農業へのAI導入事例15選!メリット・デメリット、スマート農業・自動化ロボットで変わる?【2024年最新版】
最終更新日:2024年11月14日
従事者の高齢化や後継者不足により、日本の農業は人手不足が懸念されています。そんな農業を救うため、AI(人工知能)を農業に取り入れようとする動きが以前よりも活発化しているのをご存じでしょうか。
本記事では、農業にAIを導入することに対するメリット/デメリットや、具体的な活用事例をご紹介します。
また、農業以外でもAIシステム開発に強い会社のお探しの場合は、AI開発に強い開発会社厳選記事をご参考ください。
なお、AI Marketでは
目次
農業でAI導入が必要な4つの理由
まずは現在の農業が抱える問題を整理して、今AIの導入が必要とされる理由を考えましょう。
高齢化問題
参照:スマート農業の展開について|農林水産省
農林水産省の調査によると、2020年に日本で農業に従事する人の平均年齢は67.8歳であったとのことです。同じく高齢化が叫ばれる漁業は2016年時点で平均56.7歳でした。このデータからも日本の農業従事者がいかに高齢化しているかがわかるのではないでしょうか。
農業は体力を使う肉体労働である部分が多いために、高齢になっても続けるのは簡単ではありません。AIドローンやなどを導入して、体力が落ちても農業を続けられるようなやり方や仕組みを実現することが重要です。
人手不足
高齢化に加え、後継者も不足しています。若い人材は都市へと流れ、農家を継ぐ人は減る傾向にあるのが現状です。後継者不足の問題は単に農業従事者の数が減るだけに留まりません。
後継者がいないと、それまで積み上げてきた技術やノウハウが失われてしまい、農産物の質の低下につながりかねません。AIロボットなどを活用して、農業分野において熟練の技術や知見をシステム化することが求められています。
農薬が環境に及ぼす影響
安定した収穫量を確保するためには、病害虫に対する対策が欠かせず、そのための農薬散布は重要です。しかしながら、人手で農薬を散布するとどうしても偏りが出たり、細かいニーズに関係なく全体にまいてしまうことも少なくありません。農薬を散布している人自身の健康にも悪影響が及ぶ可能性があります。農薬を使いすぎることによる環境への悪影響が懸念されます。
自然災害・気象変化による被害
農業は自然相手の仕事であるため、自然災害による被害は時に甚大なものとなります。2019年の台風19号は農林水産関係に3,058億円を超える被害をもたらしました。このような自然災害をいかに予測し、早めに対策をとるかは非常に重要です。
農業は太陽と水を使って行うものだけに、気象が収穫量に与える影響は大変大きいといえます。AIを利用し、どのような気象条件のときに収穫量がアップしたかを解析したり、どのような農作業を行ったかを解析したりすることにより、収穫量の正確な予測につながることでしょう。
正確な気象データ入手のために圃場に直接センサーを置くことが理想ですが、それができない場合でも、アメダスや予報データを使うことでもある程度正確な予測ができるかもしれません。
スマート農業の発展のためには、気象データと実際の収穫量のデータなどを連携させて有効活用することが必須です。
AI Marketでは
AIが農業に導入されるメリット
AIが農業に導入されることでどのようなメリットがあるのでしょうか。
自動収穫による作業の効率化
収穫作業をAI搭載ロボットによって自動化できれば、大きく作業の負担を減らすことが可能となるでしょう。農作物はある時期に一度に収穫できるため、収穫作業の最盛期には大変忙しくなります。
早朝や夜に収穫すべき作物もあり、収穫作業は重労働です。収穫のときだけ余分に人を雇うという農家も少なくありません。
収穫のみを行うパートタイムは、近い将来「なくなる仕事」なのかもしれません。
予測による出荷量の調整
AIを使って収穫量を正確に予測して納品できれば、取引先の信頼を得ることができ、より大規模な契約を得られるかもしれません。
