AI人材とは?なぜ不足?今後の需要は?必要なスキル・社内育成が難しい理由徹底解説!
最終更新日:2024年11月12日
AI(人工知能)・機械学習の事業ニーズがBtoC、BtoB問わずますます高まっています。それに合わせて「AI人材が不足している」という言葉も見聞きするようになってきたと思います。ChatGPTをはじめとする生成AIの台頭によって、シンギュラリティがグッと現実味を帯びた今、多くの企業がAI人材の必要性に目覚めています。
シンギュラリティが社会、企業に与える影響をこちらの記事で詳しく説明していますので併せてご覧ください。
「AI人材とはどんなスキルを持つ人材?」「AI人材を育成するにはどうすればいい?」といった疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。実は、AI人材と言ってもさまざまな種類と分野があります。
この記事では、AI人材とはどういう人材か、AI人材の種類や必要なスキル、今後の需要などを紹介していきます。AI人材の活用に興味がある方は、ぜひ最後までご覧ください。
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AI人材とは?
AI人材とは、人工知能や機械学習によるデータ解析に関する知識と技術を持つ人材です。AI技術を搭載したソフトウェアやアプリ、製造装置、ロボットなどの構築・運用や、仕組みの改善スキルが求められます。
AI人材は、プログラミングやデータ解析といった理系のイメージが強いかもしれません。しかし、実は業務改善のためにAIの導入を検討・推進をしたり、現場で運用をしたりする文系の人材も含まれています。
AIシステムを自社で導入・開発する際の流れをこちらの記事で詳しく説明していますので併せてご覧ください。
IT人材との違い
AI人材とIT人材は似て非なるもので、これからの需要も全く異なります。IT人材とは、従来型 のIT システムを開発、保守・運用サービスを行う人材で、AI人材とは AIやIoTを扱う人材をいいます。
経済産業省は、IT 人材を「従来型 IT 人材」と「先端 IT 人材」に区分しています。経済産業省の区分によると、広い意味でのIT 人材の対応業務は以下3種類です。
- システムコンサルタント
- 設計者ソフトウェア作成者
- その他の情報処理・通信技術者
上記業務を行う技術者の中で、従来型 のIT システムの受託開発、保守・運用サービス等を行う人材が従来型 IT 人材です。一方、IoT 及び AI を活用した IT サービスや第4次産業革命関連の人材を先端 IT 人材、いわゆるAI人材としています。
AI人材が不足している一方で、従来型 のIT人材は2030年に10万人余るといった話もあります。
今後需要が増すAI人材の種類は?
AI人材にはAIを作るだけでなくデータ、AIの導入をして実際に現場で運用をする人材などいくつかに分かれます。具体的には、AI人材は以下のように種類分けされています。
- デジタル戦略を立てるデジタルストラテジスト
- AIを具現化するAIエンジニア
- AIで問題を解決するデータサイエンティスト
- AIを活用した製品・サービスを企画するAIプランナー
- AIを活用できる人材
それぞの人材について詳しく説明します。
デジタル戦略を立てるデジタルストラテジスト
デジタルストラテジストは、AIの活用を含めてデジタル活用全般の戦略を立案する役割です。最高デジタル責任者はCDOと呼ばれます。デジタル全般を活用して企業戦略を立てます。
これからは企業全体の事業方針やマーケティング方針を決めるにあたり、AI技術の活用は欠かせません。デジタルストラテジストは、IT・AIだけに限らず、デジタル技術全般を活用して企業戦略を立案します。
AIを具現化するAIエンジニア・プログラマー
AIを具現化する人材の代表例は、AIエンジニアです。AIエンジニアは、AIの開発や、構築されたAIと周辺技術を組み合わせたシステムの企画や設計・開発を行うエンジニアです。AI人材として、まず最初に想像する人材でしょう。厳密に分けると、AIエンジニアが企画・設計したAIシステムをプログラミングを用いて実現するAIプログラマーも含まれます。
