DifyとGitHubの連携はなぜ重要?メリットやインストール方法を徹底解説
最終更新日:2025年07月23日

- Difyは開発がGitHub上で進むオープンソースであるため、ローカル環境での利用やカスタマイズにはGitHubの活用が不可欠
- チームでの共同開発が円滑になり、CI/CDによるデプロイ自動化で人的ミスを削減
- Difyをローカル環境で動かすには、GitHubからソースコードをクローンし、.envファイルでAPIキーなどを設定後、Docker Composeで起動するのが標準的
DifyはノーコードでもLLM(大規模言語モデル)を活用したAIアプリを構築できる優れたツールです。しかし、その真価を発揮するにはソースコード管理プラットフォームのデファクトスタンダードであるGitHubが持つ機能の活用が不可欠となります。
GitHubと連携することで、開発スピードの向上、運用の安定性、そしてチーム開発との高い親和性など多くの実用的メリットが得られます。
本記事では、DifyとGitHubを連携させる理由やメリット、Dockerを使ったインストール方法について解説します。Difyを活用したAIアプリケーションの開発や運用を検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。
Difyの特徴や使い方についてはこちらの記事で解説していますので併せてご覧ください。
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目次
Dify活用でGitHubはなぜ重要なのか?
Difyにはクラウド版と、自身でサーバーを用意して運用する「セルフホスト版」があります。このセルフホスト版のプログラム(ソースコード)は、GitHub上で公開・配布されています。
そのため、自社環境でDifyを動かすにはGitHubからソースコードを入手する必要があります。
Difyは、AIアプリケーションの構築と運用を支援するオープンソースのプラットフォームで、開発はGitHub上のリポジトリで進行します。このリポジトリには、以下のような情報が集中して管理されています。
- Difyの最新コード
- アップデート履歴
- バグ修正
- ドキュメント
さらに、GitHubはシステムのインテグレーションやデプロイの基盤としても活用されます。バージョン管理とレビューのプロセスを取り入れることで、アプリケーションの品質やセキュリティを保ちつつ、定期的な更新プロセスも実現できます。
開発の自由度、運用の柔軟性、セキュリティ担保を高い水準で両立させるためにも、GitHubの活用はDify導入における前提条件とも言えるでしょう。
Difyの公式GitHubリポジトリ「langgenius/dify」
GitHub上の公式リポジトリ「langgenius/dify」には、Difyのコアシステムのソースコードが公開されており、誰でも自由にダウンロード、確認、変更が可能です。リポジトリ内には、運用に必要な以下の要素が体系的に整理されています。
- バックエンドやフロントエンドの構成
- 設定ファイル
- Docker関連の定義
- API仕様
このリポジトリはソースコードの集積だけでなく、実際の動作に関するドキュメントやFAQも充実しています。「README.md」や「docs」フォルダには、Difyのパラメータの設定方法やバージョン管理の方針が記載されています。
また、定期的なアップデートやIssue対応も活発に行われており、プロジェクトの健全性も確認できます。ForkやStar数といったメトリクスもDifyの実用性を裏付ける指標です。
GitHubリポジトリではローカル環境を構築できる
Difyの公式GitHubリポジトリを活用することで、自社の開発環境に合わせたローカルインストールが可能です。ローカル環境でアプリケーションを構築できるため、以下のような取り組みが容易になります。
- 試験的なAIアプリの開発
- 独自AIモデルとの連携
- 全てのデータを自社サーバー内で完結できるので外部に情報を出したくない機密データや個人情報を扱える
- 自社のインフラコストのみなので高頻度なAPIコールも使いやすい
さらに、GitHub上のIssueを活用すれば技術的な課題にも対応でき、Difyの導入と運用を効率的に進められます。
企業独自のニーズに応じた運用を実現するためにも、クラウド環境と比較して自由度が高いローカル構築はDify活用の基本戦略の一つです。
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DifyとGitHubを連携させるメリット
