証券会社のAI活用事例8選!AIが必要な理由とは?株価予想・自動売買で潜在顧客獲得
最終更新日:2024年11月12日
日本経済を支えてきた証券会社でも新しい働き方が求められており、営業業務の効率化や収益性アップが求められています。そして、競争の激化によりさらなる顧客の掘り起こしがかつてなく必要な状況です。人員を大きく増やすことなく、ますます増大する社会や顧客のニーズにこたえるために、今AIの導入が注目されています。
膨大な金融データや顧客データを用いた株価予想や、AIによるデータ分析を活用した金融商品についてはニュースでもたびたび取り上げられています。そして、証券会社や資産運用を提供されている企業における業務でも多くのAIが活用され始めています。
今回の記事では、証券会社でいまAIが求められている背景や実際の活用事例をご紹介します。
AI Marketでは証券会社向けのAI導入とプロセス開発に強い会社の選定や適切な会社の紹介を行っています。会社選定や依頼方法がわからない場合には、AI Marketの専門コンサルタントが無料でサポートいたしますので、いつでもお気軽にご相談ください。
証券会社でAIがどうしても必要な3個の理由
なぜ証券会社でのAIの活用が求められているのでしょうか、必要となっているのでしょうか。それには大きく下記3つの理由があります。
- 膨大の量のデータ
- 消費者需要の変化
- 業務の効率化や収益化アップ
膨大なデータを所有している証券会社において、AIは新たな価値を生み出す可能性があります。証券会社は過去の取引情報や株価、ユーザー情報など、膨大なデータを所有しています。AIは膨大なデータから人の目では読みきれないパターンを抽出し、分類しその傾向からタスク処理を行うことが得意です。
また、証券会社に対して消費者が求める需要は変化しています。従来の証券会社は、需要側と供給側の間に金融機関が入る間接金融が一般的でした。しかし、テクノロジーの進化などに伴い、消費者が株式、債権などを直接取引する直接金融が普及し始めています。直接金融が普及することにより取引量が増えたり、より扱いやすくなることが求められており、顧客それぞれのニーズに対応できるAIの活用が期待されています。
業務の効率化や収益化については、かつてないほど株主や市場から証券会社に注がれる目が厳しくなっています。新しい働き方が一般化してきており、従来の営業スタイルが難しくなってきました。また、インターネットによる情報の民主化でサービスの差別化が難しくなっています。AIを活用することで業務の効率化や新規顧客の創出、収益率アップが期待されています。
証券会社を始めとする金融業界でAIを導入するメリットについては、こちらの記事で分かりやすく説明しています。
証券会社でのAI活用事例8選
実際に証券会社や株式運用、資産運用等を提供する会社でAIが活用されている事例をご紹介します。
AIを銀行業で活用している事例についてはこちらの記事で紹介しています。
LINEのAIチャットボットで24時間対応(三菱UFJモルガン・スタンレー証券)
三菱UFJモルガン・スタンレー証券が導入したのがAIチャットボットを活用した24時間対応の問い合わせフォームです。ネット証券などが増えてきたことで証券取引がより手軽になってきた中で他社との差別化が求められてきました。そこで三菱UFJモルガン・スタンレー証券は「ネット証券より手厚くく、対面より手軽に」をテーマにAIチャットボットを導入しました。
AIチャットボットでは24時間対応が可能で国内・海外の株価、為替や市況に関する情報や事務手続き等ができます。例えば、「今日のダウ平均は?」、「値上がりした株価は?」などと質問することでクイックに情報収集を可能にしました。AIチャットボットでは提供しきれない情報が欲しい場合は、フィンシェルジュという有人サービスも提供しています。AIを活用することで顧客満足度の向上につなげたり、問い合わせ対応への労力の効率化も可能にしました。
AI投資自動売買プラットフォーム(フィリップ証券/efit)
フィリップ証券株式会社は、株式会社efitが展開する日本初のAI投資自動売買プラットフォームQUOREA(クオレア)を導入しました。従来投資の売買では様々な情報を調べ、分析するなど大きく手間がかかることから離脱してしまう顧客も少なくありませんでした。しかし、QUOREAは金融の民主化というテーマのもと、より手軽に気軽に投資売買ができるシステムです。
QUOREAは、証券会社の口座と連携させるだけで、すぐにたくさんの自動売買ロボットを自由自在に利用できる新しい投資プラットフォームであり、日経225やNYダウなど大きなマーケットでロボットによる高度の投資が可能です。例えば、平日24時間の投資や価格変動を捉えた積み上げ投資なども行えます。証券会社との口座を連携させるだけでステップも簡単で新規お客の創出にも貢献しています。
AIで株価予測(auじぶん銀行)
証券会社ではありませんが、auじぶん銀行が提供しているのは、AIで日本の株価トレンドを分析・予測するAI日本マーケット予測です。お客様の株式投資などの資産運用に活用できる以下2つのコンテンツを提供しています。
- 今月の日本株価トレンド
- 5営業日後のTOPIX予測
「今月の日本株価トレンド」は毎月日本PMIの確報値が発表された後、 日本PMIとTOPIXの過去1カ月の動きから今月の日本株価トレンドを分析します。また、「5営業日後のTOPIX予測」では5営業日後のTOPIXが上昇するか、下落するかを予測します。
また、これとは別にau外貨予測を提供しており、7割近い的中率を誇っています。資産運用のために様々なマーケット情報を提供することで、潜在顧客が感じている資産運用へのハードルを下げることが目的です。
インサイダー取引防止業務をAIが代行(SBI証券)
