Github Copilotとは?プログラミングがどう変わる?特徴や料金・メリット・注意点わかりやすく解説!
最終更新日:2024年11月14日
IT化・DX化が推進されている昨今において、ソフトウェア開発の重要性は今まで以上に大きなものになってきます。ソフトウェアを開発する企業にとっては、多くのプログラマーを確保し、開発スピードを早くすることは業績に直結する問題になっています。
しかしながら、
そこで、今回は「GitHub Copilot」を紹介していきます。GitHub Copilotは、LLM(大規模言語モデル)の生成AIがプログラマーを支援するというサービスです。
自社の開発スピードを上げたい、自社の開発現場の環境を改善したいと考えている方は是非最後までご覧ください。
関連記事:「コード生成AIとは?企業ユースにおすすめのサービスでプログラミングを効率化!」
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目次
GitHub Copilotとは?
GitHub Copilotとは、アメリカのGitHub社がリリースした生成AIによるコーディング支援機能です。GitHub Copilotは、ChatGPTにも使われているOpenAIの生成AIモデルGPTを利用しており、そのGPTベースの「OpenAI Codex」というコード生成等に特化した基盤モデルが採用されています。なお、Github Copilotは、このCodexというモデルをベースに、Github上のソースコードを学習させています。
これにより、プログラマーが作成したコードや関数などから、最適なコードをAIが提案・補完し、コーディング作業を支援することが可能なサービスとなっています。
ちなみに、GitHub社は2018年にMicrosoftによって、75億USドル(約8200億円)というビッグディールで買収されています。だからこそ、同じくMicrosoftと同盟関係にあるOpenAI社のGPTを使っているようです。
断片的なコードの提案や補完はChatGPTを用いても行えますが、GitHub Copilotを使えば、より高効率で大量のコーディング支援が可能になります。また、競合と言えるコード生成サービスとは以下のような違いがあります。
- Amazon CodeWhisperer:AWSエコシステムに特化
- v0 by Vercel:フロントエンドのUI開発に特化
- GitHub Copilot:より汎用的な環境でのコーディングを支援
GitHub Copilotは、従来の生成AIのようなWebアプリとして提供されるものではなく、プログラマーが使用するコードエディタに、専用のプラグインをインストールすることで使用できる生成AIサービスです。プログラマーが普段使い慣れたVS CodeやVisual Studio、Neovim、JetBrainsと言った環境内で直接利用できます。
開発者はコーディング作業の自動化と効率化を実現できるだけでなく、新しいコーディングパターンや最適な実装方法を学ぶこともできます。これは、特に新しい技術や言語を学習中のプログラマーにとって、貴重なリソースとなり得ます。加えて、GitHub Copilotは、コーディングのベストプラクティスを提案することで、より高品質で保守しやすいコードの作成を促します。
GitHub Copilotは様々なプログラミング言語に対応していますが、以下のような利用者の多いプログラミング言語を得意としています。
- Python
- JavaScript
- Ruby
- Go
- C#
- C++
GitHub Copilotの料金
GitHub Copilotを利用するためのプランは以下の通りです。
- Copilot Individual 約1,500円(月額10ドル)
- Copilot Business 約2,850円(月額19ドル)
- Copilot Enterprise 約5,860円(月額39ドル)
「Copilot Individual」は個人向けプランで、30日間の無料トライアルが可能です。
「Copilot Business」及び「Copilot Enterprise」はビジネスアカウントとなっており、上記料金は利用者1人当たりの料金です。企業レベルでのライセンス管理やポリシー管理といった機能が含まれています。セキュリティを高めたい場合は、Copilot Business、またはCopilot Enterpriseが良いでしょう。
