SalesforceのAgentforceとは?できること、機能、特徴、 料金プラン、活用事例まで徹底解説!
最終更新日:2025年07月08日

- AgentforceはSalesforce上で自律型AIエージェントを構築・運用できるプラットフォームで顧客対応や営業支援など幅広い業務に対応
- 開発者向けツールやTesting Center、AgentExchangeにより、迅速な構築・テスト・拡張が可能で品質と安全性も高く維持できる
- IndeedやHeathrow、SCAなど大手企業での導入実績があり、業務の自動化とカスタマーエクスペリエンスの向上に貢献
AgentforceはSalesforceが2024年に発表した、AIエージェントを作成し、管理・展開するためのプラットフォームです。Salesforce上のCRMデータや外部システムと連携しながら、顧客対応・営業支援・マーケティング施策など、あらゆる業務を自律的に処理・最適化できるのが特徴です。
会話ベースの自然な操作で、高度な処理や判断をAIが担うことで、業務効率や対応スピードの向上が期待されます。
本記事では、Agentforceの概要から、できること、主な機能、特徴、料金プラン、活用事例までを徹底解説します。
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目次
Agentforceとは?
Agentforceは、Salesforceが提供する自律的にタスクを実行するAIエージェントを作成し、管理・展開するためのプラットフォームです。質問への応答やタスクの実行を通じて、チームの生産性向上を支援します。
指定された役割に応じて必要なビジネス知識を備え、従業員や顧客を24時間年中無休でサポートする自律型AIエージェントとして活用できます。
Salesforce内に蓄積された顧客情報、商談履歴、サポート履歴といった正確なビジネスデータに基づいて動作するため、精度の高い判断とアクションが可能になります。
AgentforceはAtlas推論エンジンを起点に、LLMと連携したアクションを通じて、ユーザーの指示に基づいた計画を自律的に立案・実行します。これにより、最小限の入力でタスクを完了へ導くことができます。
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Agentforceの料金プラン
Agentforceは、SalesforceのEnterprise Edition以上を利用しているすべてのユーザーが無料で利用できます。厳密にいうと、無償提供される年間100,000クレジットの範囲内でAgentforceの機能を使用可能です。
基本的な利用は無料ですが、より高度な活用や会話数の増加に応じて、従量課金モデルが適用されます。
具体的には、1会話あたり約240円(2ドル相当)での利用が可能です。また、Agentforceには、すぐに使えるエージェントスキルやカスタム構成用のツール群も含まれており、ビジネスニーズに応じた柔軟な拡張が可能です。
2025年5月に、より柔軟でコスト管理がしやすい新しい料金体系「Flex Credits(フレックスクレジット)」が発表されました。「Flex Credits」では、 会話単位ではなく、AIエージェントが実行する「アクション」単位で課金されます。
1アクションあたり20クレジット(約12円 / 0.10ドル相当)を消費します。クレジット購入の際は、100,000クレジットを60,000円(500ドル)で購入できます。
現在はFlex Credits(フレックスクレジット)が主流のモデルとなりつつあります。
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Agentforceの特徴
高い柔軟性と実用性を備えたAgentforceの主な特徴を紹介します。
簡単に自律型エージェントの構築が可能
Agentforceは、Salesforce Platform上で自律型エージェントを柔軟に構築・カスタマイズできる機能を備えています。
専用のローコードビルダー「Agent Builder」を利用することで、以下の一連の設定を視覚的に行えます。
- 自然言語によるプロンプト設計
- Salesforce Flowとの連携
- API呼び出し
- Apexコードを用いた高度なロジック構築
