Amazon SageMakerとは?できること・利用できるアルゴリズム・活用事例を徹底解説!
最終更新日:2024年11月12日
多くの企業でクラウドコンピューティングサービスAWS導入が進んでいますが、「Amazon SageMakerでは何ができる?」「実際にどのように活用すればよい?」「どのアルゴリズムを組み合わせればよいかがわからない」と悩んでおられる方も多いのではないでしょうか。
本記事では、一つのプラットフォームで
Amazon SageMakerは、一つの開発環境で様々なタスクをこなせるため、効率的に機械学習モデルを構築できます。開発環境を整備したいと考えている方は、ぜひ参考にしてみてください。
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目次
Amazon SageMakerとは?
Amazon SageMakerは、Amazonが提供するAWSのサービスの一つで、学習データの前処理やモデルの構築、デプロイまでを一気通貫して行えるフルマネージド型サービスです。
他のAWSサービスとの連携が容易であったり、保守や管理業務の省力化が図れたりするなどのメリットがあり、多くの企業が利用しています。
Amazon SageMakerの料金形態
Amazon SageMakerでは、オンデマンド料金と「SageMaker Savings Plans」の2つの支払いプランが用意されています。
オンデマンド料金では、時間や利用ユニット当たりの料金が定められており、使用量に応じて支払います。前払いの必要や最低料金の指定がないため、少量利用に向いています。
「SageMaker Savings Plans」では、一定の利用量を購入する代わりに、最大64%のコストを削減できます。一定の利用を見込んでいる企業は、安くモデル構築ができるかもしれません。
また、Amazon SageMakerには無料の利用枠が用意されています。コストをかけることなく、自社に合っているかを確認できるため、検討の段階で無料枠を試してみるのもよいでしょう。
それぞれの料金は「Amazon SageMaker の料金」で公開されています。
Amazon SageMakerの使い方
Amazon SageMakerは、AWS内で利用できます。AWSを利用するにはアカウントが必要ですので、登録していない方はAWSのサインアップページから登録してください。メールアドレス・電話番号・クレジットまたはデビットカードの情報があればアカウントを作成できます。
詳細なアカウント作成の流れは「AWS アカウント作成の流れ」で確認できます。
アカウントが作成できれば、Amazon Sagemaker公式HPからサインインすることで、Amazon Sagemakerを利用できるようになります。
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Amazon SageMakerでできること・メリット
Amazon Sagemakerには、以下のようなメリットがあります。
- 最適化された機械学習アルゴリズムを利用できる
- 構築からデプロイまで一気通貫して行える
- 保守・管理業務を大幅に省力化できる
- ワンクリックでトレーニングできる
- コードを逐次実行できる
- AWSとの連動性が高い
- AWSならではのセキュリティ
それぞれについて解説します。
最適化された機械学習アルゴリズムを利用できる
Amazon Sagemakerには、事前に最適化されたアルゴリズムがインストールされています。アルゴリズムの選定、最適化やアップデート対応などが不要なため、開発の効率や速度を大幅に向上でき、生産性は最大で10倍になるとされています。
アルゴリズムの選定から最適化、アップデートまで全て自社内で行うとなれば、専門知識を要し、多大な時間とコストがかかるため、プロジェクトの進行が遅れる原因となります。また、アルゴリズムの最適化が不十分な場合、モデルの精度が低下し、ビジネスへの影響が生じる可能性があります。
Amazon Sagemakerのようなサービスを利用することで、企業はこれらのリスクを回避し、効率的かつ効果的に機械学習プロジェクトを推進することができます。最適化された機械学習アルゴリズムは、以下のような用途で利用できます。
- 業界に特化したテキスト分析
- 文書やメールのカテゴライズ
- テキストの要約