「Copilot Business」と「Copilot Enterprise」では、プルリクエストの要約、コードレビュー機能 、ファインチューニングモデルなどの機能面で異なります。
GitHub Copilotの4つの重要な特徴
GitHub Copilotには以下のような特徴があります。
- 予測してコードを提案してくれる
- 文章で記述できる
- コードエディタ内で完結する
- 日本語でも使える
予測してコードを提案してくれる
GitHub Copilotの大きな特徴が、LLM(大規模言語モデル)を使って、AIが現在のコーディング状況やコンテキストを理解し、次に書くべき最適なコードを予測して提案します。記述されているコードやの前後の文脈をくみ取って、AIがコードを予測し提案することができます。
提案を受け入れる場合は、Tabキーを押すことで提案されたコードが自動的に反映されます。提案されたコードを受け入れないときは、Escキーを押せばプログラマー自身が通常どおりコードを記述できます。
GitHub Copilotは、単純にコードのミス部分を補完するだけでなく、文脈から変数を自動で生成しコードを記述することも可能です。提案されたコードを使えば、自身で手動入力せずにコーディングを進めることができ、スピードが大幅に向上します。
自然言語で記述できる
GitHub Copilotは、記載したコードから予測し補完するだけでなく、自然言語の指示文章を理解しコーディングすることもできます。
作成したいコードや整理のためにコメントを記述すると、そのコメントからコードが自動的に生成されます。例えば、Pythonでのコーディングで、コメントとして「# 日付をYYYY-MM-DD形式でフォーマットする関数を作成」と記述するとします。GitHub Copilotは、このコメントを基に以下のようなコードの提案を行ってくれます。
def format_date(date):
return date.strftime(“%Y-%m-%d”)
(一例です)
提案されたコードは、そのまま使用することも、必要に応じてカスタマイズすることもできます。例えば、特定のタイムゾーンのサポートを追加したり、異なる日付形式をサポートするためにパラメータを追加したりすることができます。どんな処理をしたいのかや、複雑な関数を整理するためにコメントを記載するだけでも、そこからGitHub Copilotがコードを一から生成し、手間を省くことができます。
また、2023年12月からは、GitHub Copilot Xの新機能であるCopilot Chatがすべてのプランに実装されています。ChatGPTのような生成チャットAIと同じ感覚で文章をやり取りしてコーディング可能です。
特に新しい言語やフレームワークを学習中の開発者にとって、コード例を探す時間を節約し、学習曲線を緩和する貴重なツールです。また、経験豊富な開発者にとっても、新しいアイデアを試したり、標準的なタスクを迅速に完了したりする際に大きな助けとなります。
コードエディタ内で完結する
GitHub Copilotはコードエディタに直接組み込まれるプラグイン形式で提供されるので、慣れているコードエディタ内でコーディングを完結させることができます。VS Code、Visual Studio、Neovim、JetBrainsなどの人気エディタに対応しています。
コーディングをする際、プログラマーは参考書やウェブサイトでコードを検索するなど、参考書やブラウザとコードエディタを開きながら開発することも多くあるでしょう。
GitHub Copilotは、対応するコードエディタにプラグインをインストールするだけで、AIが自動でコードを提案してくれるようになり、参考書やウェブブラウザを開く回数を大幅に減らすことができます。参考となるコードを確認してコードエディタに記載するという手間がなくなり、AIの提案でコーディングが可能となり、コードエディタ内で完結できるようになります。
日本語にも対応
GitHub Copilotは、英語だけでなく日本語を含む複数の言語に対応しており、日本語でのコメントや機能記述に基づいてコード提案をしてくれます。これにより、非英語圏の開発者でも、自身の母語で効率的にコーディングを進めることが可能になります。
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GitHub Copilotのメリットをどう生かす?
