製薬大手の第一三共、AIで毒性情報を解析!FRONTEOの特化型AI「KIBIT」で創薬開発の効率化に挑戦
最終更新日:2024年11月12日
2024年11月12日、株式会社FRONTEOは第一三共株式会社とDrug Discovery AI Factory(DDAIF)を活用した毒性試験データの解析業務に関する契約を締結したと発表した。
この提携では、FRONTEOの特化型AI「KIBIT」を用いて、第一三共の毒性試験データベースの最適化と、毒性試験報告書からの新知見発見を支援する。従来は研究者の発想力や偶然に依存していた新知見の発見を、AIによって科学的・体系的に実現することを目指す。
目次
<本ニュースの10秒要約>
- FRONTEOの特化型AI「KIBIT」を活用し、第一三共の毒性試験データベースと試験報告書の包括的な解析を開始
- 膨大な毒性試験報告書と学術論文の関係性を視覚的に把握可能なシステムを構築し、新たな知見発見を促進
- 既存の文献情報から未知の関連性を科学的に発見する手法を確立し、創薬開発の効率化を実現
Drug Discovery AI Factoryの技術的特徴
FRONTEOが提供するDrug Discovery AI Factory(DDAIF)は、同社独自の特化型AI「KIBIT」の自然言語処理技術を核としている。この技術の特徴は、汎用型AIと異なり、大量の教師データやコンピューティングパワーを必要とせず、高速かつ高精度な解析が可能な点だ。
システムは、毒性試験報告書のテキスト情報とPubMedの論文情報をKIBITで解析し、それらを数百次元のベクトルに変換する。さらに、これを二次元に圧縮してベクトル平面上にマッピングすることで、情報同士の関係性を視覚的に把握することを可能にしている。この手法により、概念的に類似した論文や報告書が近接して表示され、従来のアプローチでは気づけなかった関連性を発見できる。
期待される効果と活用方法
本システムの導入により、第一三共は以下の効果が期待できる:
毒性試験データベースの効率的な活用:
現有の毒性試験データベース上で、簡便に毒性解釈を確認できる仕組みが整備される。これにより、データベースの利用効率が向上し、研究者の作業負担が軽減される。
新知見の効率的な発見:
従来は研究者の経験や偶然に依存していた新知見の発見を、AIによって科学的・体系的に行うことが可能になる。特に、毒性に対する新たなメカニズムの仮説生成が期待できる。
既定概念にとらわれない開発:
情報の関係性を網羅的に把握できることで、従来の常識や既定概念にとらわれない、新しい視点からの創薬開発が可能になる。
AI Market の見解
FRONTEOと第一三共の提携は、AI創薬分野における重要な進展を示している。技術面では、FRONTEOの特化型AI「KIBIT」が従来の汎用AIとは異なるアプローチを採用している点が注目に値する。大量の教師データを必要としない点は、医薬品開発のような専門性の高い分野での実用化に大きな利点となる。
ビジネス面では、この提携が創薬プロセスの効率化だけでなく、新たな発見の可能性を広げる点で重要だ。特に、毒性評価は創薬開発の重要なボトルネックの一つであり、AIによる効率化は開発コストと時間の大幅な削減につながる可能性がある。
市場への影響としては、この取り組みが製薬業界全体のAI活用を加速させる可能性が高い。特に、文献情報からの新知見発見という課題に対する科学的・体系的なアプローチは、他の製薬企業にも波及する可能性がある。また、この手法は創薬以外の分野でも応用可能であり、科学技術研究全般に影響を与える可能性がある。
参照元:PR TIMES
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