- 数値や時系列データの予測
- データの低次元化
- 異常検出
Amazon Sagemakerでは、これらの用途に対応したアルゴリズムを組み合わせてモデルを構築することも可能です。利用するアルゴリズムの数が増えても、最適化の手間は最小限で済むため、要望や目的に応じてモデルを柔軟にカスタマイズできます。
生成AIモデルをAPI経由で呼び出せるAmazon Bedrockと連携すれば、Amazon SageMakerで構築したモデルをAmazon Bedrockでエージェントとしてデプロイすることができます。エージェントとは、ユーザーのリクエストや状況に応じて、自動的にタスクを実行するAIのことです。例えば、バーチャルアシスタントやチャットボットなどがエージェントの一種です。Amazon Bedrockでは、エンタープライズシステムやデータソースを使用して、タスクを実行するエージェントを構築できます。例えば、Amazon SageMakerで画像分類や物体検出などのモデルを構築し、Amazon Bedrockでエージェントとしてデプロイして、ユーザーからの画像入力に対して適切なレスポンスを生成することができます。
構築からデプロイまで一気通貫して行える
Amazon Sagemakerでは、学習データの前処理からモデルの構築、デプロイまでを一気通貫して行えます。モデル構築に関するほぼ全ての作業がAmazon Sagemaker内で完結するため、開発のプラットフォームを一つにまとめることができるでしょう。様々なプラットフォーム間での移動や環境設定の必要がなくなります。
一つの開発環境でモデルを構築できるようになれば、進捗の確認が容易になり、開発者が覚える必要のあるツールやプロセスの数が減ります。初期段階では新しいプラットフォームに慣れるための学習コストが発生するかもしれませんが、長期的に見ると、プロジェクトの進行速度と効率が大きく向上することでしょう。
開発からデプロイメントまでのプロセスがスムーズになることで、市場への導入時間を短縮し、ビジネス機会を最大限に活用することが可能になります。また、プロセスの簡素化は、エラーの可能性を減らし、プロジェクト全体の品質向上にも寄与します。
保守・管理業務を大幅に省力化できる
Amazon Sagemakerはフルマネージド型サービスのため、利用者がサーバーの管理をする必要はありません。保守・管理業務に人手を割かなくてもよいため、開発にかかる労力やコストを大幅に削減でき、よりビジネス価値の高い活動に集中できます。
さらに、Amazon Sagemakerを利用することで、仮にインフラ部分に障害が起こった場合でも、利用者が復旧作業を行う必要はありません。Amazonの専門チームが迅速に対応し、障害を解消します。これにより、予測不能なトラブルによるプロジェクトの遅延や、スケジュールの乱れを最小限に抑えることが可能になります。
リソースが限られている中小企業や、開発サイクルを加速したい大企業にとって大きなメリットをもたらします。企業はITインフラの日常的な運用管理にかかる時間やコストを削減し、その分を製品開発や市場分析などの核となるビジネス活動に再投資できます。
ワンクリックでトレーニングできる
Amazon Sagemakerには、ワンクリックで簡単にモデルを最適化できる機能が備わっています。クリック後は自動でトレーニングをするため、手間をかけずにトレーニングできます。
この機能により、複雑な設定やコード記述なしに、自動で機械学習モデルのトレーニングを行うことができます。これにより、開発チームは時間を大幅に節約し、より重要なタスクに集中することが可能になります。
また、高度なチューニングも簡単に実行可能です。モデルを最適化するためにハイパーパラメータを調整することがありますが、パラメータを正しく選択するには機械学習に関する知識が必要です。しかし、Amazon Sagemakerの自動モデルチューニング機能では、ハイパーパラメータの範囲や必要なジョブ数などを設定しなくてもチューニングできます。
このように、多くの工程で省力化のための機能が用意されているため、開発業務にかかる労力を大幅に削減できます。特に機械学習プロジェクトの初期段階や、短期間でのプロトタイピングが求められる場合に大きな利点をもたらすでしょう。
Amazon Sagemakerを利用することで、開発者はモデルの実験やイテレーションを迅速に行うことができ、最終的なモデルの精度と効率を高めることが可能になります。。