農業では安定した出荷量が求められます。そのために、どれだけの収穫量が見込めるのか事前に予測する必要がありますが、勘だけに頼っていては正確な予測は難しいものです。
AIによる予測システムの導入事例と代表的なツールについてこちらで、初心者の方にも分かりやすく解説しています。
農薬散布量の調整
AIを使って病害虫が発生している個所をピンポイントで見つけられれば、必要最小限の量に農薬を抑えることが可能になります。農薬散布は一般的に、畑全体に対して行われます。しかしながら、この方法では農薬の必要のない部分に対しても農薬が散布されることになり、環境への影響が懸念されます。また、農薬を扱う人自身への悪影響もあるかもしれません。
環境や人体への負荷を減らすのに加え、コスト面でもメリットがあるでしょう。作物の生育状況、病気や害虫の発生に関するデータは、多くの場合IoTセンサーで収集されています。スマート農業で活用されているIoTセンサーの種類、導入の注意点については、こちらの記事で解説しています。
技術の継承
AIを使って、今まで蓄積されてきた技術やノウハウを可視化できます。経験の浅い人でもスキルの取得は容易でしょう。
農業は昔からの技術とノウハウの蓄積によって成り立っています。後継者がいないと、このような技術やノウハウは永遠に失われてしまいかねません。初めて農業を始める人にとっても参入障壁が下がり、農業を始めたいと考える人が増えるでしょう。
ゲノム解析の活用
最近話題のゲノム情報の農業への利用には、AIによるデータ解析技術が欠かせません。ゲノム解析とは、生物の遺伝情報(ゲノム)を総合的に解析することです。「ゲノム(genome)」は”gene(遺伝子)”と”-ome(オーム、ラテン語で全体)”を組み合わせた言葉で、生物のもつ遺伝情報全体を指す言葉です。
ゲノム解析・編集技術を活用することで、特定の遺伝子を狙って変異を起こすことができ、目的の性質を持つ品種を効率的に作ることができます。その作物に存在しない特定の遺伝子を組み込む「遺伝子組み換え」と混同しがちですが、ゲノム編集は遺伝子を組みこまずに、切断による変異を促す点が異なります。
生物の細胞内にあるDNAには、遺伝子や遺伝子の発現を制御する情報などが記録されています。遺伝子の情報をもとに転写・翻訳されることでタンパク質がつくられ、さらにタンパク質が細胞をつくり生命活動に必要な仕事をしています。つまり、ゲノム解析はDNAの塩基配列を解読し、遺伝子の機能などの情報を総合的に解読していきます。
ゲノム解析の活用事例についてはこちらの記事で解説していますので併せてごらんください。
AIを農業に導入する際のデメリット・注意点
それでは、AIが農業に導入されることでどのようなデメリットや注意点があるのでしょうか。
必要なコストの増加
AIはまだまだ最先端の技術であり、導入には安くない初期コストがかかるのが実情です。家族だけで小規模に農業を営んでいるような農家にとっては、多額の費用を払うのは負担が大きいと考えられます。
ただし、AIを活用することで、コストの低減や売上の拡大なども期待されるため、初期コストの負担をどうするか、が課題になってきます。
扱う機能の難易度
AIは最新テクノロジーを使っています。このため、AIの活用には一定の知識や技術が必要です。ほかの農機具のように誰もが使えるものになるにはまだまだ時間がかかるかもしれません。
AI Marketでは
農作業支援へのAI導入活用事例7選
農業に対するAIの導入はすでに始まっています。まずは、農作業の支援をするAIの導入や活用の事例をご紹介します。
ドローンによる農薬散布の最適化(オプティム)
株式会社オプティムはAI搭載のドローンを使った「ピンポイント農薬散布テクノロジー」を開発し、コメの栽培に適用しました。
ドローンで圃場の様子を上空から撮影し、画像から病害虫を検知、農薬散布が必要な場所にのみ農薬を散布するシステムです。
