ChatGPTのマルチモーダル機能とは?Geminiとの違い・応用例・注意点・展望を徹底解説!
最終更新日:2025年06月07日

- ChatGPTはテキストだけでなく、画像、音声、ファイルなどを統合的に扱う「マルチモーダル機能」を備えており多様な業務を効率化
- 画像生成、画像認識、音声・動画解析といった各機能を活用することで、専門スキルがなくとも高品質なコンテンツ作成や映像・音声データからのインサイト抽出
- ビジネスで活用する際は、認識精度の限界を理解し、人間による確認作業を徹底することが重要
ChatGPTのマルチモーダル機能が大きく発展し、テキストだけでなく画像・音声・動画など複数の情報を組み合わせた処理が可能になりました。図や写真、インタビュー動画などを活用した対話が実現し、業務の効率化や自動化をさらに加速させています。
その一方で、GeminiやClaudeといった他のAIとの違い、情報漏洩のリスクについて疑問や不安をお持ちの担当者様も多いのではないでしょうか。
この記事では、ChatGPTのマルチモーダル機能を徹底的に解剖し、具体的な応用例、活用上の注意点、そして未来の展望までを網羅的に解説します。
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目次
ChatGPTのマルチモーダル機能とは
ChatGPTのマルチモーダル機能とは、テキストだけでなく、画像・音声・動画といった複数の情報形式(モダリティ)を同時に処理・理解できる機能のことです。従来、ChatGPTはテキストでの会話のみでしたが、近年は画像を用いた対話や音声を介したリアルタイムな応答が可能になりました。
ChatGPTのマルチモーダル機能が大幅に強化されたのは、GPT-4oからです。GPT-4oの「o」は「omni(オムニ)」の略で、「すべての」という意味を持ちます。開発元のOpenAIは、この名称を付けることでGPTシリーズのMLLM(マルチモーダルLLM)化の意味を込めています。
GPT-4o以降は、テキストだけでなく、画像、音声、PDFやCSVファイルを直接入力できます。入力から応答までの速度が劇的に向上し、人間と話しているかのような自然な音声対話が可能になりました。
従来のテキスト入力を介すコミュニケーションから、より自然なやり取りが可能になり、実用性が向上しています。GPT-4oは無料プランでも利用可能で気軽に試せることから、幅広い企業で活用が進められています。
Geminiとの違い
近年、さまざまな生成AIツールでマルチモーダル機能の開発が進められており、GPT-4oと並んで注目されているのが「Gemini 2.5 Pro」です。
Gemini 2.5 Proは、テキスト・画像・音声・動画など、多様な情報形式を統合的に処理できるGoogleが開発したマルチモーダルAIモデルです。特に、高度な推論能力とコーディング性能に優れており、複雑な問題解決やソフトウェア開発支援に適しています。
一方、ChatGPTはリアルタイム性の高い音声対話が大きなアドバンテージです。人間との自然なコミュニケーションを重視する用途で強みを発揮します。
両者は用途や導入環境によって使い分けが可能です。
- GPT-4o:対話の自然さと速度を重視、または汎用的な業務効率化やアイデア出しを手軽に始めたい
- Gemini:複雑な分析・生成タスク、またはGoogle Workspaceを業務の中心としている
ChatGPTのマルチモーダル機能応用例
多様な形式のデータを扱えるChatGPTマルチモーダル機能は、従来の生成AIでは難しかった「見て」「聞いて」「話す」ような自然な対話や作業支援が行えるため、さまざまな業務に応用可能です。
以下が、代表的な応用例です。
活用方法 | 具体的方法 | プロンプト例 |
---|---|---|
ECサイトの広告文作成 | 新商品の画像をアップロードし、その特徴(デザイン、素材感など)を認識させ、ECサイトの商品説明文やSNS用のキャッチコピーを複数パターン生成させます。 | この[商品名]の画像を分析し、20代女性をターゲットにしたInstagram用のキャッチーな紹介文を3パターン作成してください。ハッシュタグも提案してください。 |
マーケティング分析 | 特定のキーワードに関連するSNS投稿のスクリーンショット群や、ユーザーインタビューの動画(音声)を入力。画像内の製品の使用シーンやユーザーの表情、音声のトーンからポジティブ/ネガティブな反応を分析・要約させます。 | 添付したSNS投稿の画像群を分析し、ユーザーがこの商品に対して抱いているポジティブな感情とネガティブな感情をそれぞれ要約してください。今後のマーケティング施策に活かせる改善案も提案してください。 |
