ファクトリーオートメーションとは?メリット・デメリット徹底解説!AI活用で何が変わる?
最終更新日:2024年09月23日
「最新のファクトリーオートメーションって何?」
「自社でFAを推進するには何から始めればいいの?」
工場や倉庫の現場では、ますます自動化・省人化に対する要求基準が高くなっています。
今多くの現場で必要されるのは、産業ロボットの導入、コンピューター制御と言った基本的な生産サイドのオートメーションだけではありません。
生産受注から配送管理までを一括で自動化できる、より包括的で高度なオートメーションが求められています。
今回は製造業における技術革新「ファクトリーオートメーション」のメリット、注意点、導入方法、そしてAI・IoTを組み込むメリットと実例について徹底解説します。導入を考えている方、導入に迷いがある方は必見です。
AI Marketでは、
目次
ファクトリーオートメーションとは?
ファクトリーオートメーションとは、工場や倉庫における加工や組み立て作業、運搬管理、管理を自動化することです。
英語のFactory Automationの各単語の1文字目を取って、FAと呼ばれることもあります。
主な目的には以下の5項目が挙げられます。
1. 生産コスト削減
2. 生産スピード向上
3. 品質の安定化
4. 作業員の安全性向上
5. 人手で作れないものの製作
以前は単にオートメーションと呼ばれていましたが、オフィスでのオートメーション(自動化)と区別するために、ファクトリーオートメーションやFAと呼ぶことが多くなっています。
ファクトリーオートメーションと併せてよく使われる用語としてスマートファクトリーがあります。各工程の最適化に焦点を当てるファクトリーオートメーションに対し、スマートファクトリーは工場全体の最適化に焦点を当てています。
スマートファクトリーとファクトリーオートメーションの相違点、関係性についてはこちらの記事で分かりやすく解説しています。
ファクトリーオートメーションxAIが注目される理由
ファクトリーオートメーションの歴史は古く、さかのぼること1950年代から始まりました。従来の工場というとどのような風景を思い浮かべるでしょうか。機械が並び、そこに沢山の作業員が配置され、多数の製品や製品を運ぶ人など、機械と多くの人が共存しているイメージでしょう。
製造業や倉庫は元々労働集約型の産業であり、労働力の慢性的な不足が課題でした。そこで、ファクトリーオートメーションによって工場機械の電動化が進むようになり、さらには産業用ロボットが活躍するようになりました。
さらに2000年代に入り、工場にもITがどんどん進出し、さらに高度な自動化が進んできました。さらにAI(人工知能)とIoT(モノのインターネット)が、続々と工場や倉庫の現場に導入されています。分野別では、AIによる外観検査や予知保全、AIによる自動運転を導入した無人搬送車(AGV)は既に多くの工場や倉庫で活躍しています。
製造業に次々に導入されるAIによる外観検査の導入ステップについては、こちらの記事で分かりやすく説明しています。工場やプラントで活用されている予知保全についてわかりやすく解説しているのはこちらです。
AIによる自動運転を導入したAGV(無人搬送車)のメリット・デメリットについてはこちらの記事で分かりやすく解説しています。
AIを活用して受注管理から仕分け・配送まで、より高度なレベルで自動化・省人化を実現できるファクトリーオートメーションが注目されています。
現在、製造業で導入に向けた議論が盛んになっているDXにおいてもファクトリーオートメーションが基礎となっています。
こちらで製造業でのDX導入効果、導入方法を詳しく説明しています。
ファクトリーオートメーション導入のメリット
ファクトリーオートメーションが注目される理由となる「メリット」を具体的にみていきましょう。
生産品質の向上
ファクトリーオートメーションのメリットの一つに「生産品質の向上」があります。これまでの工場や倉庫では、多くの人員を割いて製品を製造、検品、配送作業を行ってきました。
人の作業は必ずミスや漏れが発生します。しかしファクトリーオートメーションを導入することで、IoTセンサーなどを使って生産ラインの情報を正確に、かつリアルタイムに確認できます。安定した品質の製品を、継続して製造できるようになるでしょう。IoTセンサーのメリット、導入方法についてはこちらの記事で分かりやすく解説しています。
