経済産業省がGENIAC-PRIZE開始、AIエージェント開発など4テーマ総額約8億円で生成AI社会実装を促進
最終更新日:2025年05月12日

経済産業省が2025年5月9日、生成AI社会実装促進のため懸賞金活用型プロジェクト「GENIAC-PRIZE」を開始した。
国産基盤モデルを活用したAIエージェント開発による製造業の暗黙知形式知化、カスタマーサポート生産性向上、官公庁審査業務効率化、AI安全性確保の4テーマを設定し、総額7.8億円の懸賞金を配分する。
各テーマで生成AIサービスの開発・実証を公募し、2026年3月末の表彰式で入賞者を表彰する。
- 製造業・カスタマーサポート・官公庁・AI安全性の4テーマに総額7.8億円の懸賞金を配分
- 各テーマで1位から3位まで懸賞金を授与、うち官公庁テーマの1位は1億円と最高額
- 2025年5月から開発開始、最大9ヶ月の開発期間を経て2026年3月に表彰式を実施
GENIAC-PRIZEは、生成AIによる解決が期待される4つの重要領域にテーマを設定し、各分野での課題解決型AIサービス開発を促進する。
テーマ | 内容 | 懸賞金総額 |
---|---|---|
第1テーマ 製造業における暗黙知の形式知化 | ベテラン技術者の暗黙知をAIで形式知化し技術継承を支援する | 3.5億円 |
第2テーマ カスタマーサポートの生産性向上 | 企業内データを活用した高品質な顧客対応AIの開発を目指す | |
第3テーマ 官公庁等における審査業務等の効率化 | 特許審査をモデルとした審査業務のAI活用を推進する | 2.1億円 |
第4テーマ 生成AIの安全性確保に向けたリスク探索及びリスク低減技術の開発 | AI利用時のリスク特定と対策技術の開発を求める | 2.2億円 |
第1・第2テーマでは国産基盤モデルを活用したAIエージェントの開発・実証が必須条件とされ、ユーザー企業と開発者が連携した応募を推奨している。ただし、国産基盤モデルを活用しない場合も応募可能で、その際は比較検討した理由を提案書に記載する必要がある。
第3テーマでは特許審査業務をモデルケースとし、情報探索・一致箇所表示・判断根拠の自然言語説明機能を持つプロトタイプの開発を求める。
第4テーマは他と異なりトライアル審査と本審査の2段階制を採用し、トライアル審査では最低500万円を上位者に分配、本審査で最終順位を決定する仕組みとなっている。
各テーマには専門性を持つ審査員が配置され、技術的優位性、実証成果、波及効果などの観点から評価を行う。
プロジェクトは2025年5月9日に開始され、テーマにより異なるスケジュールで進行する。第1・第2テーマは2025年5月から2026年1月まで約8ヶ月の開発期間、第3テーマは同年12月まで約7ヶ月の開発期間を設定している。
第4テーマは2025年6月にトライアル審査応募締切、10月に結果発表、その後本審査に進む段階的スケジュールとなっている。
審査期間を経て2026年3月末に表彰式を開催し、各テーマの入賞者を発表する。
各テーマには産学官から選出された専門家が審査員として参画する。第1テーマ(製造業)ではエヌビディア、ソニーグループ、東京大学等の専門家が、第2テーマ(カスタマーサポート)では日本ディープラーニング協会やHDI-Japanの業界エキスパートが審査を担当する。
第3テーマ(官公庁)では特許庁や各自治体の実務者に加え、民間企業の代表者が実用性を評価する。第4テーマ(AI安全性)では人工知能学会や国立情報学研究所の研究者が学術的・技術的観点から評価を行う。
審査基準は各テーマの特性に応じて設定され、ユースケースの波及効果、技術的優位性、実証成果、国産基盤モデルへの貢献度などが重視される。
AI Marketの見解
GENIAC-PRIZEの4テーマ構成は、生成AIの社会実装における現実的課題を網羅した戦略的枠組みであり、賞金総額の規模も非常に大きく、日本のAI業界への好影響が非常に大きいと想定される。
製造業とカスタマーサポートを独立したテーマとすることで、各分野の特性に応じた深い技術開発が期待される。特に製造業における暗黙知の形式知化は、日本の製造業の競争力維持にとって極めて重要な課題であり、国産基盤モデルの実用性検証の場としても機能する可能性が高い。
官公庁テーマの1位賞金1億円設定は、行政DXへの強いコミットメントを示しており、成功事例の創出により他の行政業務への横展開が促進されると想定される。
AI安全性テーマの設置は、技術開発と同時にリスク管理体制を構築する先見性を表し、国際的なAIガバナンス議論における日本のプレゼンス向上に寄与すると考えられる。2段階審査制度の導入により、技術成熟度に応じた適切なサポートが可能となり、より質の高い成果創出が期待される。
総額7.8億円という規模は、単発のコンテストを超えた継続的イノベーションエコシステムの構築を目指していることを示している。
GENIAC-PRIZEに関するよくある質問まとめ
- 4つのテーマの懸賞金はどのように設定されている?
第1テーマ(製造業)と第2テーマ(カスタマーサポート)はそれぞれ1位5,000万円、2位4,000万円、3位3,000万円です。
第3テーマ(官公庁)は1位1億円、2位7,000万円、3位3,000万円となっています。
第4テーマ(AI安全性)ではトライアル審査で最低500万円を分配し、本審査で1位7,000万円、2位5,000万円、3位3,000万円を授与します。
- 国産基盤モデルの使用は義務ですか?
第1・第2テーマでは国産基盤モデルを活用したAIエージェントの開発・実証が必須ですが、使用しない場合でも応募可能です。その場合は比較検討した国産基盤モデルの不採用理由を提案書に記載する必要があります。第3テーマでは使用すれば加点、第4テーマでは使用の有無は評価に影響しません。

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