Vertex AIとは?機能やできること・メリット・料金・連携できるGoogleサービスを解説!
最終更新日:2024年11月05日
機械学習プロジェクトを進めるに当たり、どのプラットフォームを利用すればよいかわからないと悩んでいる方もいると思います。
本記事で紹介するVertex AIには、機械学習に必要な機能やツールが一通り揃っています。よって、Vertex AIさえ導入してしまえば、データの学習からチューニングまでが完結します。しかし、Vertex AIで機械学習は完結するのか、料金はどれくらいか、など疑問も多いかと思います。
この記事では、Vertex AIの機能や料金、導入するメリット、連携できるGoogleサービスを解説します。新しい機械学習プラットフォームが次々に登場していますが、Vertex AIが自社に合っているかを、本記事を参考に確かめてみてください。
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目次
Vertex AIとは?
出典:Vertex AI
Vertex AIとは、Googleが提供する機械学習のフルマネージド型プラットフォームです。フルマネージド型なので運用管理・保守業務をすべて委託できるのが特徴です。
GoogleのサービスであるAI Platform と AutoMLが一つのインターフェースに統合されており、機械学習を中心とした多くのAIサービスが利用できます。
Vertex AIには、機械学習の開発に必要なツールが一通り揃っているため、一つのプラットフォームで開発業務が完結します。また、フルマネージドサービスなので保守・管理体制も利用できる点も省力化に大きく役立つため、高い注目を浴びています。
また、Googleの提供するマルチモーダルAIであるGeminiを含む様々な生成AIモデルにアクセスできることから、更に注目されています。
特にGeminiモデルの利用に特化している開発プラットフォームであるGoogle AI Studioもあり、Google AI Studioは使いやすさとGoogleの最新AIテクノロジーへのアクセスが強みとなっています。
Vertex AIの料金|無料枠
Vertex AIは従量課金制であり、サービスごとに料金が定められています。ここでは、一部の料金を紹介します。
生成 AI サポートの料金
内容 | 料金 |
画像生成 (1024x1024px) | 画像1枚当たり 3.00 円($0.020) |
自然言語生成 (PaLM 2 Text Bison・出力) | 1,000文字当たり 0.15 円($0.0010) |
コード生成(出力) | 1,000文字当たり 0.075 円($0.0005) |
コード補完(出力) | 1,000文字当たり 0.075 円($0.0005) |
AutoML モデルの料金
内容 | 料金 |
画像データのトレーニング | 1ノード時間当たり 519.82 円($3.465) |
画像データのデプロイとオンライン予測 | 1ノード時間当たり 206.28 円($1.375) |
表形式データのトレーニング (分類と回帰) | 1ノード時間当たり 3,188.23 円($21.252) |
テキストデータのトレーニング | 1時間当たり 495.07 円($3.30) |
また、Google Cloud、Google Maps Platform、Firebaseを有料で利用したことがない方は、90 日間の$300 分無料トライアルを利用できます。詳細な条件は上記のページに記載されているので、Vertex AIを利用するか迷っている方は、まず無料トライアルから試してもよいかもしれません。
AIの開発費用の相場、見積方法をこちらの記事で詳しく説明していますので併せてご覧ください。
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Vertex AIでできること・メリット
Vertex AIを活用すると、以下のようなことが可能になります。
- ハイパーパラメータを自動でチューニング
- 学習データセットを作成
- コーディングの手間を削減
- 130以上のモデル・ツールが利用可能
- 機械学習が一つのプラットフォームで完結
- Google Cloudのツールと統合が容易
それぞれについて解説します。
ハイパーパラメータを自動でチューニング
Vertex AIには、ハイパーパラメータを自動でチューニングする機能が搭載されています。それぞれのモデルに最適化したパラメータに自動で設定してくれるため、予測精度を最大限に向上できます。
このプロセスは、複数のトレーニング試行を通じて、モデルの予測精度に最も影響を与えるパラメータの最適な値を決定することによって行われます。ハイパーパラメータが自動で最適化できれば、エンジニアがチューニングする必要がなくなります。自動チューニングは省力化に貢献し、エンジニアがコア開発業務に注力できるようになります。
学習データセットを作成
Vertex AIに搭載されている「Datasets」を活用すれば、ユーザーは機械学習用の学習データセットを効率的に作成できます。画像・動画・テキスト・表形式の4つのデータ形式のデータセットを作成可能です。
Datasetsではアノテーション作業を支援し、機械学習について詳しくなくても簡単にラベリング作業ができるタスクツールが利用できます。また、作成したデータは同サービス内で管理することも可能です。
学習データの作成は、機械学習開発の中でも非常に手間のかかる工程ですが、Vertex AIを活用すればデータセットの作成と管理を同一プラットフォームで行えるため、機械学習開発の手間を大幅に削減します。
コーディングの手間を削減
Vertex AIでは、ノーコードで機械学習のトレーニングやチューニングが可能であり、コーディングにかかる手間を大幅に削減します。コーディングの手間を削減できるため、専門性の低いエンジニアでも比較的簡単に開発業務を進められます。
Google Cloudの調査によるとVertex AIは、一般的な機械学習プラットフォームに比べて80%ものコード行数を削減できるそうです。自動化できる工程が非常に多いため、最小限の労力で開発業務を進めることができるでしょう。
