ラズベリーパイができること13選!ChatGPTとの組み合わせは?活用例・注意点を徹底解説
最終更新日:2024年09月23日
「ラズベリーパイ(Raspberry Pi)でどのようなことができるのか知りたい」「ラズベリーパイが産業分野で活用されているが、なぜそんなに人気があるのか」「ChatGPTとの組み合わせで何ができるのか」とラズベリーパイを使うメリットが分かりにくいと思う方も多いのではないでしょうか。
本記事を読むことで、エッジAI開発にも多く利用されているラズベリーパイについて理解でき、
ラズベリーパイでどんなことができるか知りたいと思う方は、ぜひ最後まで読み進めてみてください。
AI Marketでは
目次
ラズベリーパイ(Raspberry Pi)とは
ラズベリーパイ(Raspberry Pi)とは、ワンボードマイコンと呼ばれるハードウェアです。小型で安価なコンピュータボードで、小さなパソコンとお考え頂ければわかりやすいかもしれません。
産業界ではIoTが注目を集め、活用が広まっています。IoTの新製品やシステム開発が相次いでおり、その開発の中心を担っているのが、「ラズベリーパイ(Raspberry Pi)」です。
2013年にイギリスで学校教育向けに開発したシングルボードコンピューターで、2021年現在で累計3,700万台以上の出荷数を誇ります。(※1)
シングルボードコンピューターとは、むき出しとなっている一枚のプリント基板上に電子部品や最低限の入出力装置がついている小型パソコンです。
IoTの中でも、エッジAIを搭載し、AI機能を活用したIoT製品やソリューションを構築する際には、特にラズベリーパイは多く活用されています。
また、エッジAI開発を行いたいとお考えの方は、エッジAI開発に強いAI開発会社紹介記事をご参考ください。
ラズベリーパイが注目される理由
ラズベリーパイとその周辺機器、ツールを組み合わせて開発を行いますが、アイディア次第ではでできることが無限大になります。この大きな可能性を秘めた魅力が注目される理由です。
本来は教育目的で開発されたラズベリーパイですが、現在出荷されているほとんどが産業用途であり、コストと性能のパフォーマンスバランスが優れていることから利用が増加しています。性能は十分に優れており、コストパフォーマンスも非常に高いです。
センサーやモニターと組み合わせれば、簡単で低コストのIoT機器が開発できるので、製造分野の業界で多く利用されています。教育用に開発されたものなので、プログラミング初心者でも簡単に扱える点も注目される理由です。
世界でも多くの愛好者がいるため、勉強会が盛んに開催され、コミュニティが充実していたり、Webを検索するとノウハウが多く公開されています。
同様のシングルボードコンピューターには、NVIDIAの提供するJetsonなども有名です。今回の記事では触れませんが、ご興味がある方はぜひ検索してみてください。
【難易度低】ラズベリーパイでできること4選
まずは、ラズベリーパイを企業で活用して実現できることの実用事例4つ紹介します。個人や初心者の方でも手軽にできる難易度の低い事例を中心に選びました。
サーバー関連
ラズベリーパイでファイルサーバーやWebサーバーの開発も可能です。高性能なモデルは処理も高速化されており、消費電力が小さく発熱も少ないので、ファイルサーバーやWebサーバーとして快適に活用できます。
ファイルサーバーは、ファイル管理を行うサーバーコンピューターです。パソコンやスマートフォンなどさまざまな端末から、複数のユーザーがネットワークを介してファイルにアクセスできます。USB接続が可能なので、外付けハードディスクを接続して使用します。
セキュリティ面に注意する必要がありますが、LinuxOSが搭載されていたり、様々なOSを搭載できるので、Webサーバーとしても利用できます。
OPC UAサーバー
ラズベリーパイは産業オートメーション用の通信規格であるOPC UAサーバーとして使用できます。OPC UAは、さまざまな通信やデータ収集、機械制御が可能となり、マルチベンダー製品間や異なるOSをまたがってのデータ交換も可能です。
スマートファクトリーや、プロセス制御、産業用ロボットなどの分野で今後活用が拡大していくと見込まれています。
メールの送受信
ラズベリーパイに、「Roundcube」などのメールソフトウェアをインストールすれば、メールの送受信も可能です。