エージェントに実行させたいジョブをトピック単位で定義し、トピックごとにインストラクションやアクションを紐付けることができます。そのため、業務に即したエージェントを短期間で構成・変更可能です。
さらに、構築したエージェントの動作プランを可視化したり、対話内容に応じた応答のテストも行えます。そのため、リリース後の運用改善やバージョン管理もスムーズです。
安全性と制御性の両立
Agentforceは、AIエージェントが誤った対応を行わないよう、「ガードレール」と呼ばれる制御ルールを設定できます。ガードレールとは、以下を事前に定める仕組みです。
- エージェントが対応できる範囲
- 使用可能な情報
- 禁止すべき応答内容
企業の業務ポリシーやセキュリティ要件に合わせて柔軟に設計可能です。
また、エージェントの判断で対応が難しいケースに応じて、人間の担当者へ自動エスカレーションするルール化も可能です。そのため、安心して現場運用に組み込むことができます。
こうした設計により、高い精度と業務安全性を両立しながら、自律的な業務処理を実現します。
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Agentforceの主な機能
Agentforceの主な機能は以下の通りです。
- バックグラウンドで自律型AIが稼働
- Agentforce開発者向けツールで構築・テスト・最適化を迅速に
- AgentExchange:導入・拡張を加速するマーケットプレイス
バックグラウンドで自律型AIが稼働
2025年春に発表されたAgentforce 2dxからは、AIエージェントが業務システムのバックグラウンドで常時稼働する構成を可能にします。ユーザーの入力を待つことなく、CRM上のデータ変更や業務イベント(例:商談の進行、顧客ステータスの変更など)をトリガーに、エージェントが自律的に起動・処理を実行できるようになります。
エージェントはSalesforce Flowや新しく提供された「Agentforce API」、Apex(Salesforce独自のプログラミング言語)を通じて各種システムとシームレスに接続し、Slackやモバイルアプリなど複数のチャネルでも即時にアクションを実行できます。
業務フローの自然な一部として組み込まれ、担当者の手を介さずともリアルタイムにタスクを先回りして処理できる環境を構築できます。
Agentforce開発者向けツールで構築・テスト・最適化を迅速に
Agentforceの開発ツールは、迅速かつ柔軟なエージェント構築・運用を可能にします。以下の表は、Agentforceの開発ツールで可能なことを機能別に整理した一覧です。
機能 | 概要 |
---|---|
ローコード開発 | 中核ツールである「Einstein Copilot Builder」で行います。自然言語を使って「~というアクションを作成」と指示するだけでAIエージェントの基本的なスキルを構築 |
プロコード開発 | Salesforce Flow(ローコード)やApex(プロコード)、APIを連携させることで、複雑なビジネスロジックや外部システムとの連携も実装可能 |
開発環境との連携 | Salesforce CLIやVisual Studio Codeと連携し、バージョン管理、チームでの共同開発、環境間のデプロイといった開発手法を適用 |
Agentforce Testing Center | 設定したガードレール(例:不適切な表現をしない、機密情報に触れないなど)を遵守するか、また応答の品質が十分であるかを本番リリース前に体系的にテスト・評価するための専用ツール |
Agentforce Interaction Explorer | エージェントの実際の振る舞いを分析し、運用後も継続的に改善可能 |
Agentforce Developer Edition | 無料で試作・検証が行える開発者向けエディション。Data Cloudの機能も利用可能 |
これらのツール群を活用することで、開発から運用、改善までを一貫して効率化し、高品質なエージェントの提供が可能になります。
AgentExchange:導入・拡張を加速するマーケットプレイス
AgentExchangeは、Salesforceが公式に立ち上げた、Agentforce専用のマーケットプレイスです。企業はここから必要なAI機能を迅速に導入でき、AI活用のハードルを大幅に下げることができます。
200社以上のパートナーが開発した数百種類のAIエージェント機能にアクセスでき、企業はユースケースに応じて短時間で最適な構成を実現可能です。
