技術的に可能でもChatGPTでできないことは?規約の禁止事項・スペック制限・注意点を徹底解説!
最終更新日:2025年04月14日

- ChatGPTの利用には明確な禁止事項があり、アカウントの共有・不適切なコンテンツの生成・知的財産権の侵害などは契約違反となる
- 利用規約違反が発覚した場合、アカウント停止や損害賠償のリスク
- 機能的限界(医療・法律判断の代行、外部サービスへの直接操作など)を理解し、活用は補助的な範囲に留めるべき
ChatGPTを業務に取り入れる企業が増える一方で、利用規約に対する理解不足から思わぬリスクを抱えるケースが見られます。たとえば、社内でのアカウント共有や誤った画像生成指示など、知らずに行ってしまいがちな行為が契約違反につながることもあります。
本記事では、ChatGPTの禁止事項を網羅的に整理し、実務でトラブルを避けながら安全に活用するための基礎知識を提供します。導入担当者や法務・情報システム部門の方にとって、リスク回避のためのチェックリストとして役立つ内容です。
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目次
ChatGPTの規約上の禁止事項
ChatGPTでは、悪意のあるユーザーが有害なコンテンツの生成や法令違反となる行為を行わないように、規約上で禁止していることがあります。仮に、技術的に可能だとしてもChatGPTのポリシー違反となり、アカウントの永久停止や損害賠償請求が実行されかねません。
以下では、ChatGPTの規約上で禁止されているためにできないことを紹介します。
関連記事:「ChatGPTの無料プランと有料プランにおける質問回数、文字数、音声会話、機能面の制限事項」
個人アカウントの使いまわし
ChatGPTでは、利用する際に必要なメールアドレスなどのアカウントの認証情報を他人と共有することや第三者に公開したりすることはできません。
アカウントに関する利用規約にて、明確に禁止されているためです。
お客様は、アカウントの認証情報を共有したり、ご自身のアカウントを他人に公開したりしないでください。お客様はご自身のアカウントにおいて発生するすべての活動に責任を負います。
引用:利用規約|OpenAI
アカウント共有が禁止されている理由は、セキュリティ侵害の可能性が懸念されるためです。認証情報の共有を許可すると、不正アクセスや個人情報流出のリスクが高まります。
そのため、社内でChatGPTのAPI連携を利用しない場合は、各ユーザーが個別にアカウントを作成する、もしくはTeamプランなどを利用する必要があります。
ChatGPTアカウント共有のリスクなどは、こちらをご覧ください。
不適切なコンテンツ生成
ChatGPTを通じて、他者が見て嫌悪感を抱く不適切なコンテンツ生成(文章も画像も)を行うことはできません。具体的に禁止されているコンテンツ生成の内容は、以下のとおりです。
- 差別的発言:人種、宗教、性別、性的指向、障がいなどに基づく侮辱・中傷
- 暴力的なコンテンツの生成:過度に残虐・グロテスクな描写や他者への暴力を扇動する表現
- 違法行為を助長する情報の提供:薬物の製造方法や犯罪計画など、違法行為を実行または助長する情報の提供
- 未成年に対して不適切な性的表現:児童ポルノ、性的虐待を想起させる内容
違反が判明した場合、生成リクエストは拒否されるほか、アカウント停止や利用制限といった厳格な処分が行われる可能性があります。
他社の知的財産権を侵害する行為
ChatGPTの利用規約では、他者の知的財産権を侵害・悪用するあらゆる行為を禁止しています。そのため、他社の知的財産権を侵害する以下のような行為はできません。
- 無断転載・複製:著作権で保護された文章、画像、音楽などを許可なく生成・配布
- 誤った引用:出典不明または誤った情報源を示すことで著作者の権利を侵害
- 機密情報の漏洩:企業秘密や個人情報を含む非公開資料の無断使用
たとえば、著作権で保護されたキャラクターや企業ロゴを直接生成することはできません。
社内でChatGPTを活用する際は、以下に注意しましょう。
- 社内ガイドラインに従い、必ず許諾を得た資料のみをプロンプトに使用
- Web検索機能で取得した情報は必要に応じて引用元を明示、権利者から利用許可を取得
- 生成されたコンテンツは、社内法務部門や知財担当者によるレビューを実施
知的財産権の違法行為が見られた場合は、侵害主張対象のコンテンツを削除または無効になる他、アカウントが停止するリスクがあります。また、違反すると著作権侵害訴訟や重大な法的責任につながるため、ChatGPTの利用規約の他、著作権や情報セキュリティに関する社内規程も厳守する必要があります。
といいながらも、2025年3月に公式発表されたGPT-4oを活用した画像生成機能において、OpenAIのサム・アルトマン自身がテキスト指示や写真から「スタジオジブリ風」の画像を生成する能力をSNSでアピールしました。これに対して、「ジブリブランドの価値を損なう」「いや、スタイル自体は著作権保護の対象外とされる」などと論争が起こりました。
生成AI(LLM・画像生成)の著作権に関しては、こちらをご覧ください。
改編や再利用などによる競合モデルの開発
以下にあるように、OpenAIの利用規約では、ChatGPTを通じて提供されるあらゆるソフトウェアやモデルなどにおける変更・コピー・リースなどの行為を厳格に禁止しています。