GitHub Copilotを導入することでどのようなメリットがあるのか、企業でどう活用できるか解説していきます。
開発スピードと生産性の向上
GitHub Copilotの提供するAIによるコーディング支援機能は、開発プロジェクトのスピードと生産性を顕著に向上させます。コードの自動生成と提案により、開発者は煩雑なコーディング作業から解放され、より創造的かつ高度なタスクに集中することができます。これは、プロジェクトの納期短縮に直結し、同時に開発コストの削減にも繋がります。
GitHub公式の調査によると、GitHub Copilotを使用したプログラマーは、コーディングが55%高速化し、提案されたコードの46%が採用され、75%のプログラマーが満足していると回答していることがわかっており、開発スピードの向上に繋がっています。GitHub Copilotは、世界で150万人以上が利用し、30億行を超えるコードを生成しているという実績からも、開発スピードが向上することが期待できます。
チームの開発スキル底上げ
GitHub Copilotは、最新のプログラミングパターンやベストプラクティスを提案することで、開発チームの技術力向上に貢献します。新しい言語やフレームワークを学習している開発者にとっては、実際のコード例を通じて知識を深める絶好の機会となります。
また、チーム内でのコーディングスタンダードの統一を促進し、長期的なプロジェクトの品質向上に寄与します。そして、AIのサポートを受けながら、より複雑で革新的な機能の実装に挑戦することが可能になり、企業の競争力を強化します。
プログラマーの負担軽減
GitHub Copilotを使用することで、プログラマーの負担を軽減させることができます。
多くの業界でIT化・DXを進めることを求められる現在において、基盤となるソフトウェア開発の需要は高まっています。しかしながら、開発現場では有能な人材が不足している企業も多く、実際に、ソフトウェア開発の求人数は年々増加していますが、応募者の増加数が追いついていない状況となっています。このことからも、人材不足が不足している開発現場も多く、そのような現場ではプログラマーの負担が大きくなります。
GitHub Copilotを導入することで、AIによるサポートによりプログラマーの作業負担を軽減することが可能となります。AIによるコードの提案や、記述した文章からコードを生成する機能は、プログラマーの物理的な作業量を削減することができます。
また、コードエディタ内で作業を進めることができるようになるため、作業に集中することができ、精神的な面での負担も軽減できるようになります。
レガシー言語の更新
GitHub Copilotにより、社内のレガシー言語の更新作業も可能となります。
古い言語で作成されているシステムやソフトウェアが存在する場合、その言語を扱える人材がいなければ、メンテナンスや改良がかなり難しくなってしまいます。多くのプログラミング言語での開発経験があるプログラマーでもすべてを正確にコーディングすることは困難であり、古い言語であればなおさら難しくなるでしょう。
しかし、GitHub Copilotなら、数多くの言語に対応することができ、レガシー言語から有名な言語へ書き換えることができるようになります。プログラムの仕様やどのような動きをするのかがわかれば、文章で記述してコードを書き直すことも可能です。
GitHub Copilotを使い、古く手入れのできていないシステムをよく使用される言語に更新することで、メンテナンスが容易となり、新たな機能改善も積極的に行うことができるようになります。
採用市場でのアピール強化
技術の最前線に立つ企業としてのブランドイメージを構築し、優秀な技術者の獲得にも寄与します。GitHub Copilotを活用する開発環境は、最新技術への積極的な取り組みと、開発者の働きやすさを重視する企業文化の象徴となり得ます。
GitHub Copilotの3つの注意点
GitHub Copilotにより、開発環境や開発スピードが向上しますが、気を付けるべきリスクも存在します。
コードが漏洩しないようにする
GitHub Copilotに限らず、生成AIを使用する上でのリスクとして挙げられるのが、AIによるコードの学習と情報漏洩です。
GitHub Copilotは、取り込んだコードを学習する可能性があるということを考えて、対策を行わなければなりません。GitHub Copilotが学習してしまえば、そのコードを違う会社の開発に利用される危険性も否定できません。
GitHub Copilot公式の回答によれば、GitHub Copilotは、パブリックなコードベースのみを学習資料としています。また、プライベートリポジトリのコードがCopilotによって直接学習されることはないと公表されています。さらに、Copilot Businessであれば、使用したプロンプトや候補はGitHub Copilotに保存をされない仕組みになっています。
企業がGitHub Copilotを安全に活用するためには、以下の対策が推奨されます。
- プライベートリポジトリの利用: 企業秘密や機密情報を含むコードは、プライベートリポジトリで管理することにより、外部に漏洩するリスクを最小化できます。
- Copilot Businessの検討: 企業がGitHub Copilotを使用して生成したコードのプライバシーがより厳重に守られます。
コードを判断するスキルが必要になる
GitHub Copilotはコードを提案してくれますが、そのコードが正しいものなのか?リスクがないか?という判断をしなければなりません。
