最終更新日:2024-09-23
アンケート集計・分析で失敗しない方法とは?AIによる自由記述の解析方法も解説!
アンケートで多くの意見を集めた、しかし十分に活かすことができずに、アンケートを行っただけになってしまった経験を持つ方も多いのではないでしょうか。
アンケートは、自社の商品やサービスに対する多くの消費者の意見を効率的に集めることができます。アンケートで集まった消費者の声を知り、うまく活用することで、商品やサービスの開発・改善、顧客満足度の向上に役立てることが可能です。
なかでも、製品・サービスに対する感想の自由記述には多くのヒントが詰まっていますが、回答が定性的であるため分析が難しいところです。
この記事では、アンケート分析で失敗しないために、実施した後の手順や具体的な集計方法、分析方法について説明していきます。また、自由記述欄の効率的な分析方法や、手作業では見落としがちな定量的な回答と定性的な回答の組み合わせで発生する矛盾の発見について、AIツールを活用して解決する方法をご紹介します。
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目次
アンケート結果を有効に活用するための手順とは?
アンケート結果をうまく活用するためには、「集計」と「分析」の手順が重要になります。「集計」はアンケート実施直後に行い、「分析」は集計が終わった後に行うのが正しい手順です。
正しい手順を無視してアンケート実施後にいきなり分析をしてしまうと、都合の良い分析や、全体の傾向と矛盾する仮説や結論を導いてしまう可能性があります。集計をして、意見を整理してから分析をすることで、回答者の本当の意見を深く分析できるのです。
アンケート集計のコツ
アンケート分析をするために、まずは適切な方法でアンケート結果を集計するのですが、以下のポイントを意識すると集計がうまくいきやすくなります。
- 全体を把握してから、細部を見ていく
- データの有効性を確認する
それぞれのポイントについて説明します
全体を把握してから、細部を見ていく
集計のときに、最初に全体像を把握した後に細分化していくことで、アンケート全体の傾向や設問ごとの関係性が見えてきます。最初から細部に着目して集計してしまうと、全体像と細部の比較ができずにデータの見方に偏りが生じてしまう可能性があります。
一般的には「単純集計」で全体像をおおまかに把握し「クロス集計」で具体的な特徴をまとめていきます。
データの有効性を確認する
アンケート分析を行う際は、集計結果が信頼できるものかどうか、データの有意性を確認しておく必要があります。データの有効性が低ければ、正しい分析結果とはいえません。
例えば、アンケートの回答数が少ない場合は、回答結果に偏りが出る可能性があります。また、商品Aに関するアンケートなのに、違う商品や会社のサービス全体に対する意見であったり、無記入の箇所が多いものには、商品Aに対する回答とは言えません。そのデータに有効性はないといえます。
集計時にこのような有効性があるかを確認することで、正しく効率の良い分析を進めることができます。
アンケートの集計方法
単純集計
単純集計は、全体を把握するのに有効な集計方法です。「はい」「いいえ」の2択回答がある質問に対して、それぞれの回答数を集計したり、5段階評価の質問に対しての、それぞれの評価の数を集計したりする方法です。
最もシンプルな集計方法で、各選択肢の割合や平均値を集計することで全体の傾向を把握できます。全体の結果を把握し、分析の方向性を決めるために、最初に行う集計方法です。
単純な集計なので簡単に全体的な傾向を知ることができるというメリットはありますが、あくまでもアンケート結果の全体を把握する方法で、詳細までは把握することはできません。詳細を把握するためには次に説明する「クロス集計」を使います。
クロス集計
単純集計で全体を把握した後に、詳細を把握するために行うのがクロス集計です。複数の設問や属性を組み合わせて集計する方法で、単純集計に比べると複雑です。しかし、その分より詳細なデータを把握できます。
例えば、「商品Aを購入したいですか」という設問に対し、「はい」と回答した人の「年齢」や「性別」などの違う要素を組み合わせて集計します。「はい」と回答した人が70人で、そのうち男性が50人、女性が20人だとすると、男性の方が商品Aにという魅力を感じ、女性は魅力的に感じる人が少なかったと分析できます。さらにその中で年齢層別にわけることで、一番商品に興味がある層や逆に全く興味がない層を把握できます。回答した人の性別や年齢などから、どのような属性の人が各選択肢を選んだのかを把握できます。
このように、クロス集計で詳細なデータを把握することで、メインターゲット層や支持が少ない層に対する対策を検討するのに役立ちます。
自由記述の集計
商品やサービスに対する様々な「生の声」を聞くためには自由記述が有効です。自由記述の設問は文章で回答している場合が多く、定量的ではありません。そのため「アフターコーディング」や「テキストマイニング」といった特殊な集計を行うことが多いです。
アフターコーディング
アフターコーディングは、記述内容を似ているカテゴリーに分類し、コード化する作業です。定性的な文章の記述をコード化することで定量的に集計できます。例えば、商品Aの意見を「使いやすさ」「コスパ」などのカテゴリーに分類し、どのカテゴリーの割合が高いかなどを知ることができます。
テキストマイニング