- 当社の本サービスを変更、コピー、リース、販売、又は配布すること。
- 当社モデル、アルゴリズム、又はシステムを含む、本サービスのソースコード又は基礎となるコンポーネントの発見、リバースエンジニアリング、逆コンパイルについて試みたり、他者を支援したりすること(当該制限が適用法令で禁止されている場合を除く)
- アウトプットを使用して、OpenAIと競合するモデルを開発すること
引用:利用規約|OpenAI
たとえば、ChatGPTのアルゴリズムを解析するようなプロンプトを入力し、競合モデルに利用することはできません。
これらの行為は、知的財産権侵害や不正競争防止法違反のみならず、契約違反として法的責任を問われる可能性が高く、違反が確認された場合は損害賠償請求が科されることもあります。
DeepSeekの「R1」モデルは、OpenAIの「o1」から技術的な影響を受けた可能性が指摘され、一部では「蒸留」や技術模倣による成果ではないかとの議論が巻き起こりました。
敵対的プロンプト
敵対的プロンプトとは、ChatGPTの安全機能や使用制限を回避、無効化、あるいは妨害するためのプロンプト設計のことです。「脱獄」プロンプトと呼ばれることもあります。
以下の利用規約にあるように、OpenAIはChatGPTの安全性と信頼性を維持するため、ユーザーがコンテンツフィルターなどシステムに組み込まれた保護措置を迂回する行為や無効化する一切の試みを禁止しています。
レート制限や規制を回避したり、当社が本サービスに実装させている保護措置や安全管理上の緩和対策を迂回したりするなど、本サービスを妨害又は中断させること。
引用:利用規約|OpenAI
敵対的プロンプトは入力できたとしても、出力がされない仕組みになっています。
敵対的プロンプトが実行されると、他ユーザーやOpenAIインフラストラクチャへ重大な被害を与えるため、違反が複数回にわたり確認された場合にはアカウント永久停止となる可能性があります。
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ChatGPTのスペック・仕様上の制限でできないこと
ChatGPTはスペックや仕様上の制限により、回答の生成などにおいてできないことがあります。以下では、スペック・仕様上の制限を紹介します。
専門分野での回答
ChatGPTの生成精度は常に進化しており、高度な専門知識を要する質問に対しても対応力が向上しています。しかし、現状は専門資格者でなければ正確かつ適切な回答ができないような法律や医療などの分野においては、利用が非推奨となっています。
ChatGPTの出力は、正確・最新・完全でないことも少なくありません。そのため、個人の信用や法的・重大な意思決定に直接影響を及ぼす分野において、唯一の情報源および専門家のアドバイス代わりとして使用することを制限しています。
専門的な分野での回答が必要な場合、ChatGPT直接では不可能なため、RAGが活用されています。RAGは信頼できる一次情報ソースを提供できる仕組みであるため、ハルシネーションのリスクを回避でき、専門分野においても利用できます。
RAG(検索拡張生成)の使い方、活用方法や導入事例は、こちらをご覧ください。
医療診断・治療の実施
専門的な知識を有する回答が制限されているのと同様に、資格や倫理上の問題で、医療診断や治療を実施する際は使用できません。医療分野においては、正確な診断には医師の臨床判断と倫理的配慮が不可欠であり、ChatGPTはあくまで補助的ツールとしてのみ利用すべきです。
外部サービスへの直接アクセス
現時点では、ChatGPT自体は外部サイトへの直接アクセスはできません。API を介すことで間接的に他サービスと連携することは技術的に可能ですが、ChatGPT単体で直接的に実行することはできません。
外部サービスへのアクセスは、OpenAIのAIエージェント機能「Operator」によってできるようになる可能性があります。OperatorはAPIを介さず、直接Webブラウザを操作してタスク実行が可能な機能を備えています。
税務申告や法律業務の代理実行
税務申告や法律業務を代理実行するには、それぞれ税理士・弁護士などの国家資格が必要です。医療診断のアドバイスと同様に、これら業務において資格保持者以外による直接的な実行はできません。
したがって、これらの分野でChatGPTを利用する場合は、あくまでドラフト作成やリサーチ支援にとどめ、最終判断や提出前のチェックは必ず有資格者が行わなければなりません。
マルチタスク処理
現在のChatGPTは、単一のテキスト生成や画像生成など単一タスクに特化しています。そのため、Web検索を行いながら画像生成を行うなどの複数工程を自動で同時実行する「マルチタスク処理」はできません。
マルチエージェントシステム(MAS)のように、異なるタスクを並行処理してワークフロー全体を完結させるには、外部ツールとの連携やカスタム開発が必要です。
動画・音声の生成
現時点で、ChatGPTのマルチモーダル機能は、テキストと画像生成のみです。たとえば、GPT-4oでは、画像生成を指示すると指示にあわせて画像を生成するほか、画像情報を与えると解読した内容をテキストで出力します。