DifyとGitHubを連携させることで、開発や運用の効率性が飛躍的に向上するといったさまざまなメリットが期待できます。
チーム開発との親和性が高まる
GitHubは複数人による並行作業に優れており、Difyのような継続的な改善が求められるAIシステム開発に最適です。開発チームは、ブランチを分けて機能追加やバグ修正を進めながら、プルリクエストで安全にコードレビューを行うことができます。
また、Issue機能やプロジェクトボードを活用すれば、タスクの管理・共有も円滑に進められます。Difyをローカルで運用している場合でもGitHub経由で変更内容を一元管理できるため、ミスの発生リスクを低減できます。
さらに、YAMLやJSON形式で構成されている設定ファイルもGitHub上で管理できるため、プロンプトやエージェントの仕様を明確に記録・共有することが可能です。こうした環境が整うことで、チーム全体の開発スピードと品質が両立されます。
CI/CDによる自動デプロイが実現できる
DifyとGitHubを連携することで、CI/CDを導入し、自動的なデプロイが可能です。
CI/CD(継続的インテグレーション/継続的デリバリー) は、ソースコードの変更やアップデートを検知して、自動でアプリケーションをビルド・テスト・デプロイする仕組みです。開発から運用までの作業を効率化します。
例えば、GitHub ActionsなどのCIツールを利用すれば、Difyのコード更新に応じてDockerイメージを再構築し、自社サーバーに自動反映させることができます。手動での反映作業を排除することで人的ミスのリスクを軽減し、最新の状態を保つことが可能です。
さらに、ステージング環境での事前検証も容易になり、プロンプトや変更が与える影響を運用前にチェックできる体制も整えられます。Difyを業務用AIアプリとして活用する上では、CI/CDは極めて有効なアプローチと言えます。
セキュアなバックアップとして機能する
GitHubを活用することで、Difyのプロジェクトをセキュアな形でバックアップする体制を構築できます。
Difyの構成ファイル、カスタムスクリプト、プロンプト設定などはすべてソースコードとして管理可能です。それらをGitHub上にバージョン管理することで、万が一のトラブル時にも復旧が可能です。
Difyで作成したプロジェクトに誤って変更を加えてしまった場合やローカル環境が破損した場合でも、GitHubに保存された履歴を活用すれば、以前の状態にロールバックできます。特に、Docker構成の設定をGitHubで管理することで再構築時の手間とリスクを最小限に抑えられます。
また、GitHubは2段階認証やアクセス権限といった制御機能も備えており、機密性の高い業務用アプリケーションにも利用できます。オンプレミスでの運用時でも、プライベートリポジトリにより社外流出を防ぎながらセキュアなバックアップとして活用可能です。
AIアプリのバージョン管理が可能
Difyで開発したAIアプリケーションは、GitHubを活用することで効率的なバージョン管理が可能です。
プロンプトの設計やシステム構成、API設定などが頻繁に更新されるAIアプリでは、変更履歴を明確に記録する仕組みが不可欠です。GitHubのコミット履歴やタグ付け機能を活用すれば、いつ・誰が・どのような修正を行ったのかを一目で把握できるため運用の透明性と再現性が向上します。
あるバージョンで動作に不具合が生じた場合でも、保存したバージョンにロールバックできるため対応の精度とスピードが確保されます。また、開発チーム間で特定バージョンをベースに共同作業を行うことも可能になり、プロダクトの整合性を保ちながら改善を進められます。
さらに、タグやリリースノートを用いてマイルストーンごとの状態を整理すれば関係者全体で共通認識を持ちやすくなり、開発体制の安定にも寄与します。
Difyのように継続的なプロンプト調整・機能拡張が求められる環境において、GitHubによるバージョン管理は開発・運用の信頼性を支える役割を果たします。
プロンプトのバージョン管理と品質向上 (Prompt as Code)
プロンプトを「コード」として扱えるようになるので、いつ、誰が、どのプロンプトを、どのように変更したかが全てGitHubに記録されます。「前のバージョンの方が精度が高かった」という場合でも、ワンクリックで以前の状態に戻すことが可能です。
プロンプトの変更を「プルリクエスト」として提出し、チームメンバーがレビューするフローを構築できます。これにより、個人の思いつきによる安易な変更を防ぎ、チーム全体でプロンプトの品質を担保できます。