業務で利用している会社のメールを、業務用パソコン以外でも受信したい場合などに活用できます。
オンラインストレージ
ラズベリーパイにソフトウェア「ownCloud 9.1」などをインストールすることで、オンラインストレージを構築できます。インターネット上(クラウド)にあるデータ保管のスペースでクラウドストレージとも呼ばれます。
社外の相手とのファイルの受け渡しや、在宅勤務やテレワークで会社外のネットワークからアクセスする場合にも重宝します。
ラズベリーパイとChatGPTでできること4選
2022年後半以降、世界を一変させたと言っても過言ではないChatGPTとラズベリーパイの組み合わせ活用例について解説します。
ChatGPTとは?どんな仕組み?こちらの記事で詳しく説明していますので併せてご覧ください。
自動応答装置
ラズベリーパイを使って、ChatGPTを搭載した「Clippy」という装置が作られたことが話題となりました。Clippyは、以前Microsoft Officeに登場したアシスタントキャラクターです。
Clippyは、「音声コマンド」で起動します。つClippyはユーザーが話しかけた内容を理解し、それに対して適切な回答を音声で返すことができます。まるでClippyが本当に会話しているような体験を提供します。
Clippyでは、ChatGPTと「Azure Speech Services」という技術が使われています。Azure Speech Servicesは音声をテキストに変換したり、逆にテキストを音声に変換する機能を持っています。
この技術は、顧客サービスを強化するためのツールとして活用できます。例えば、店舗や企業の受付で、訪問者の質問に答えたり、必要な情報を提供したりする自動応答装置を設置することが可能です。
単なる自動応答ではなく、質問の内容に応じて柔軟に対応することができるため、顧客の満足度を高めることが期待できます。
音声合成
最近の実験では、ラズベリーパイとChatGPTを組み合わせて、音声コマンド、つまり声での指示を実行するシステムが開発されています。
ChatGPTが生成したテキストを、会話形式で応答することを可能にします。この組み合わせにより、ユーザーが話した言葉をシステムが理解し、適切な応答を生成し、それを音声で出力する、という流れが実現されています。
ビジネスへの応用としては、特に小売りやホスピタリティ業界での利用が考えられます。例えば、店舗やホテルで顧客が質問や要望を声で伝えると、このシステムが適切な回答を生成して音声で応答します。これにより、顧客の体験がよりスムーズで快適なものになり、顧客エンゲージメント、つまり顧客の関心や満足度が高まります。
診断装置
最新の実験では、ラズベリーパイとChatGPTを組み合わせて「骨格診断」や「性格診断」のような診断装置が開発されています。このシステムは、ChatGPTを使用して質問を生成し、ユーザーがボタンで応答する形式です。ユーザーの回答に基づいて、システムは診断結果を提供します。
ユーザーが自分自身についてより深く理解する手助けをするだけでなく、健康管理やライフスタイルの改善に役立つパーソナライズされた情報を提供できます。さらに、健康やウェルネスに関するアプリやサービスに組み込むことで、ユーザーエクスペリエンスの向上や顧客エンゲージメントの強化が期待できるでしょう。
特にヘルスケアやウェルネス業界での利用が考えられます。例えば、健康状態や生活習慣に関する質問にユーザーが答えることで、個人に合った健康や栄養に関するアドバイスを提供することができます。また、性格やライフスタイルに基づいたウェルネスの提案も可能です。
AIスタイリスト
ChatGPT APIを用いて、その日の天気に最適な服装を提案する装置が作られています。このシステムの特徴は、インターネットから天気データをスクレイピング(収集)し、その情報をChatGPTに入力することで、適切な服装を提案する点です。
例えば、雨の日には雨具を推薦したり、暑い日には涼しい服装を提案したりすることができます。
ビジネスへの応用としては、ファッション小売業者や電子商取引プラットフォームでの利用が考えられます。この技術を利用することで、顧客に対してその日の天候に合ったパーソナライズされたファッションアドバイスを提供することが可能です。