撮影された画像から、病害虫が発生している画像や雑草の画像などをディープラーニング(深層学習)で比較判定し、農薬散布が必要な場所を割り出し自動操縦のドローンで散布します。
これにより、農薬代と農薬を散布する人件費を削減できます。また、収穫されたコメは減農薬栽培米として付加価値が生まれ、より高値で販売することが可能です。
また葉の色づきなどを分析して生育状況から、必要な箇所に必要な量の追肥を行う「ピンポイント施肥や、新たに生育予測技術と病害虫発生の予察技術による防除の適期判定を行えるサービス提供も開始しました。
勘や経験に頼っていた部分に、新たに新しい技術を加えることで、生産性向上と品質向上の両立を目指すということです。
野菜収穫ロボットによる作業効率化(デンソー)
自動車用部品を手掛けるデンソーは、AIを組み込んだ自動野菜収穫で農家の負荷を大きく減らし、収穫にかかるコストを下げるシステムを開発しました。農家にとって収穫は一年で最も忙しい時期の一つに挙げられます。より大規模な農業をやればやるほど、収穫のために必要なコストも上がってしまいます。
この課題に対しては、AIを組み込んだ自動野菜収穫ロボットに収穫を任せるというソリューションが有効です。農業ロボットであれば24時間いつでも、バッテリーの続く限り動き続けることが可能です。
農家の負荷を大きく減らし、収穫にかかるコストも下げられます。
デンソーは、人手に依存する生産性が低い農業分野にも参入し、デジタル化や自動車用部品の生産ノウハウで培った技術で運営を目指しています。トマトの収穫用の農業ロボットには車部品で培ったデータ分析技術のノウハウを活用し、実を落とさないようハサミの設計に工夫をするなど、収穫を確実にするようにしました。
収穫ロボットを夜間運転させ、24時間稼働できる体制を目指します。また、収穫に加え不要な葉や雑草を取り除く機能の搭載も目指し、より作業効率化が可能となるということです。
ロボットにAIを搭載すると可能になること、主要業界の活用事例についてこちらで特集しています。
AIでトマト収穫の最適時期判別(Happy Quality)
農業スタートアップのHappy Qualityは、AIを使った甘いトマト栽培を行っています。熟練した農家が葉のしおれ具合で甘いトマトの収穫時期を見極めることにヒントを得ました。カメラの画像を使ってAIがしおれかけた時の下を向く角度を測定します。それとともに、温度や湿度、日射量などをセンサーが取得して、どういう条件でトマトが水を必要とするかをAIに学習させます。
一般的にトマトは生育の際に与える水の量を少なくするほど甘くなることがわかっています。しかし、減らしすぎると生育が遅れたり枯れたりして加減は簡単ではありません。
どの程度水分を減らせばいいかは熟練した農家のみが持つノウハウでしたが、これをAIによって定量化しようとしています。
枯れる直前で養分を含んだ水を必要量与えられ、数時間後の状態まで推定できるようになったとのことです。
いつ水をやればいいかをAIが判断できるようになれば、人間はほかの作業に時間を使うことができます。また、経験に頼ることなく、どの農家でも甘いトマトを出荷できるようになることでしょう。
AIで病害感染のリスクを予測(ボッシュ)
ドイツに本社を置くボッシュが開発した「Plantect(プランテクト)」は、環境モニタリングとAIにより病害予測ができるサービスです。ハウス栽培のスマート農業。温度、湿度、CO2、日射量などをIoTセンサーで検出しAIが分析します。
農業にとって病害は非常に恐ろしいものであり、その予測は重要なノウハウです。しかしながら、これまでは人の経験と勘にゆだねられており、誰もが予測できるものではありませんでした。
ボッシュの「Plantect(プランテクト)」により病害の感染リスクを92%という高い精度で予測できるとのことです。予測に基づいて農薬を散布するなど適切な処置を施すことが可能なため、収穫量の向上に貢献できます。