コードを逐次実行できる
Amazon SagemakerはJupyter Notebookをインターフェースとしてモデル構築やトレーニングを行います。Jupyter Notebookでは、対話形式でプログラムを実行できることに加え、入力したコードを逐次実行します。
コードの入力直後に結果がわかるため、迅速にコードミスを発見できます。また、ブラウザ上で処理するため、進捗の確認が容易です。
この逐次実行機能は、モデルの構築やトレーニングプロセスにおいて、実験的なアプローチを採用する際に特に価値があります。特に、データの探索的分析やプロトタイピングの段階での利用価値は非常に高く、機械学習プロジェクトの初期段階で大きなアドバンテージを提供してくれます。
開発者はさまざまなアイデアを即座にテストし、そのフィードバックを基に次のステップを迅速に進めることができます。また、ブラウザベースであるため、どこからでもアクセスが可能であり、プロジェクトの進捗状況を簡単に確認できる利点があります。
AWSとの連動性が高い
Amazon SageMakerはAWSのクラウドプラットフォーム上で提供されるため、AWSの他のサービスと簡単に連携できます。
例えば、Amazon SageMakerでは、Amazon S3やAmazon DynamoDBなどのAWSのデータストレージサービスを使用して、学習データやモデルの出力を保存したり、読み込んだりできます。これにより、データの準備や管理が容易になります。また、Amazon KinesisやAmazon GlueなどのAWSのデータ処理サービスを使用して、データの収集や変換を行うこともできます。
また、モデルのデプロイや運用を効率的に行えます。例えば、Amazon SageMakerで構築したモデルをAmazon Bedrockでエージェントとしてデプロイできます。Amazon SageMakerで画像分類や物体検出などのモデルを構築し、Amazon Bedrockでエージェントとしてデプロイして、ユーザーからの画像入力に対して適切なレスポンスを生成することができます。
Amazon EC2やAmazon EKSなどのAWSのコンピューティングサービスを使用すれば、モデルをデプロイしたり、スケールしたり、監視したりできます。これにより、モデルのデプロイや運用が効率的になります。
関連記事:「AWSとAzureを徹底比較!強みや弱み、適したケースなどを徹底解説」
AWSならではのセキュリティ
Amazon SageMakerを使うことで、AWSが提供するセキュリティやコンプライアンスを活用できます。Amazon SageMakerでは、AWSのセキュリティやコンプライアンスの基準に従って、データやモデルを保護できます。
例えば、AWS Identity and Access Management (IAM) や AWS Key Management Service (KMS) などのAWSのセキュリティサービスを使用して、アクセス権限や暗号化キーを管理できます。また、AWS CloudTrailやAmazon CloudWatchなどのAWSの監査サービスを使用して、モデルの活動やパフォーマンスを追跡できます。
Amazon SageMakerで利用できる主な機械学習アルゴリズム
Amazon SageMakerでは様々なアルゴリズムを利用できます。ここでは、代表的なアルゴリズムを3つ紹介します。
- 主成分分析法 (PCA)
- オブジェクト検出-MXNet
- AutoGluon-表
主成分分析法 (PCA)
主成分分析(PCA)は、教師なし学習のアプローチを採用しており、データセット内の次元削減を目的としています。このアルゴリズムは、データの主要な特徴を保持しながら、データ量を効率的に低減させることが可能です。
Amazon Sagemakerの主成分分析には「レギュラー」と「ランダム化」の2つのモードがあり、データの特徴や観測値の数によって使い分けられます。特に大量のデータを扱う際に有効な方法です。
オブジェクト検出-MXNet
オブジェクト検出-MXNetは、画像内のオブジェクトを検出し、それらを分類するためのアルゴリズムです。この教師あり学習アルゴリズムは、正確なアノテーションが必要ですが、Amazon SageMakerを使用することで、このアノテーションプロセスのかなりの部分を自動化することも可能です。オブジェクトの検出と分類に加えて、各検出に対する信頼性スコアも提供します。
