AWSがAIエージェント統合開発環境「Kiro」を発表、仕様書駆動で開発を効率化
最終更新日:2025年07月24日

2025年7月14日、ソフトウェア開発の効率化を目指すAWSが、AIエージェントと連携して動作する新たな統合開発環境「Kiro」を正式に発表した。
同製品は仕様書駆動開発を採用し、単純なプロンプトから要求仕様の生成、技術設計書の作成、実装タスクの自動生成までを一貫してサポートし、従来のAIコーディングツールでは困難だったプロトタイプから本番環境への移行を効率化する開発環境を提供する。
- AIエージェントと連携する統合開発環境で仕様書駆動開発を実現し、プロトタイプから本番環境まで一貫した開発体験を提供
- 単一プロンプトから要求仕様、技術設計書、実装タスクを自動生成し、開発工程の標準化と効率化を実現
- イベント駆動型の自動化機能であるフックにより、コード品質チェックやドキュメント更新を背景で自動実行
Kiroは従来のAIコーディング支援ツールが持つ「プロトタイプは作れても本番環境への移行が困難」という課題を解決するため、仕様書駆動開発を中核に据えた統合開発環境として開発された。
同製品の特徴は、開発者が単一のプロンプト(例:「商品のレビューシステムを追加する」)を入力するだけで、AIエージェントがユーザーストーリーを生成し、それをEARS(Easy Approach to Requirements Syntax)記法に基づいた受け入れ基準に展開する点にある。
この仕組みにより、開発者はプロンプトに含まれる暗黙の前提を明確化し、意図した通りのシステムが構築されることを確認できる。
技術設計の段階では、Kiroが既存のコードベースと承認された仕様を分析し、データフロー図、TypeScriptインターフェース、データベーススキーマ、APIエンドポイントを自動生成する。
例えば、レビューシステムの場合、Review インターフェースやコンポーネント階層図が自動的に作成される。この自動化により、要求仕様の明確化に関する lengthy back-and-forth が不要となり、開発速度が向上する。
実装フェーズでは、システムがタスクとサブタスクを生成し、依存関係に基づいて適切な順序で配列し、各タスクを要求仕様にリンクする。
各タスクには単体テスト、統合テスト、ローディング状態、モバイル対応、アクセシビリティ要件などの詳細が含まれ、開発完了後に不足している要素を発見するリスクを軽減している。
Kiroのもう一つの主要機能であるフックは、イベント駆動型の自動化システムとして動作し、経験豊富な開発者が見落としがちな作業を背景で処理する。
フックはファイルの保存、作成、削除時や手動トリガーで起動し、例えばReactコンポーネント保存時のテストファイル更新、APIエンドポイント変更時のREADMEファイル更新、コミット前の認証情報漏洩スキャンなどを自動実行する。
チーム全体で同一の品質チェック、コード標準、セキュリティ検証が適用されるため、開発品質の一貫性が保たれる。同製品はCode OSSをベースに構築されており、VS Codeの設定やOpen VSX対応プラグインを継続使用できる。プレビュー期間中は無料で提供され、Mac、Windows、Linuxをサポートし、主要なプログラミング言語に対応している。
AI Market の見解
Kiroは従来のAIコーディング支援ツールが抱える「プロトタイプと本番環境の間のギャップ」を仕様書駆動開発で解決しようとする点で注目される。特に要求仕様の自動生成とEARS記法の採用は、AIエージェントが作成するコードの透明性と予測可能性を大幅に向上させると想定される。
フック機能によるイベント駆動型自動化は、DevOpsパイプラインの一部を統合開発環境内に組み込む試みとして評価でき、開発効率の向上が期待される。
ただし、仕様書駆動開発の成功は開発者のドメイン知識と要求定義能力に依存するため、AIエージェントが生成する仕様の品質が実際のプロダクト品質に直結する点は注意が必要である。
市場への影響としては、従来の手作業による仕様書作成プロセスの自動化が進み、特に中小規模の開発チームにおける開発プロセスの標準化が加速すると想定される。
参照元:KIRO
Kiroに関するよくある質問まとめ
- Kiroの料金体系はどのようになっていますか?
2025年7月現在、Kiroはプレビュー期間中のため無料で提供されていますが、一部制限があります。
正式版の料金については記事中に具体的な記載がないため、詳細は公式サイトやDiscordサーバーで確認する必要があります。
- Kiroの仕様書駆動開発機能は既存のコードベースでも利用できますか?
はい、利用可能です。Kiroは既存のコードベースと承認された仕様を分析して技術設計書を生成する機能を持っています。
また、開発者がコードを作成してKiroに仕様更新を依頼したり、手動で仕様を更新してタスクを再生成したりできるため、既存プロジェクトにも適用できます。

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