セイノー情報サービス、物流業界では初となる物流版AIエージェント「ロジスティクス・エージェント」の開発を表明
最終更新日:2025年04月08日

セイノー情報サービスは2025年3月27日、物流業界では初となる物流版AIエージェント「ロジスティクス・エージェント」の開発を表明した。
このAIシステムは物流現場の状況を自動的に分析・判断し、未来予測に基づいた改善策を提案するとともに、人の承認を得て必要な処理を自動実行する。西濃運輸グループとして培った物流ナレッジとITソリューション技術を活用し、深刻化する人手不足問題の解決と物流管理の高度化を実現、2030年を目処に完全自律化を目指す。
- 物流業界初のAIエージェントにより人手不足対策と業務効率化を両立し、物流管理コスト約1.4兆円の大幅削減を実現する新技術
- AIが自律的に物流現場の状況を分析・判断して未来予測と改善策を提示し、人の承認のもとで自動的に処理を実行する仕組み
- 2025年にはレベル2〜3(問題検知と行動提案、人の承認による自動実行)を実現し、2030年には完全自律型を目指す段階的開発計画
セイノー情報サービスが開発する「ロジスティクス・エージェント」は、物流現場の状況を自律的に分析・判断するAIシステムだ。このシステムは単なる分析ツールではなく、人に代わって状況を把握し、未来を予測した上で最適な改善アクションを提案する。
さらに、人の承認を得た後は必要な処理を自動実行することで、物流管理業務の効率化を大幅に進める。開発に際しては、西濃運輸グループおよび一般企業向けに提供してきた物流ITソリューションで培った技術・メソドロジーに加え、同社が長年蓄積してきた体系的な物流ナレッジとアプリケーションデータを最大限活用する。
同社はこのシステムの達成段階をレベル0から6に定義しており、2025年にはレベル2〜3(問題検知と行動示唆、人の承認による自動実行)へと進行する計画を発表。2030年を目処にレベル6となる「汎用化・民主化」を視野に入れた段階的な開発ロードマップを示した。
3月27日に開催された発表会は二部構成で行われ、第一部では同社代表取締役社長の松本充博氏がロジスティクス・エージェントの開発背景やコンセプト、ユースケース、効果について解説した。デモンストレーションや動画を通じて、物流およびサプライチェーンにおける活用イメージも紹介され、これまで人間が担ってきた分析判断業務をAIが代替し、人手不足問題の打開策となる可能性が示された。
第二部ではGen-AX株式会社(ソフトバンク100%出資)の鈴木祥太氏と株式会社ローランド・ベルガーの小野塚征志氏をゲストに迎え、「ロジスティクス・エージェントで物流はどう変わるのか?」というテーマでパネルディスカッションが行われた。
ここでは日本の製造・物流現場が高いスキルを有するがゆえにAIやロボットを活用した自動化が進まない傾向がある一方で、人手不足は待ったなしの状態であることが指摘された。また、経営者によるトップダウンの決断と「まずは使ってみる」「試してみる」という失敗を恐れない挑戦する姿勢の重要性も強調された。
ロジスティクス・エージェントは、人手不足をはじめとする物流業界が直面する課題を解決し、物流管理と現場業務を高度化するソリューションとして位置づけられている。日本のマクロ物流コスト(約50兆円)のうち、管理系コストは約1.4兆円とされているが、同社はこのコストを大幅に削減するとともに、物流コスト全体の効率化を目指すとしている。
これにより社会課題を解決し、持続可能な物流の実現に貢献することを目標としている。同社はこれまでも付加価値データ通信(VAN)サービスやソフトウェアの開発・販売、情報処理サービスなど物流ITソリューションを提供してきた実績があり、今回のAIエージェント開発もその延長線上に位置づけられる。発表会には物流イノベーションに関心の高い約50名の来場者に加え、8社の報道機関も参加し、業界からの注目度の高さがうかがえた。
AI Market の見解
セイノー情報サービスが開発する「ロジスティクス・エージェント」は、物流業界におけるAI活用の本格的な幕開けを告げる重要な取り組みと言える。特筆すべきは、単なる分析ツールではなく「自律的な判断と行動」にまで踏み込んだAIエージェントの概念を物流分野に導入した点だ。
物流業界は膨大なデータと複雑なオペレーションが存在するにもかかわらず、これまでのAI活用は部分的な最適化や予測分析に留まっていた。しかし同社のアプローチは、西濃運輸グループとして培った実務知識とITソリューションを融合させ、物流プロセス全体を俯瞰した上で自律的に動作するAIシステムへと進化させている。
レベル0から6までの段階的な開発計画も現実的であり、着実に実用化を進める意図が明確だ。物流業界全体としても、国内物流コスト約50兆円のうち管理系コスト約1.4兆円の削減は大きなインパクトをもたらすと想定される。
特に人手不足が深刻化する中で、熟練作業者の暗黙知を形式知化してAIに取り込む同社のアプローチは、今後の物流DXのモデルケースとなる可能性が高い。
参照元:PR TIMES
ロジスティクス・エージェントに関するよくある質問まとめ
- ロジスティクス・エージェントとは具体的にどのようなシステムですか?
ロジスティクス・エージェントは、AIが人に代わって物流現場の状況を分析・判断し、未来予測に基づいた問題解決のための改善アクションをガイドするシステムです。
さらに、自律型AIエージェントとして、人の承認を得た上で必要な処理を自動実行する機能も備えています。セイノー情報サービスが長年培った物流ナレッジとITソリューション技術を活用し、単なる分析ツールではなく、状況判断から実行までをサポートする点が特徴です。
2025年にはレベル2〜3(問題検知と行動提案、承認後の自動実行)の実用化を目指しています。
- ロジスティクス・エージェントはどのような物流問題を解決しますか?
ロジスティクス・エージェントは主に人手不足問題の解決と物流管理の高度化を目的としています。具体的には、物流現場での分析・判断業務をAIが代替することで、熟練者に依存していた業務の効率化と標準化を実現します。
また、未来予測に基づいた先手の改善提案によって、問題発生前の対策が可能になります。
これにより国内マクロ物流コスト(約50兆円)のうち管理系コスト(約1.4兆円)の大幅削減が期待されています。さらに、物流データの一元管理と分析を通じて、サプライチェーン全体の可視化と最適化も促進します。

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