近年のファクトリーオートメーションは精度が飛躍的に向上し、ほぼ全自動で高品質の製品を効率よく安定して製造可能です。生産コストの面からも、最小の工数で物作りが可能になります。また、作業員の労働環境の向上にも効果的です。
作業効率化
ファクトリーオートメーションは「作業効率化」にも寄与します。
人間の作業員であれば1日の稼働時間はおよそ8時間です。そして、交代制を取るとしても休憩の時間やオペレーターの交代などの中断時間は避けられません。
ファクトリーオートメーションを活用すれば24時間の連続稼働も可能になります。また、生産物の処理、検品や運搬、情報の処理はロボットの方が断然高速です。生産速度においても人間だけの生産体制よりもはるかに効率化できるでしょう。
現在、多くの工場で労働者の確保に苦労しているのが現実です。最小の人員で、作業員が機械の補助をする状態にして工場を稼働することができるのでファクトリーオートメーションは製造業にプラスをもたらすでしょう。
各工程において、フローの効率化を行うために重要なのが「工程管理」です。
こちらで工程管理とは?どんな手法がある?といった疑問に対する答えを詳しく説明しています。
ファクトリーオートメーション導入のデメリット
良いことづくしといってもいいファクトリーオートメーションにもデメリットは存在します。やはりこのデメリットの部分が「導入に迷っている」「導入できない」と経営者の方が感じる部分になると思います。
もちろん、ファクトリーオートメーションにもメリットとデメリット二つの側面があります。しかし、デメリットよりもメリットの方が大きいと考えられます。
設備投資に対する初期費用
「設備投資にかかる初期費用」は経営層にとっての最大のハードル、悩みどころとなるでしょう。投資した分以上の売り上げ、利益を上げられるか、必要な融資を得られるかの検討・戦略が必要です。
オートメーションファクトリーを現実にするためには、現状と計画によりますが100〜1,000万単位の投資が必要になるでしょう。
フル自動化となるとさらに費用がかかるので、初期投資としてはかなり大きなものとなります。メリットや経営状況、今後の会社としてのあり方などと重ねて考慮したうえで資金調達を検討してください。
専門性の高い人材の確保
ファクトリーオートメーションを導入しても、作業員は必要です。生産ラインごとのプログラム設定、プログラム通りに機械が動いているか確認する人員は欠かせません。さらにトラブルや故障時には原因の追究やプログラムの組み直しを行わなければなりません。
機械のプログラムやオペレーションに関しての専門知識を持った人材の確保や育成が必要になります。専門人材は多くないため、安定した確保が困難になるかもしれません。単純労働の人材よりも単価は上昇するでしょう。
社内で育成する場合は、短期で育成できるわけではないので時間・費用を確保しなければなりません。
ファクトリーオートメーションにAIを導入するメリット
ファクトリーオートメーションにおいてAIによる自動化のニーズはますます高くなっています。機械や装置、産業ロボットの稼働データをIoTセンサーで解析することで稼働状況が「見える化」されます。可視化されたデータをAIで分析することで、製造工程の見直し、改善、コントロールが可能になり生産性が上がります。
機械や装置などに起こる不具合を、IoTセンサーとAIシステムで事前に検知する予知保全も可能になります。不良品を多く出さずに済んだり、故障による長期ダウンタイムの防止も可能になるでしょう。
また、希望するサービスや製品、情報を希望するタイミングで受け取りたいという顧客の要求はますます高まっています。ファクトリーオートメーションにAIを組み合わせることで、生産だけでなく配送まで含めて自動化でき、より顧客の希望に合わせた出荷体制が可能になります。
上記のような理由から、今後もファクトリーオートメーションにAIシステムを組み込んだ生産体制へのニーズはますます高くなるでしょう。
ファクトリーオートメーションxAIの活用例(ユニクロ)
衣料品小売大手ユニクロを運営するファーストリテイリングは、株式会社ダイフク・株式会社MUJINと共同して、倉庫業務に画像認識AIによる自動化システムを導入しています。
ファーストリテイリングが主に取り扱うアパレル製品は形状が柔らかく、商品種類が豊富なのでピッキング作業の難度が高く、自動化は困難とされてきました。そこで、MUJINが開発した画像認識AIを用いたピッキングロボットでピッキング作業を自動化し、世界中の倉庫に導入しています。
成果として、ピッキング作業者の歩⾏数を0歩に、つまり移動の工数やコストを極限まで削減できました。当然AIカメラは24時間稼働可能です。