例えば、オンラインショッピングサイトにこのシステムを組み込むことで、ユーザーがアクセスした際に、その日の天候に応じた服装の提案を表示することができます。
顧客が自分のニーズに合った製品を容易に見つけることができれば、購入率の向上や顧客満足度の向上も期待できます。さらに、天候や季節に応じた商品のプロモーションにも活用できるため、マーケティング戦略の強化にも貢献します。
ラズベリーパイとエッジAIでできること5選
エッジAIとしてラズベリーパイを活用する方法も含めて紹介しています。
エッジはデータ収集の端の部分を意味し、データの発生源や活用の場に近いところを指します。エッジデバイス上でAIの学習モデルを利用し、画像認識や音声認識などの技術を用いて推論結果を導くことができるデバイスをエッジAIといいます。
関連記事:「エッジAIとは?活用事例解説!カメラ分析・エッジコンピューティングでの活用」
不良検知・外観検査
ラズベリーパイは、エッジAIデバイスにもなります。事例として故障検知や不具合検知を行っている企業があります。切削機械やプレス機などの加工機にセンサーを取り付け、作業の際の振動を測定し、ドリルが欠ける前に発生する特定の周波数を検知できます。
ドリルが壊れる前に通知するシステムをラズベリーパイで作成しているので、急なライン停止の事態や不良品の発生を防ぐことができます。
ラズベリーパイ内でデータ解析できるため、通信設備が不要であることなどが特徴に挙げられます。
関連記事:「AIによる予知保全の活用事例!IoTセンサーとの連携で故障検知」
他にも、製造品の外観検査用にエッジAIデバイスを活用し、製造品をエッジAIカメラで撮影することで、外観検査を実現している事例も多くあります。
尚、外観検査にAIを活用したいとお考えの方は、外観検査に強いAI開発会社紹介記事をご参考ください。
監視カメラ
ラズベリーパイとカメラを組み合わせれば、監視カメラを作成することもできます。一定の時間ごとにカメラで撮影するよう設定し、他のアプリに画像を投稿して通知するシステム(LINEやSlackなど)を構築すれば、不審者の検知なども可能です。
カメラは市販されている一般的なもので使用できます。
エッジAIデバイスとして、防犯カメラ、ドライブレコーダー、マスクの装着状況の検知などAIを活用した使い道も考えられます。また来客通知システムとして活用する企業もあります。カメラと光強度センサーを活用し、インターホンが鳴ったらカメラで撮影し、メールで送信して知らせれば、誰が来たのか判別できるようになるでしょう。
関連記事:「話題のAI付き防犯カメラのメリット・事例を徹底解説!」
顔認識・人物検出
エッジAIをカメラとつなげ、画像認識ライブラリーを用いることで、顔認識や人物検出のシステム構築することができます。エッジデバイスでAI処理を行い、処理結果だけをサーバーやクラウドに送信するようにすれば、処理速度の向上や情報漏えいのリスクを減らすことが可能となります。
画像認識ライブラリーは、カメラ画像の解析や、パターン認識による物体検出、機械学習の実現のための画像処理などさまざまな機能を備えています。
用語解説:「顔認証とは?」
ウェアラブル端末の開発
ウェアラブル端末は「Wearable(身につけられる)」デバイスのことで、腕時計型のスマートウォッチや、メガネ型のスマートグラスなどがあります。
ラズベリーパイは、さまざまなセンサー類を利用でき、BluetoothやWifiなどの無線接続機能を持っているので、ウェアラブルデバイスとしても活用できます。アイディア次第ではオリジナリティ溢れた高機能の端末の制作も可能です。
産業用ロボット
産業用にラズベリーパイが多く使われていることもあり、ロボットやロボットアームなどの制作にも活用されています。電子工学や機械に精通した知識を持ち合わせている方が多い企業であれば、自作で二足歩行ロボットを作ることも可能です。
ロボット作成キットは市販の一般向けや教育向けから、産業用の本格的なロボットまで豊富。簡単なキットでもアイディアや工夫次第では高性能なロボットも作ることができます。
ラズベリーパイの特徴には、コミュニティが充実しており参考にできる情報がたくさんある点です。このセンサーやキットを使いたいという場合には、型番を調べ仕様やインタフェースの確認作業が発生しますが、この手間を大幅に減らすことで手軽にいろいろな組み合わせを試すことができます。
AI Marketでは
貴社の要望に応えることが可能な企業複数社の紹介が可能で、
