Mastraとは?特徴やコンポーネント、LangChainやAutoGenとの違い、料金や使い方、活用事例を徹底解説
最終更新日:2025年04月23日

- Mastraは、TypeScriptベースで開発できるオープンソースのAIエージェントフレームワーク。
- エージェント、ワークフロー、RAG、Opsなどのコンポーネントを標準搭載し、柔軟な運用が可能。
- ローカル環境・クラウド環境の両方に対応し、開発から運用・評価まで一貫してサポート。
- シェフアシスタントや株価情報収集、AIリクルーターなど、多様なエージェントの開発事例が存在。
Mastraとは、AIエージェントの開発を素早く実現できるTypeScriptベースのフレームワークです。エージェント構築やワークフロー開発、知識ベースの統合、出力評価といった機能を提供し、ローカル・クラウド双方で柔軟に運用できます。
本記事では、Mastraの特徴、コンポーネント、料金、使い方、活用例まで徹底的に解説します。
AI Marketでは
LLMに強いAI会社をご自分で選びたい場合はこちらで特集していますので併せてご覧ください。
目次
Mastraとは?
Mastraは、AIアプリケーションや機能を素早く開発するための、オープンソースのTypeScriptエージェントフレームワークです。
必要なコンポーネント(ワークフロー、エージェント、RAG(検索拡張生成:Retrieval-Augmented Generation)等)を提供し、ローカル環境でもサーバレスクラウドでも動作可能です。
これにより、エージェント開発、メモリ管理、ワークフロー作成、データ取得、評価が一貫して行えるよう設計されています。
つまり、Mastraを使えば、コンポーネントを組み合わせることで、0から開発すると非常に労力がかかってしまうチャットボットやAIエージェントなどを最短ルートで形にすることができます。
▼累計1,000件以上の相談実績!お客様満足度96.8%!▼
Mastraの主要コンポーネント
Mastraが提供する主なコンポーネントは以下のようになります。これらを組み合わせることによって、AIエージェントを構築することができます。
Agents:知識を持ちタスクを実行するエージェント
MastraのAgentsは、タスク実行、知識ベースへのアクセス、メモリ保持を行うインテリジェントなエージェントです。TypeScriptで簡単に定義でき、LLM(大規模言語モデル)と統合して会話・推論を行うことができます。
また、エージェントはユーザー入力に応じて柔軟に応答し、記憶を持ちながら持続的なスレッド内での対話をサポートします。機能としては、プロンプトチューニング、ツール呼び出し(外部システム連携)、メモリ管理などが含まれます。
Workflows:複雑なLLM処理を制御する耐久型ワークフロー
Workflowsは、複雑なAI処理を簡単に設計・管理できる仕組みです。一連のタスクを順番に実行したり、条件によって分岐させたり、エラー時にリトライしたりといった複雑な動きを、視覚的かつ柔軟に構築できます。
ワークフローは耐久性があり、長時間かかる処理や一時停止が必要なタスクにも対応しています。例えば、人間の承認を待ってから次に進めるといった操作も可能です。
また、タスクの進行状況をリアルタイムで確認したり、エージェントとワークフローを組み合わせてさらに高度なシステムを作ることもできます。大規模なLLMアプリケーションにおいて、信頼性と制御性を両立するために欠かせないコンポーネントです。
RAG:知識検索と連携するエージェント機能
RAGは、エージェントに適切なコンテキストを提供する仕組みです。WebスクレイピングやSaaSツールとの連携によって知識ベースを構築し、ベクトルストアにデータを格納します。
エージェントはこの知識ベースに対してクエリを実行し、検索結果を元により的確な応答や推論を行います。統一されたAPIを通じて、データのアップサート、インデックス、クエリが可能で、メタデータフィルタリングにも対応しています。
また、ベクトル検索後に出力結果をLLMでリランキングすることもでき、高精度な情報提供を実現します。
Ops:エージェントとワークフローのパフォーマンス管理
Opsは、エージェントやワークフローの実行過程をトラッキングし、性能を可視化・最適化するコンポーネントです。各ステップやツール呼び出しの入力・出力、トレースデータを記録し、コンテキストサイズ、出力精度、トークンコスト、レイテンシーなどのパフォーマンス指標を測定します。
また、OpenTelemetryベースのトレーシングに対応しており、アプリケーションのパフォーマンス監視・デバッグも高速化します。さらに、ルールベースまたは統計的手法によるエバリュエーション(Evals)機能を利用して、エージェントやワークフローの品質検証も可能です。
▼累計1,000件以上の相談実績!お客様満足度96.8%!▼
Mastraの料金
Mastraは、AIエージェントを構築するためのオープンソースフレームワークのため、Mastra自体の利用は無料です。
但し、LLMのAPIを使用する必要があるので、それらに料金が発生しますので注意が必要です。