また、これまでは気になることがあると「ちょっと畑を見てくる」と、わざわざ畑へ様子を見に行かなくてはならなかったのが、さまざまなデータをパソコンやスマートフォンからチェックすることが可能になっています。農家の負担を減らすことができるとともに、過去のデータもまとめて参照できるので、データを活用した栽培方法の改善も図ることができます。
農業のIoT化とAIを活用したスマート農業について、こちらの記事で解説しています。
ドローンを活用した農薬散布効率化(XAG)
農業用ドローンを手掛ける中国企業「極飛科技(XAG)」は、農業とテクノロジーを掛け合わせたアグリテック企業で以下のようななどさまざまな事業展開をしています。
- ドローン
- 農業用無人運転車両
- 農業向けIoT
- スマート農業の農場管理システム
中国では農業用ドローンの活用が急速に広がっており、中国のメーカーがその他の国の市場開拓にも乗り出しています。
飛行制御と農薬散布の状況把握を可能にしたシステムがドローンに搭載されているので、特別な操縦技術を身につけなくても、AIによって障害物の回避できます。農地の形状、風向きなどを考慮して効率的に全自動で農薬散布が可能な点が特徴です。
ドローンで農薬散布をしているときに、作物や農地、周辺状況を撮影できます。その膨大な撮影データをもとに農作物の生育状況などをAIによって解析可能としました。
農業所得の向上を目指す(AGRIST)
AGRISTは、極限までシンプルを追求した、低コスト自動収穫ロボットを開発しました。このために採用したのが、地面を走るロボットではなく、「吊り下げ式」という新しい形態のロボットです。いくら100%すべてを収穫できる完璧なロボットがあっても、購入できないのでは意味がありません。導入しやすい初期コストを求める農家の声にこたえたものです。
地面を走らせると、平らでない場合はロボットが倒れたり、ほかの機械や装置が邪魔になり移動ができなくなったりしますが、吊り下げ式であればそのような心配はありません。
この低コスト自動収穫ロボットにより、1反当りの収穫量の20%以上改善と、パート人件費50%削減を目標にしているとのことです。
AIによるきゅうり選別作業の自動化(個人農家小池氏)
静岡県できゅうり農家を営む小池誠さんは、AIを使った画像認識で手間のかかるきゅうり選別の自動化を可能にしました。小池さんはもともと、自動車部品メーカーのソフトウェアエンジニアです。Googleがオープンソースで公開している機械学習用のソフトウェアライブラリ「TensorFlow」を流用する形で専門家の力を借りることなくシステムを組み上げました。
かかったコストは、Webカメラなど3,000円程度で、正答率が80%という高い結果を得ることができています。
きゅうり栽培において、出荷は栽培にかかる全時間の1/5を占める重労働だといいます。その出荷の中の代表的な作業が「仕分け」です。傷や病気があるものを取り除いたり、形や色合い、大きさによってランク別に選別したりする作業のことを言います。
規模の小さい個人農家では仕分け機を買うメリットが少ないため、仕分けは手作業でやらざるを得ません。きゅうりを見た瞬間に仕分ける作業は、熟練の技術が必要で農繁期になると多くの時間がかかってしまう課題がありました。
そこで、AIを使った画像認識で、大規模な機器を買うことなく、きゅうり仕分けの自動化を実現したのです。
100%に近い精度を出すにはよりコストをかける必要がありますが、人間の手伝いをするという目的であればこの程度の精度でも十分使えるようです。
AI Marketでは
農業経営へのAI導入・活用事例8選
続いて、農業経営をサポートするAIの導入事例や活用事例をご紹介します。
スマート農業で営農情報・ノウハウの可視化(クボタ)