Agentforce向けにあらかじめ構成された以下の3つを簡単に導入できます。
- アクション:エージェントが実行する具体的な処理
- トピック:対話や業務の目的を定義する単位
- テンプレート:再利用可能な構成済みエージェントのセット
また、パートナー企業は自社で開発したAIエージェントの「アクション」や「テンプレート」をAgentExchange上で販売・収益化できます。これにより、開発者のイノベーションを促進し、マーケットプレイスをさらに活性化させる狙いがあります。
Agentforceで可能になること
Agentforceは、業務効率化や顧客対応の高度化など、業務を自律的に支援します。以下に主な対応内容を示します。
24時間365日の顧客対応
Agentforceは、24時間365日、顧客からの問い合わせに自律的に対応します。チャットやメッセージングアプリなど、さまざまなチャネルを通じて自然な文章で応答し、いつでも正確かつ迅速なサポートを提供します。
すべての回答はSalesforce CRMやData Cloudなど信頼性の高いビジネスデータに基づいて生成されるため、誤情報のリスクを最小限に抑えることができます。
あらかじめ構成されたスキルを使えば、数分で問い合わせ対応を開始でき、ローコードでの柔軟なカスタマイズも可能です。さらにガードレールの設定により、AIと人の役割分担を明確にし、スムーズなエスカレーションを実現します。
営業支援
Agentforceは、営業活動のあらゆるプロセスを自律的に支援します。以下のようなステップを自動で行い、営業チームの業務負担を軽減します。
- 製品に関する質問への回答
- 見込み客へのアプローチ
- 商談の予約
やり取りはSMSやWhatsAppなどの多様なチャネルに対応しており、任意の言語で自然なコミュニケーションが可能です。
さらに、セールスコーチ機能により、各案件に即した現実的なロールプレイを提供し、営業担当者は、セールストークや反論処理、交渉の練習を実践的に行えます。
CRMに基づいた一貫したフィードバックにより個々の強みや課題が可視化され、具体的な改善アクションが導き出されます。
また、コーチングの実施状況と成果との関係も分析可能で、営業プロセスをROIの観点から継続的に改善する手がかりとして活用できます。
マーケティングキャンペーンの作成と最適化
Agentforceは、マーケティングキャンペーン全体の構築と最適化を支援します。
マーケティング担当者は、以下のような一連の工程を迅速に進めることができます。
- キャンペーンの概要作成
- 対象顧客セグメントの絞り込み
- 関連コンテンツの生成
- フロー内でのカスタマージャーニーの設計
さらに、Agentforceは設定されたKPIに基づいてキャンペーンの効果を昼夜問わず自動で分析します。改善点や次に取るべきアクションを先回りして提案することで、マーケティング成果の最大化を支援可能です。
パーソナルショッピング支援
Agentforceは、リアルタイムでパーソナライズされた商品提案を提供し、購買体験の質を向上させます。単なるレコメンド機能にとどまらず、ユーザーのニーズや嗜好に応じて、対話形式で最適な商品を提示可能です。
この機能は、コマースサイト上だけでなく、WhatsAppなどのメッセージングアプリにも対応しています。そのため、ユーザーが利用するチャネルに合わせた柔軟な対応が可能です。
また、会話の中で適切な検索クエリへと自然に誘導しながら購入意欲を高め、スムーズな購買体験を支援します。
部門別業務支援
ヘルスケア、銀行業、小売、CX、財務、ITなど多様な業種・部門に合わせたエージェントを構築でき、問い合わせ対応、要約生成、分析結果の提示、ドキュメント作成補助などを自律的に実行可能です。
以下の表は、業種別におけるAgentforceの代表的なユースケースと処理内容を整理したものです。
業種・分野 | 主なユースケース | エージェントの処理内容 |
---|---|---|
ヘルスケア | 患者対応、医療情報の確認 |
|
小売 | 返品対応、在庫照会 |
|
金融 | 口座情報の取得、手続き案内 |
|
これにより、部門ごとの業務負担を軽減しながら、顧客満足度や業務スピードの向上にも貢献します。
Agentforceの活用例
Agentforceは以下の企業で業務の自動化やサービス品質の向上などを実現し続けています。
