東急電鉄と住友商事、ローカル5GとAIを活用した線路巡視の共同実証を複数の鉄道事業者と実施
最終更新日:2023年09月28日
東急電鉄株式会社と住友商事株式会社は、2023年9月27日、ローカル5GとAIを活用した「線路巡視」に関する共同実証実験を実施すると発表した。
この実験は、総務省の「令和5年度 地域デジタル基盤活用推進事業(実証事業)」として同年10月より開始されるものだ。熟練技術者の減少といった課題にローカル5G/AIの活用で対応すべく、複数の鉄道事業者と共に汎用性の高いソリューションを構築するとしている。
<本ニュースの10秒要約>
- 熟練技術者の減少といった鉄道業界の課題に、AIとローカル5Gの活用で対応
- 電車前方の撮影映像をローカル5Gでサーバに伝送、AIが線路設備などの異常を解析
- 多様な路線環境データを集積し、AIによる異常解析精度のさらなる向上を図る
映像の伝送においてローカル5Gを活用
日本の鉄道業界では近年、熟練技術者を含む業界従事者の減少が顕著となっており、この課題への対応として作業現場における自動化/省力化が求められるようになった。そして、こうした取り組みのインフラとして、ローカル5Gの活用に期待が集まっている。
ローカル5Gは、自治体/企業などが主体となる形で柔軟に5G網を構築できる無線通信システムだ。限られたエリアごとにローカル5G網を構築することで、高速大容量で超低遅延でありながら多数同時接続ができ、外部環境にも依存しない安定したネットワークを持つことが可能となる。
東急電鉄と住友商事が今回発表した実証実験では、映像の伝送においてこのローカル5Gを活用する。
巡視業務を1日数十分で行うことができる
今回の実証実験では、電車の前方に設置した高精細カメラの撮影映像をローカル5Gでサーバへ伝送し、その画像からAIが線路設備などの異常を解析する。同様の巡視業務は、従来であれば係員が毎日現地に出向いて路線全体を数時間目視で確認する必要があった。しかしAIを活用すると、現地確認は異常該当箇所のみで済むため、巡視業務を1日数十分で行うことができる。
東急電鉄と住友商事は既に2021年度より同様の実証事業を開始しており、2022年度には横浜高速鉄道株式会社と共にソリューション構築とAI解析精度の向上を目指す形で取り組みを進めてきた。今回は、複数の鉄道事業者と共同実証実験を行うことで「地下環境」「地方環境」における多様な路線環境データを集積し、AIによる異常解析精度のさらなる向上を図る。
「1回の走行で約90%以上の異常検知率」を目指す
今回行われる実証実験では、横浜高速鉄道に加えて名古屋市交通局/九州旅客鉄道株式会社/西日本鉄道株式会社/伊豆急行株式会社が新たに参画する。実験内では、「1回の走行で約90%以上の異常検知率」および「1日複数回の走行で100%の異常検知率」の達成が、目標として設定されている。
ローカル5GとAIを活用したこの「線路巡視」ソリューションについて東急電鉄と住友商事は、2024年度の東横線内での実装を予定。今後も、鉄道業界の課題解決に向けて新たなデジタルソリューションを創出すると共に、鉄道業界の事例を応用する形で各産業の課題解決やDX推進に取り組むとしている。
参照元:PRTIMES
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