テキストマイニングは、記述内容を単語や文節ごとに区切り、単語同士の相関関係や傾向などを定量的に分析する手法のことです。例えば、「安い」「良い」「買いたい」という単語が頻出すれば、「コスパが良いから買いたい」と感じている人が多いことがわかります。
このように、定性的な意見も集計方法によって定量化できますが、集計に時間がかかったり、集計者によって集計結果にバラつきが出るといったデメリットがあります。最近では、AIで自由記述の回答を集計する仕組みもあり、AIを活用することで、効率的で結果にバラつきのない集計が可能となっています。
AIによるテキストマイニングの自然言語処理について、こちらの記事で分かりやすく説明しています。
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代表的なアンケート分析の手法一覧
アンケートの内容を集計できたら、実際に分析をしていきます。分析方法には複数の種類があり、アンケートの目的に応じて以下のような分析方法を選択することが大切です。
分析名 | 手順 | 特徴 |
---|---|---|
クラスター分析 | 複数の情報から似た要素を集め、いくつかのグループ(クラスター)に分類するデータ分析 | 「階層的手法」と「非階層的手法」の2つの手法 |
主成分分析 | 複数の定量的な変数を少ない合成変数(主成分)に要約する | データをシンプルに把握できる |
決定木分析 | 目的変数に影響する説明変数を明らかにし、樹木図を作成する | イエスかノーの2択で分岐なのでAIを使用した予測が可能 |
時系列分析 | 時間の経過とともに変化するデータを対象としたデータ分析 | データ分析を繰り返していくほど精度が高まる |
アソシエーション分析 | 「もしこうだったら、こうなるであろう」というデータ間の関連性(アソシエーション)を分析する | AIに機械学習させることで予測が可能 |
それぞれの分析手法の詳細、及び他のデータ分析手法についてこちらの記事で分かりやすく解説しています。
AIを用いた自由記述の分析
AIの自然言語処理を活用することで、自由記述であってもアンケート集計・分析が可能となってきました。人が文章で記載する自由記述は、定性的であり集計・分析に手間がかかります。集計・分析担当者が、記述を読み内容を理解しながら抽出する必要があるためです。
しかし、最近ではAIを活用することで、自然言語処理によるアンケート集計・分析が可能となってきました。自然言語処理とは人間の自然な言葉を機械が理解できるようになる技術です。最近ではスマートスピーカーやカスタマーセンターのチャットボットなどに活用されています。
自然言語処理のAI開発に強い開発会社についてはこちらの記事で特集していますので、併せてごらんください
この技術を使用することで、文章からキーワードを抽出することができ、アフターコーディングやテキストマイニングといった集計を自動で行うことができます。さらに、機械学習を繰り返すことで集計した結果からの未来予測を、より高い精度で行うことができるようになります。
AIによる未来予測の基本手法、メリット・デメリットはこちらの記事でわかりやすく解説していますので併せてごらんください。
アンケート集計・分析についてよくある質問まとめ
- アンケート結果を効果的に集計・分析するための基本的な手順は何ですか?
アンケート結果を効果的に集計・分析する基本的な手順は以下の通りです。
- 単純集計で全体像を把握する
- クロス集計で詳細なデータを分析する
- 自由記述の回答をアフターコーディングやテキストマイニングで集計する
- 目的に応じた分析手法(クラスター分析、主成分分析など)を選択し、分析を行う
- アンケートの自由記述回答をAIで分析するメリットは何ですか?
AIを用いた自由記述回答の分析メリットは以下の通りです。
- 自然言語処理技術により、効率的に回答を集計・分析できる
- キーワード抽出が自動化され、アフターコーディングやテキストマイニングが容易になる
- 人手による分析と比べ、結果にバラつきが出にくい
- 機械学習を活用することで、より高精度な未来予測が可能になる
- アンケート集計時に注意すべきポイントは何ですか?
アンケート集計時に注意すべき主なポイントは以下の通りです。
- 全体を把握してから細部を見ていく
- データの有効性を確認する(回答数の十分さ、質問内容との一致など)
- 適切な集計方法(単純集計、クロス集計、自由記述の集計)を選択する
- 集計結果の信頼性を確認し、偏りがないか確認する
まとめ
アンケート結果を有効に活用するためには、まず適切な集計をすることが大切です。簡単な2択の回答は単純集計を行い、複数の情報や回答結果を組み合わせてクロス集計をします。回答者の生の声がわかる自由記述は、手作業での集計が難しいですが、AIによる自然言語処理を活用すれば、簡単に集計することが可能です。
集計ができたあとは、アンケートを実施した目的に合わせて分析手法を選択し、分析していきます。この分析過程でもAIによるビックデータや機械学習を活用することで的確な分析ができ、将来を予測できます。
アンケートを行う本質は、消費者の意見を集計して分析した結果を基に今後の戦略を立てることで、そこに力を注ぐべきです。そこまでの集計・分析は手作業では時間がかかることも多いですが、AIを積極的に活用して時間を短縮して、よりよい戦略を立てていきましょう。
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