Indeed:求人プラットフォームでの活用

求人検索サイト「Indeed」では、Agentforceを使って雇用主のアカウント登録や求人投稿の際に発生する確認作業やトラブル対応を24時間体制で自律的にサポートしています。
これにより、書類不備やシステム連携の遅延といった従来は人手が必要だった課題が解消され、求人掲載までの時間を大幅に短縮されました。さらに、統合データ基盤(Data Cloud)とMuleSoftを活用することで正確かつリアルタイムな対応を実現し、求職者と雇用主のマッチング精度も向上しています。
ヒースロー空港:空港体験のパーソナライズと業務効率化

ロンドンのヒースロー空港では、乗客対応のパーソナライズと業務効率化を目的にAgentforceを導入しました。空港内での案内やFAQ応答を自動化することで、利用者が必要な情報をリアルタイムで取得できるようになりました。
加えて、カスタマーサポート部門では、問い合わせ内容の自動要約・分類を行うことで応対時間を短縮しています。Data Cloudによる乗客情報の統合とService Cloud・Commerce Cloudとの連携により、チャット応答・売上・顧客満足度のすべてを向上させる成果を上げています。
SCA:運行管理の自動化とドライバー支援を両立

米国最大の道路清掃会社SCAでは、全米60拠点に分散していた運行・配車業務の非効率を解消するため、Agentforceを導入しました。
顧客からの清掃依頼を自然言語で即時受付し、スケジュール調整からドライバーのリアルタイム再配置までを自律的に実行できるようになりました。
これにより、従来は紙ベース・手作業だった配車業務が自動化され、顧客対応スピードが大幅に向上。
さらに、Field Serviceアプリと連携したAgentforceが、現場のドライバーに対しても音声対応やリルート指示、安全確認などを提供します。結果として、災害現場や夜間作業における安全性と対応力の向上も実現しています。
Agentforceに関するよくある質問まとめ
- Agentforceとは、具体的にどのようなものですか?
Agentforceは、Salesforceが提供する、自律的にタスクを実行するAIエージェントを作成・管理するためのプラットフォームです。主な特徴は以下の通りです。
- 従業員や顧客を24時間サポートする自律型AIとして活用できる。
- Salesforce内の正確なビジネスデータに基づいて高精度な判断とアクションが可能。
- Atlas推論エンジンを起点に、LLMと連携してユーザーの指示に基づき計画を自律的に立案・実行する。
- Agentforceには、どのような特徴がありますか?
Agentforceには、主に以下の2つの特徴があります。
- 簡単なエージェント構築: ローコードツール「Agent Builder」を使い、プロンプト設計からAPI連携まで視覚的に行えるため、業務に即したエージェントを短期間で構築できます。
- 安全性と制御性: AIの対応範囲や禁止事項を定める「ガードレール」機能や、人への自動エスカレーションルールを設定でき、安心して現場運用に組み込めます。
- Agentforceの主な機能には何がありますか?
Agentforceには、主に以下の3つの機能があります。
- バックグラウンドでの自律稼働: ユーザーの入力を待たず、データ変更などをトリガーにAIが自ら起動し、タスクを先回りして処理します。
- 開発者向けツール: 構築、テスト、分析までを一貫して効率化するツール群(Testing Center, Interaction Explorerなど)が提供されています。
- AgentExchange: パートナー企業が開発したAI機能を導入できるマーケットプレイスで、開発の手間を省き迅速な拡張が可能です。
まとめ
Agentforceは、Salesforceが提供する自律型AIプラットフォームで、業務に深く統合可能なAIエージェントを構築できます。信頼性の高いデータ活用や柔軟な統合機能により、さまざまな業務に対応可能です。
Agentforce 2dxにより、チャットを超えたプロアクティブな自動化が実現し、開発ツールや無料のDeveloper Editionも活用して迅速な導入が可能です。企業の生産性向上と顧客体験の強化を支える基盤として注目されています。
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