併せてダイフクが提供する以下の自動化システムを導入することで倉庫作業の全自動化を実現しています。
1. 商品の積み下ろしを自動化
2. RFID⾃動検品機による検品の完全自動化
3. 空間を有効活⽤し保管効率を向上
4. 配送箱の自動作成、及び内容量に合わせてサイズを自動適正化
5. 商品コンテナの⽚付けを⾃動化
6. 配送仕分けの自動化
全体の取り組みにより、100人いた従業員をおよそ10人まで省人化(省人化率90%)を達成できたとのことです。加えて、スタッフの教育コストを80%カットすることに成功しました。
ファクトリーオートメーションの導入ステップ
ファクトリーオートメーションの導入ステップは主に以下の3ステップです。
1. 情報収集して「見える化」
2. 情報を分析して「分かる化」
3. システムを成長させる「最適化」
まず、「見える化」は、実際に製造現場、工場において生産に関連するデータを収集し、問題となっている部分を把握します。どのような改善が必要か、状況把握をして「見える化」します。
リアルタイムのデータ取得にはIoTセンサーやAIカメラを活用するのが効果的です。取得したデータをネットワークにて共有し「見える化」することで工場全体の問題を洗い出します。
次の「分かる化」は、見える化したことで出てきた問題、生産状況や製品品質なども含めた現場内での課題や問題点の原因を分析します。具体的には、収集したデータから正常モデルを作成します。
そして、正常モデルと実データを比較して、異常や問題点を正確に検知できるシステムを構築していきます。分析すべき要素の種類が多い、または要素の時間変化が急激、かつ大きい場合はAIによるデータ分析が欠かせません。
「最適化」では「分かる化」で把握したボトルネックの予兆をとらえ、不具合が発生する前に先手を打ってプログラムの変更、メンテナンスなどの対策を実施します。AIを使う場合は、実際の稼働データを随時取り込んでいくことでより精度の高いシステムへと成長させられます。生産ラインの長期ストップを防ぐことが目的となるでしょう。これにより生産性の向上、効率的な人員配置によるコストカットなどが可能になります。
上記のステップを経ながら自社にあった導入方法を探ってみましょう。
ファクトリーオートメーションについてよくある質問まとめ
- ファクトリーオートメーションにAIを導入するメリットは何ですか?
主なメリットは以下の通りです。
- 製造工程の見直しと改善が可能になり、生産性が向上する
- 予知保全により、不良品の発生や長期ダウンタイムを防止できる
- 顧客の要求に合わせた柔軟な生産・出荷体制が構築できる
- ユニクロ(ファーストリテイリング)はファクトリーオートメーションをどのように活用していますか?
ユニクロのファクトリーオートメーション活用例は以下の通りです。
- 画像認識AIを用いたピッキングロボットでピッキング作業を自動化
- RFID自動検品機による検品の完全自動化
- 配送箱の自動作成と内容量に合わせたサイズ自動適正化
- これらの取り組みにより、従業員を90%削減し、教育コストを80%カット
- ファクトリーオートメーションの導入ステップを教えてください。
ファクトリーオートメーションの導入ステップは以下の3段階です。
- 情報収集して「見える化」: IoTセンサーやAIカメラでデータを収集し、問題点を把握
- 情報を分析して「分かる化」: 収集データから正常モデルを作成し、異常を検知するシステムを構築
- システムを成長させる「最適化」: 不具合の予兆をとらえ、先手を打って対策を実施。AIを使用し、継続的にシステムを改善
まとめ
製造業・倉庫業の「ファクトリーオートメーション」にも、メリット、デメリットがあります。しかし、長い目で考えるとメリットの方が多く、ますます高まる自動化・省力化のニーズに応えるには不可欠でしょう。自社の状況を見据えた上で、メリットがデメリットを上回ればぜひ導入を前向きに行ってみることをおすすめします。
これからのファクトリーオートメーションのスタンダードになるAIシステムの導入においては、多くの現場担当者が「コスパの判定が分かりにくい」「導入要件の定義方法がわからない」とお悩みのようです。AI Marketでは、ファクトリーオートメーションの導入サポートにおすすめのAIシステム開発会社紹介も行っています。
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