AI開発にはPythonなどのプログラミング言語が使われることが多く、従来のITエンジニアが使用するJavaやC#言語とは違う場合が多いです。また、AIの開発だけでなく、開発されたAIの精度を上げていくために膨大なデータをAIに学習させる作業も行います。
AIで問題を解決するデータサイエンティスト
AIの問題を解決する人材として挙げられるのがデータサイエンティストです。データサイエンティストとは、大量のデータを解析して有用な情報やデータ同士の関連性などを見つけ出し、社会や企業の様々な課題の解決をする技術者です。
AIの登場により、大量のデータをもとにした複雑な判断や将来の予測、自動化が急速に進んできました。そのため、AIの開発や活用においてはビッグデータが重要視されます。データサイエンティストは、AIのためのデータの収集や加工を行います。AIエンジニアが行う機械学習をデータサイエンティストが行う場合もあります。
また、自身でデータを解析することや、AIで解析されたデータをもとに課題を洗い出し、解決につながる戦略の立案も行います。
AIを活用した製品・サービスを企画するAIプランナー
AIプランナーは、AIに関する知見とビジネスに関する知見を両方持っており、AI製品やサービスを企画する人材です。多くの場合はベンダー企業に所属しています。現場が必要とする新しいAI製品や、多くの企業の課題を解決するAIサービスを企画します。最新トレンドに通じている情報収集力が求めらます。
AIを活用できる人材
AIの性質を理解し、AI技術をビジネスに利用できるようにする人材もますます求められています。AIエンジニアやデータサイエンティストは理系のAI人材と言えますが、AIの活用では文系のAI人材も多く活躍可能です。AIユーザーとしてAIの基礎知識を有し、自社のビジネスにAIツールを活用できる人材が求められています。
AIの導入に関する企画や業務設計、活用のための周囲との調整等を行います。AIを導入して現場でうまく運用することで、企業の生産性向上や業務効率化、新規ビジネスの立ち上げなどを行う人材です。AIが活用される現場とAI技術者の橋渡しをするコミュニケーションスキルも求められます。
AI人材に求められるスキルとは?
AI人材に必要なスキルといえば、まず思い浮かぶのはプログラミングスキルではないでしょうか。
もちろんプログラミングなどの知識的なスキルは重要ですが、AIを活用し有用な結果を出すためには、現場で運用するための実務的なスキルも必要になります。
AI人材に欠かせないスキルを以下に示します。
知識的なスキル | プログラミングスキル |
数学的な知識・考え方 | |
統計解析・分析手法 | |
実務的なスキル | 現場の理解と課題の特定スキル |
ハードウェアを含めた現場の変革推進スキル | |
事業の状況に柔軟に対応できるスキル |
それぞれのスキルについて説明します。
プログラミングスキル
プログラミングは、AIエンジニアやデータサイエンティストには必須のスキルとなります。特にAIや機械学習において主流なプログラミング言語であるPythonが使えることが必要になります。
プログラムコードを一から書くのは非常に困難で時間も掛かります。Pythonには数的処理や統計解析を行うライブラリが数多く公開されています。これらの既存のライブラリが豊富にあるPythonでAIの開発やデータ解析を行う場合がほとんどです。
文系AI人材でもプログラミングの基本がわかれば、導入するサービスがどのような過程で結果を導きだすのかを理解することができます。また、運用中のトラブルの原因把握もできるようになるため、自分でプログラムが書けなくても基本的な知識があると良いでしょう。
数学的な知識・考え方
実際にAIや機械学習では非常に多くの数値データを取り扱い、数的処理を行うことも多くあります。データ解析が主であるデータサイエンティストには特に重要なスキルです。
文部科学省でも、人工知能やビッグデータ活用など第4次産業革命を主導するためには数学的思考が非常に重要であるとしています。数学は、AIやIoTといった先端ITはもちろん、ライフサイエンス、ナノテクノロジー、環境科学、物理学、化学、金融工学、経済学、社会学など様々な分野の科学技術の基盤となると考えられており重視されています。
文系のAI人材は数学が苦手とすることもありますが、数学の基礎的な知識があれば、運用や改善等に役に立つでしょう。
統計解析・分析手法
