OpenAI、最新AIモデル「GPT-4.5」を発表、教師なし学習のスケールアップに成功
最終更新日:2025年02月28日

2025年2月27日、OpenAIは同社のこれまでで最も大規模かつ高性能なチャット向けモデル「GPT-4.5」のリサーチプレビューを公開したと発表した。
新モデルは教師なし学習をスケールアップし、パターン認識や関連性の整理、創造的な洞察生成能力を向上させており、本日より世界中のProユーザーと開発者が利用可能となる。
- 教師なし学習のスケールアップにより、より広い知識ベースと「EQ(心の知能指数)」を持ち、ハルシネーション(誤情報生成)の頻度が低減
- SimpleQAテストではGPT-4oと比較して正確性が約24%向上し、ハルシネーション率が約25%減少、人間のテスターによる評価でも優位性を示す結果
- 現在はChatGPT Proプランユーザーと有料APIユーザー向けに限定提供され、画像入力に対応するがマルチモーダル機能の一部は非対応
OpenAIが発表した最新モデルGPT-4.5は、従来のGPT-4oと比較して大幅な性能向上を実現している。
このモデルはコンピューティングリソースとデータの拡張に加え、アーキテクチャと最適化の革新による教師なし学習のスケールアップによって開発された。
教師なし学習のスケールアップとは、「世界モデル」(現実世界の知識)の精度と直感を向上させることを意味する。一方、OpenAI o1やOpenAI o3-miniのようなモデルは「リーズニング」の強化を目的としており、GPT-4.5とは異なるアプローチを取っている。
SimpleQAという知識問題によるテストでは、GPT-4.5の正確性はGPT-4oの38.2%から62.5%へと向上し、ハルシネーション率も61.8%から37.1%へと減少した。
また人間のテスターによる評価では、創造的知性、専門的な質問、日常的な質問のいずれにおいてもGPT-4.5がGPT-4oより高い評価を得ている。
GPT-4.5は人間との調和にも重点を置いてトレーニングされており、より自然な対話能力を獲得している。
公開されている例では、テスト不合格で落ち込んでいるユーザーに対して、GPT-4.5はより自然で共感的な応答を行い、高い「EQ」を示している。
また事実関係の正確性も向上しており、「ローマに関連して女性たちが疲れて船に火をつけた絵画は何か」という曖昧な質問に対して、正確に「The Trojan Women Setting Fire to Their Fleet」(トロイの女たちが船に火をつける)という絵画を特定できている。
さらに宇宙探査についての質問では、より簡潔で会話的な応答を行っている。GPT-4.5は深い世界理解と協調性の向上を組み合わせることで、アイデアを自然に統合し、温かみのある直感的な会話を実現するモデルとなっている。
現在、GPT-4.5はChatGPT Proプランのユーザー向けに提供されており、ウェブ・モバイル・デスクトップ版のモデルピッカーから利用可能だ。
APIについても、Chat Completions API、Assistants API、Batch APIにおいて、すべての有料利用ティアの開発者向けにプレビュー提供されている。
このモデルは関数呼び出し、Structured Outputs、ストリーミング、システムメッセージといった主な機能に対応し、画像入力を活用したビジョン機能もサポートしている。ただし、音声モード、動画、画面共有などのマルチモーダル機能には現時点では対応していない。
また、GPT-4.5は非常に大規模で計算負荷の高いモデルであり、GPT-4oの代替ではなく、コストもGPT-4o以上にかかるとされている。OpenAIは今後のモデル開発を進める中で、API提供を継続するかどうかを検討中で、ユーザーからのフィードバックを求めている。
AI Marketの見解
OpenAIが発表したGPT-4.5は、教師なし学習の大規模スケーリングによって実現した新たな技術的進化を示すものだ。
GPT-4.5の特筆すべき点は、従来のモデルと比較して顕著に向上した事実性とハルシネーション率の低減、そして高い「EQ」を持つ自然な対話能力にある。これは企業やクリエイターにとって、より信頼性の高いAIアシスタントとしての価値を提供するだろう。
しかし、現時点ではProユーザーと有料API利用者にのみ提供され、計算コストも高いことから、短期的には限定的な市場影響にとどまると予想される。
長期的には、教師なし学習とリーズニングという2つの異なるアプローチの融合が進み、より汎用的で信頼性の高いAIの基盤技術として発展していくだろう。企業はこうした進化を踏まえ、AIの導入計画を柔軟に見直すことが求められる。
参照元:OpenAI

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