生成AIがコールセンターを応対時間14%短縮、後処理時間74%削減の驚異的成果
最終更新日:2024年10月09日
株式会社NTTマーケティングアクトProCX、HEROZ株式会社、株式会社USEN NETWORKSは2024年10月7日、2023年5月30日に始動した「次世代型コンタクトセンター」プロジェクトの成果を発表した。生成AIを活用したオペレーターサポートの充実化により、オペレーターの平均応対時間を約14%、平均後処理時間を約74%改善することに成功した。
このプロジェクトは、深刻な労働人口不足に直面するコンタクトセンター業界の課題解決を目指し、生成AIを活用した「生産性向上」「マネジメント高度化」「チャネル最適化」の3つのテーマに取り組んでいる。
目次
<本ニュースの10秒要約>
- 生成AIを活用したオペレーターサポートにより、応対時間を14%短縮、後処理時間を74%削減する成果を達成
- AIによる応対支援機能のFAQ正答率を15%から80%に向上させ、オペレーターの業務効率を大幅に改善
- ナレッジデータベースの改修、生成内容の評価、回答領域の拡充を通じて、AIの回答精度と実用性を向上
生成AIを活用した「生産性向上」への取り組み概要と成果
本プロジェクトでは、USEN NETWORKSが提供する法人向け光回線サービス「USEN 光 plus」のコンタクトセンターを実験フィールドとして活用し、オペレーターの生産性向上に役立つ2つの機能を実現した。1つ目は「応対支援機能」で、各種社内資料やUSEN NETWORKSの独自データをAI(ChatGPT 3.5~4oモデル)に学習させ、オペレーターがリアルタイムで正確な回答を参照できるようにした。
この機能により、FAQ正答率を当初の15%から80%にまで向上させ、オペレーターの平均応対時間を約14%改善することに成功した。2つ目は「応対要約機能」で、応対内容を自動で音声テキスト化し、重要なキーワードを抽出して自動要約を行う。この機能により、オペレーターの平均後処理時間を約74%改善することができた。これらの成果は、コンタクトセンターの業務効率化と顧客満足度向上に大きく寄与するものと期待されている。
成果実現に至ったポイント(キー・サクセス・ファクター)
プロジェクトの成功には、3つの重要なポイントがあった。1つ目は「ナレッジデータベースの改修」だ。AIが理解しやすい形式にデータを変換・補正し、プロンプトによる参照先の制御を行うなど、各種改善を実施することで精度向上を実現した。2つ目は「生成内容の評価」で、AIが生成した回答内容について評価と改善を繰り返し、回答精度を向上させた。
具体的には、生成された回答の出典を可視化し、3段階の自己採点システムを導入、さらにオペレーターによるユーザー評価チェック機能を搭載した。3つ目は「回答領域の拡充」で、AIの回答精度が60%を超えた段階で、不足しているデータを新たな社内資料として追加投入し、回答精度を80%まで引き上げることに成功した。これらの取り組みにより、AIは真にオペレーターの支援ツールとしての機能を果たすようになった。
今後の展開と期待される効果
NTTマーケティングアクトProCX、HEROZ、USEN NETWORKSは、「生産性向上」についてさらなる向上を目指すとともに、「次世代型コンタクトセンター」の実現に向けて「チャネル最適化」「マネジメント高度化」についてもAIと人の協働を深化させたソリューションの開発・構築・運営を進めていく方針だ。
具体的には、AIを活用したチャネル分析や最適化、リアルタイムモニタリングによる品質管理の高度化、予測分析に基づく最適なシフト管理などが検討されている。これらの取り組みにより、コンタクトセンター業界全体の生産性向上と顧客満足度の向上が期待される。さらに、このプロジェクトで得られた知見や技術は、他の業界にも応用可能であり、幅広い分野でのAI活用促進にも貢献する可能性がある。
AI Market の見解
この「次世代型コンタクトセンター」プロジェクトは、生成AIの実用化における重要なマイルストーンと言える。技術的には、大規模言語モデルを特定の業務領域に適応させ、高い精度で実用的な回答を生成できるようになった点が注目に値する。特に、ナレッジデータベースの改修やプロンプトエンジニアリングの工夫により、AIの回答精度を大幅に向上させた点は、他の業界でのAI導入にも応用可能な知見だ。
ビジネス面では、このプロジェクトがコンタクトセンター業界の慢性的な人手不足や生産性向上の課題に対する具体的なソリューションを提示している点が重要だ。応対時間と後処理時間の大幅な削減は、コスト削減だけでなく、顧客満足度の向上にも直結する。さらに、AIと人間の協働モデルを確立することで、従業員の働き方改革にも寄与する可能性がある。今後、このような取り組みが他の企業や業界に波及することで、日本全体のサービス産業の生産性向上と競争力強化につながることが期待される。
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