提案されるコードが常に最適、またはプロジェクトの要件に完全に合致するわけではありません。そのまま提案を受け入れても、プログラムがうまく動作しない可能性は十分にあります。実際に、GitHub Copilotの提案するコードの採択率は46%で提案の半分以上は採択されていないことになります。
また、提案するコードには、脆弱性のあるコードであるリスクや、他者に著作権のあるコードの可能性もゼロではありません。当然、GitHub Copilotでの対策は講じられていますが、リスクがないかということは、プログラマー自身で判断しなければなりません。
GitHub Copilotが提案するコードをそのまま採用するのではなく、セキュリティやパフォーマンス、プロジェクトのコーディング規約などを考慮し、提案されたコードを適切に評価し、必要に応じて修正や最適化を行うスキルが求められます。AIの提案を盲目的に信頼するのではなく、批判的な視点でコードを検討し、最終的な責任を持ってコードを採用しましょう。
依存による能力低下を避ける
GitHub Copilotによって、開発者がAIの提案に過度に依存し、コーディング能力が向上しない可能性があります。GitHub Copilotを使用する際は、提案されたコードを盲目的に受け入れるのではなく、その背後にあるロジックや最適なプラクティスを理解し、自身の知識として吸収する努力が必要です。
また、独自のコーディングスタイルや創造性を保持することも大切です。
GitHub Copilotを登録して使う方法
実際にGitHub Copilotを使うための方法を解説していきます。驚くほどシンプルで簡単です。
- 公式サイトにアクセス
Eメールアドレスを入力します - プランを選択する
個人アカウントであれば、「Copilot Individual」に、ビジネスアカウントであれば、「Copilot Business」「Copilot Enterprise」を選択します。 - 必要な情報を登録する
氏名や住所、支払い方法を登録します。
「Suggestions matching public code」は、公開されているコードに一致する提案をするかどうかです。「Allow GitHub to use my code snippets for product improvements」はユーザーのコードを学習に使うことを許可するかどうかです。セキュリティリスクを考慮して、基本的には選択しない方がいいでしょう。全て入力したら登録は完了です。 - コードエディタへのプラグインインストール
VS Codeを例として解説します。 - VS Codeを起動します。
- VS Codeの拡張機能を開きます
- GitHub Copilotをインストールします。
GitHub Copilotで登録したアカウントでサインインをすればインストール終了となり、VS CodeでGitHub Copilotを使用できるようになります。
Github Copilotについてよくある質問まとめ
- GitHub Copilotとは?
GitHub Copilotとは、アメリカのGitHub社がリリースした生成AIによるコーディング支援機能です。プログラマーが作成したコードや関数などから、最適なコードをAIが提案・補完し、コーディング作業を支援するサービスです。
GitHub Copilotは、プログラマーが使用するコードエディタに、専用のプラグインをインストールすることで使用できる生成AIサービスです。プログラマーが普段使い慣れたVS CodeやVisual Studio、Neovim、JetBrainsと言った環境内で直接利用できます。
- GitHub Copilotを活用する際の注意点は?
GitHub Copilotを活用する際の主要な注意点は、以下の3つに要約できます。
- コード漏洩の防止
GitHub Copilotはパブリックなコードからのみ学習するため、プライベートリポジトリでの使用が推奨されます。また、Copilot Businessを利用することで、使用したプロンプトやコードの候補が保存されないようにすることができます。 - コードの正確性とセキュリティの評価
GitHub Copilotが提案するコードは必ずしも最適解であるとは限らず、セキュリティ上の問題を含む可能性もあります。開発者は提案されたコードを批判的に評価し、セキュリティやパフォーマンス、プロジェクトの規約に合致するかどうかを検討する必要があります。 - AI依存によるスキルの低下
GitHub Copilotの便利さに過度に依存することで、開発者のコーディングスキルが低下する恐れがあります。提案されたコードの背後にあるロジックやプラクティスを理解し、自らの知識として吸収することが重要です。
- コード漏洩の防止
まとめ
GitHub Copilotは、OpenAIのLLM(大規模言語モデル)を使用した、プログラマーの支援に特化した生成AIです。
GitHub Copilotのコードの提案機能は、GitHubにあつまる膨大なコードで学習されており、その機能を活用することで、開発スピードを向上させることができます。また、多くのプログラマーが作業に集中できることを実感しており、物理的・精神的な負担の軽減にも貢献しています。
一方で、生成AI特有の、学習・情報漏洩といったセキュリティリスクに加え、コードの正確性や著作権リスクも存在するため、提案されたコードの判断力が必要になるという点に注意が必要です。
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