関連記事:「生成AI(ジェネレーティブAI)のAPI、注目の17選をプラットフォーム別に紹介!メリット・各ツールの特徴を徹底解説!」
LangChain・AutoGenとの違い
MastraはTypeScriptベースのモダンなAIエージェント開発フレームワークです。
一方、LangChainは主にPythonベースで最も広く使われているLLMアプリケーション構築フレームワークであり、AutoGenはMicrosoft製のマルチエージェントに特化したPythonベースのフレームワークです。
機能・特徴 | Mastra | LangChain | AutoGen |
---|---|---|---|
開発言語 | TypeScript | 主にPython (TypeScript版もあり) | Python (.NET対応、他言語開発中) |
主な用途 | モダンなAIエージェント開発 | LLMアプリケーション開発全般(RAG等) | マルチエージェント協調 タスク解決 |
特徴 | 高い開発体験 シンプルなワークフロー設計 | 豊富なツール連携 コンテキスト認識と外部データ接続 | 非同期メッセージング 拡張性・観測性 スケーラブルなエージェントネットワーク |
Mastraの使い方
上記は以下で説明するMastraの使い方を動画にしたものです。併せてご参照ください。
新しいプロジェクトを作成する
Mastraを使い始める最も簡単な方法は、公式CLIツールのcreate-mastraを使うことです。
以下のコマンドを実行してプロジェクトを作成します。
npx create-mastra@latest
インストール中に、次のような質問が順に表示されます。
- プロジェクト名を設定
- インストールするコンポーネントを選択(Agents、Tools、Workflows)
- デフォルトのLLMプロバイダーを選択(OpenAI推奨)
- サンプルコードを含めるかどうか
- MCPサーバー(IDE支援ツール)をセットアップするかどうか
これらに回答すると、Mastraは以下を自動的に行います。
- プロジェクトディレクトリの作成
- 必要な依存パッケージのインストール
- 選択したコンポーネントとプロバイダーの設定
- IDEにMCPサーバーを設定(選択した場合)
APIキーを設定する
作成したプロジェクトのルートディレクトリにある.env.developmentファイルにAPIキーを追加します。以下の例はOpenAIのAPIを使用した場合で、
OPENAI_API_KEY=<your-openai-key>
これで、MastraがLLMプロバイダーと通信できるようになります。
Mastraサーバーを起動する
プロジェクトの作成時にAdd exsampleにYesと答えていれば、ここまでの設定で天気予報を行うエージェントが使えるようになっています。
エージェントを使用してみる開発サーバーを起動します。
npm run dev
または、Mastra CLIをインストールしている場合は次のコマンドでも可能です。
mastra dev
これにより、エージェント用のREST APIエンドポイントが生成されます。
エージェントのテスト
APIエンドポイントにリクエストを送ってエージェントの動作をテストできます。サーバーを起動したターミナルとは別のターミナルから以下のLondonの天気を聞くコマンドを実行します。
curl -X POST http://localhost:4111/api/agents/weatherAgent/generate \ -H "Content-Type: application/json" \ -d '{"messages": ["What is the weather in London?"]}'
大量のテキストメッセージの冒頭に以下のような文章が出力されており、エージェントがうまく動作していることが確認できます。
{"text":"The current weather in London is clear with a temperature of 7.5°C, but it feels like 5.4°C. The humidity is at 88%, and there is a wind speed of 6.7 km/h with gusts up to 13.3 km/h.","files":[],"reasoningDetails":[],"toolCalls":[],"toolResults":[],"finishReason":"stop","usage":{"promptTokens":425,"completionTokens":76,"totalTokens":501}
プレイグラウンドでテスト
上記のやり方とは別のやり方で、エージェントをテストする方法もあります。
サーバーを起動したターミナルに以下のようなテキストが出力されます。
Playground available at http://localhost:4111/
このテキストは、Mastraのローカル開発用プレイグラウンド(開発用画面)が、パソコン上のhttp://localhost:4111/で利用できるようになったということを意味しているので、http://localhost:4111/にアクセスします。
