OpenAI最新推論モデルo4/o4-miniとは?性能、特徴、活用方法、料金プランを徹底解説
最終更新日:2025年04月17日

- OpenAIのo4は、高度な推論と効率性を両立。ChatGPTやAPIで利用可能。
- 数学、コーディング、画像理解などで高性能を発揮し、o3から進化。低コストで利用できる。
- 自然な対話やツール連携、高い安全性が特徴。様々な分野で活用が期待される。
ChatGPTを提供するOpenAIは、2025年4月16日、新たな推論型のLLM「o4」シリーズの内、「o4-mini」の提供を開始しました。o3とともに登場したこのモデルは、複雑な課題に対して自律的かつ戦略的に対応できるエージェント型のAIシステムとして設計されています。
本記事では、OpenAI o4の概要から特徴、性能、利用方法、注意点、活用例までを包括的に解説します。
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o4とは?
Introducing OpenAI o3 and o4-mini—our smartest and most capable models to date.
For the first time, our reasoning models can agentically use and combine every tool within ChatGPT, including web search, Python, image analysis, file interpretation, and image generation. pic.twitter.com/rDaqV0x0wE
— OpenAI (@OpenAI) April 16, 2025
OpenAI o4は、oシリーズにおける最新の推論特化型AIモデルシリーズであり、複雑な問題解決において人間のような深い思考と柔軟なツール活用を実現することを目的として開発されています。
従来のGPTシリーズよりも、複数のタスクを段階的かつ戦略的に処理できるよう訓練されており、単なる言語生成ではなく「思考するAI」として設計されています。
ChatGPT内で提供されるo4モデルは、画像処理、Web検索、Pythonによるデータ解析などのツールを組み合わせて活用することが可能であり、ユーザーの質問に対して迅速かつ実用的なアウトプットを生成します。
また、メモリ機能により会話の文脈や履歴を保持でき、より自然でパーソナライズされた応答を実現します。
o4-miniとは?
o4-miniは、OpenAI o4シリーズの中で特に軽量かつ高効率なモデルとして設計されたモデルです。推論性能に優れながらも、低コストかつ高速な応答が可能であり、大量処理が求められる業務やアプリケーションに最適化されています。
モデル自体の効率性により、o3よりも大幅に高い使用上限が設定されており、高頻度・大容量の推論が求められる場面においても安定した利用が可能です。
o4-mini、o4-mini-highの2つが提供されています。
o4の特徴
高度な推論能力と高いコストパフォーマンス
o4-miniは、2025年のAIME(数学競技)においてベンチマーク最高得点を記録するなど、そのサイズ・コストに対して非常に優れたパフォーマンスを発揮しています。
前世代のo3-miniと比較しても、数学・コーディング・視覚的課題において大幅に精度が向上しており、非STEM分野やデータサイエンスの領域でも同様に高い成果を示しています。また、コスト効率の面でもo3-miniを上回り、現実の利用環境においても「より賢く、より安価」なモデルとして位置づけられています。
自然な対話性とパーソナライズ対応
o4は、従来モデルと比較して対話の自然さが向上しており、ユーザーとの会話において文脈や履歴を活かしたパーソナライズ応答が可能です。
ChatGPTのメモリ機能と連携することで、継続的なやりとりを通じた適応学習のような振る舞いを実現します。
ツール統合とマルチモーダル推論
Web検索、Pythonコード実行、ファイル解析、画像処理などのツールを自律的に活用できる「エージェント型」モデルです。
特にマルチモーダル推論(テキスト+画像)においては、画像の読み取りや回転・変換を思考過程に取り込むことが可能で、従来は困難だった複雑な課題への対応範囲を大きく拡張しています。
安全性とリスク管理の強化
o4-miniは安全性にも重点が置かれており、バイオリスク、マルウェア生成、脱獄行為といった高リスク領域に対する「拒否データ」の再設計が行われています。
人間による赤チームテストでは、99%の高精度で危険プロンプトを検出する安全監視機構(LLMモニター)の成果が確認されています。
また、OpenAIの「Preparedness Framework」に準拠した評価においても、生物・化学、サイバーセキュリティ、自己改善といった領域で高リスクとされる基準を下回っており、安定した運用が可能です。
軽量なコードエージェントとの連携
o4-miniは、OpenAIが公開した「Codex CLI」という軽量コードエージェントとの連携にも対応しています。これにより、ターミナル上から直接モデルに画像やコードスニペットを渡し、マルチモーダル推論を即座に活用できる環境が整っています。
Codex CLIはオープンソースで提供されており、APIモデル(今後はGPT-4.1にも対応予定)と組み合わせてローカル開発環境での高度な利用が可能です。
OpenAIのサム・アルトマン氏もコーディングに優れていると投稿しています。
o3 and o4-mini are super good at coding, so we are releasing a new product, Codex CLI, to make them easier to use.
