異常検知とは?メリットや学習方法、手法、ディープラーニング活用を完全解説!
最終更新日:2024年11月14日
近年のAIの発達により、機械学習による異常検知システムを導入数する企業が増えています。少子高齢化や人手不足といった社会問題に直面している企業が多い中で、その解決方法として機械学習による異常検知システムが今、注目を集めています。
そこで、この記事では、
現在、人の手で行っている異常検知を自動化したい、省力化したいと考えている方は、ぜひ最後までご覧ください。
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目次
異常検知とは
異常検知とは、蓄積された大量のデータと比べて、通常とは異なるもの(異常)を検出する仕組みのことです。AIの機械学習で学習した大量のデータと照合し、一致していないものを「異常」として認識していきます。
「簡単な異常の検知」から、人が認識するのは不可能な微細な変化や機器が故障する前の前兆といった「難しい異常の検知」まで、様々な異常検知があり、不良品の判別や、クレジットカードの不正使用検知、システムの故障検知など、様々な業種で活用されています。
よく使われるのは画像認識技術ですが、マイクを使った異音検知が使われることもあります。
こちらで異音検知とは?どのように活用されているか?詳しく説明しています。
異常検知のメリット
機械学習を活用した異常検知を活用することで、以下のようなメリットがあります。
- 生産性の向上
- 業務の属人化防止
- 人的ミスの防止
生産性の向上
異常検知システムを活用することで、生産性の向上につながります。人が目視で行っていた確認をシステム化することで、人件費の削減による生産性の向上につながります。
チェックを複数人でおこなっている場合や、深夜の時間などに人がチェックを行う場合でも、システム化により人手をかけることなく、24時間稼働することも可能となります。
これまで人が目視でチェックしていた部分をシステム化することで、より高度な仕事に人的リソース時間を回せるようになり、生産性の向上を図ることができます。
業務の属人化防止と技術の継承
異常検知を活用することで、近年の人手不足による業務の属人化を防ぐことができます。微細な変化から異常を判断するプロセスでベテラン従業員のスキルや経験だけに頼っている企業は少なくありません。そのような職場では、既存スタッフの高齢化と人手不足により、若手の従業員に継承することが難しい状況があります。
異常検知システムを導入することで、こういった状況を防ぐことができます。機械学習により、ベテラン社員の高度な技術や知識を学習しシステム化可能です。それにより、若手従業員でも高度な異常検知を行うことができるようになり、業務の属人化防止、そして技術継承が可能になります。
人的ミスの防止
異常検知システムを導入することで、人的ミスを防止し、品質の高い製品やサービスを提供することができるようになります。人の目によるチェック作業では、ミスや見落としをなくすことができません。人が作業を行う以上、うっかりミスの発生やその日のコンディションによって作業の精度が変わるのを防ぐのは困難です。
また、同じ技量をもつ作業者が同じ作業を行っても、精度にバラつきがでることもあります。異常検知システムを活用すれば、常に正確な作業を行うことが可能となり人的ミスを防止することも可能になります。
異常検知の種類
異常検知には、いくつかの種類があり、総称して異常検知と呼ばれています。異常検知の代表的な種類は以下3つです。
- 外れ値検出
- 変化点検出
- 異常部位検出
外れ値検出
外れ値検出とは、通常予想されるデータ全体から大きく外れているデータを検出する方法です。過去に蓄積したデータから共通するデータの特徴や予想される結果から外れたデータを検出することができます。
機械学習によって正常なデータをより多く学習することで、検出精度を高めることができるようになります。
変化点検出
変化点検出とは、データの時系列データのパターンが急激に変化する箇所を検出する方法です。ある期間で特定のデータの急激な増減などを検出することができます。
変化点検出を使うことで、急な増減の発生を把握し、原因を調査することができます。
異常部位検出
異常部位検出とは、通常とは明らかに違う部分を検出する方法です。外れ値検出と違うのは、部分時系列で異常であるかを評価する点です。
外れ値検出はデータ全体から大きく外れた値を異常値として検出しますが、異常部位検出は過去からのデータの正常な区間から大きく外れた値を異常値として検出します。
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異常検知の機械学習手法
異常検知は、機械学習の手法によって異なる仕組みになるため、異常検知システムを導入する際には、機械学習モデルについて理解しておくことが大切です。代表的な機械学習モデルは以下の通りとなっています。
- 教師あり学習
- 教師なし学習
- 半教師あり学習
- 生成モデル
- ディープラーニング(深層学習)
教師あり学習
教師あり学習は、機械学習の代表的な学習手法で、学習させるデータを人間が事前にラベリングして、AIに学習をさせていきます。異常検知における教師あり学習は、データに対して「正常」「異常」とラベリングを行い、AIに学習することで、異常かどうかを判断することができるようになります。
高い精度を保つためには、より多くのデータにラベリングをして学習させるアノテーション作業の精度が重要です。通常は「正常」な製品やサービスを作ることが前提であるため、「異常」と判定できるデータ自体が少なく、精度が落ちてしまうことに気をつけなければなりません。
こちらでアノテーション作業とは何か、なぜ重要なのか詳しく説明しています。
教師なし学習
教師なし学習とは、事前にラベリングをしていないデータでAIに学習をさせる方法です。異常検知の機械学習においては、「異常」と判断できるデータ自体が少ないケースも多くあります。そこで有効なのが、大量の正常データを用いてモデルを学習する手法である「教師なし学習」です。