数学的な考え方と同じく、統計解析や分析の手法も必要となってきます。AIを扱う以上、多量のデータを集めて解析する作業は必須です。統計解析・分析手法の知識と運用スキルも必須といえます。統計解析などは、高校までの数学で習っていない人もいると思いますが、頑張って習得すれば、AI人材として活躍できます。
現場の理解と課題の特定スキル
AI人材は、現場の生の課題を理解し、AIを含めた技術で解決できる領域を特定するスキルが欠かせません。AIの目的は、活用して課題を解決することです。実際に、現場でも自分で意思決定をすることや、経営陣を説得するための判断力、説明能力も大事になってきます。
ハードウェアを含めた現場の変革推進スキル
AIを現場で運用し効果を得るためには、現場の変革を推進するスキルが必要です。AIの導入により、課題の解決や時代に合った新しいサービスを提供することができます。そのときはハードウェアも含めて、これまでの環境が大きく変化することになるでしょう。AIの構築だけでなく、現場でのハードウェア構築等やオペレーションの再設計などが必要です。AI人材には、現場のメンバーを巻き込んで推進できる力が必要になります。
AI人材や経営陣だけで導入をしても、実務に合わせたオペレーションの構築や現場メンバーの理解がなければ、浸透せず効果を発揮しません。
事業の状況に柔軟に対応できるスキル
AIが現場で効果を発揮するためには、常に状況を把握し柔軟に対応する力が求められます。企業の経営状況や外部環境の変化によって事業の状況は変化し、それに応じて現場の状況も変化していきます。
AI導入後も事業の変化や現場の事情に応じて常に微調整等を続けなければ、AIの運用がうまくいきません。
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AI人材の需要は右肩上がり?
これからのAI人材の需要、及び育成の必要性について考える際に、以下の現状と将来を占うためのポイントは抑えておきましょう。
- 国内のAIの状況
- AI技術の進展とコモディティ化
- AI人材の不足
- AI人材育成の難度は高い
- AI人材育成のための政府の取り組み
それぞれのポイントについて説明します。
国内のAI導入の状況
AIがあらゆるビジネスを変革させることが予測されている反面、国内での導入はまだまだ進んでいないのが現状です。
経済産業省が2020年に実施した調査によると、国内の中小企業における平均AI導入率(導入が決定している未導入企業含む)は3%未満、検討中・検討したことがある企業は約15%ほどでした。
一方で、中小企業におけるAI導入インパクトとして、2025年までに経済効果11兆円・労働人口効果160万人相当であると試算しています。これだけの効果が見込めるのにも関わらず、国内の中小企業にAIの活用が進んでいないのは以下の原因が指摘されています。
- AI人材がいない・確保できない
- AI導入後のビジネスモデルがわからない
- 導入すべきサービスがわからない
- AIに対する理解が不足している
AI技術の進展とコモディティ化
まだAIを導入・検討をしていない80%以上の企業も、今後AIの需要が高まるでしょう。AI(人工知能)という言葉が誕生したのは、1956年でした。その後AIの研究が進み、ビッグデータ・ディープラーニングの技術が普及してきた頃から第3次AIブームとして注目され始めました。そしてAIが誕生してから50年以上経過した今、AIを活用した商品・サービス開発が急増しており、今後も研究開発が進んでいくと予想されています。
AIには、企業に求められる生産性向上や業務効率化、革新的な商品・サービスの提供といった課題を解決する力があります。AIを理解し扱える人材の需要は、今後確実に高まっていきます。
AI人材の不足
国内の中小企業でAIの導入が進んでいない現在でも、AI人材の需供は約4.4万人不足していると言われています。将来的にAIの需要は高まり、2030年までには約12.4万人の不足に上ると予測されています。
また、第4次産業革命が進展していくなかで、従来型ITサービスのマーケット規模は次第に縮小していくといわれています。規模が小さくなり従来のIT人材が余剰になる一方で、需要が高まるAI人材が不足するという状況に陥る企業も増えてくるでしょう。
AI人材育成の難度は高い