this is a coding agent that runs on your computer. it is fully open source and available today; we expect it to rapidly improve.
— Sam Altman (@sama) April 16, 2025
o4の性能
o4-miniは、各種ベンチマークにおいて前世代モデル(o3-miniやo1)と比較して、精度と実用性の両面で優れた結果を示しています。以下に、代表的なテスト結果を具体的数値とともに紹介します。
AIME 2025(数学コンペティション)での性能比較
AIME(American Invitational Mathematics Examination)は、数学分野における推論力や問題解決能力を測る高度なベンチマークです。2025年の結果では、o4-miniは他のすべてのモデルを上回る最高精度を記録しました。
モデル | 精度(Accuracy) |
---|---|
o1 | 79.2% |
o3-mini | 86.5% |
o3(no tools) | 88.9% |
o4-mini(no tools) | 92.7% |
この結果から、o4-miniはツールを使わずにこれまでのモデルよりも高精度な数値を出しており、特に数学分野における単体性能が非常に高いことが明らかです。
前世代のo3と比較しても約4ポイントの向上が見られ、o1と比べると実に13.5ポイントもの差があることから、数理的な推論における「高精度かつ効率的な小型モデル」としてのポジションを確立しています。
SWE-Bench(ソフトウェアエンジニアリング)
コードベースに対する実践的な修正能力を問うSWE-Benchベンチマークでは、o4-miniは以下の精度を達成しています。
モデル | 精度(Accuracy) |
---|---|
o4-mini | 68.1% |
参考:o3 | 69.1% |
高難度のバグ修正や実装においても、o3とほぼ同等の性能を持つことが確認されました。
マルチモーダル推論(MMMU, MathVista, CharXiv)
画像+テキスト混合の推論精度も非常に高く、大学レベルの図解・視覚情報を含む問題においてもo4-miniは高スコアを達成しています。
ベンチマーク | o4-miniの精度 |
---|---|
MMMU | 81.6% |
MathVista | 84.3% |
CharXiv-Reasoning | 72.0% |
視覚情報を含む学術的なタスクにおいても信頼性の高い回答が可能です。
コード編集精度(Aider Polyglot)
コード全体の編集タスクにおける精度も高く、以下のような結果が出ています。
タイプ | 精度(Accuracy) |
---|---|
全体編集(whole) | 68.9% |
差分編集(diff) | 58.2% |
コンパクトなモデルでありながら、複雑なコード編集にも対応できる性能があることが示されています。
マルチターン指示追従(Scale MultiChallenge)
複数のターンにまたがる指示理解のテストでは、以下の通りです。
モデル | 精度(Accuracy) |
---|---|
o4-mini | 42.99% |
参考:o3 | 56.51% |
推論力は高いものの、複雑なマルチターンの指示解釈についてはo3の方がやや上回る結果となっています。
Function Calling(Tau-bench)
特定の業務ドメイン(Airline, Retail)におけるFunction Calling精度では以下のスコアを記録しています。
業種 | 精度(Accuracy) |
---|---|
Airline | 49.2% |
Retail | 65.6% |
実務に近い環境での関数呼び出しや意思決定支援にも有効なモデルであることが確認されています。
o4-miniは、軽量モデルでありながら多くのベンチマークで大規模モデルと同等またはそれに近い性能を発揮しており、特にコーディング、マルチモーダル、数学領域において顕著な成果を示しています。
その一方で、複雑な対話の文脈保持や連続指示への応答では、若干の改善余地があると見られます。
Introducing OpenAI o3 and o4-mini
o4のライセンス・料金体系
o4-miniは、OpenAI API(Chat Completions APIおよびResponses API)経由で利用可能です。