様々な生成AIモデルや130以上のツールが利用可能
Vertex AIでは、Googleのマルチモーダル生成AIである「Gemini」やPaLM、Imagen、その他にもMetaの「Llama 2」Antropic社の提供するClaude2など、を含む多くの生成AIモデルやツールが利用できます。Googleが提供するモデルだけでなく、サードパーティー製やオープンソース製のモデルも利用できるため、利用できるサービスに偏りがありません。
Vertex AIには豊富なツール・モデルが登載されているため、画像やテキストなどの多くの媒体に対応できます。開発途中で異なる媒体に対応したモデルの開発が必要になっても、同じプラットフォーム内でカスタマイズが可能です。
機械学習が一つのプラットフォームで完結
Vertex AIには、機械学習の開発に必要なツールが全て揃っています。一つのプラットフォームで機械学習が完結するため、効率よく開発を進めることができます。
もし、各工程で異なる開発環境を利用すると、ツールの互換性やデータ形式によってはその度に変換作業を行わなければなりません。一つのプラットフォームで開発が完結すれば、変換作業や互換性の確認は不要です。
また、複数のプラットフォームを利用すれば、その数だけ使い方を覚える必要があります。利用するプラットフォームを削減できれば、エンジニアが覚えなければならない事柄も減らすことができます。
Google Cloudのツールと統合が容易
Vertex AIはGoogleが開発していることもあり、Google Cloudとの統合・連携性に優れています。次章で紹介しますが、Google Cloudには機械学習に適したツールが数多くあります。
データの互換性が高ければ開発業務を効率化できるため、すでにGoogle Cloudのツールを利用している方におすすめです。
Vertex AIと連携できるGoogle Cloudのサービス、プロダクト
Vertex AIはGoogle Cloudとの統合・連携性に優れています。Google Cloudには機械学習に適したツールが数多くあります。
- BigQuery
- Cloud Storage
- Cloud Datalab
- Looker
これらのツールは、Vertex AIと連携することで、機械学習モデルの開発、トレーニング、デプロイメントをスムーズに行うための基盤を形成します。
BigQuery
BigQueryは、大規模データセットの分析と管理を迅速に行うことができるフルマネージド型のハードウェアサービスです。非常に高いデータ処理能力を有しているため、数テラバイトから数ペタバイトのデータを数秒から数分で処理できます。
その処理能力を活かせば、リアルタイムデータ処理も可能です。機械学習モデルのトレーニングデータを準備する過程で非常に役立ちます。
また、データの分析のほか、データを蓄積する用途でも利用できます。大きなデータを扱う方におすすめのサービスです。
Cloud Storage
Cloud Storageは、大量の非構造データを保存できるフルマネージド型のストレージサービスです。堅牢性に優れたプラットフォームにて、大量のデータを低コストで保管できます。
また、保管するデータが少なくなり、より低コストなクラスでも保存できるようになれば、自動でダウングレードされます。低コストで大量のデータを保管し、必要に応じて容易にアクセスできるため、学習データやモデルの出力を管理する際に重宝します。
Cloud Datalab
Cloud Datalabは、データの解析、可視化、探索ができるツールです。BigQueryやCloud Storageと統合されているため、大きなデータをすぐに解析したり可視化したりできます。
データ分析で広く用いられているJupyter Notebookがベースになっているため、動作に慣れている方も比較的多いでしょう。主に、BigQueryやCloud Storageにある大量のデータを直接分析・可視化することが可能です。
Looker
Lookerは、データの調査や可視化、共有を支援するツールです。データ定義の作成やデータの集計から、レポートの可視化までが行える機能が搭載されています。
Lookerは、BigQueryをはじめとした様々なデータベースからデータを抽出して分析します。データをアップロードする必要がないため、時間をかけずに調査や可視化が行えます。
Lookerの分析結果は、Lookerを利用していない人にも共有できるため、外部の人へのデータ共有にも活用できます。
Vertex AIについてよくある質問まとめ
- Vertex AIとは?
Vertex AIとは、Googleが提供する機械学習のフルマネージド型プラットフォームです。フルマネージド型なので運用管理・保守業務をすべて委託できるのが特徴です。
GoogleのサービスであるAI Platform と AutoMLが一つのインターフェースに統合されており、機械学習を中心とした多くのAIサービスが利用できます。
Vertex AIには、機械学習の開発に必要なツールが一通り揃っているため、一つのプラットフォームで開発業務が完結します。
- Vertex AIで何ができる?
Vertex AIを活用すると、以下のようなことが可能になります。
- ハイパーパラメータを自動でチューニング
- 学習データセットを作成
- コーディングの手間を削減
- 130以上のモデル・ツールが利用可能
- 機械学習が一つのプラットフォームで完結
- Google Cloudのツールと統合が容易
まとめ
Vertex AIを導入すれば、機械学習の開発プラットフォームが一つで完結します。
また、Vertex AIはGoogle Cloudのプロダクトとの相性に優れています。すでにBigQueryやCloud Storageなどを利用している方は、無料枠を活用しながら使い心地を確認してみてはいかがでしょうか。
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