AI人材が不足するのは、AI人材の育成が難しいからです。企業におけるAI人材の育成のよくある課題について以下で説明します。
問題点 | 概要 |
---|---|
AI人材育成のための知識が足りない | ・社内育成をしようにも、AI人材が何人必要なのか、どのような教育すべきなのか分からない ・AI教育自体がまだ体系化されていない ・企業内にAIについての教育できる人材がいない |
実務に活かせる教材が少ない | ・基本知識は学べても、実務に立ち入った教育がまだまだ少ない 実務に活きるAI教育は、企業が抱える実際の課題をケーススタディすることが重要です。課題を解決するためにAIをどう活用して行くべきかをどれだけ具体的にできるかで、学びの質は大きく変わってきます。 |
実案件でのスキルアップが難しい | 育成のために適当な案件の実務がない企業も多く、実案件で経験を積んでいくことも難しい場合があります。特に、企業にとって大きな変革をもたらすような重要プロジェクトが多いので実案件でスキルアップしていくのが難しいのが現状です。 |
自社事業で必要とするAI人材の種類やレベルと、育成コストや時間を検討しましょう。AI人材の育成を外部に委託したり、ツールを利用する選択も可能です。
おすすめのAI人材育成・人材教育サービスをこちらの記事で特集していますので併せてご覧ください。
AI人材育成のための政府の取り組み
日本政府はAI人材の育成の重要さを認識しており、国内でのAI人材の育成、AIの活用を広げようと取り組んでいます。具体的な取り組みは以下のようなものです。
- 第4次産業革命スキルが取得できる講座の認定
- IT標準スキルの見直し及びITパスポート試験でのAI、IoTに関する出題の拡充
- 最先端AI実践スクール支援の支援
ITパスポートでAIに関する取り扱いが拡充することや、政府がAIに関するスキルが取得できると認定した講座を受講することで、AIに関する知識を取得することができます。企業でAI育成のための基盤が不足していても、こうした資格や研修を活用することでスキルアップができます。
また、企業が行う先進的なAI実践スクールの実証事業等の費用を政府が支援することで、実務で使えるスキルの取得の取得できる機会が増えます。
AI人材についてよくある質問まとめ
- AI人材にはどのような種類があり、それぞれどのような役割を担っていますか?
AI人材の主な種類と役割は以下の通りです
- デジタルストラテジスト: AI活用を含むデジタル戦略の立案
- AIエンジニア・プログラマー: AIシステムの開発と実装
- データサイエンティスト: データ解析と課題解決
- AIプランナー: AI製品・サービスの企画
- AI活用人材: 現場でのAI運用と業務改善
- AI人材に求められる主なスキルは何ですか?
AI人材に求められる主なスキルは以下の通りです。
知識的スキル:
- プログラミング(特にPython)
- 数学的知識・思考
- 統計解析・分析手法
実務的スキル:
- 現場理解と課題特定能力
- 変革推進力
- 柔軟な対応力
- コミュニケーション能力
- AI人材の需要と育成に関する現状と課題は何ですか?
AI人材の需要と育成の現状・課題は以下の通りです。
- 需要: 2030年までに約12.4万人の不足が予測
- 国内企業のAI導入率: 中小企業で3%未満(2020年時点)
- 育成の難しさ:AI教育の知識・体系の不足、実務に活かせる教材の不足、実案件でのスキルアップ機会の不足
- 政府の取り組み:AI関連講座の認定、IT資格でのAI出題拡充、AI実践スクールへの支援
まとめ
AI人材にはエンジニアだけでなく、データサイエンティストなどに分けられます。プログラミングや統計、数学的知識だけでなくしっかりとコミュニケーションを取り、課題の把握や現場の変革を進めるスキルも必要になってきます。
右肩上がりのAI人材の需要に対して人材が不足しているのは、人材の育成が困難であるためです。
これに対して政府は、AI人材を積極的に育成する体制を整備しています。今後、AI技術でよりよい社会を作っていくためにはAI人材はますます重要な存在になるに違いありません。社内育成にせよ、外部委託にせよ、AI人材の確保と活用はすべての企業の緊急課題と言えるでしょう。
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