正常データで学習を行うため、異常データを学習する必要がなく、学習した「正常」なデータに該当しない場合に「異常」と判断をします。ただし、正常と判定すべきデータを異常と判定してしまう場合や、正常と異常の判断基準が明確でないため、正しくない判定を行う場合もあります。
こちらで教師なし学習と教師あり学習の違いを詳しく説明しています。
半教師あり学習
半教師あり学習は、教師あり学習と教師なし学習の両方のアプローチを組み合わせる学習方法です。ラベル付きデータとラベルなしデータを併用します。ラベル付きデータとラベル付けされていないデータの両方を学習することで、予測精度を高めることができます。
ただし、ラベルなしデータが少ない場合は、学習データが限られてしまうため、正確なモデルの学習が困難になる場合があります。ラベルなしデータが少ない場合、教師なし学習の方が適切な場合もあります。
強化学習
強化学習とは、AIが自律的に学ぶことを目的とした学習方法です。AI自らが試行錯誤を繰り返しながら、最適な行動をするようコンピューターが学習します。
例えば、掃除をしながら多くのゴミを効率的に取れるルートを学習する掃除ロボットなどに利用されることが多くあります。しかし、異常検知システムにはあまり向いておらず、活用されるケースが少ないのが現状です。
こちらで強化学習の代表的なアルゴリズムを詳しく説明しています。
ディープラーニング(深層学習)
ディープラーニング(深層学習)は、多層(ディープ)化したディープニューラルネットワークを用いることで、十分なデータ量の中から、人の手を使わずとも機械が自動的にデータから特徴を抽出する学習のことです。ディープラーニングにより、正確に識別する能力が高まります。
近年の異常検知のシステムにおいても、このディープラーニングが多く活用されるようになってきたことで、より精度の高い異常検知システムの実現につながっています。
ディープラーニングを活用した異常検知とは
ディープラーニングの登場以前から機械学習による異常検知が存在していました。しかし、技術的に限界があり、高い精度を保つことが難しい状況でした。
ここにディープラーニングが登場したことで、機械学習よりも精度が上がっただけでなく、これまで対応できなかった高次元なデータについても対応可能となりました。こういった背景があり、異常検知の学習方法として、機械学習とディープラーニングをしばしば分けて扱うことがあります。
ディープラーニングを活用した異常検知の技術は以下のようなものがあります。
- GAN:敵対的生成ネットワーク
- AutoEncoder:自己符号化器
- Metric learning:距離学習
GAN:敵対的生成ネットワーク
GANとは2つのニューラルネットワークを敵対させ、互いに競わせることで学習を深める仕組みで、敵対的生成ネットワークと呼ばれています。GANは以下のような2つのニューラルネットワークを準備し学習させていきます。
- 生成ネットワーク:訓練用データを作成させる
- 識別ネットワーク:生成ネットワークが作成した訓練用のデータを本物か偽物か判別する
GANを用いた異常検知技術として代表的なものとして「AnoGAN」があります。AnoGANメカニズムは、GANに正常な画像だけを絞って十分に学習を行わせることで「正常な画像」を判断できるようになります。
「正常な画像ではないもの」=「正常ではない画像」という識別が可能となり、異常を検知することができるようになります。
AutoEncoder:自己符号化器
AutoEncoder(自己符号化器)は、入力されたデータから特徴を抽出するエンコーダと、抽出した特徴からデータを復元するデコーダで構成され、入力データと全く同じデータを復元するように学習されます。復元する際に、入力データと復元データ間で発生する「復元誤差」を利用する手法です。
自己符号化器による異常検知の手法は次の通りです。
1.正常データだけを入力し、自己符号化器に学習させる
2.判定したいデータを学習済みの自己符号化器に入力する
3.復元誤差を算出する
学習済みの自己符号化器は、正常データで学習するため、正常なものは復元誤差がなく復元できます。しかし、異常データは学習されていないため、異常の特徴は上手く復元できず、復元誤差が大きくなります。自己符号化器は、この復元誤差の大きさで異常を検知することができる仕組みです。
Metric learning:距離学習
Metric learning(距離学習)は似ているデータを近くに固めてプロットして学習を行います。Metricとは、2つのデータの間の距離のことを表します。
新たなデータを入力すると、既にプロットされているデータと別の場所にプロットされます。この別の場所にプロットされたデータが既に学習したデータと「距離が近い=似ている」という判断をする手法です。
つまり、「距離が遠い≠似ていない」となり、異常として検知することができます。
異常検知についてよくある質問まとめ
- 異常検知とは?
異常検知とは、蓄積された大量のデータと比べて、通常とは異なるもの(異常)を検出する仕組みのことです。AIの機械学習で学習した大量のデータと照合し、一致していないものを「異常」として認識していきます。詳しくはこちらにジャンプ。
- 異常検知の種類は?
異常検知には、いくつかの種類があり、総称して異常検知と呼ばれています。異常検知の代表的な種類は以下の3つです。
- 外れ値検出
- 変化点検出
- 異常部位検出
まとめ
異常検知とは、AIが機械学習で学習した大量のデータと照合し、一致していないものを「異常」として認識する技術で、製造業を中心に金融業や建設業、病院など幅広く活用されています。AIに学習させるためには、ラベル有・無などで機械学習をさせる方法がありますが、より精度を上げて、人手をかけなくてもAIが自ら学習するディープラーニングによる手法もあります。最近ではディープラーニングにより学習した異常検知システムも広まってきています。
異常検知システムを活用することで、これまでは
AI Marketでは、
貴社に最適な会社に手間なく数日で出会えます
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