像を提示します。
Eコマース分野では、視覚的検索機能を提供し、ユーザーが画像をアップロードして類似商品を探せるようにします。
関連記事:「ベクトル検索の仕組みから実装方法、さらに具体的な活用事例まで徹底解説」
画像変化検出
画像変化検出は、同一の場所や対象を異なる時点で撮影した複数の画像を比較し、その間に生じた変化を自動的に検出する技術です。単に個々の画像の内容を認識するだけでなく、時間的な変化の文脈を理解することが特徴です。
例えば、建設現場を定点カメラで撮影した場合、各時点での建物の形状や資材の配置を認識するだけでなく、工事の進捗に伴う構造物の変化や、不適切な場所への資材の移動といった状況の変化を検出することができます。これにより、工事の進捗管理や安全管理を効率的に行うことが可能になります。
このような技術は、製造業における品質管理、農業での生育状況モニタリング、災害監視における被害状況の把握など、様々な分野で活用されています。製造業では製品の不良箇所を自動検出し、農業では病害虫の発生や生育不良を早期発見し、災害監視では地形や建造物の変化を正確に把握することができます。
関連記事:「AIによる画像変化検出とは?仕組みや活用シーン・導入方法・注意点を徹底解説!」
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AIを使う画像認識を導入する手順
画像認識モデル導入の基本的なステップは以下です。
- 導入する目的と必要な精度を明確にする
- データ収集
- データの加工
- ディープラーニングモデルの定義
- 実装・検証
- 再学習
最近主流になっているディープラーニングを活用した画像認識で説明しています。それぞれのステップは、目的とする認識タスクによって細部は異なる可能性がありますが、基本的な流れは共通しています。
この一連の流れを理解し、適切に実行することで、高性能な画像認識モデルの導入が可能となります。
それぞれのステップについて説明します。
導入する目的と必要な精度を明確にする
画像認識モデルの導入を計画する最初のステップは、その目的と必要な認識精度を明確にすることです。
自動運転や医療画像診断など人命に関わる目的であれば、高い精度が求められます。逆に、一部の書類の文字認識などに用いる場合は、ある程度の精度が担保されていれば、コストを抑える方向性もあります。
精度に関しては、社内でも以下のような誤解が広まらないように、正しいスタンスを周知することが重要です。
精度に関するよくある誤解 | 正しい見解 |
---|---|
画像認識AIは常に100%正確である | 画像認識AIの精度は様々な要因によって変動します。最新の画像認識アルゴリズムでも、条件によっては誤認識が発生する可能性があります。 例えば、近年顔認識ソフトウェアの精度は大幅に向上しました。それでも失敗率は0.2%であり、完璧な精度を達成することは現実的ではありません。 |
画像認識AIは人間よりも常に劣っている | 特定のタスクにおいては、AIが人間の能力を上回ることがあります。 |
画像認識の精度は単一の数値で表すことができる | 画像認識の精度は、使用例や設定された閾値によって大きく変わります。例えば、法執行機関の使用では高い精度閾値が設定されますが、エンターテイメント目的では低い閾値でも十分な場合があります。 |
導入目的によって必要な精度は変動するため、この段階で具体的な目標を設定することが重要です。
データ収集
画像認識モデルの学習を行うには、大量の画像データの収集が必須となります。このデータはモデルが世界を理解するための基盤となります。
データの収集方法は主に以下の2つに分かれます。
- 公開データセットの利用:CIFAR-10、ImageNet、COCO等の既存のデータセットを活用
- 独自データの収集:自社製品や特定の対象物の画像を収集
ただし、ただ多くのデータを集めるだけではなく、「質」も重要です。集めた画像データが偏りがあったり、目的とするタスクに適していないと、学習したモデルの性能が低下します。
関連記事:「AI学習用のデータ収集代行会社プロ厳選おすすめ」
データの加工
画像データの前処理は、モデルの学習効率と精度向上に重要です。以下のような処理を行います:
- リサイズ:すべての画像を同じサイズにリサイズ
- 正規化:ピクセル値を0-1の範囲に正規化
- データ拡張:回転、反転、ズーム等の変換を適用
ディープラーニングモデルの定義
データ収集と加工が終わったら、次にディープラーニングモデルの定義を行います。使用するフレームワーク(例えば、TensorflowやKerasなど)により、畳み込みニューラルネットワーク(CNN)などのモデルを設計し、学習データを利用してモデルの学習と評価を行います。
Pythonを使用したAI画像認識
AIによる画像認識の導入でよく用いられるプログラミング言語としてPythonがあります。Pythonの特徴としては、簡潔なコードでプログラムを書けることや、豊富なライブラリが存在することが挙げられます。
これにより、Pythonは多くの開発者にとって書きやすく、また読みやすいプログラミング言語となっています。
画像認識のために必要なデータの前処理、特徴抽出、モデルの訓練と評価などの一連の流れを、Pythonの各種ライブラリを活用して比較的簡単に実現できます。例えば、OpenCVやPillowで画像の読み込みや前処理を行い、scikit-learnやTensorFlow、Kerasを用いて画像認識のためのモデルを構築・訓練可能です。