農機などの産業機械国内最大手株式会社クボタは、「KSAS(KUBOTA Smart Agri System)」というスマート農業のサービス提供を開始しました。農業ロボット・ICT・地理情報システム(GIS)などの最先端テクノロジーを活用したサービスです。圃場・作業内容・収穫内容・農機の稼働情報などの営農情報を集約させて、あらゆるデータを管理することにより農業の改善を可能にします。
従来の農業では、営農情報やノウハウはいわゆる暗黙知であり共有することが難しい点が課題でした。スマート農業は可視化・データ化することにより、農業のハードルを下げて管理しやすい点が特徴です。
AIによる自動運転を行うトラクターは、GPSの情報をもとに自動運転の経路を決定できます。また、AIが生育状況や天候などのさまざまなデータを使って、田畑を耕す、種をまく、農作物を収穫するなどの農作業を自動で行います。
クボタは、従来の農業用機械の製造や販売の売り切り型のビジネスモデルから脱却し、ITやロボットを活用したスマート農業の先駆者として、農業の産業構造を大きく変えようとしています。
今後は、AIカメラを用いた自ら考えて動く農機具の実現を目指していくということです。
IoTとAIで最適生育シナリオ作成(クレバアグリ)
クレバアグリ株式会社では、以下のようなIoTセンサーから集まった情報をAIにより解析することで、科学的な成長度合いの評価や生育シナリオの最適化を実行しています。
- CO2センサー
- 温湿度センサー
- 照度センサー
- 水位フロートセンサーなど
農作物の品質向上につなげることができます。また、IoTセンサーとAIによって得られたデータをもとに、最適な作業スケジュールやリソース計画の作成も可能です。作業記録をクラウドに蓄積することで、各種認証に必要な記録収集の支援もできます。
客観的なデータが得られることから、金融機関からの融資・資金調達にも役立てることが期待されています。IoTセンサーとAIを駆使した、農業向けの総合的な生産・経営支援も始まっています。
葉の色を画像解析して収穫量を予測(いろは)
葉色解析サービス「いろは」では、ドローンを使って撮影した画像をAIで解析することにより、正確な収穫量を予測する取り組みが始まっています。
農協ではなく、小売業者や個人に対して直接納品する場合は契約した量をきちんと収めることが重要です。このためには、事前に正確な収穫量予測を行うことが必要といえます。しかしながら、これまで収穫量は農家の勘に頼って予測するしかありませんでした。
葉色解析サービス「いろは」では、個々の作物の成長度合いを正確に把握することで、収穫量をより正確に予測することが可能です。
なお、AIを活用した画像認識・解析開発については、画像認識・画像解析のAI開発に強い、プロ厳選の開発会社の記事にて詳しく紹介していますので、ぜひご覧ください。
IoTであらゆる作業情報をデータベース化(FarmLogsFlow)
海外の農業でおなじみの「FarmLogsFlow」は、日々の細かい作業を記録・データ化し、自動でマップを作成するサービスです。
開発元である米ベンチャーのFarmLogs社は、当サービスをローンチする前に、気象データから作物の成長や健康状態などの情報を提供するなど、収穫に関する予想も得意としてました。
農業機械に接続することで農作業の細かな記録が可能なので、情報の転送やアップデートの必要はなく、小さなデバイスで農作物の管理ができることが好評のようです。
AIとブロックチェーンで農家とバイヤーを直接つなぐ(Agri10x)
マレーシアやインドなどに拠点を置くAgri10xでは、ブロックチェーンやAI技術を活用し、野菜や果物のオンライン市場を手掛けています。仲介業者による間接コストをなくし、生産者である農家と消費者を直接つなぐマーケットプレイスを提供し、農産物を競争力のある価格で販売できるような支援を可能になりました。
Agri10xはインド政府と協力し、農作物や食品などの流通の安全性や透明性を担保するために、ブロックチェーンを用いた取引が行われるようになってきています。