ラズベリーパイを使用する際の注意点
ラズベリーパイは安価で高機能な端末ですが、使用の際にはいくつか注意する点があります。詳しく見ていきましょう。
アナログ未対応
ラズベリーパイは、I2C、シリアルなどピンヘッダ経由でのデジタル信号の入力には対応していますが、センサー出力などに用いられるアナログ信号には対応できていない場合が多いので注意してください。
最近は、アナログ信号からデジタル信号へ変換できるA/D変換モジュールが製品化され、高精度の計測用途にも利用可能なラズベリーパイ専用のA/D変換モジュールも登場しています。
周辺機器の準備が必須
ラズベリーパイ本体以外にもIoT機器開発にはさまざまな周辺機器が必要です。
起動させ開発を進めるには、電源ケーブル、microSDカード、キーボード、マウス、ディスプレイなどが必要です。また、カメラやセンサー類など、開発したいシステムに合わせて必要なモジュールも購入する必要があります。
周辺機器を用意するとかえってコストが高くついてしまう可能性もあるので注意してください。
ラズベリーパイ(Raspberry Pi)についてよくある質問まとめ
- ラズベリーパイ(Raspberry Pi)とは?
ラズベリーパイ(Raspberry Pi)とは、ワンボードマイコンと呼ばれるハードウェアです。小型で安価なコンピュータボードで、小さなパソコンとお考え頂ければわかりやすいかもしれません。
産業界ではIoTが注目を集め、活用が広まっています。IoTの新製品やシステム開発が相次いでおり、その開発の中心を担っているのが、「ラズベリーパイ(Raspberry Pi)」です。
- ラズベリーパイとChatGPTで何ができる?
ラズベリーパイとChatGPTを組み合わせた各用途について説明します。
自動応答装置: ラズベリーパイを使用して、ChatGPT駆動のClippy(Microsoft Officeのアシスタント)が作成されました。この装置は音声コマンドで活性化し、Azure Speech ServicesとChatGPTを利用して声で応答し、Clippyとの会話をシミュレートします。
音声合成機能: ラズベリーパイとChatGPTを使用した最近の実験には、音声コマンドの実行が含まれています。
診断装置:「骨格診断」や「性格診断」のような装置が開発されており、ChatGPTを使用して質問を生成し、ユーザーはボタンで応答します。このシステムは、これらの回答に基づいて診断を提供します。
スタイリスト装置: ChatGPT APIを使用して、その日の天気に最適な服装を提案する装置が開発されました。このシステムでは、天気データをスクレイピングしてChatGPTに入力し、適切な服装を提案します。
ラズベリーパイを使った開発は代行会社へ
本記事では、ラズベリーパイの特徴や注目される理由から、実際の活用法を紹介しました。
ラズベリーパイでできることは非常に多くのことがあり、個人で簡単にできるものから、企業向けの難易度の高い大規模システムまで作成可能であることが分かりました。
ラズベリーパイを使った開発は、適切に活用すればコストの最適化だけでなく、収益基盤を改善するための強力な武器になりますが、事前準備などが必要になることも多く安易に進めてしまうと無駄なコストになりかねません。
とは言え、開発企業の選定に時間やコストをかけることも避けたいのが実情ではないでしょうか?また、各社のサービスを見ても差別化ポイントがわかりにくかったり、そもそも開発会社への相談方法がわからないこともあるでしょう。
そのような場合は、ぜひAI Marketへご相談ください。
AI Marketでは
貴社の要望に応えることが可能な企業複数社の紹介が可能で、
AI Marketの編集部です。AI Market編集部は、AI Marketへ寄せられた累計1,000件を超えるAI導入相談実績を活かし、AI(人工知能)、生成AIに関する技術や、製品・サービス、業界事例などの紹介記事を提供しています。AI開発、生成AI導入における会社選定にお困りの方は、ぜひご相談ください。ご相談はこちら
𝕏:@AIMarket_jp
Youtube:@aimarket_channel
TikTok:@aimarket_jp
運営会社:BizTech株式会社
掲載記事に関するご意見・ご相談はこちら:ai-market-contents@biz-t.jp