識別の用途でも利用できるほか、異常を検出する目的でも利用できます。例えば、暴力的コンテンツやアダルトコンテンツの有無を確認する目的で使われます。
AutoGluon-表
AutoGluon-表は、表形式のデータを用いて機械学習モデルをトレーニングするためのアルゴリズムです。高度なデータ処理やディープラーニングを実施する機能を有しており、高品質なトレーニングが実行可能です。
表形式のデータさえ用意していれば、特徴量エンジニアリングやモデル選択などを自動で行います。生データを処理する必要がなくなるため、業務の省力化が図れます。
データ分析に用いられる他の手法をこちらの記事で詳しく説明していますので併せてご覧ください。
Amazon SageMakerの活用事例
ここでは、Amazon Sagemakerの活用事例を2つ紹介します。
ニュース記事の分類精度が向上(スマートニュース)
スマートニュース株式会社は、Amazon Sagemakerを活用してそれぞれのユーザーに適したニュースを提供しています。Amazon Sagemakerの機械学習アルゴリズムを活用してニュース記事を分類した結果、ニュースのキュレーションや記事のカテゴライズ精度が向上したようです。
また、Amazon SageMakerはコード生成やデータの前処理も自動化できるため、従来よりも少ない労力で開発業務を進められるようになりました。その結果、エンジニアは機械学習アルゴリズムの開発に集中できるようになり、生産性が向上したようです。
渋滞予測の精度が向上(ナビタイムジャパン)
株式会社ナビタイムジャパンは、渋滞を予測する機械学習モデルの精度を向上するために、Amazon SageMakerを活用しました。
渋滞は、道路の属性や曜日のほか、天気や交通量など多くの要素を考慮して予測しなければなりません。そこで、Amazon SagemakerからAWSサービスの一つであるAmazon Athenaに対してSQLクエリを実行することで、これまで処理できなかった容量のデータを処理できるようになったようです。
また、利用予定のアルゴリズムがすでに組み込まれていたため、開発を容易に始めることができたようです。
Amazon SageMakerについてよくある質問まとめ
- Amazon SageMakerとは?
Amazon SageMakerは、Amazonが提供するAWSのサービスの一つで、学習データの前処理やモデルの構築、デプロイまでを一気通貫して行えるフルマネージド型サービスです。他のAWSサービスとの連携が容易であったり、保守や管理業務の省力化が図れたりするなどのメリットがあり、多くの企業が利用しています。
- Amazon SageMakerの料金は?
Amazon SageMakerでは、オンデマンド料金と「SageMaker Savings Plans」の2つの支払いプランが用意されています。また、Amazon SageMakerには無料の利用枠が用意されています。
オンデマンド料金では、時間や利用ユニット当たりの料金が定められており、使用量に応じて支払います。前払いの必要や最低料金の指定がないため、少量利用に向いています。
「SageMaker Savings Plans」では、一定の利用量を購入する代わりに、最大64%のコストを削減できます。一定の利用を見込んでいる企業は、安くモデル構築ができるかもしれません。
- Amazon Sagemakerのメリットは?
Amazon Sagemakerには、以下のようなメリットがあります。
- 最適化された機械学習アルゴリズムを利用できる
- 構築からデプロイまで一気通貫して行える
- 保守・管理業務を大幅に省力化できる
- ワンクリックでトレーニングできる
- コードを逐次実行できる
それぞれについて解説します。
まとめ
Amazon SageMakerは、開発からデプロイまでを一つの開発環境で行えます。また、ブラウザ上で逐次コードを処理できるため、進捗管理が容易なうえにプログラムの結果がすぐにわかります。
Amazon SageMakerを活用すれば、コード生成やトレーニングをある程度自動化できるため、業務量を大幅に削減できるかもしれません。自社に適用できそうな機能があれば、
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