製造業での画像認識AI導入事例は?効果や活用事例を徹底解説!
最終更新日:2025年01月21日
製造業における品質管理や検査工程の自動化に悩む方は、AI画像認識の導入を検討されてみませんか?熟練検査員の目に頼る従来の方法では、作業者の体調や時間帯による判定基準のばらつき、長時間の集中力維持による負担が避けられません。
本記事では、キユーピーの原料検査自動化やJFEスチールの安全管理システムなど、国内製造業における具体的な画像認識AIの導入事例を徹底解説します。AI画像認識システムの特徴から導入効果まで、製造現場の生産性向上を実現するためのポイントを分かりやすく解説していきます。
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製造業での画像認識AI活用事例8選
製造業におけるAI画像認識技術は、品質管理の強化から作業効率の向上まで、幅広い分野で成果を上げています。特に、従来の目視検査では見逃されがちな微細な欠陥や異常をリアルタイムで検出できる点で、製品品質の向上に大きく貢献しています。
また、検査工程における人為的ミスや属人性を大幅に減らし、一貫した品質基準での検査を実現しています。
製造業での他のAI技術活用事例をこちらの記事で詳しく説明していますので併せてご覧ください。
【キユーピー】惣菜用カット野菜の原料検査自動化
キユーピー株式会社は2016年からAIを活用した原料検査装置の開発に着手し、「良品」を学習させるという”逆転の発想”を実現しました。従来のAI検査では不良品を学習させる手法が一般的でしたが、キユーピーは「良品」のみを学習させることで、「良品以外をすべて不良品として検出する」システムを確立しました。
この新しいアプローチにより、検査精度と現場での操作性が大幅に向上し、2018年からベビーフード工場、2019年からは惣菜工場への導入を実現しています。
【ヨシズミプレス】レーザーダイオード部品の外観検査効率化
株式会社ヨシズミプレスは、直径わずか5mmのレーザーダイオード部品に対してAI画像認識システムを導入し、外観検査工程を改善しました。導入前は月間50万個の製品を6名の検査員で約10日間かけて目視検査していましたが、AI導入後は検査時間を約40%削減することに成功しました。
特筆すべきは、AIが良品と判定した製品は約95%を占め、残りの5%のみを人による目視検査に回すことで、効率的な品質管理体制を構築しました。
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【栄電子工業】プリント配線基板の金めっき検査
栄電子工業株式会社は、プリント配線基板の金めっき検査工程にAI画像認識技術を導入し、微細な品質異常の検出精度を向上させました。金めっきの厚さや均一性といった目視では判断が難しい検査項目に対して、高精度なAI検査システムを実装することで、品質保証レベルを大幅に向上させています。
【JFEスチール】製鉄所における安全管理の強化
JFEスチール株式会社は製鉄所内の安全管理強化を目的に、AI画像認識システムを導入しました。製鉄所内の監視カメラ映像をAIが24時間リアルタイムで解析し、作業員の危険行動や異常な状況を自動検知します。
このシステムにより、広大な製鉄所内での事故防止と安全確保を実現し、作業環境の改善に大きく貢献しています。
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【アサヒビール】ワイン検査業務の自動化
アサヒビール株式会社は日本電気株式会社(NEC)と共同で画像処理技術を活用した「輸入ワイン中味自動検査機」を開発し、品質管理体制をリニューアルしました。この自動検査機は、赤外光照明とカメラを組み合わせた画像処理技術により、ワイン瓶内の異物混入を高精度に検出します。
検査時には約10秒間瓶を傾斜・旋回させ、液体に渦流を発生させることで、ラベルの陰に隠れた異物まで検出することが可能となりました。
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【ダイセル/日立製作所】異常検知システムの実用化
株式会社ダイセルと日立製作所は、製造現場における画像解析システムを実用化し、「代表点管理」から「全点管理」への移行を実現しました。このシステムは作業者の動作や設備の状態を定量的に把握し、3M(Man/Machine/Material)の観点から製造実績データを解析します。
特に注目すべき点は、人物動作解析、設備異常解析、溶接異常解析の3つの機能を統合し、生産ラインの監督者にリアルタイムで通知を送る仕組みを構築したことです。
関連記事:「AIを活用した異常検知、異常検知に使われるデータ分析手法やメリットを紹介」
【メック】エッジデバイス搭載の異常検知
メック株式会社は、エッジデバイス搭載の高精度「画像認識AIソリューションPictel」を開発しました。このシステムは異常検知やプロセス改善を可能にし、製品検査や安全監視など幅広い分野での業務効率化を実現しています。
特筆すべき点として、アナログメーターの数値読み取りのデジタル化や、危険(安全)検知による重大事故の未然防止機能が挙げられます。
【アンデルセン】パンの画像分類の自動化
アンデルセンをはじめとするパン製造業では、画像認識AIレジ「BakeryScan」を導入し、業務効率化を実現しています。このシステムは3~4個のパンの画像登録だけで90%の精度で分類が可能で、さらに実際の販売データから継続的に学習する機能を備えています。