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Dockerを使ったGitHubからDifyをインストールする方法
DifyをGitHubから導入するには、Dockerを使ったローカル環境構築がおすすめです。以下では、具体的なインストール方法を手順に沿って解説していきます。
- 前提条件の確認
- GitHubからDifyをクローン
- 環境設定ファイルを作成
- Docker Composeを使って起動させる
- Difyにアクセスして初回セットアップを完了させる
前提条件の確認
Dockerを使ってDifyをローカル環境で動作させるには、前提条件を満たしておく必要があります。Difyのインストールに必要な主な前提環境は、以下の通りです。
- Git:GitHubからソースコードの取得に必要
- Docker:各種サービスをコンテナとして起動・管理するツール
- Docker Compose:複数のコンテナを一括で管理・起動するツール
- Python(バージョン3.8以上):Dockerで起動する場合は不要。ソースコードから直接起動する開発者向けの方法では必要。
また、Difyの起動には一定のハードウェアリソースも求められます。特に、ベクトルデータベース(QdrantやWeaviate)を併用する場合は、メモリ容量に余裕のあるマシン(最低でも8GB)での実行が望ましいです。
前提条件を満たしていない場合、途中でエラーが発生する可能性があります。
GitHubからDifyをクローン
前提条件を確認したら、公式GitHubリポジトリからソースコードをクローンします。これにより、Difyの最新のアプリケーション構成と関連ファイルを、自社の開発環境に取り込むことができます。
クローンを行うには、ターミナルを開いて以下コマンドを実行します。
git clone https://github.com/langgenius/dify.git
GitHub上にある全ファイルがローカルにコピーされます。これにより、すぐにローカルでの構築作業に移ることが可能です。
また、安定したバージョンを使用したい場合は、クローン後に特定のタグやブランチをチェックアウトして運用することも推奨されます。
環境設定ファイルを作成
GitHubからDifyをクローンした後は、環境に応じた設定ファイルの作成が必要です。Difyでは、環境変数を用いた設定管理が基本となっており、.envファイルに各種構成情報を記述することで、起動時の挙動を制御します。
通常は、以下コマンドでdify/dockerディレクトリにあるenv.exampleをコピーして.envファイルを作成し、必要な箇所を編集します。
cd dify/docker
cp .env.example .env
.envファイルには、以下のような情報を記載します。
- OpenAIやAnthropicなどのAPIキー
- データベースの接続情報(例:PostgreSQLやMySQL)
- ベクトルデータベースの設定(例:QdrantやWeaviateのURL)
- 管理者メールアドレスや初期パスワード
- サーバーのホスト情報やポート番号
これらの項目は、用途に応じて自由にカスタマイズ可能です。例えば、社内利用であれば外部APIとの連携を限定し、セキュリティ重視の構成とすることもできます。
Docker Composeを使って起動させる
環境設定ファイルの作成が完了したら、次はDocker Composeを使ってDifyを起動します。
Difyは複数のコンポーネントで構成されており、Docker Composeによりそれらを一括で立ち上げることが可能です。具体的には、以下のコンテナが相互に連携して動作します。
- バックエンド
- フロントエンド
- データベース
- ベクトルストレージ
各サービスが「Up」と表示されていれば、正常に起動していることになります。なお、初回セットアップでは、データベースの初期化やマイグレーション処理も自動的に行われるため、特別な操作は不要です。
Difyにアクセスして初回セットアップを完了させる
Docker ComposeでDifyの各サービスが起動したら、次はWebブラウザからDifyにアクセスし、初回セットアップを行います。
ログイン後、管理画面上で以下のような設定を進めることが可能です。
- モデルプロバイダーのAPIキー登録(OpenAIやAnthropicなど)
- アプリケーションの作成とプロンプト設計
- データソースの接続(ベクトルDBや外部API)
- チームメンバーの招待と権限設定