議事録作成(音声認識) | 会議の音声データを直接アップロードするか、議論が書き出されたホワイトボードの写真を撮影して入力します。音声の文字起こしや話者分離を行い、決定事項、ToDoリスト、懸念事項などを箇条書きで整理・要約させます。 | このホワイトボードの画像を読み取り、今日の会議の議事録を作成してください。フォーマットは「【決定事項】【ToDo(担当者)】【懸念事項】」でお願いします。 |
製造現場のハンズフリー支援 | スマートグラス等を装着した作業員が機械の部品やメーターの写真を撮影し、音声で質問し正しい手順や数値を即座に音声で回答するシステムを構築します。 | (音声入力) このメーターの数値を読み取って、正常範囲内か教えて。もし異常値なら、マニュアルのセクション5.3にある対処法を読み上げて。 |
教育コンテンツの自動生成 | 教科書の特定ページのスクリーンショットや参考図版を入力します。その内容に基づきプレゼンテーションスライドの構成案と各スライドのテキスト案を生成させます。 | 添付した教科書のページ(江戸時代の三大改革)の内容を基に、中学生向けの授業で使うPowerPointスライドを5枚構成で作成してください。各スライドのタイトルと箇条書きのテキスト案をお願いします。 |
資料作成の効率化 | 会議で手書きしたラフなグラフや構成図の写真をアップロードし、PowerPointのスライド用に清書させます。グラフ画像からデータを読み取りグラフとして再描画することも可能です。 | この手書きのグラフの写真を読み取り、データを抽出してテーブル形式で整理してください。その上で、同じデータをPowerPointで見せるための、洗練された棒グラフを生成してください。タイトルは「四半期別売上推移」です。 |
データ分析の高速化 | 月次の売上データなどがまとめられたExcelファイル(.xlsx)やCSVファイルを直接アップロードし、グラフ生成まで含めて回答します。 | 添付した売上データ(sales_data.csv)を分析し、商品カテゴリ別の売上構成比を示す円グラフを作成してください。また、最も売上が前月比で伸びている商品を特定し、その要因について考察してください。 |
デザインのアイデア出し | 新製品のラフスケッチやコンセプト画像をアップロードし、異なるテイストのデザイン案を複数パターン生成させ、アイデアの壁打ち相手として活用します。 | この椅子のラフスケッチを基に、よりモダンでミニマルなデザイン案を3パターン生成してください。素材は木材と金属を組み合わせる想定です。 |
請求書データの入力自動化(文字認識(OCR)) | 取引先から受け取った請求書のPDFファイルを複数アップロードします。各ファイルから特定情報を読み取らせ、会計システムにインポート可能なCSV形式などで出力させます。 | 添付された複数の請求書PDFから、各ファイルの「請求元会社名」「請求日」「支払期日」「請求合計金額」を抽出し、CSV形式で出力してください。列のヘッダーも付けてください。 |
ChatGPTのマルチモーダル機能は単なる情報処理にとどまらず、業務効率を高める手段として、幅広い専門分野の日常業務において即戦力となるでしょう。
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ChatGPTが対応するマルチモーダル機能
ChatGPTのマルチモーダル機能は、画像生成・画像認識・音声応答・動画解析が可能です。以下では、それぞれの機能詳細を紹介します。
画像生成
ChatGPTでは、もともとDALL-E 3との連携で画像生成に対応していましたがGPT-4o以降は内部モデルに統合されて、よりシームレスに高精度な画像生成が可能です。テキストプロンプトに従って画像を生成するだけでなく、既存の画像に対して指示を出し、テキストや視点の変更、モチーフの追加など細やかな編集が行えます。
以下が、ChatGPTの画像生成機能で行えることです。
- 画像のテキスト部分を変更してバナーや広告を再作成
- 写真をもとにポスターや似顔絵を自動生成
- 建築や製品デザインに使える3Dレンダリング風画像、建築物や工業製品のコンセプトアートの出力
- テキストデータから棒グラフ・円グラフなどを視覚化