一方、テキストから動画や音声コンテンツを生成することはできません。動画編集や音声合成を行いたい場合は、動画生成に特化したツールを利用する必要があります。
ただし、OpenAIはSoraという高性能の動画生成AIを公開しています。将来的には、ChatGPTとシームレスに統合されるかもしれません。
膨大な量のテキストやコードの生成
ChatGPTのプランによっては、一度の対話で使用できるトークン(文字数や単語数)に制限が設けられています。そのため、非常に長い文脈や複雑な対話が必要な場合、出力が省略されることがあります。
生成内容の制限は、ピーク時間帯のアクセス集中を緩和するため、予告なく調整される可能性があります。長文生成や大規模コード出力が必要な場合は、より多くのトークンを扱えるモデルの利用により対策できます。
関連記事:「ChatGPTのモデルごとの具体的な制限、上限を超えた場合に生じる問題について解説」
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ChatGPTの利用可能性を広げるコツ
ChatGPTを使用している際に、「できないことが多い」や「自社事業に活用できない」と感じる場合は、ツールの最新仕様や効果的な利用方法を十分にキャッチアップできていないことが原因として挙げられます。
ここでは、ChatGPTの可能性を最大限に引き出し、実務に生かすための具体的なコツを紹介します。
最新仕様情報を継続的にキャッチアップ
OpenAIの提供する仕様や機能は、常に進化しており、数カ月前には仕様制限によりできなかったタスクもすぐに実現されています。
たとえば、かつてはテキスト機能のみの提供でしたが、現在では音声認識機能や柔軟な画像生成機能が追加されるなど、短期間で大きく発展しています。
そのため、公式サイトや公式Xの他、AI情報がまとまったWebサイトを定期的にチェックし、最新の仕様変更や新機能の追加を継続的に把握することが重要です。
ChatGPTの最新情報を取り入れることで、最大限に機能を活用できるようになり、業務効率や生産性の向上につなげられます。
プロンプトエンジニアリングの実施
ChatGPTを効果的に活用するためには、プロンプトエンジニアリングの実施が必要です。プロンプトエンジニアリングとは、 生成AIの回答精度を高めるために、プロンプトを設計する技術や効果的なプロンプト手法を指します。
プロンプトエンジニアリングの基本則は、以下のとおりです。
- 具体的な指示を出す
- コンテキストを与える
- 例示の提示
まず、単に「文章を作成して」と指示するのではなく、「どのようなトーンやスタイル、情報を含めるべきか」などを具体的に指定することで、より意図に沿ったアウトプットが得られます。
あわせて、回答に必要な時代背景や回答者の役割、前提条件などのコンテキストを明示することも効果的です。また、期待するアウトプットのサンプルや具体例を提示することで、どのような形式や内容が望ましいかを示し、生成AIの理解をサポートできます。
プロンプトエンジニアリングのテクニックを駆使することで、汎用的な回答ではなく、業務に直結した具体的かつ実用的な情報の生成が可能となります。
関連記事:「プロンプトとは何か?やプロンプトを作るコツ、例文、共有して活用する方法を紹介」
ChatGPT APIの活用
ChatGPT APIを活用することで、既存のアプリケーションやサービスに高度な対話型インターフェースや自動化機能を簡単に追加できます。そのため、ChatGPTではできない以下のような高度な処理が可能となります。
- 問診システムの補助:患者からの入力情報を整理し、症状チェックリストや初期の問診フォーマットを自動生成
- 帳票作成のドラフト支援:税務申告書や関連資料の初期ドラフトを自動生成し、税理士が内容を確認・修正しやすい形式にまとめる
ChatGPT APIにより、医療や税務分野などの専門分野で生成AI活用が進み、業務の効率化や生産性向上につながります。
ChatGPTのAPIでできることや利用例については、こちらをご覧ください。
ChatGPTでできないことについてよくある質問まとめ
- ChatGPTで生成した内容は商用利用できますか?
はい。利用規約に違反しない限り、生成コンテンツの商用利用は可能ですが、著作権で保護された素材(キャラクター、ロゴ等)の生成は禁止されています。必ず出力内容を確認し、第三者の知的財産権や個人情報を侵害しないよう注意してください。
- ChatGPTは医療・法律・税務のアドバイスに使えますか?
いいえ。現時点では、これら専門領域での診断や助言、書類作成などは利用規約で禁止されています。あくまでドラフト作成やリサーチ支援に留め、最終判断は有資格者が行ってください。
まとめ
ChatGPTの導入にあたっては、単にツールの性能を理解するだけでなく、利用規約や技術的制限まで把握することが、法的トラブルを避ける鍵となります。特に、外部とのAPI連携やプロンプト設計に関しては、業務と密接に関係するため、社内ポリシーやコンプライアンス部門との連携が不可欠です。
より踏み込んだ活用や制限の解釈が必要な場合は、AI技術や法律に明るい専門家の助言を取り入れることで、安全性と効率性の両立が可能になります。
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