リアルタイムでの収穫データの収集、公正な価格と取引の透明性を農家に提供して、収穫の効率的管理を目指します。現在の市場価格や天候、農作物に関連する情報を参考としながら予測が高精度で可能となり、農家は収穫量を増やし作物の無駄を省くことが可能です。
AIによる屋内農場で地産地消の新しい形(Plenty)
米国のスタートアップのPlentyは、AIによって競争力の高い効率的な水耕栽培を手掛けています。
都市部に屋内農場を作ることで、地産地消の新しい形を目指し、AIやロボット技術を駆使したスマート農業を活用しています。
農作物を畑やビニールハウスでなく、屋内に無数に建てられた高さおよそ6mのポールで育てます。そして、栄養分を含んだ水をゆっくり流し、根から吸収させます。土を使用しないため害虫がつかず、農薬も必要としません。
AI技術を用いて、水耕溶液の配合を改善し、農場には赤外線センサーを張り巡らして作物の育ち具合をモニタリング可能です。情報をフィードバックすることで、AIのアルゴリズムが水、温度、光を調節できます。
従来の農場と比較して面積あたりの収穫量を350倍以上に増やすことが可能な垂直農業です。広大な畑や土地を必要としないので、人口密集地の近くに農場を作ることができるメリットがあります。農作物を供給できる市場がすぐそばにあれば、運送費や貯蔵費など多くを占めるコストを削減可能です。
農業ロボット・AIで大規模自動化植物工場(スプレッド)
野菜植物工場を手掛ける株式会社スプレッドは、AIを活用した生産管理技術やIoTなどの活用で世界最大規模の自動化植物工場の安定稼働を続けています。
スプレッドが運営している「テクノファームけいはんな」では、センサーで収集したさまざまな栽培データから、最適な栽培状況を算出します。そして、収量予測をもとにした高度な生産管理を行います。
日本でも全自動化による水耕栽培は注目されています。気候変動によって農産物の価格が高騰する中で、天候に左右されない植物工場の野菜には特に期待が込められているからです。
植物工場の従来の課題は、安定した稼働率でしたが、各拠点から集まるビッグデータによって、分析精度が向上しています。栽培に必要な熟練のノウハウを瞬時に世界と共有し、再現し無駄のないスマート農業が加速することが期待されています。
AIと衛星情報で耕作放棄地調査の効率化(サグリ)
サグリはAIと人工衛星からのデータを活用し、耕作放棄地を判別するサービスを手掛けています。サグリが展開する「ACTABA(アクタバ)」は、農地の状態をアプリ上で確認可能なサービスです。
農地が使われずに放棄されてしまうと、雑草や害獣、害虫などの被害につながってしまい、周辺地域にも悪影響を及ぼしてしまいます。耕作放棄地は、市区町村に設置されている農業委員会によって調査されますが、目視での確認が求められており、作業の非効率性や調査員が高齢化するなどのいくつかの課題があります。
この課題に対処するためのサービスが、衛星データを活用し、AIによる解析と合わせて耕作放棄地の予測を可能としたACTABAです。調査員の巡回範囲を9割削減可能とし、判定精度はおよそ98%の確率で判定可能としました。
AIは自治体がこれまで蓄積した目視による台帳データと、農地の衛星画像を紐付けて学習します。AIが耕作放棄地の特徴を捉えて、衛星画像のみでも農地の状態を判断可能となります。
農業へのAI導入についてよくある質問まとめ
- AIを農業に導入するメリットは?
- 自動収穫による作業の効率化
- 予測による出荷量の調整
- 農薬散布量の調整
- 技術の継承
- ゲノム解析の活用
AI導入により今後の農業は大きく変わる!
AIが農業の現場ですでに活躍している事例は多数存在します。農業が抱えるさまざまな問題を解決するキーとなるのがAIであるといっても過言ではないかもしれません。新しいアイデアは日々生まれ、より農業の未来を明るく照らすことでしょう。
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