導入効果として、新人スタッフの即戦力化、70代スタッフの継続雇用実現、さらには知的障害のある方の就労支援にも貢献しています。また、レジ台数と担当者を減らしても売上がアップするなど、経営面でも大きな成果を上げています。
関連記事:「AIの画像分類に関して概要から具体的な活用シーン、画像分類する際の流れ」
なお、他にも以下のような業務でも画像認識AIが活用されています。
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AI画像認識導入による業務改善4つの効果
AI画像認識技術の導入は、製造業における品質管理の精度と効率を飛躍的に向上させています。この技術により、高精度な欠陥検出が可能となり、人間の目では見逃しがちな微細な傷や異物も確実に発見できるようになりました。
24時間稼働可能なシステムにより、一貫した品質検査を実現し、製造プロセス中でのリアルタイムフィードバックも可能となっています。
検査工程の人員削減と完全自動化の実現
AI画像認識の導入により、製造業の検査工程における人員配置を大幅に効率化することが可能になりました。例えば、先述のヨシズミプレスの事例でも述べたように、月産50万個の製品検査において、AIの導入により検査員が目視で検査する製品数を95%削減することに成功しています。
これにより、検査時間が約40%削減され、月間171時間もの工数削減を実現しました。
さらに、AIシステムは24時間365日稼働が可能なため、生産ラインの稼働時間に合わせた柔軟な検査体制を構築できます。導入コストも従来想定されていたよりも大幅に低減され、約30万円程度から導入可能となっています。
品質検査の精度向上と判定基準の均一化
AI画像認識システムの導入により、品質検査の精度と一貫性が大きく向上しています。従来の目視検査では、作業員の経験や体調、時間帯によって判定基準にばらつきが生じやすい課題がありました。
しかし、AIによる検査では、事前に設定された判定基準に基づいて一貫した検査が可能となり、品質の均一化を実現しています。
特筆すべきは、AIシステムが良品の特徴を学習することで、従来は見逃されていた微細な不良も高精度で検出できるようになった点です。これにより、製品の品質向上と顧客満足度の向上につながっています。
イベントカメラを活用して、高速の動きを検知して変化を検出する手法も製造業の品質管理に使われています。
作業員の負担軽減とヒューマンエラーの防止
AI画像認識の導入は、検査作業員の身体的・精神的負担を大きく軽減しています。従来の目視検査では、長時間にわたる集中力の維持や、微細な欠陥を見逃さないようにするストレスが大きな課題でした。
AIの導入により、作業員は高度な判断が必要な検査や、より創造的な業務に注力できるようになっています。
ヒューマンエラーの防止
AI画像認識の導入は、人的ミスの防止にも大きく貢献しています。特に疲労や集中力低下による検査精度の低下を防ぎ、安定した品質管理を実現しています。
さらに、AIが不良品の可能性が高い製品のみを抽出することで、作業員は効率的に検査を行うことができ、作業効率の向上と精神的負担の軽減を同時に達成しています。
まとめ
製造業におけるAI画像認識技術は、品質管理の強化から作業効率の向上まで、幅広い分野で成果を上げています。
特に注目すべきは、24時間365日稼働可能な一貫した品質検査の実現と、人的ミスの大幅な削減です。従来の目視検査では見逃されがちな微細な欠陥も確実に検出でき、作業員の負担軽減にも貢献しています。
もし品質管理の効率化や人手不足の解消をお考えでしたら、まずは自社の検査工程の課題を明確にし、AI画像認識システムの導入検討を始めてみてはいかがでしょうか。最大の導入効果を得るには、検査対象の特性に応じた画像の取得方法や、判定基準の設定など、専門的な知見が必要です。
御社の製造環境に最適なシステムを構築するため、まずは導入実績のある専門家に相談することをお勧めします。
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製造業でのAI画像認識事例についてよくある質問まとめ
- AI画像認識は従来の目視検査と比べてどの程度正確なのでしょうか?
極めて高い精度を実現しています。例えば、ヨシズミプレスの事例では、AIが良品と判定した製品は全体の約95%を占め、残りの5%のみを人による目視検査に回すことで効率的な品質管理を実現しています。また、人間の目では見逃しやすい微細な傷や異物も確実に検出できます。
- 画像認識AI導入による具体的なメリットを教えてください
主なメリットとして、検査時間の約40%削減、人的ミスの防止、24時間稼働による一貫した品質管理の実現が挙げられます。また、作業員の負担軽減や、より創造的な業務への人員配置転換が可能になります。さらに、リアルタイムでの異常検知や品質管理により、製造プロセス全体の効率化も実現できます。
- 既存の検査基準をAIシステムに反映させることは可能ですか?
可能です。キユーピーの事例のように、良品の特徴を学習させる方法や、従来の検査基準を数値化してAIに組み込む方法があります。また、運用開始後も実際の検査データから継続的に学習を重ね、精度を向上させることができます。
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