初回アクセス時にこれらを一通り確認し、必要な設定を整えておくことで、Difyを本番環境に近い形で活用できるようになります。
バックエンドが正しく起動していない場合は、画面にエラーメッセージが表示されるため、その場合はDockerログを確認して、原因を特定して修正しましょう。
インストール段階でエラーが生じた場合の対処法
DifyをGitHubから導入し、Dockerで起動する過程では、環境や設定の差異によってエラーが発生することがあります。こうしたエラーに対応するには、原因を特定し、適切な手順で対処することが重要です。
代表的なエラーとその対処方法は以下の通りです。
- Dockerコンテナが起動しない場合:docker compose logs [コンテナ名]でログを確認し、ネットワーク、ポートの競合、未設定の環境変数を確認する
- フロントエンドにアクセスできない場合:ファイル内の設定を再確認し、ローカル環境でのポートが開放されているかをチェックする
- データベース接続エラーが表示される場合:データベースサービスの起動状況を確認し、接続先ホスト名・ユーザー名・パスワードの記述ミスがないか検証する
- 管理画面が表示されない、もしくは空白になる場合:フロントエンドのビルドに失敗している可能性があるため、Dockerイメージの再ビルドを試行する
- マイグレーションに失敗する場合:コンテナ内に入り、手動でマイグレーションを再実行する
これらの対処法を実行しても問題が解消しない場合は、DifyのGitHubリポジトリにあるIssuesを確認し、同様の事例が報告されていないかを確認することも有効です。開発者コミュニティも活発であるため、適切なサポートを得やすい環境が整っています。
DifyとGitHubについてよくある質問まとめ
- DifyのGitHubリポジトリはどこで確認できますか?
Difyの公式GitHubリポジトリは、GitHubの公式サイトで確認できます。ここでは、最新のソースコード、ドキュメント、Docker構成、Issueトラッキングなどが提供されています。
- DifyをGitHubからローカルにインストールする手順は?
以下の5つのステップでインストールを進めます。
- 前提条件の確認: GitとDocker/Docker Composeを準備します。メモリは8GB以上が推奨されます。
- GitHubからクローン: git cloneコマンドでDifyのソースコードを取得します。
- 環境設定ファイル作成: .envファイルにAPIキーなどの必要情報を記述します。
- Docker Composeで起動: コマンド一つでDifyを構成する全サービスを起動します。
- 初回セットアップ: WebブラウザからDifyにアクセスし、管理者アカウントなどを設定します。
- Difyを活用する上で、なぜGitHubが重要なのでしょうか?
Difyは開発がGitHubで進むオープンソースのプラットフォームだからです。具体的には、以下の理由から重要です。
- コードの入手: ローカル環境でDifyを動かすには、GitHubからソースコードをクローンする必要があります。
- 開発基盤: バージョン管理やデプロイの基盤として活用することで、アプリケーションの品質とセキュリティを維持できます。
- 自由度の確保: 自社の開発フローに合わせたカスタマイズや運用が可能になります。
- GitHubと連携させるメリットは?
GitHubとDifyを連携させるメリットは、以下の通りです。
- チームでの開発が円滑に進む
- バージョン管理によるロールバックやログが明確になる
- セキュリティを保った状態でバックアップが取得できる
- CI/CDによる自動デプロイの実現
- 外部API連携にも対応可能
まとめ
Difyを業務活用する上で、GitHubは連携が必須ともいえるプラットフォームです。ローカル環境構築やCI/CDの自動化といった機能を活用することで、Difyの導入から運用までが一層スムーズかつ信頼性の高いものになります。
また、Difyのアプリケーションが扱える情報の幅が広がり、開発チームやシステム部門にとって、AIを実務レベルで活かす方法が現実的なものとなります。これは単なる技術的利便性にとどまらず、ビジネスの意思決定やプロジェクト管理を支える基盤となり得ます。
もし、自社の環境に合わせた具体的な導入計画や、より高度なAPI連携、セキュアな運用体制の構築において専門的な知見が必要な場合は実績豊富なAI開発の専門家へ相談することをおすすめします。
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