料金はトークンベースの従量課金制となっており、具体的な価格体系やトークン単価は以下の通りです。
モデル | 入力(1M tokens) | キャッシュ済み入力 | 出力(1M tokens) |
---|---|---|---|
o4-mini(2025-04-16) | $1.10 | $0.275 | $4.40 |
o3との違い
o4-miniは、前モデルであるo3およびo3-miniと比べて、性能・機能・効率性のすべてにおいて進化しています。
以下の表に、主な違いを整理しています。
項目 | o3 / o3-mini | o4-mini |
---|---|---|
マルチモーダル対応 | 非対応(テキスト中心) | 対応(画像を含む推論が可能) |
ベンチマーク精度 | 良好(例:AIME 86.5%) | さらに高精度(AIME 92.7%、GPQAでも上位) |
推論コスト | やや高め | コスト最適化済($1.10 入力 / $4.40 出力) |
処理効率・スループット | 標準的 | 高スループット(利用上限も拡大) |
ツール活用能力 | 可能(ただし限定的) | 自律的に判断・連携(複数ツールの統合活用) |
自然な対話性 | 高いがやや硬め | より自然で文脈を考慮した会話が可能 |
o4を使うには?
o4は以下の方法で利用できます。
- ChatGPT Plus、Pro、Teamプランでの選択
- ChatGPTの無料プランでは「Think」モードから一部利用可能
- API経由での開発者向け提供(Chat Completions API、Responses API)
APIを利用するには、OpenAIのドキュメントに沿ってエンドポイントを設定し、必要に応じて機能呼び出し(function calling)やツール連携を実装します。
また、Azure AI FoundryやMicrosoft Azure OpenAI Service、GitHubでもAPI利用が可能です。
o4の活用例
o4は例えば、以下のようなことで活用が可能です。
– 数学コンテスト(AIME)での高精度解答
– 画像中の図表や手書きスケッチを読み取り、物理学インターンの結果を再構成
– Pythonコードを含むシステムの不具合解析と修正(SWE-bench)
– 音響と自然再生を組み合わせた研究分野に関する発見支援
また、X上でもすでにo4を活用した投稿が複数されています。
o3 and o4-mini have absolutely NAILED the vibe check ✅
This is best result so far! pic.twitter.com/G05kD9zs84
— Flavio Adamo (@flavioAd) April 16, 2025
OpenAI o4についてよくある質問まとめ
- OpenAIの「o4」および「o4-mini」とは何ですか?
o4は、複雑な問題解決を目指すOpenAIの思考・推論特化型AIモデルシリーズです。o4-miniは、その中でも特に軽量で高速、かつコスト効率に優れたバージョンとして設計されています。基本的な能力は共通ですが、o4-miniは効率性を重視したモデルです。
- o4-miniは、前のモデルであるo3と比べて、どのような点が優れていますか?
o4-miniはo3と比較して、特に数学やコーディング、画像を含むマルチモーダル推論の性能が向上しています。また、コスト効率が改善され、API利用時の処理速度や上限も向上しました。ツール連携や対話の自然さも進化していますが、一部の複雑な指示理解ではo3が優れる場合もあります。
- o4(o4-mini)を利用するにはどうすればよいですか?料金はかかりますか?
o4はChatGPTの有料プランや、一部無料プランの機能、または開発者向けAPIを通じて利用できます。ChatGPTの利用にはプラン料金が、API利用には処理量に応じた従量課金が発生します。
まとめ
OpenAI o4は、従来の推論モデルの限界を超える柔軟性と精度を備えた最新のAIモデルです。マルチモーダルな課題に対応できること、ツールの自律的活用による複雑な思考の実現、実務への応用可能性の高さなどが大きな特徴です。
ChatGPTやAPIを通じて今すぐ利用可能であり、より高性能で効率的なAI活用を模索するユーザーにとって強力な選択肢となるでしょう。
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