- WebサイトやアプリのUIデザイン案の生成
- ブランドイメージに合わせて、SNS投稿用の画像、広告バナー、キャンペーン用のイラストなどを生成
テキスト(プロンプト)による新規生成はもちろん、一度生成した画像に対して「この部分の色を変えて」「もっとアニメ風にして」といった対話形式での修正も行えます。
ChatGPTの画像生成機能は、クリエイティブ業務やプレゼン資料の作成、プロトタイプ制作など画像作成を必要とする多様な業務シーンで活用できます。専門的なデザインスキルがなくても、質の高い画像コンテンツを容易に生成できるのがメリットです。
画像認識
ChatGPTは、スマートフォンやPCからアップロードした画像の内容を認識し、説明したり質問に答えたりできます。画像内の文字を読み取ることも可能です。
以下が、ChatGPTの画像認識機能によって実現できることです。
- マニュアルのスクリーンショットやスライド資料の内容を読み取り、テキストで簡潔に説明
- 手書きのメモやホワイトボードの内容を分析
- UIデザイン画像からHTMLコードを自動生成
- 外国語の看板を撮影して翻訳させる
ChatGPTの高度なテキスト・画像処理能力により、専門的な画像解析スキルや画像内容に対する専門知識がなくても、画像の内容を的確に理解・活用できるようになる点がメリットです。
特にWeb制作や業務マニュアル整備など、画像情報を多用する業務シーンで導入することで、情報共有と資料理解の効率が大幅に向上します。
音声解析
ChatGPTの音声解析は、2024年10月にリリースされた比較的新しいマルチモーダル機能です。ChatGPTの音声解析機能では、ユーザーが話しかけた内容をリアルタイムで認識・応答することが可能です。
以下が、ChatGPTの音声解析機能でできることです。
- 会議音声を読み取らせ、「今日の会議の要点は?」と尋ねて、その場で自動的に要約を取得
- 作業中に声で手順を確認
- 簡単な質問を音声で行い、即時に口頭で返答を得る
音声解析機能は、会議や現場作業、接客、プレゼン支援など多様なビジネスシーンにおいて、ハンズフリーでの対話支援を可能にします。
キーボード操作が困難なオフィス外の環境や移動中、両手がふさがる業務でも音声による操作でChatGPTを活用できます。そのため、企業における利用シーンが広がります。
動画解析
ChatGPTは、動画や録音済み音声データを文字起こしし、その内容を要約・分析する機能にも対応しています。映像と音声の両面から内容を深く理解・分析可能です。
映像内のオブジェクトや人物の行動、シーンの変化を認識する「見る」能力が飛躍的に向上し、これまでの音声認識だけでは得られなかったインサイト抽出を可能にしています。
以下が、ChatGPTの動画解析機能によって行えることです。
- オンライン会議の音声データから、話者ごとに話す内容を解析
- 長時間の講義動画を要約し、重要ポイントだけを抽出
- Webセミナーやインタビューの内容を短く整理
ChatGPTの動画解析機能を活用することで、動画コンテンツの理解・要約作業が自動化されるため、情報整理やナレッジ共有、研修効率の向上が期待できます。
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ChatGPTのマルチモーダル機能の活用時の注意点
ChatGPTのマルチモーダル機能は非常に便利で多機能ですが、導入や業務活用に際してはいくつかの注意点があります。以下では、ChatGPTのマルチモーダル機能を利用する際の主なリスクや制限事項を紹介します。
認識精度の限界
ChatGPTの画像・音声認識機能は高性能ですが、使用シーンや条件によっては入力の認識精度が落ちる場合もあります。画像認識を誤ったり、存在しない情報を生成したりする「ハルシネーション」は常に起こり得ます。
特に以下のようなケースでは、認識精度が低下する傾向にあります。
- 騒がしい環境や複数人が同時に話す状況などノイズが多い音声
- 崩れた手書き文字や判別しにくい図表
- 不鮮明・低解像度な画像
そのため、重要な業務や成果物に活用する際は、アウトプット内容の確認や修正が必要です。特に数値、固有名詞、専門的な内容に関しては、AIの出力を鵜呑みにせず、必ず人間によるファクトチェックを行う運用を徹底してください。
音声機能のセキュリティリスク
音声入力に伴うセキュリティリスクに注意が必要です。機密情報や個人情報を含む画像をアップロードしたり、音声を入力したりすることは情報漏洩のリスクを伴います。