株式会社SBI証券とNECが共同で導入したのが、AIでのインサイダー取引の審査業務「NEC AI 不正・リスク検知サービス for 証券」です。近年、デジタル化に伴いインサイダー取引などの不正取引が複雑化・巧妙化し、取引の監視業務は大きな負担になっていました。特にインサイダー取引は審査観点・審査対象が複雑で多くの時間が必要です。
「NEC AI 不正・リスク検知サービス for 証券」では、SBI証券が保有する数年分のインサイダー取引に関する取引データや重要事実データ等を学習したAIモデルを生成し、インサイダー取引の疑い度合いをスコアリングすることが可能です。AIによるスコアリングにより、従来大きく時間が取られていた一次審査を効率化でき、審査担当者は2次審査に注力することができます。また、人間では気づきにくいリスクの検知など、新たな観点から不公正取引の防止に寄与することも期待されています。
バーチャルアシスタントが投資信託の相談(三菱UFJ銀行)
三菱UFJ銀行は投資信託に関する質問に答えてくれるバーチャルアシスタントのチャットボットを導入しています。例えば、投資信託に関するリスクや商品に関して質問すると自動で回答してくれます。顧客への初期対応をAIが対応することで、お問い合わせの全体効率性の向上に貢献しています。
チャットボット以外にも、AIを活用した絶対収益型運用により安定的な収益を狙う日本株式ファンド「AI日本株式オープン(絶対収益追求型)」の提供やアルゴリズム取引にAIを導入するなどグループとしてAIを積極的に導入しています。
AIによる与信審査(株式会社J.Score)
株式会社みずほ銀行とソフトバンク株式会社が設立した株式会社J.Scoreは、AIによる与信審査のサービス「AIスコア・レンディング」を提供しています。AIスコア・レンディングは、18の簡単な質問に答えるだけでユーザーの信用力や可能性をスコア化します。ライフスタイルや好み、みずほ銀行やソフトバンクとのお取引情報など、100種類以上のさまざまな情報を提供することで与信スコアをアップ可能です。また、算出されたAIスコアを元に、J.Score独自のAIが顧客に最適な利率、限度額で、かつ競争力のある融資条件を選定してくれます。
社会人だけでなく、海外留学やキャリアアップなどの夢を目指している人や海外留学などの資金が必要としているお客様に新たな可能性を提供可能です。
AIで通話分析(みずほ証券)
みずほ証券では、音声認識技術によってテキスト化された通話内容に対して、AIを使って分析するという取り組みを行っています。専門の担当者が通話内容を聞いてモニタリングしていた業務をAIの音声分析に置き換えることができ、大幅な業務時間の短縮効果が確認されたとのことです。
AIによるチャットボット(松井証券)
松井証券でもAIを活用したチャットボットサービスを導入しています。「各種手続き」、「税制・確定申告」、「口座開設」の3つのカテゴリーに関する問い合わせに対してAIが対応しており、カバーできる範囲はさらに拡大していくとのことです。
証券会社のAI活用についてよくある質問まとめ
- 証券会社でAIが必要とされている理由は何ですか?
証券会社でAIが必要とされている主な理由は以下の通りです。
- 膨大な量のデータ活用: 取引情報、株価、ユーザー情報などから新たな価値を創出
- 消費者需要の変化への対応: 直接金融の普及に伴う取引量増加と個別ニーズへの対応
- 業務効率化と収益性向上: 新しい働き方への対応と競争激化に伴うサービス差別化
- 証券会社でのAI活用の具体的な事例を教えてください。
証券会社のAI活用事例は以下の通りです。
- 三菱UFJモルガン・スタンレー証券: LINEのAIチャットボットで24時間対応
- フィリップ証券: AI投資自動売買プラットフォーム「QUOREA」導入
- SBI証券: AIによるインサイダー取引防止業務の効率化
- みずほ証券: AIによる通話分析
- 松井証券: AIチャットボットによる問い合わせ対応
- 証券会社がAIを導入する際の主なメリットは何ですか?
証券会社のAI導入メリットは以下の通りです。
- 顧客サービスの向上: 24時間対応、迅速な情報提供、パーソナライズされたサービス
- 業務効率化: 問い合わせ対応の自動化、審査業務の効率化
- リスク管理の強化: インサイダー取引の防止、不正取引の検知
- 新規顧客の獲得: AIを活用した投資サービスによる顧客層の拡大
- データ分析能力の向上: 市場動向の予測、顧客ニーズの把握
金融・証券業界でのAI 導入相談はAIマーケットへ
金融・証券業界は、市場データや顧客データ、取引履歴など膨大なデータを保有しています。この膨大なデータを有効に活用するために注目されているのがAIです。AIを活用することで今は資産運用に興味がない、または興味はあるけど知識がないので踏み切れていない新たな顧客の獲得に進展可能です。ごく初歩的な質問から、高度にテクニカルな質問まで幅広くなりがちな問い合わせ対応にAIを活用することで、全体の効率性向上にもつながっています。
金融・証券会社へのAIの導入と開発には、膨大なデータをどのように活用するために、十分な経験と知識を持った信頼できる人材や開発会社が必要です。もし、AIの導入に関心がある場合は、最適なAI開発会社の紹介を行っているAI Marketをぜひご活用ください。AI Marketの専門のコンサルタントが、それぞれの証券会社・金融会社でのAI支援システム開発に最適な開発会社の選定を無料でサポートしますので、いつでもお気軽にご相談ください。
AI Marketの編集部です。AI Market編集部は、AI Marketへ寄せられた累計1,000件を超えるAI導入相談実績を活かし、AI(人工知能)、生成AIに関する技術や、製品・サービス、業界事例などの紹介記事を提供しています。AI開発、生成AI導入における会社選定にお困りの方は、ぜひご相談ください。ご相談はこちら
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