Pythonには、CNNやGANといった高度な画像認識手法をサポートするライブラリも含まれており、これによりディープラーニングを用いた画像認識が容易になります。
関連記事:「PythonがAI開発で使われるのはなぜ?理由・メリット・デメリット・活用例を徹底解説!」
実装・検証
モデルの学習が完了したら、実際にそれを使用して画像認識を試みます。画像データを学習用とテスト用に分け、テスト用データを用いてモデルの性能を検証します。
その結果を基に、モデルの改善点を明らかにし、必要に応じて調整を行います。
- テストデータでの評価:精度、適合率、再現率等の指標を確認
- 過学習の確認:訓練データと検証データでの性能比較
- ハイパーパラメータの調整:学習率、バッチサイズ、層の数等を最適化
- モデルのファインチューニング:転移学習を適用し、特定のタスクに適応
再学習
モデルの評価と調整を行った後は、再度学習を行い、その結果を元にモデルを改善していきます。このプロセスを繰り返すことで、徐々にモデルの性能を向上させていくことが可能になります。
AI画像認識を活用する際の11個の注意点
AI画像認識を活用する際の注意点は以下です。
注意点 | 概要説明 |
---|---|
データの量とクオリティ | 高精度な認識には大量の画像データ(数十万〜数百万点)が必要 データのクレンジングも重要だが、時間とコストがかかる。 |
撮影環境の整備 | カメラの質や設置位置が重要。適切な撮影環境を整えないと、精度が低下する可能性がある。 |
情報セキュリティとプライバシー | 個人情報保護や肖像権に配慮が必要 適切なセキュリティ対策が求められる。 |
機能の適切な選択 | 自社ビジネスに必要な機能を把握し、適切なAI画像認識を選択することが重要。 |
学習期間の確保 | 1,000〜10,000枚以上の画像で初期学習を行い、継続的な学習とアップデートが必要。 |
誤認識の可能性 | 完全に誤認識を排除することは難しく、対策が必要。 |
ブラックボックス問題 | AIの判断根拠が不明確な場合、結果の信頼性が問われる 説明可能AIの開発が進んでいる。 |
破滅的忘却 | 新たなデータ学習時に以前の学習内容を忘れる現象 |
バイアスの問題 | 学習データや設計者のバイアスにより、AIの判断に偏見や差別が含まれる可能性がある。 |
説明可能性の確保 | AIの判断プロセスを人間が理解・説明できるようにする必要がある。 |
プライバシー侵害のリスク | 個人情報の目的外利用や漏洩のリスクがあり、適切な管理が必要。エッジAIの活用も検討される。 |
注意点を踏まえて、画像認識においてAIが得意とすること、不得意とすること、現状の課題に対する解決策をこちらの記事で解説しています。
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最新の画像認識技術動向
画像認識の精度と適用範囲を大きく広げる可能性を秘めている技術を紹介します。また、自然言語処理など他のAI分野との融合により、マルチモーダルな理解も可能になるでしょう。
一方で、実世界への応用には、データの収集やアノテーション、モデルの解釈性など、まだ多くの課題が残されています。今後のさらなる研究と発展が期待されます。
画像認識はマルチモーダルでますます拡張
マルチモーダルAIの発展により、画像認識AIは、画像だけでなく異種データの統合による高度な理解が可能になります。画像、テキスト、音声など様々なモダリティを組み合わせることで、人間に近い知覚・認知能力を持つAIの実現が期待されます。
LLM(大規模言語モデル)と画像認識モデルを組み合わせることで、画像の内容をより深く理解し、自然言語で説明することが可能になっています。例えば、OpenAIのCLIPやMetaのImageBindなどのモデルは、テキストと画像の埋め込みを組み合わせた転移学習を行っています。
画像認識と音声処理を融合することで、以下に挙げる技術への応用が可能になります。
- 音声と口の動きから発話を認識するAudio-Visual Speech Recognition(AVSR)
- 画像と音声から音源位置を特定するSound Source Localization(SSL)
- 音声から話者の顔の動きを生成するTalking Face Generation
これらの技術は、マルチモーダルな情報処理により、より自然なインタラクションを実現します。今後、画像認識技術はさらに他のAI分野と融合し、新たな応用分野を切り開いていくでしょう。
関連記事:「AIによる音声認識の仕組みとは?何ができる?技術や企業の活用事例を徹底解説!」
画像認識とロボティクスの融合
画像認識技術は、ロボティクスの分野でも欠かせない要素です。物体認識を用いたロボットマニピュレーション、環境理解に基づくロボットナビゲーション、人とロボットのインタラクションにおける視覚情報の活用など、画像認識はロボットの知覚・認知能力の向上に大きく貢献します。
Vision Transformer (ViT)
Vision Transformer (ViT) は、自然言語処理で大きな成功を収めた Transformer アーキテクチャを画像認識に適用したモデルです。2020年にGoogleから発表されました。
ViTは、画像をパッチに分割し、それらをシーケンスとして処理することで、CNNとは異なる方法で画像の特徴を捉えます。Vision Transformerモデルでは、アテンションメカニズムを活用することで、画像の重要な特徴に焦点を当てた効率的な認識が可能になります。