http://localhost:4111/にアクセスすると上記の画像のような画面が表示されるので、Weather Agentをクリックします。
テキストボックスから天気予報を聞くと答えてくれます。
エージェントを自分で作成する
ここまでは、天気予報の例を扱いましたが、Mastraは自分好みのエージェントを作成することができます。
プロジェクト内の/src/mastraディレクトリに含まれるagentsディレクトリやtoolsディレクトリの中の.tsファイルを編集し新たなツールやエージェントを実装し、同じく/src/mastraに含まれるindex.tsに登録することで新たなエージェントを作ることができます。
なお、新たなツールやエージェントを作るのが難しそうであれば、/src/mastra/agents/index.tsのweatherAgentのinstructions(プロンプト)を自分なりに変更するだけでも、天気予報エージェントの出力を変えることができます。
詳しくはMastra公式サイトをご参照ください。
Mastraの活用例
以下では、Mastraの具体的な活用例を紹介します。
シェフアシスタント
Mastraを使用すると、ユーザーが手持ちの食材を入力すると、作れる料理を提案するエージェントを構築できます。 ウェブサイトなどから情報を収集し、必要に応じて追加の食材やレシピ手順も案内できるため、家庭での食事作りをサポートするパーソナルアシスタントとして機能します。
株価情報の収集
指定した銘柄の最新の終値をリアルタイムで取得するエージェントを作成できます。 金融アプリや投資支援ツールに組み込み、ユーザーからの問い合わせに応じた株価情報の自動提供が可能になります。
AIリクルーター
履歴書から候補者情報を抽出し、技術系・非技術系に応じた適切な質問を生成するワークフローを開発できます。 採用面談の事前準備を効率化でき、候補者に合わせたフォローアップ質問も動的に生成できる点が特徴です。
RAGを使った研究アシスタント
学術論文をベクトル化してナレッジベース化し、関連情報を検索・抽出して回答するエージェントを構築できます。 特定分野におけるリサーチ支援や、専門的な質問への精度の高い応答を目的とする活用例に適しています。
記事要約エージェント
記事を取得し、要点を抽出して日本語で簡潔にまとめるエージェントを作成できます。 MarkdownやURLを排除し、プロンプトから調整することで読み手に合わせて読みやすい800文字程度の要約文を自動生成することが可能です。
情報収集エージェント
指示に従って自動で検索を行い、情報を収集するエージェントを作ることもできます。
【MastraとPlaywright MCPの連携ガイド】
話題のMastraとPlaywright MCPを連携させる手順を記事にまとめました。
自然言語で指示するだけで、動画のようにAIがWeb検索やデータ収集を代行してくれる仕組みを構築できます。
連携手順の概要をスレッドで解説します🧵👇 pic.twitter.com/rp9LRSzRQv
— ChatGPT研究所 (@ctgptlb) March 31, 2025
Mastraについてよくある質問まとめ
- Mastraは無料で使えますか?
はい、Mastra自体はオープンソースで無料利用が可能です。
ただし、エージェントに組み込むLLM(例:OpenAI APIなど)の使用には、別途API利用料が発生します。
- Mastraでどんなエージェントが作れますか?
チャットボット、情報収集エージェント、記事要約ツール、リクルーティングアシスタント、研究支援エージェントなど、アイデア次第でさまざまなAIアプリケーションを作成可能です。
まとめ
Mastraは、TypeScriptベースで開発できるオープンソースのAIエージェントフレームワークです。
シンプルな初期設定と高い開発体験により、チャットボットや業務支援エージェントを素早く構築可能です。また、LangChainやAutoGenと比較してモダンな設計思想を持ち、開発から運用・評価まで一貫してサポートできる点が特徴です。
株価情報の取得、リクルーティング支援、研究アシスタント、記事要約など、ビジネスや研究の現場で活用できる幅広い応用例も揃っており、これからAIエージェントを活用したい企業や個人にとって、有力な選択肢となるでしょう。
AI Marketでは

AI Marketの編集部です。AI Market編集部は、AI Marketへ寄せられた累計1,000件を超えるAI導入相談実績を活かし、AI(人工知能)、生成AIに関する技術や、製品・サービス、業界事例などの紹介記事を提供しています。AI開発、生成AI導入における会社選定にお困りの方は、ぜひご相談ください。ご相談はこちら
𝕏:@AIMarket_jp
Youtube:@aimarket_channel
TikTok:@aimarket_jp
運営会社:BizTech株式会社
弊社代表 森下𝕏:@ymorishita
掲載記事に関するご意見・ご相談はこちら:ai-market-contents@biz-t.jp