以下のようなリスクが残されていることを指摘しています。
- 音声データの漏えい
- 音声模倣やなりすましによる悪用
- 利用ログに残るセンシティブなやり取り
無料版では入力データが学習に使われる可能性があるため、以下の利用が必須です。
社内で「何をアップロードして良いか/悪いか」を定めた明確なガイドラインの策定と周知が成功の鍵となります。
コスト管理
ChatGPTのマルチモーダル機能は無料プランでも利用可能ですが、画像のアップロード回数や音声入力時間、APIの呼び出し回数に制限があります。そのため、業務で大量・高頻度にChatGPTのマルチモーダル機能を利用する場合は以下のようなコスト管理を実施しましょう。
- 上位プランへのバージョンアップ
- API呼び出しのログ管理と自動通知設定
- 利用制限や高コスト効率な利用方法のマニュアル化
ChatGPT利用時のコスト管理を怠ると、想定以上のコストが発生する可能性もあります。そのため、導入前に使用量と費用を見積もることが重要です。
ChatGPTのマルチモーダルの展望
今後、ChatGPTのマルチモーダル機能はさらなる発展が期待されており、以下のような方向での発展が見込まれます。
リアルタイムマルチモーダル対話の実現
まず、ChatGPTのマルチモーダル機能では、音声・映像・ジェスチャーなど、複数のモダリティをリアルタイムで同時に処理できる対話インターフェースの登場が期待されています。
例えば、カメラを通じてユーザーの表情や動作を読み取り、その反応に合わせて音声で返答するといった、より人間に近いコミュニケーションが可能になります。将来的に、遠隔接客・教育支援・医療現場での遠隔診療などへの応用が現実になるでしょう。
高度なドメイン特化モデルの登場
医療や製造、自動運転など、特定分野に特化したマルチモーダルAIモデルの開発が進むことも予想されています。
例えば、医療画像とカルテ情報を統合して病変の特定を支援するAIや、LiDAR・カメラ映像を同時に解析して車両周囲の状況を把握する自動運転支援モデルなどが開発されると、汎用モデルでは対応が難しかった業界固有のタスクにも柔軟に対応できるようになります。
ChatGPTのマルチモーダルについてよくある質問まとめ
- ChatGPTのマルチモーダル機能とは何ですか?
テキストだけでなく、画像・音声・動画・ファイルといった複数の情報形式を同時に処理・理解できる機能のことです。
従来よりも自然で多様な方法での対話や作業支援が可能になりました。GPT-4oの登場で機能が大幅に強化され、無料プランでも利用できます。
- ChatGPTは、どのようなマルチモーダル機能に対応していますか?
主に以下の4つの機能に対応しています。
- 画像生成: テキストの指示に基づき、広告バナーやデザイン案などの高品質な画像を生成・編集します。
- 画像認識: アップロードされた画像の内容を理解し、文字起こし、翻訳、コード生成などを行います。
- 音声解析: リアルタイムでの音声対話や、会議音声の要約などが可能です。
- 動画解析: 動画の映像と音声を統合的に分析し、内容の要約やインサイトの抽出を行います。
- ChatGPTのマルチモーダル機能を使う上で、どのような注意点がありますか?
主に以下の3つの点に注意が必要です。
- 認識精度の限界: 不鮮明な画像やノイズの多い音声では精度が落ちるため、AIの生成内容は必ず人間が確認・修正する必要があります。
- セキュリティリスク: 情報漏洩を防ぐため、機密情報を扱う際はAPI利用や有料プラン、高セキュリティな環境(Azure OpenAI Serviceなど)の利用が必須です。
- コスト管理: 大量に利用する場合は、プランに応じた利用制限やコストが発生するため、事前の使用量と費用の見積もりが重要です。
まとめ
ChatGPTのマルチモーダルとは、テキスト・画像・音声といった複数の情報形式を統合的に処理できる機能です。
特に近年のGPT-4oでは、
しかし、その能力を最大限に引き出し、安全に運用するためには、各企業の状況に合わせたセキュリティポリシーの策定、費用対効果の算出、そして最適な業務への適用といった専門的な知見に基づいた導入計画が不可欠です。
もし、自社特有の課題をどう解決すればよいか、あるいはAI導入の具体的な進め方に迷われた際には専門家の支援を得ることが成功への近道となります。
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