ViTの登場により、画像認識の精度が大きく向上し、様々な応用が期待されています。
関連記事:「Transformerとは?何がすごい?ChatGPTのベースにもなったディープラーニングモデルを詳しく解説」
Few-shot Learning
Few-shot Learning は、少量のデータから効果的に学習するための手法です。従来の機械学習では大量のデータを必要としましたが、Few-shot Learning ではメタ学習の考え方を取り入れ、わずかな例から新しいクラスを認識できるようにします。
この手法を用いることで、データが少ない場合でも高精度な画像認識が可能になります。
関連記事:「Few Shot Learning入門:ファインチューニングとの違いは?どんな分野で使う?失敗しない注意点を解説」
Zero-shot Learning
Zero-shot Learning は、学習時に一度も見たことがないクラスを認識する手法です。属性情報や言語情報を利用して、未知のクラスに対する認識能力を獲得します。
例えば、「黄色くて長い」という属性情報から「バナナ」を認識するような場合に用いられます。Zero-shot Learning により、画像認識の適用範囲が大きく広がることが期待されます。
Zero-shot Learningの仕組み、活用事例をこちらの記事で詳しく説明していますので併せてご覧ください。
自己教師あり学習(Self-supervised Learning)の進化
Self-supervised Learning は、教師なし学習の1つで特徴表現を学習する手法です。画像の一部を隠して復元させたり、画像の変換に対して不変な特徴を学習させたりすることで、ラベルのない大量の画像データから汎用的な特徴表現を獲得します。
事前学習モデルを用いることで、少量のデータでも高精度な画像認識が可能になります。
エッジデバイスでの展開
転移学習を活用することで、計算リソースの限られたエッジデバイスでも高度な画像認識が可能になっています。軽量化されたモデルを事前学習し、エッジデバイス上で特定のタスクにファインチューニングすることで、リアルタイムの画像認識を実現しています。
例えば、医療画像分析において、一般的な画像データセットで事前学習したモデルを転用する手法が注目されています。ImageNetなどの大規模データセットで学習した特徴抽出器を、X線画像やMRI画像の分析タスクに転用することで、限られた医療画像データでもリアルタイムで高精度な診断支援が可能になっています。
画像認識におけるデータセットについては、こちらで詳しく解説しています。
画像認識についてよくある質問まとめ
- 画像認識とは?画像解析との違いは?
「画像認識」は、形や色などの特徴を用いて、コンピュータが画像に写るものが何であるかを認識する技術です。スマートフォンの顔認証システムで顔を特定すること、自動車の自動運転システムで道路上の物体を検知すること、製造ラインでの異常検知システムによる不良品の発見など、幅広い産業でその効果を発揮しています。
一方、画像解析とは、コンピューターを使って画像データから有用な情報を抽出し、分析・判断する技術です。近年はAIの活用により画像の認識から解析を一連で行うようになり、両者の垣根は低くなっています。
- AI画像認識を導入することで、どのように競合他社と差別化を図れますか?
AI画像認識の戦略的導入により、以下のような差別化が可能です:
- 業務効率の飛躍的向上 • リアルタイムの品質管理による製品品質の向上 • 需要予測精度の向上による在庫最適化
- カスタマーエクスペリエンスの革新 • パーソナライズされた商品レコメンデーション • VR/ARを活用した新しい購買体験の提供
- 新規ビジネスモデルの創出 • 画像データを活用した新サービスの開発 • 予測保守サービスの提供による収益源の多様化
- コンプライアンスと安全性の強化 • 高精度な不正検知システムの構築 • 作業現場の安全性向上
- AI画像認識の導入プロセスはどのようなものですか?社内にAI専門家がいない場合でも導入は可能でしょうか?
AI画像認識の一般的な導入プロセスは以下の通りです:
- ビジネス課題の特定と目標設定
- データの収集と前処理
- AI モデルの選択または開発
- システム統合とテスト
- 社内トレーニングと運用開始
- 継続的な監視と改善
社内にAI専門家がいなくても、以下のアプローチで導入が可能です:
- クラウドAIサービス(AWS Rekognition, Google Cloud Vision等)の活用
- AIベンダーやコンサルティング企業とのパートナーシップ
- 段階的な導入とスキル育成の並行実施
AI画像認識を導入する際は専門会社へ
画像認識AIは、技術の進化とともに私たちの生活をより豊かで便利なものに変えていく可能性があります。
Amazon RekognitionやAzure AI Visionのように、手軽に画像認識AIを実装することが可能なサービスも増えています。
私たちは、この革新的な技術の恩恵を最大限に活かしつつ、責任あるAIの原則に基づいた開発と利用を心がけていくことが重要です。画像認識AIの未来は、技術者だけでなく、私たち一人一人の関わり方によって形作られていくのです。
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