IBM、Granite大規模言語モデル(LLM)ファミリーの次世代モデル「Granite 3.2」を発表
最終更新日:2025年03月12日

IBMは2025年2月26日、Granite大規模言語モデル(LLM)ファミリーの次世代モデル「Granite 3.2」を発表した。
新モデルは推論機能や画像処理能力を大幅に強化し、小規模ながら効率的かつ実用的なエンタープライズ向けAIとして提供される。すべてのモデルはApache 2.0ライセンスのもとHugging Faceで公開され、IBM watsonx.ai、Ollama、Replicateなど複数のプラットフォームで利用可能となる。
- 小規模ながら大型モデルと同等以上の性能を発揮する視覚言語モデルを含む「Granite 3.2」の提供開始
- 思考連鎖(Chain of Thoughts)機能の搭載と推論機能のオン/オフ切り替えによる効率性と精度の向上
- サイズを30%縮小しながら性能を維持したGuardianモデルと、長期予測可能な時系列モデルの追加
Granite 3.2のすべてのモデルは、Hugging Face上でApache 2.0ライセンスのもと提供される。一部のモデルは既にIBM watsonx.ai、Ollama、Replicate、LM Studioで利用可能で、近日中にRHEL AI 1.5でも公開予定だ。
今回発表された視覚言語モデル(VLM)は、文書処理タスクにおいて、Llama 3.2 11BやPixtral 12Bといったより大規模なモデルと同等以上の性能を実現している。このモデルはDocVQA、ChartQA、AI2D、OCRBenchといった企業向けベンチマークで優れた性能を示している。
IBMは自社のオープンソースツールDoclingを活用し、8,500万件のPDFを処理し、2,600万件の質問と回答のペアを生成することで、複雑な文書ワークフローに対応できるようVLMの機能を強化した。Granite 3.2の2Bおよび8Bモデルには、推論を強化するための思考連鎖(Chain of Thoughts:CoT)機能が搭載されている。この推論機能をオンまたはオフに切り替えることで効率性を最適化できる点が特徴だ。
これによりGranite 3.2 8Bは、安全性や他のベンチマークでの性能を維持しながら、ArenaHardやAlpaca Evalといった指示への従順性を検証するベンチマークにおいて、前世代のGranite 3.1と比較して10%以上の改善を実現している。
さらに、革新的な推論スケーリング手法を用いることで、AIME2024やMATH500などの数学的推論能力を評価するベンチマークにおいて、Claude 3.5 SonnetやGPT-4oといった大型モデルに匹敵する性能を発揮するよう調整することが可能だ。また、Granite Guardian 3.2では、前世代と同等の性能と安全性を維持しながらもサイズを30%縮小したモデルを提供している。
IBMはさらに、次世代のTinyTimeMixers(TTM)モデルも発表した。このモデルは1,000万パラメータ未満という小規模ながら最大2年間の長期予測が可能で、金融・経済トレンド、サプライチェーン需要予測、小売業における季節的な在庫計画など、長期的なトレンド分析において強力なツールとなる。
IBMのエンタープライズ向け小規模・専門的AIモデル戦略は効果を上げており、最近ではGranite 3.1 8BがSalesforceのCRM向けLLMベンチマークで高い精度を示している。Graniteモデルファミリーは、LLMを自社技術に組み込む先進的なソフトウェア企業をはじめとする強力なパートナーエコシステムによって支えられている。
AI Market の見解
IBMのGranite 3.2モデルファミリーは、エンタープライズAI市場に重要な進化をもたらすと評価できる。特筆すべきは、小規模モデルでありながら大型モデルに匹敵する性能を実現した技術的アプローチだ。推論機能のオン/オフ切り替え機能は、タスクに応じたリソース最適化を可能にし、企業のAIシステム導入コストを大幅に削減する効果がある。
また、Apache 2.0ライセンスでの提供とマルチプラットフォーム対応は、エンタープライズAIの普及を加速させる要因となる。視覚言語モデルの強化と文書処理能力の向上は、多くの企業が抱える文書管理の課題解決に直結する。今後、こうした小規模で効率的なモデルが企業のAI導入障壁を下げ、特定業務に特化したAIソリューションの実装が進むと想定される。
参照元:IBM
Granite 3.2に関するよくある質問まとめ
- Granite 3.2の主な特徴は何ですか?
Granite 3.2の主な特徴は、思考連鎖(Chain of Thoughts)機能の搭載と推論機能のオン/オフ切り替え機能、小規模ながら大型モデルと同等以上の性能を発揮する視覚言語モデル、30%サイズを縮小しながら同等の性能を維持したGuardianモデル、そして1,000万パラメータ未満で最大2年間の長期予測が可能な時系列モデルが含まれます。すべてのモデルはApache 2.0ライセンスで提供され、複数のプラットフォームで利用可能です。
- 小規模モデルであるGranite 3.2が大型モデルと同等の性能を出せるのはなぜですか?
Granite 3.2が小規模ながら大型モデルと同等の性能を発揮できる理由は、推論スケーリングなどの革新的な技術アプローチにあります。特に数学的推論ベンチマークにおいては、推論機能の最適化により効率的な処理が可能になっています。また、視覚言語モデルでは、IBMのDoclingツールを活用して8,500万件のPDFから2,600万件の質問回答ペアを生成するなど、高品質な学習データの活用が性能向上に寄与しています。

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