立命館とNTT西日本が教育向け生成AIの共同開発を開始、5万人の学生と40万人の卒業生を対象に個別最適学習を実現
最終更新日:2025年08月07日

学校法人立命館とNTT西日本株式会社は2025年8月6日、児童・生徒・学生・卒業生の全ての学習者を対象とした教育向け生成AIの共同開発・活用推進を開始すると発表した。
本取り組みは「個別最適な学び」と「協働的な学び」の一体的な充実をめざし、約5万人の在学生と40万人超の卒業生を会員化して学習支援を行う。
- 立命館とNTT西日本が教育向け生成AIサービスの共同開発を2025年8月から開始
- 対象者は約5万人の在学生と40万人超の卒業生を含む立命館学園全体の学習者
- 生成AIと電子教科書・LMSを連携した個別最適学習システムの構築を実施
本取り組みは、立命館が掲げる『学園ビジョンR2030』に基づく具体的な展開として位置づけられている。
2020年8月25日に締結された「ソーシャルコネクティッド・キャンパス」構想に関する連携協定のもと、立命館大学、立命館アジア太平洋大学、各附属校の枠を超えたシームレスな教育・研究の実現をめざす。
立命館では学園の多様性を「総合知」としてプロデュースする『学園創造』に挑戦しつつ、進化するテクノロジーを適切に活用した教育・研究の高度化を推進している。
一方、NTT西日本は18歳人口の減少やリカレント教育の重要性を背景に、卒業生とのつながりを維持するための認証・連携サービス『LinkU-ID』の提供を開始し、生涯学習の基盤整備に取り組んでいる。
主な取り組み内容として、5つの要素が設定されている。
第一に、児童・生徒・学生・卒業生の「学び」の可視化とR-AIの本格活用、第二に生成AI・電子教科書・LMSとAI会話履歴の連携による個別最適学習の提供、第三にLinkU-IDとLinkedInラーニングを活用した生涯学習基盤としてのオンライン学習サービス提供、第四に先輩の学習軌跡を活用したキャリア検討の仕組み提供、第五にアルムナイネットワーク構成可能なプラットフォーム構築が挙げられている。
これらの取り組みにより、約5万人の在学生に加え、40万人を超える卒業生もLinkU-IDを通じて会員化し、『立命館学園』全体を一つの学習コミュニティとして捉える。
「個別最適な学び」の実現については、生成AIと電子教科書、LMS、学習者個々のコンピテンシーを有機的に連携させる仕組みを構築する。
多くの教育機関において生成AIの活用が事務作業にとどまる中、立命館では教育分野での積極的な活用を推進し、LinkedInラーニングの提供も行う。
「協働的な学び」については、児童・生徒・学生・卒業生から構成される立命館学園を一つの社会と捉え、在学生と卒業生、または卒業生同士の交流を促進するプラットフォームを整備する。
後輩が先輩の歩みを参考に自己のキャリア検討を行えるような仕組みも提供し、学習者の主体的な学びへの参加と、学んだことを人生や社会づくりに活用する意識の醸成をめざす。
今後の展開として、立命館はキャンパスを児童・生徒・学生・教職員・卒業生のリアルな交流を生み出す実践の場として活用し、そのリアルな環境と生成AI等のデジタル技術を最適に融合させることで、教育機関としての学びへの貢献を継続する方針を示している。
NTT西日本は最新のテクノロジーによってこれらの取り組みを技術面から支援していく。
立命館が有するあらゆる教育情報にクローズに接続する生成AI環境を最大限に活用し、学びの可視化を通じて学習者に自身の成長と他者の価値を認識させ、意欲を喚起することで生涯にわたる能動的な学習を支援することが想定される。
AI Marketの見解
本取り組みは、教育分野における生成AI活用の新たなモデルケースとして注目される。従来の教育機関における生成AI導入が主に事務効率化に限定されていた中、立命館とNTT西日本は教育そのものへの本格的な活用を打ち出している点が技術的特徴として挙げられる。
特に、生成AIと電子教科書、LMS、個別コンピテンシーデータを有機的に連携させる統合アプローチは、学習者の行動データと学習成果を包括的に分析し、真の意味での個別最適化を実現する可能性を秘めている。
ビジネス的な観点では、在学生約5万人に加えて卒業生40万人超を対象とする規模の大きさが特筆される。
LinkU-IDを活用した生涯学習プラットフォームの構築は、教育サービスの継続的な提供により収益の安定化と拡大を見込める持続可能なビジネスモデルと想定される。
また、LinkedInラーニングとの連携により、グローバルスタンダードなスキル習得機会の提供も可能となり、競争優位性の確保につながると考えられる。
市場への影響としては、教育機関と通信事業者の連携による包括的な学習支援サービスのモデルが確立されれば、他の教育機関や企業による類似の取り組みが加速する可能性が高い。
特に、少子化による18歳人口減少という構造的課題を背景に、卒業生を含めた生涯学習市場への参入は教育機関の生存戦略として重要性が増しており、本事例が業界全体のデジタル変革を促進する触媒となることが想定される。
参照元:NTT西日本株式会社
立命館とNTT西日本の教育AI連携に関するよくある質問まとめ
- この教育向け生成AIサービスはいつから利用開始されるのか?
2025年8月6日に共同開発・活用推進の開始が発表されており、具体的なサービス開始時期については段階的な導入が想定されるが、詳細なスケジュールは今後の発表を待つ必要がある。
- 対象となる40万人超の卒業生はどのようにサービスを利用できるのか?
卒業生はNTT西日本が提供するLinkU-IDによる認証・連携サービスを通じて会員化され、LinkedInラーニングなどのオンライン学習サービスや、在学生・他の卒業生との交流プラットフォームを利用できるようになる。

AI Market ニュース配信チームでは、AI Market がピックアップするAIや生成AIに関する業務提携、新技術発表など、編集部厳選のニュースコンテンツを配信しています。AIに関する最新の情報を収集したい方は、ぜひ𝕏(旧:Twitter)やYoutubeなど、他SNSアカウントもフォローしてください!
𝕏:@AIMarket_jp
Youtube:@aimarket_channel
TikTok:@aimarket_jp
過去のニュース一覧:ニュース一覧
ニュース記事について:ニュース記事制作方針
運営会社:BizTech株式会社
ニュース掲載に関するご意見・ご相談はこちら:ai-market-press@biz-t.jp
